2月27日

何かに追われている。何が追ってきているのか分からないが、
逃げなければマズいことだけは分かる。
信号は赤だ。だが立ち止まる余裕はない。
そのまま道路に走り込み車に衝突した。
意識が薄れる中、白い猫が私の前を通り過ぎた。
追ってきていたものの正体がこれとは。
不確かなものに振り回され過ぎだ。


2月28日

「地球終了のお知らせ」
長らくお楽しみいただきました地球は、
本日をもちまして、一旦終了させていただくこととなりました。
これまでのご声援に、心より感謝 申し上げます。
なお、戴きました御意見を参考に、より良い地球再開に向け、
地球総員、邁進して行く所存でございます。


3月2日

お嬢様、また眠ってしまわれたのですか。
そろそろ起きていただかないと… 
起きませんね。
現実逃避ですか。これで起きていただけないと、
怖い想いをしていただくことになりますよ。
ほら、お起きになってください。いいでしょう。
あなたが今見ている夢、どうなっても知りませんよ。


3月3日

今日もそれぞれの目的地に向かって移動していく人達。
それはまるで赤血球の様。でもこの赤血球、あまり質が良くない。
自分の都合がいい場所だけに物を届けてしまう。
物があるのに必要な所に届かない。だから何時もどこかで飢餓状態。
もっと健康になれるはずなのに。実に惜しい。

3月5日

おや、お嬢さん、失くした夢ごと飛ばされてきてしまったのですか。
ここは夢の成れの果て、夢の欠片が集まる場所。
ここに敷き詰められているのは夢破れた者達の夢の欠片。
ほら欠片に夢の断片が写し出されているでしょ。
ここにはありとあらゆる夢の欠片がに集まってくるのです。

でも御安心なさい。この欠片はこのまま朽ち果てたりしませんん。
あの先を御覧なさい。欠片が砂のようになって下へ落ちていくでしょ。
あの砂粒を持って、人は生まれ変わっていきます。
今度こそ手にした夢を叶えるために。

さて、そろそろ、あなたはお帰りになったほうがいい。
あなたの夢はまだ砕けてはいないようですから。
何故ここに迷ってこられたのでしょうかね。
また、会えるかって?
あなたの夢が破れた時にとでも申しておきましょうか。
そうならないことを願っていますよ。


今日僕が引っ越した身体、防衛隊は貧弱なものだった。
防衛隊を突破して僕は居心地のいい臓器に落ち着いた。
こういう身体って落ち着くんだけど、すぐダメになるんだよね。
僕は宿主とうまくやっていきたいのに、僕が来ると皆弱ってしまう。
僕のどこがいけないのかな。分かるなら教えて欲しい。


3月6日

「もうダメだ、絶望だ」と喚いていた俺に男が
「望みを絶つで絶望です。そもそも望みを持っていなかったあなたが、
絶望することはあり得ません。絶望したいなら望みを持つことから
始めなければ」と屁理屈言って立ち去った。
俺は今まで悩んでいたことがどうでもいいように思えてきた。


3月8日

バスを降り、夜空を見上げる。星がいつもより明るく輝いて見える。
その明るさは徐々に増してくる。
星々がまるでこちらに近付いてきているようだ。
いや、確実に近付いてきている。ここはビックバン前停留所。
降りてはいけない場所だったに違いない。


3月10日

人の命なんてあっけない。
ちょっと階段を踏み外しただけで終わってしまった。
死に際にこれまでの人生の走馬灯は見られず、
代わりに頭に浮かんだのは、戸棚の中に残したパン。
ずっと続くと思っていた日常生活が、
今終わってしまったことが何とも不思議だ。


僕はかつて一つだった。小さな爆発で僕の身体はバラバラなり、
全く別々の個体なった。
あまりにも遠くに引き離された身体に、かつて僕であった記憶は無く、
個々に芽生えた自我は、欲望のまま、憎しみ、争いを繰り返す。
もう一度元に戻れないものか。
そうしたらこの世界は無くなってしまうのだろうか。