3月20日

必要なのは頑張れという言葉ではなく、頑張ったね、
なのかもしれない。
もうこれ以上走れないっていう時に、もっと走れと言われても
無理だと思えてしまう。
でも頑張ったねって言われれば、もう一度前に進んでみようと
思えるから。
助けてくれなくてもいいんだ。ただ認めてさえくれれば。


この地球にはエラーがある。地球は一度滅んだが、
滅ぶ寸前にコピーが作成された。
時間がなかった為バックアップに失敗、修正できずにエラーが発生。
エラーが滅びとコピーを延々繰り返す無限ループであることは、
地球に暮らす人々には永遠に気付かれることはないだろう。


私は美しい薔薇、棘があるの。多くの人が私を手に入れようとして
手を伸ばしてくるわ。でも棘に阻まれ傷付き去ってしまう。
流された血は私を増々魅惑的にするの。でも傷付けたくなんかない。
人に触れて欲しい。だから心で泣きながら、
いつか私を手に入れてくれる人を待っているの。


3月21日

防衛隊が暇を持て余して余計なものを攻撃していたので、
寄生虫ロボを作って送り込んでやった。
見たことが無い敵に防衛隊が色めき立つ。一斉攻撃開始。
いい訓練になるはずだったのに防衛隊が予想以上に強く、
あっという間に寄生虫ロボを破壊、除去。
これじゃ花粉症が治らないはずだ。


PCに頼り過ぎるとそれ無しでは物事が動かなくなってしまうことを
懸念した首相は、PCの利用を全くの個人利用と技術開発等の利用に
限った。
あれから30年我が国は、国際競争力は落ちたように見えるが、
人海戦では他国の追随を許さない国となった。
世界中で謎のPC停止。今、我国の真価が問われる。


春が冬に押されて夏を押したら、夏に押し返されぺっちゃんこ。
夏が秋を押されて冬を押したら、冬に押し返されぺっちゃんこ。
どんどん薄くなる春と秋に、穏やかで美しい季節が好きと
「頑張って。押し返して」と生物達が声援を送る。
けれど春と秋にはもうその力は残されていなかった。


3月22日

日食、月食、流星群、天体ショウが花盛り。期待に胸を膨らましたが、
曇ってばかりで見られない。
雲の切れ間から見られないかと未練がましく粘ったが、
空を覆う雲は厚くなるばかり。いつになったら晴れるのか。
それは俺が決断した時。白内障でも手術は怖い。


文字が空を飛んでいった。飛ながら色々なものを拾っていく。
だからあの人の許に辿り着いた時には、飛び立った時の面影は無く
なっていた。
変わってしまったことに気付いたあの人は「元はなんだったの」
と私に問いかける。
「いや、単なる噂ですから」と私は顔を赤らめた。


3月23日

毎日愚痴を聞かされて、こっちも愚痴をこぼしそうになったが、
堂々巡りになりそうだったので止めてしまった。
どこにも出口がない私の苛立ちや不満。溜って溜って溜められて、
いつか黒くなって噴き出すだろうか。
大事なあなたを見捨てる日がきそうで怖い。


3月24日

冬将軍が桜の下で酒を飲んでいる。
「どうせ俺にお花見なんて関係ないさ」
そうぼやきながら酒をぐいぐい呷る。
酔いが回った将軍は桜の袂にごろりとなり
「お前の美しい姿を見てみたいな」と寝言のように言う。
そのまま眠る将軍を愛おしそうに抱いた桜は、
今年の春は遅くなると感じた。

あなたと私、同じ世界に住んでいるように見えるけど、
微妙に違うの。あなたが感じる世界と私の感じる世界は違うわ。
生きているものの数だけ世界はあるの。私がいなくなったら
一つの世界が消えるだけ。あなたの世界は続いていくわ。
あなたが最後の日を迎えるその日まで。

3月15日

憧れの星は遠い空の上、手が届かないと諦めていた。
誰が絶対届かないって決めたんだったっけ。もしかしたら私かな。
なら梯子を作ったらどうだろう。星に向け梯子を作り始めた私。
一段一段作っていく。何時になったら届くだろう。
今はほんの僅かだけど、近付いたことは事実なんだ。


隣の芝生が素敵に見える。私の庭は土が剥き出したまま。
種を捲き水をやってみた。スクスク伸びる庭の芝生、
伸び過ぎたから刈ってみた。
何故だろう、見た目 は隣と同じなのに素敵に感じない。
芝を伸び放題にしたら、虫がやってきて鳴き始めた。
足りなかったものが分かった気がする。


全然何も書けていない。原稿用紙にグダグダと、
ミミズのようなのものを書きつける。
机に突っ伏した私の頭の上でミミズが踊る。
踊って踊って文字になりマス目を埋めて、流れるような
美しい文章を作る。それは踊るミミズの話。
人に身を捧げる地竜の話。夢が覚めれば消えてしまう。
#twnovel


3月16日

美味しい臭いがするあの女の血を吸った。
いつも疲れた顔をした彼女が、プロポーズを受け幸せの絶頂に
いたことを、僕は知らなかったんだ。
僕は吸血鬼と獏の混血、幸せな人の血なんて吸ったらそれはもう
七転八倒。だから美味しい臭いじゃなくて、
不幸な臭いが分かればいいのに。


3月17日

誰もいない夜明けの街を必至でスケッチブックに描きつける。
昨日までは喧噪に満ちていたこの街が、今描かなければ消えていく。
遠い日にこの街を思い出すことはあるだろうか。
かつて人々で活気に溢れた街があったことを。


3月18日

食べてもらう人の顔を想い浮かべて作ると、材料が同じでも
全く違うものができる。牛乳に砂糖と卵、ミルクセーキができたり、
プリンになったり。一体誰の事を想い浮かべているかって。
それは内緒。どちらに一杯愛情が入っているかは、その時次第。
気分に振り回されるんです。


私の中から幾つかの玉を取り出し賢者が言う。
「ほら、これらの玉は輝いているだろう。
だが、この一つはまだ磨かれず暗い。これがお前に足りないものだ」
玉に何かが書かれているが、暗い玉の文字は読み取れない。
足りないものって何ですか。
問いかけようとした途端、賢者も玉も消えた。


3月19日

正論なんて通じない。でも、なあなあなままじゃ、
気が付いた時にはとんでもない方向に行っている。
時々は正論を思い出さねば。この党はもう終わり。
ならば正論を振りかざして、バッと散ろうじゃないか。
それがこの国のこれからの何十年か支えられれば本望だ。


思ったような絵が描けないと言う方に朗報。
あなたが頭にイメージしたものを忠実に描いてくれる「創造の筆」
が発売になりました。これであなたも芸術家。
ご使用前に必ず使用上の注意をお読みください。
なお当商品をご使用になり余計なものが描かれても
一切の責任は負いかねます。


3月11日

欲しくて堪らない彼女は奴のもの。でもいいんだ。
彼女は俺のものになるって、決まっているんだから。
彼女は俺にお願いしたんだ。彼を私に下さいって。
願いの代償は勿論彼女の魂。だから俺は待つだけでいい。
彼女の魂が俺のところまで堕ちてくるまで。


誰も本音を語ってくれないって君は言うけれど、
それは君のせいかもしれない。誰もが君のように強くはないのに、
君はすぐに自分と比較して、他人を傷付けてしまう。
否定されると分かっていて本音を語ってくれる人は少ないんだよ。
だから君にも弱さの欠片があったらいいのに。


私は対人恐怖症だ。道を知った人が歩いてくると脇道に
逸れたくなってしまう。できれば会話はしたくない。
それなのに買い物でレジに並べば、決まったように前に並んでいる人に
話かけられ、道端では知らない子供にしがみつかれる。
これは何の試練だろうか。もう進化するしかないのか。


3月12日

私の心は風船のよう。あの人を見る度ドキドキして膨らんでいく。
「好きだよ」というあの人の言葉に、ばっと膨らんだ風船は
空高く飛んで行ってしまった。風船は何処まで飛んで行っただろう。
行先が分からなくなった風船が暫く戻ってこないことだけは確かだ。


殴られて目を覚ました私。
何が起こったのかと辺りを見回すと、見知らぬ男が傍に立っていた。
「もう、起きろって」と涙目になりながら訴える男の頭にはボタンが。
ああ、このボタンはアレの… 
「ゴメンね。明日からは、壁に投げつけたりしないから」
と私はそっと男に言った。


私の可愛い心臓ちゃん、最近駄々をこねるようになった。
冷たくなったり、青紫になったりして怒り出す。
時にはギュって笑えないこともしてくる。
君のことを忘れているわけじゃないんだよ。大切にしてあげたい。
でも無理な時もあるんだよ。
だからもう少しだけ我慢しておくれ、お願いだ。


3月13日

人間社会も終焉を向えつつある。
なんで分かるかって、子供の頃はあれ程進むのが遅く感じた時間は
歳をとるにつれ早く経つように感じるだろう。
今の世の中、24時間活動を止めないじゃないか。
生き急いでいるように感じる社会なんて、早晩終わり向えるだろうから。



3月14日

感情のスイッチが切れている。何を見ても聞いても感じない。
身体のどこかにスイッチがないかと探してたが見当たらない。
よく考えたら君にスイッチを渡していたことを思い出した。
でも君はもうここにはいない。
君はスイッチを置いていってくれたのに、僕は押し時を見失ったままだ。


太陽から遠いときはどうってことのない俺は、太陽に近付くにつれ
色々なものを撒き散らす。
箒星なんて呼ばれているが、まるで逆。
でもそれは人の目からは白く光る尾のようで美しいらしい。
少しでもこの尾で人の心を掃き清められるのなら、
身を削る俺も箒星と呼ばれるに相応しいのか。


俺は悪夢を見せて人の恐怖を食べる。
人は俺が見せる悪夢に負けてすぐにダメになる。
それが獏と出会ってから一転、獏が悪夢を食べてくれるから、
人は健康なまま。
獏は獏で良い夢食べるとお腹が痛くなるから、
俺が紡ぐ悪夢を食べていれば安心だ。正にいいとこ取り。
人にとっては迷惑な話なだけだけど。


「また会えるよね」と問う君に「きっと、また会おうね」と僕は答える。
でも本当はこれが最後。消えそうな程小さくなってしまった僕。
最後の輝きを君に見せるため、太陽に向けスピードを上げ、
輝かしい長い尾をつける。君はこの箒星を憶えていてくれる。
だからまた会えるよ、きっと。
2月27日

何かに追われている。何が追ってきているのか分からないが、
逃げなければマズいことだけは分かる。
信号は赤だ。だが立ち止まる余裕はない。
そのまま道路に走り込み車に衝突した。
意識が薄れる中、白い猫が私の前を通り過ぎた。
追ってきていたものの正体がこれとは。
不確かなものに振り回され過ぎだ。


2月28日

「地球終了のお知らせ」
長らくお楽しみいただきました地球は、
本日をもちまして、一旦終了させていただくこととなりました。
これまでのご声援に、心より感謝 申し上げます。
なお、戴きました御意見を参考に、より良い地球再開に向け、
地球総員、邁進して行く所存でございます。


3月2日

お嬢様、また眠ってしまわれたのですか。
そろそろ起きていただかないと… 
起きませんね。
現実逃避ですか。これで起きていただけないと、
怖い想いをしていただくことになりますよ。
ほら、お起きになってください。いいでしょう。
あなたが今見ている夢、どうなっても知りませんよ。


3月3日

今日もそれぞれの目的地に向かって移動していく人達。
それはまるで赤血球の様。でもこの赤血球、あまり質が良くない。
自分の都合がいい場所だけに物を届けてしまう。
物があるのに必要な所に届かない。だから何時もどこかで飢餓状態。
もっと健康になれるはずなのに。実に惜しい。

3月5日

おや、お嬢さん、失くした夢ごと飛ばされてきてしまったのですか。
ここは夢の成れの果て、夢の欠片が集まる場所。
ここに敷き詰められているのは夢破れた者達の夢の欠片。
ほら欠片に夢の断片が写し出されているでしょ。
ここにはありとあらゆる夢の欠片がに集まってくるのです。

でも御安心なさい。この欠片はこのまま朽ち果てたりしませんん。
あの先を御覧なさい。欠片が砂のようになって下へ落ちていくでしょ。
あの砂粒を持って、人は生まれ変わっていきます。
今度こそ手にした夢を叶えるために。

さて、そろそろ、あなたはお帰りになったほうがいい。
あなたの夢はまだ砕けてはいないようですから。
何故ここに迷ってこられたのでしょうかね。
また、会えるかって?
あなたの夢が破れた時にとでも申しておきましょうか。
そうならないことを願っていますよ。


今日僕が引っ越した身体、防衛隊は貧弱なものだった。
防衛隊を突破して僕は居心地のいい臓器に落ち着いた。
こういう身体って落ち着くんだけど、すぐダメになるんだよね。
僕は宿主とうまくやっていきたいのに、僕が来ると皆弱ってしまう。
僕のどこがいけないのかな。分かるなら教えて欲しい。


3月6日

「もうダメだ、絶望だ」と喚いていた俺に男が
「望みを絶つで絶望です。そもそも望みを持っていなかったあなたが、
絶望することはあり得ません。絶望したいなら望みを持つことから
始めなければ」と屁理屈言って立ち去った。
俺は今まで悩んでいたことがどうでもいいように思えてきた。


3月8日

バスを降り、夜空を見上げる。星がいつもより明るく輝いて見える。
その明るさは徐々に増してくる。
星々がまるでこちらに近付いてきているようだ。
いや、確実に近付いてきている。ここはビックバン前停留所。
降りてはいけない場所だったに違いない。


3月10日

人の命なんてあっけない。
ちょっと階段を踏み外しただけで終わってしまった。
死に際にこれまでの人生の走馬灯は見られず、
代わりに頭に浮かんだのは、戸棚の中に残したパン。
ずっと続くと思っていた日常生活が、
今終わってしまったことが何とも不思議だ。


僕はかつて一つだった。小さな爆発で僕の身体はバラバラなり、
全く別々の個体なった。
あまりにも遠くに引き離された身体に、かつて僕であった記憶は無く、
個々に芽生えた自我は、欲望のまま、憎しみ、争いを繰り返す。
もう一度元に戻れないものか。
そうしたらこの世界は無くなってしまうのだろうか。
2月15日

「もう、吸うの止めた方がいいよ。私、薬、飲んでるし」
「うん、分かってる。でも、君の血は美味しいし、何より君の血を吸うと、
身体が温まって、生きているって感じがするして、止められないんだ」
「知ってる、あなた、最近、歳をとってきているのよ」
れはきっと私の血のせい。私が飲んでいる薬のせい
「私より先に逝ったりしたら許さないんだから」
「うん、分かってる、でも止められないんだ。分かるだろ。
悪いものほど止められなくなるものだと」
そう言って彼は、一層強く私の血を吸い上げた。


2月16日

「先生、今回も素晴らしい作品ばかりですね」
個展を開くと破格の値段で売れて行く私の作品。
不器用な私は未だ自分がイメージした作品を作り出せたことはないというのに。
所詮芸術とはこれが芸術だと世間が評価したものということだろうか。
自分の頭にある作品が知られることが怖い。


2月18日

ネットオークションで隕石を落札した。
届いた隕石には注意書きが添えられている。
愛情を持って接してください。何があっても捨てないで下さい。
隕石が届いて三日目、植物の芽のようなものが出てきて、花が咲き実をつけた。
実の中からは妖精のような生き物が。
私は第三種接近遭遇を果たすこととなった。


2月19日

母がニュースを見ながらなにか呟いている。
「オリンピンク?広びーろ?」何のことだか分からない。
テーブルの上には、おやじギャグ大募集のチラシが。
応募するつもりなのか。そもそもおやじじゃないし。
そこのところは全く気付いていないらしい。


2月21日

雪が激しく降るといっても、次々と雪達磨が降ってきて、
あっという間に線路を埋めてしまうとは。しかもこの雪達磨やたらと重い。
焼けになった除雪作業員が雪達磨に向かって「線路側に一列に整列」
と叫ぶと、雪達磨達は速やかに線路側に移動、整列。
これほど楽な除雪作業はなかった。


2月22日

よくアパートのベランダから外を眺めていた。
早朝のまだ街が動き出す前のあの静けさ、少しクリーム色が混ざった
オレンジ色の空、それを見るのが何とも言えず好きだった。
何故か最近よくあの街のあの風景を懐かしく思い出す。
嫌な思い出ばかりしかないあの街を。


2月23日

一週間前には部屋の隅にいた死神は、もう手を伸ばせは届く程近くまで
やってきていた。
「最後に望みを一つ叶えてやる」と言う死神に、
私は「大好きなあの人に思い切りぎゅっとして欲しい」と頼んだ。
すると死神は「もう、君をもらってもいいんだね」と言ってぎゅっと
私を抱きしてきた。


2月24日

空を舞っていた蝶が、僕のところへ下りてきた。
「私、空を飛べるようになったの」と僕の周りをくるくる回ってみせる。
昨日まで芋虫だったはずなのに。
それ に比べて僕の種族ときたら、大人になってもさほど変わらない。
それが悪いというわけでないのだが、時たま自分でないものに
なってみたくなる。


2月25日

頑なで、肩肘を張って生きている君を見ていると、抱きしめて、
思いっきり甘やかしてやりたいと思ってしまう。
甘い言葉を囁いて、君を誘惑したら、少しは俺の言うことを聞いて
くれるだろうか。
そんなことを考えてしまう俺は、君を守る天使ではなく、
堕天使なのかもしれない。


2月26日

また分かれ道だ。どこへ続いているか分からない道を、
迷いながら選び進んで行く。
本当にこの道でよかったのだろうか。激しい不安が私を襲う。
そうだ、もう一度前の分かれ道に戻ってみよう。
すると横に大きな看板が。「Uターン禁止」これまでの人生、
やり直しはきかないらしい。


分かれ道が多過ぎる。何処へ続いているか分からないから、
どちらも選べないじゃないか。
だからブルドーザーを手に入れてきた。
これからは作られた道を行くんじゃない、道を作って進むのだ。
ポンコツにだけはならないよう、要注意だけれど、もう迷わない、
直進だ。