2月9日
カーテンを開けたら窓を覗き込んでいたセキレイと目が合った。
視線を逸らした方が負ける。そんな緊張感が走る。
よく考えれば私が負けることなんてあり得ないのに、一人と一羽は
しばらくその場を微動だにできなかった。
「戦艦が宇宙を飛ぶなんてあり得ません」
「いや、何でもありなのだよ。想像力がこの艦を飛ばせているのだ」
想像力でって、辺りを見回してもカチコチな役人ばかり。
このクルーで飛ばし続けることができるのか。
それに攻撃力=想像力だとしたら。この航海の行く末に不安を感じる。
強い光を放つ恒星。だが私に興味を抱かせるのは、その周りを漂う
塵のような物質。ここで観察しなければ、二度と見つけられない
のではという想いが私を強く引き付ける。いつでも見つけること
ができるからと後回しの恒星とは、本当の出会いがないままに
終わるのかもしれない気がする。
2月10日
「お前が連れ出したんだろ。その子を返せ」
「誤解だって。勝手に付いてきたんだって」
「ね、お兄さんと一緒に旅館に帰ろうね」
「嫌、おじちゃんと一緒に行くの。このおじちゃんと一緒がいい」
女の子が俺の脚にしがみ付く。
初めて強面の俺に懐いてくれた子は、座敷童子だった。 #twnovel
ことりと仮面を付けてた彼が部屋へ入ってきた。
今日はハロウイン、彼からは予めこの扮装をすると言われている。
顔全体覆う仮面で表情は分からず、はめている手袋に付いている爪が
不気味さを感じさせる。
ゆっくり近付いてきた彼は私の顎を持ち上げ視線を合わせる
ようにしてきた。
仮面から覗く瞳の色はいつもの彼の瞳とは違う鮮やかなブルー。
微かに疑念が芽生える。くすくす笑いながら話す彼の声は作り声。
声音を変えて話す彼に疑念が膨らんでいく。
仮面の下は自分が思っている彼なのだろうか。
「12時までは仮面を外さないよ」そう言って彼は私の頬を爪で
軽くなぞった。
2月11日
なあ、言ってくれよ、君が言って欲しいのは、うんと甘い言葉、
それとも意地悪な言葉。
俺は声だけの存在だけど、君が俺に素直に甘えてくれるようになれば、
君がもっと俺の存在を感じてくれれば、そっちに行けるような気
がするんだ。
その時は,俺も君に甘えてしまうけどな。
雨上がりの水溜りにアメンボが一匹。
近くに行くとツゥーっと水面を滑るように寄って来た。
目を見ると「僕の仲間は何処、何処に行ったの」と訴えてくる。
「ごめんよ、君の仲間が何処に行ったか知らないんだ」と言うと、
アメンボは寂しそうに向こう側に滑っていってしまった。
2月12日
ごみの収集箱へ、ごみを捨てにやって来た近所のおばちゃん、
蓋を開け、ごみ袋を中に入れ、勢いよく蓋を閉る。
収集箱の前には一匹の猫。おばちゃんに対して、腹を上に向け、
転がり続け猛烈にアピール。だが全く気付いてもらえない。
虚しさを漂わせ立ち去る猫の背に、哀愁を感じた。
2月13日
世の中社長ばかりになった。
企業が人件費を過度に抑制した為、生活を維持するためには役員以上の
役職が求められるようになったからである。
誰もが会社を起こし、複数会社が連携し一つの仕事をする社会。
皮肉にもこのことが日本人の交渉能力を向上させ、
外交手腕が飛躍的に伸びた。
2月14日
幼い頃欲しかったのは愛。ふわふわして甘い綿菓子みたいなの。
みんなが持っていて羨ましかった。
あれから何十年、相変らず手に入れていない。
手に入れることが無理でも、自分が綿菓子になって食べてもらえれば、
この熱望は少しは冷めるのだろうか。未だ苦い飴のままだけど。
カーテンを開けたら窓を覗き込んでいたセキレイと目が合った。
視線を逸らした方が負ける。そんな緊張感が走る。
よく考えれば私が負けることなんてあり得ないのに、一人と一羽は
しばらくその場を微動だにできなかった。
「戦艦が宇宙を飛ぶなんてあり得ません」
「いや、何でもありなのだよ。想像力がこの艦を飛ばせているのだ」
想像力でって、辺りを見回してもカチコチな役人ばかり。
このクルーで飛ばし続けることができるのか。
それに攻撃力=想像力だとしたら。この航海の行く末に不安を感じる。
強い光を放つ恒星。だが私に興味を抱かせるのは、その周りを漂う
塵のような物質。ここで観察しなければ、二度と見つけられない
のではという想いが私を強く引き付ける。いつでも見つけること
ができるからと後回しの恒星とは、本当の出会いがないままに
終わるのかもしれない気がする。
2月10日
「お前が連れ出したんだろ。その子を返せ」
「誤解だって。勝手に付いてきたんだって」
「ね、お兄さんと一緒に旅館に帰ろうね」
「嫌、おじちゃんと一緒に行くの。このおじちゃんと一緒がいい」
女の子が俺の脚にしがみ付く。
初めて強面の俺に懐いてくれた子は、座敷童子だった。 #twnovel
ことりと仮面を付けてた彼が部屋へ入ってきた。
今日はハロウイン、彼からは予めこの扮装をすると言われている。
顔全体覆う仮面で表情は分からず、はめている手袋に付いている爪が
不気味さを感じさせる。
ゆっくり近付いてきた彼は私の顎を持ち上げ視線を合わせる
ようにしてきた。
仮面から覗く瞳の色はいつもの彼の瞳とは違う鮮やかなブルー。
微かに疑念が芽生える。くすくす笑いながら話す彼の声は作り声。
声音を変えて話す彼に疑念が膨らんでいく。
仮面の下は自分が思っている彼なのだろうか。
「12時までは仮面を外さないよ」そう言って彼は私の頬を爪で
軽くなぞった。
2月11日
なあ、言ってくれよ、君が言って欲しいのは、うんと甘い言葉、
それとも意地悪な言葉。
俺は声だけの存在だけど、君が俺に素直に甘えてくれるようになれば、
君がもっと俺の存在を感じてくれれば、そっちに行けるような気
がするんだ。
その時は,俺も君に甘えてしまうけどな。
雨上がりの水溜りにアメンボが一匹。
近くに行くとツゥーっと水面を滑るように寄って来た。
目を見ると「僕の仲間は何処、何処に行ったの」と訴えてくる。
「ごめんよ、君の仲間が何処に行ったか知らないんだ」と言うと、
アメンボは寂しそうに向こう側に滑っていってしまった。
2月12日
ごみの収集箱へ、ごみを捨てにやって来た近所のおばちゃん、
蓋を開け、ごみ袋を中に入れ、勢いよく蓋を閉る。
収集箱の前には一匹の猫。おばちゃんに対して、腹を上に向け、
転がり続け猛烈にアピール。だが全く気付いてもらえない。
虚しさを漂わせ立ち去る猫の背に、哀愁を感じた。
2月13日
世の中社長ばかりになった。
企業が人件費を過度に抑制した為、生活を維持するためには役員以上の
役職が求められるようになったからである。
誰もが会社を起こし、複数会社が連携し一つの仕事をする社会。
皮肉にもこのことが日本人の交渉能力を向上させ、
外交手腕が飛躍的に伸びた。
2月14日
幼い頃欲しかったのは愛。ふわふわして甘い綿菓子みたいなの。
みんなが持っていて羨ましかった。
あれから何十年、相変らず手に入れていない。
手に入れることが無理でも、自分が綿菓子になって食べてもらえれば、
この熱望は少しは冷めるのだろうか。未だ苦い飴のままだけど。