3月31日
かつて地球を支配した俺が、連戦連敗。
夏の奴、いつの間に俺の軍を叩き潰す程の力をつけたんだ。
夏の陣営に二酸化炭素の援軍が日を増すごとに多くなる。
ここを赤い星にはしたくはないと覚悟を決めた冬将軍は
最後の力で地下に氷を残した。いつかまた植物達が芽吹けるように。
粉々に砕けた夢の欠片を瓶に詰めて持っている。
悲しくなった時、取り出して撫でてみる。それは前に進む為の儀式。
欲しくて堪らなかったものに別れを告げたのは、
私自身だったと納得させる。そうして瓶の欠片は増えていく。
欠片で瓶が一杯になったなら、それで新しい夢を作り出す。
ぼっちの何が悪いんだ。ということで、ぼっちを極めることにした。
ぼっちに耐えられる精神力をつけた後、自給自足生活へ。
いつの間にか 最強のサバイバル術が身に付いていた。
今このサバイバル術を求めて人々が私の周りに集まる。
ぼっちだった頃が懐かしいほどだ。
4月1日
「エイプリルフールだって。どんな話で騙してみる」
「どんな話でって、小説の登場人物の俺達って、
俺達自身の存在が虚構だから。もうこれ以上騙せないって」
「じゃあリアルの世界に行けばいいんじゃない。
行くこと自体が騙しってことで」
「どうやって行くんだよ」
「そこが問題ね」7
「この豆を植えてはいけないよ。大変なことになるから」
おじさんはそう言うと、一粒の豆をテーブルの上に置き出て行った。
僕は知っている。この豆を植えれば天へと昇る豆の木になることを。
そして天には財宝が一杯あるんだ。
僕はおじさんの言い付けを破って豆を庭に植えた。
するとあれよあれよ言う間に豆の木は地面の下へ伸びて行った。
豆の木を伝って魔物達がやって来る。
豆の木を切り倒そうとしたが間に合わない。
僕は手にした得物で魔物と闘い続け、
やがて勇者と呼ばれるようになった。僕は知っている。
捲いた種は自分で刈り取らねばならないことを。2-2
エイプリルフール、それは唯一、嘘が嘘でなくなる日。
「彼女に告られる」「俺があいつの上司になる」
「世界一の歌い手になる」様々な妄想が叫ばれる。
叶えたい嘘が一度に叫ばれるため内容が分からない。
結局叫ばれた嘘は現実になることなく、
毎年エイプリルフールは終わってしまう。
「嘘って、4月1日以外についちゃいけないものだったのか。
知らなかった」
「いったい何をしたのよ」
「あんなこととか、こんなこととか」
「ええー、そ れって違う意味でダメじゃん」
「だからみんな笑っていたのか。目立てば嘘でも何でも有りが
この学校の校風だと思っていたよ」
猛烈な睡魔に襲われる。卵が産まれたに違いない。
早く獏を探してこないと。
孵ることができる卵はほんの僅かだけれど、
孵った後には沢山の夢が必要だ。卵に渡す夢を見るため私は眠る。
私の傍らに座る獏は、そんな私を見守り続ける。
悪夢を卵に渡さぬように。
4月2日
身体の調子がいつもと違う。身体に痛みがないのだ。
身体が痛くなかったことがなかったので、何だか変な感じだ。
痛くないってこんな感じなのか。確かに楽だ。
でも何だか物足りないような… 後で三倍痛いとかないだろうな。
あらぬことを考えて素直に喜べない。
「届いてますか」注射の針を私の背中に射しながら医者が訊く。
「身体中痛過ぎて、針が刺さっているのか、いないのか分かりません」
と私が答えると「うむ」と言ったまま黙った。
「あの、届いていないとどうなるんですか」と私が訊くと
「いや、効かないだけだから」もう治る気がしない。
「質問なのですが」
「何だ、新人」
「ここは悪の組織なのですよね」
「そうだ」
「この組織の目的は何ですか」
「世界征服だ」
「征服した後は何をするのですか」
「知らん」
「知らんって」
「総統からは何も聞いていないな」
ただ世界征服したいだけの組織って、悪の組織って言えるのだろうか。