音楽偏遊 -30ページ目

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「ロードムービー第10章 坂本麗衣レコ発ワンマン」@代官山・晴れたら空に豆まいて
出演:坂本麗衣(vo,gt,key)、伊平友樹(gt)、岩村乃菜(perc,key,flute,cho.)、阿部光一郎(ba)、畑中誇太朗(dr)、furani(key,cho.)
スペシャルゲスト 奥村愛子
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そう、こういうワンマンを見たかった!!さすが坂本麗衣。最初から最後まで内容充実、どこを切っても坂本麗衣らしさに満ちた、ロックで素敵なライブでした。至福!



予感は開場前からあった。地下2階の晴れ豆には、開場を待ち望むファンが続々と詰めかけ、店の前から続く階段に長い行列が。50人は超えて最後尾は地上まで伸び、その先の1階路上にさらに多くの客が今か今かと開場を待ち望んでいた。みんなのワクワク感が伝わってきて、テンションも上がるというもの。お客さんがすでに着火しやすくなってるから、アーティストが初っ端からアッパーに行けば、一気に盛り上がる事が多い。そして、その期待を裏切らないのが坂本麗衣だ。


番号順に案内が始まり、20番過ぎた辺りで自分がネット予約でB2番だったことに気付く。店への予約はチケットと同時入場とのこと。あわてて列を抜け入れてもらう。ステージに近い前方の席をキープし、早速、本日のspacialシーフードカレーを堪能。美味!

坂本麗衣は今年初めから、ゆるりワンマンシリーズをスタートした。こじんまりした会場で、くつろいだ雰囲気のなか、新曲を数曲発表し、どれがいいかお客さんの拍手で決めてもらうなど、実験的な試みも盛り込んだプライベート感満載のライブだ。

これに対し、「ロードムービー」シリーズは、今現在の坂本麗衣の最高到達点を、全身全霊で見せるマイルストーン的位置付けのワンマン。その軌跡がそのままアーティスト坂本麗衣の成長の歴史だ。それだけに、今夜への準備には力が入っていた。

レコ発にするため、直前までシングル(3曲入り)製作に追われてた。入場特典で、それとは別に2曲入りCDも用意した。当然、リハも繰り返したろう。なんせ今夜は、演奏面で新しい試みが多いステージになっており、これだけの完成度まで煮詰めるには時間とエネルギーを要しただろう。でも、きっと楽しい作業だったことだろう。演奏者自身がワクワクしている事が、今夜はステージの端々から伝わってきたからたまらない。


さて開演。場内が暗くなり、坂本麗衣バンドのメンバーが位置についた時点で「おやっ」とファンの声が。パーカッションのノナちゃんが、キーボードについたのだ。あらかじめ誇太郎君がドラム叩くと分かっていたが、ノナちゃんが叩くだろうコンガとか別にセットされていたのにだ。しかも、key.&chorusでfuraniが参加することも案内されてる。麗衣ちゃんは、ギターに。どんなステージになるのか、ワクワクしてくる。

1曲目は「空と海のように」。いきなり好きな曲で始まりテンションがぐんと上がるアップ

そこから、今年ゆるりで発表してきた曲を中心に、一気に畳み掛けていく。誇太郎のドラムと、イフィのエレギターがすごく利き、締まった演奏が格好いい!阿部さんのベースが要所を絞めて、タイトでグルーヴたっぷり。ノナちゃんのキーボード&コーラスも華やか。いい音に気持ちよさげに、麗衣ちゃんのボーカルが最初から力強く、伸びやか。いつにも増して力入ってる。

特に「Soul Singer」がいい。「ある午後の~」に通じるシンガーをモチーフに力強く歌ったナンバー。この曲、早く音源化して欲しいな。

途中で「前半はノナちゃんと私でキーボードやって、後半はfuraniちゃんに任せます」と種明かし。なんと「愛のうた」までの計6曲をノナちゃんがキーボード。ド派手なソロはさすがに無かったが、本職と遜色なし。ノナちゃんのマルチな才能に驚く。彼女がいるから、坂本麗衣も安心してJ-45を掻き鳴らし、歌えるというもの。

特に「愛のうた」は、弾むようにリズムにのって歌う彼女につられ、体も弾む。音譜世界は一つで笑ってよ ドゥビドゥビダン、ドゥビドゥビイエ、ドゥビドゥビダッダン音譜ヒョー、楽しい!

7曲目のバラードな「夜明け前のステージ」で、麗衣さんがキーボード、ノナちゃんがパーカッションへスライドして定位置へ。ギターもいいが、坂本麗衣はやはり体を斜に構え、叩き鳴らすような渾身のキーボード弾き語りが迫力がある。

8曲目に、新シングルに収録された「木枯らしのバラッド」。バラードでなくバラッドってとこが彼女のこだわり。季節感たっぷり、北風に震える女性の姿が浮かぶが、その女性は芯があって強い印象。スローな曲調で、一聴すると特徴的なやや舌足らずで甘い声にフェミニンさを感じるが、少し聞くと分かる。儚くないのだ(笑)そこが好きなんだけど。

前半最後は「I love you,Because ~」。オシャレでポップ。サビの高音部で鼻に抜けるキンとした声に、堪らなく惹かれてしまう。ノナちゃんのパーカッション&タンバリン&コーラスが素敵。


第1部
1.空と海のように
2.キラキラ
3.Soul Singer
4.ロードムービー
5.ギフト
6.愛のうた
7.夜明け前のステージ
8.木枯らしのバラッド
9.I love you,Because you are you

しばしの休憩を経て、興奮の第2部へ。

furaniちゃんのキーボードが炸裂、イフィとのソロ対決で、俄然テンションが上がるが、それは終盤の話。まず、魅了してくれたのが、ノナちゃんのフルート!「Sunday Morning」で軽やかなフルートの調べが加わり、穏やかな午後の気持よいひと時。ノナちゃん、さすがビックリマーク

しかし、ここからが凄かった。まずは奥村愛子と坂本麗衣のツインボーカル合戦だアップ

昨年?、二人は隔週で東海ラジオの音楽番組でサブパーソナリティを努めて以来の仲。メインパーソナリティは、なんとあの乙三(おっさん)!彼はトークも、ライブも異様に盛り上がるすごい楽しいキャラ。その番組は毎週新曲を発表し、最後には記念ライブで乙三・坂本麗衣・奥村愛子の3人ではっちゃけたという。

乙三は勿論濃いのだが、奥村愛子がまた格好よく存在感があるいい女性シンガー。今回は乙三抜き、二人で番組でかなり盛り上がったというソーセージ弁当など3曲を、一緒にハモったり掛け合ったり、ノリノリなロックを響かせた。

実は奥村愛子を聞くの初めてだったが、一発でファンになった。ハンドマイクで二人で歌う姿は、映像に残して永久保存したいほどゾクゾクした。なんつーか、格好いいのだ。おしゃれで美形な大人の2人が、ロックして、競り合って、見ているだけでハイになる。

さあ、そして終盤戦。再び彼女が愛するギター、J-45を抱え、まずは「風の向こうへ」。furaniのキーボード前奏から始まる切ない名曲。坂本麗衣の心からの叫びが聞こえてくるよう。すでに疲れきってるだろうが、魂を振り絞るような歌声にグイグイ引き込まれる。

そして、「Joy」から怒濤のクライマックス。

furaniちゃんがMCで、坂本麗衣さんのサポートに入ると、麗衣さんから「そこは狂ったように弾いて」って言われる、と明かしていたが、その「狂ったような」キーボードソロがここで炸裂。彼女がすごい鍵盤プレイをすれば、バトンを受け継いでイフィも「狂ったような」エレキギターソロで応戦。その激しさにイフィも曲間ごとに両手をだらーんと下げ、息を整え手を休めずにいられないほど。そんな演奏合戦を、誇太郎くんとノナちゃんがドラム&パーカッション、さらに阿部さんのベースが腹に響くビートで、演奏を盛りたてる。ステージが熱い!!

「J-45」では、麗衣さんのボーカルが圧倒的な存在感で輝く。うーん、この曲聴けただけでも、来た価値があったというもの。しかし、それでは終わらない。「Jumping to the freedom」で再び、furaniとイフィの「狂ったような」ソロ合戦も炸裂し、会場のテンションはマックスへ。

そして、最後はあの名曲「遠くから」で、心を熱くしてくれた。スバらしい充実感が溢れた。


2部
1.Sweet pain
2.Sunday morning
3.剣唄(奥村愛子ソロ)
4.タイムマシンにおねがい(with 奥村愛子)
5.ソーセージ弁当(with 奥村愛子)
6.風の向こうへ
7.JOY
8.J-45
9.Jumping to the freedom
10.遠くから

en.1)Baby,Don't cry
en.2)ナナイロミライ

最後は当然、おおきなアンコールの手拍子に迎えられ坂本麗衣が、ノナちゃんとfuraniの2人だけ伴って登場。「今日、レコ発と言っておきながら、そのタイトル曲を実はまだ歌ってないんだよねー。もうアンコールやれって言ってるようなものですよね」そういって、このかわいらしい曲「Baby,Don't cry」を女子だけで演奏。柔らかい空気感で満たしてくれた。

そして、本当に最後の最後は定番の「ナナイロミライ」。会場と一体となって大合唱。熱い夜は大団円を迎えた。全身全霊、汗をふりみだしすべての力を出し切った感じの麗衣さんの満足そうな顔は、本当に素敵だった。

むーん、熱いロックな夜だった。坂本麗衣を改めて惚れ直したな。全21曲、これだけ力が入ったライブを見てしまったら、他のワンマンが気が抜けたように思えてしまわないか心配だ。

とにかく麗衣さん、お疲れさま。感動をありがとう。
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「いい女のいいロック」@赤坂Graffiti
出演:Jiminy Cricket →斉藤麻里 →渋谷めぐみ
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今世紀で唯一「11」が3つ並ぶこの日、11=「いい」という語呂合わせと、ロックをかけてタイトル先行で決まったこの日の企画。主催の渋谷めぐみが声をかけたのは、小玉しのぶと斉藤麻里でした。

小玉しのぶのJiminyCricket とは、渋谷めぐみがパーソナリティを務めたFM世田谷の音楽番組「BIG-TIME plus-sum」の公開録音ライブに招いて以来の仲。斉藤麻里とは、実はこの日が意外なことに初対バン。シブメグのサポートを務める二人のギタリスト、高田慶二と三井真一通じて縁があった。

もう一組ぐらい、本格的な女性ロックバンドか女性ボーカルバンドが入ってれば、なお面白かった。LAZY guns BRISKYとか、ぐるぐるとか、Avaivartikaとかね。まあ、それでも、自分的には好きな3組が一同に集まったのでとても楽しかったですが。やはりロックイベントなので、半分以上はスタンディングで臨戦体制(笑)持ち味こそ違うけど、3組ともロックしていて体は終始うずうず。もっとみんなで踊れたらなお楽しかったな。


1番手は、若き才能溢れる女性ロッカー、小玉しのぶ擁するJiminy Cricketだ。

みな同級生でまだ二十歳そこそこ。同級生といっても音大とかのではなく、mixiでバンドメンバー募集して、たまたま集まった面子が同じ年だったというから面白い。それが、この短期間で結束力を高め、メキメキと腕を上げて、いいバンドに育ってきた。若いうちの成長スピードって、本当に早いとつくづく思わされる5人組だ。

若いだけあって、とても意欲的。今夜は、現時点のJiminyの代表曲といえる「キオク」と「存在価値」を敢えて封印した。別の曲で、どうロックなステージにできるか、彼らなりに課題を設け、チャレンジしていたのだ。新曲も次々と発表しているし、これからまさに上っていこうという勢いが輝いている。

そのステージはロックベントにふさわしく、ボーカルの小玉しのぶのパワーが炸裂。全身全霊で力を込めて歌っているからが、決して音痴でも絶叫でもなくメロディラインに心を揺さぶられるから、こっちも熱くなる。ステージを所狭しと動き回り、客席を煽る。まだまだ荒削りだが、音感も良いし、素晴らしい潜在能力を感じる。ロッカーとして、本当に華があるボーカリストだと思う。



1)パトラメロコリラー音譜
2)脳内エクスタシー
3)恋愛革命
4)エスカルゴ(new)
5)LIVU
6)青い空と少年
7)tone

ステージは、彼らの曲の中では一番明るく楽しいパトラメロコリラーで、一気に会場をアッパーな雰囲気に変え、激しい脳内エクスタシーで圧倒。勢いそのままに「恋愛革命」で、さらに盛り上げた。

しかし、決してイケイケではない。むしろ個人的にはバラードの「LIVU」などで見せる小玉しのぶの切なさ、脆さにヒリヒリと惹かれるのだ。今夜はやらなかったが、彼女のアコースティックギターソロから入る「キオク」の冒頭とか、ガツーンとやられる。今後、本当に楽しみなバンドだ。


2番手は斉藤麻里。今夜の企画はロック。会場を沸かすことにかけては、最近の大活躍が記憶に新しい彼女のこと(しかも拝郷メイコ、伊藤サチコらを向こうに回し、ここGraffitiで!)。それがロックするというのだから、楽しみ極まりない。

しかも今夜は、気心知れたギタリスト三井真一率いるフルバンドが彼女を強力にサポート。とれだけ盛り上げてくれるか楽しみもひとしおだった。

ところが意外に、静かなスタート。斉藤麻里曰く「激しいばかりがロックじゃない。バラードにこそ、私はロックを感じている」。うん、バラードこそとは言わないが、ロックは心であり、魂だと思う。入魂のバラードは、つまらないバンドサウンドより、ずっとロックを感じることはよくある。

1曲目は「星くず」。元々、この曲を収めたアルバム「園」でギターを弾いてたのが三井さん。ギター弾き語りの斉藤麻里と、同じJ-45を駆使して、コードと音色を分担したり、競い合うようにジャカジャカ鳴らしたり、勝手知ったるアレンジは意気ぴったり。



「瞬きシャッター」のかわいさ、「サイクル」の切なさも良かったが、やはり今夜は弾みたいところ。最後はやはり、みんな盛り上がろう、とお客さんを立たせてからの「メロディ」と「ダイブ」こそ今夜のクライマックス。客もノリノリで、繰り返すコール&レスポンスに声をあげ、汗も飛び散る熱いステージになった。

1)星くず
2)瞬きシャッター
3)サイクル
4)明日映画を見に行こう
5)Melody
6)ダイブ


トリは今夜の企画ライブを主催した渋谷めぐみだ。

大人のロックで定評ある彼女。主催として当然、小玉しのぶや斉藤麻里を上回るパフォーマンスを見せて欲しいところ。期待が膨らむ。

それにしても、この1年で彼女もぐんと飛躍したとつくづく思う。こうした企画ライブをGraffitiで開き、今夜のような出演者を招けるようになったのだから。先日のHalloweenイベントでも、二人目のジャイナとLady the Bitchを向こうに回し引けを取らなかった。最近の彼女の企画イベントが徐徐にスケールアップしていて、なんか嬉しい。

で、今夜のステージ。渋谷めぐみは見事にロックに決めてくれた。

お馴染みのギタリスト高田さんがのエレキ、西川くんのドラム、堀野さんのベースサポートを受け、冒頭からジャズっぽい代表曲「ユメオチ」をややテンポアップして、ビートを利かせたロックなアレンジで。これがまた踊れるグルーヴたっぷりで、テンションあがるアップ



そこからは「eternally」「magic」とアッパーな曲で弾みをつけていく。うーん、さすがや。Jiminyとも斉藤麻里とも違う、大人の色気漂う激しさに、見ている側も高揚してくる。今夜はよく声も出ていて、前の二組にまったく引けをとらず、完全に自分の空気でグラフィティを満たしていく。

一転して「trap」で鬱々としてダークな世界へ導いた後は、ロックナンバーでノンストップ。「隠し事」「Deep」「東京」とたたきつけて、会場をおおいに沸かせた。いいステージだった。ちょっと客が少なくて、会場全体が揺れるような感じにはならなかったのが残念。

彼女なら、満員の客で埋まったO-Westでも、おおいに沸かすことができると思うのだが。ただ会場を彼女だけで熱くするにはまだ力不足か。もっと挑発的なMCしたり、ステージをところ狭しと動き回り客席を煽ったりできるようになると、まだ一段と凄みが増すのだがなあ。

1)ユメオチ
2)eternally
3)magic
4)trap
5)隠し事
6)Deep
7)東京

最後のアンコールは3人の女性ボーカリストが勢揃い。今夜のテーマ「いい女」が、暗に「男」を意識した言葉であることは明白。女あっての男、男あっての女だ。そんな文脈からか、渋谷めぐみが選んだアンコール曲は久宝瑠理子の「男」。懐かしい。これが格好良かった!

渋谷めぐみは言うまでもないが、小玉しのぶの声がロックな曲にやはり合っていて、太くびしっと締まる。3人で入れ替わり立ち替わり、歌っていくにつれ、再び盛り上がり大拍手でフィニッシュ。楽しかった。

改めて思う。これだけ内容があるイベントなのに、惜しむらくは客があと20人入ればと(笑)3組がジャンル、または客層が違ったことで、集客面で相乗効果をだすに至らなかったのだろう。満員の客がガンガン盛り上がる中で、今夜のようなライブだったら、もっとずっと満足感高いイベントになったことだろう。

イベント主催の渋谷めぐみの課題だろうな。がんばれ
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「あたたかなノクターン」@北参道strobe cafe
出演:9×9 →杉恵ゆりかnoraILU GRACE →あやとり
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トップバッターは初めて見る男女ユニットの「9×9(くく)」。ノスタルジックで北欧風?のウインダムヒルのような音楽で、暖かいところで聞くと気持ちよく寝られそう。ギター辻岳人が素晴らしいテクで、ほんわかしたボーカル松本侑子をぐいぐい引っ張っている。

1)ブラジルのアーティストのカバー(曲名不明)
2)Water Bird
3)Englishman in New York
4)羽根
5)Lily

とにかくギターが目立ちまくり。ボーカルの彼女もかわいいし普通に歌える子なのだが、目がギターに行ってしまう。そういう点では、バランスが悪いようにも感じるが、ボーカルはギターのサポートという位置づけなら、それもありかもしれない。ループマシンなどのエフェクターも使いこなし、演奏は彼一人なのだが、広がりのあるいい音を作っていた。


2番手が、この日は早々に退出しなければいけないという杉恵ゆりか。昨日に引き続き、ベースの慎吾くんと2人でライブだ。

前は「キャッチーでポップな曲歌っている、ちっちゃくて可愛い歌手だけど……」と思ってた。あえて彼女のライブを見に行くことは無かった。でも、最近かなり気に入ってるんだよね。歌のサビにかけて、音階があがっていき、揺らいでいて、はかなげな裏声で歌うバラードは切なくて、かなり好きだなあ。

しかも、歌詞が頭にすっと入ってくる。今夜も「空中メトロ」の音譜ガタゴトオンと音をたてて走るメトロ音譜ってところで、キュンと来てしまう。いや、別に地下鉄オタクとかではありませんが(笑)

今夜はstrobe cafeなのでせっかくだから、とこの真っ白なライブハウスのシンボルのような白いエレピ?のRhodesで「あなたは私に嘘をつく」と「Cause I Love You」。ポンポンとやわらかい音が特徴のこの鍵盤の音で、優しく歌いあげていた。




また彼女のセンスを感じたのが、即興のバースデーソング。今夜が誕生日だというのに、ライブを見にきてくれた友達がいて、その喜びと祝意を心をこめてその場で曲にするという勇気。で、歌った曲がAメロから展開部分があって、サビへとぐぐっと盛り上がっていき感動的。時間かけて作ったのではないかというほどの完成度。すごし!音譜あなたの1年が幸せに包まれますように 心から願ってます音譜みたいな歌詞のサビが、キレイに音符にのっていて、素晴らしい作品だった。

1)冬のうた
2)空中メトロ
3)あなたは私に嘘をつく (on Rhodes)
4)Cause I Love You (on Rhodes)
5)即興バースデーソング for セーナちゃん
6)風になりたい


3番手はnora。おしゃれで可愛い。島歌のような強い声も魅力だが、ささやくようなウイスパーボイスもキャッチー。曲の中で劇的に使い分け、ドラマチックな歌を聞かせてくれる。さらに、アコギ弾き語り→ピアノ弾き語り→アコギ+ハープと次々楽器を持ち替えて、それを格好よく決める姿は魅力たっぷり。いいよお。



1)そばに on gt.
2)愛言葉 on pf.
3)ルート93 on gt.
4)ラブ中 on gt.+harp
5)星灯り on gt.

最後の曲前MCで、2007年に石垣島の音楽イベント「南の島の星まつり」に自分も出演したいとインディーズながら音源を送り出演が決まったのだが、台風で中止になったこと。その翌年に改めて出演させてもらったこと。縁ありその沖縄の地で2年半過ごし音楽活動を続けてきたことなどを語る。現地では泡盛のCMに出演したこともあるそう。

沖縄といえば楽園のイメージがまず浮かぶが、一方で戦場の記憶も残り、現在でも最も自殺率の高い島という悲しみがある。光があれば、影があるもの。その影の部分を星空に映じて曲を作ったと最後の「星灯り」。彼女も沢山の想いを抱えて歌っているのだと、今夜聞いてつくづく思った。素敵な歌いびとだ。


4番手が本日最も聞きたかった「ILU GRACE」。vocal&pfの愛留ちゃんと、パーカッションのKAZU君のユニット。さらにもはやレギュラーメンバーのba.も加わり3人で素敵な大人の音楽を作り出してくれました。



とにかく、愛留の声がとっても魅力的。ソウルフルで深くて強い。日本人というより黒人R&Bシンガーのような響き。話すと、とてもそんな声で歌うようには思えないボケボケ感たっぷりキャラなのにねー。わたし歌うと凄いんです――まさに、そんな感じ。

そのソウルボイスで歌うGlory やRhythmという曲がまた格好いいのだ。ちなみに先日、渋谷gee-geで歌ったときのGloryをKAZU君があげていたので、是非ご鑑賞を


1)The Glory
2)Why You've Changed
3)Rhythm
4)alive
5)two

あれ、セットリスト、前にgee-geでやった時と同じかも?それだけ鉄板ということかな。前の佐々木綾音の楽曲もまた是非やって欲しいなあ。前にgee-geでSUMMERはやったけど、他にもすごく魅力的な曲があるんだよね。いつか、ぜひお願いします。


トリは、3人組のジャズバンド「あやとり」。vocal&pfの黒沢綾を中心に、佐野俊介(ba)と工藤悠(drum)が織り成す音楽は、心地よい。とりわけ、ボーカルが美声すぎるくらい美声。そしてファルセットと地声の境目がほとんどなく、スムーズにきれいに下から上まで歌う歌唱力も見事。音楽もスムース、というかイージーリスニングなので、ほんと眠りに誘われそうだった。

逆にいえば、そこは課題かもね。「私たちは、ゆったりとしたアダルトな音楽をやってます」と紹介していたが、ゆったりだけどアダルトではない感じ。アダルトっていう言葉には、ちょっと危険な感じや嗜好性の高さを感じるが、音楽も歌い方も素直すぎる気がした。

黒沢さんが、もうちょっと悪女っぽくなると、すごくいいんだがなあ。性格を変えろってことじゃなく、歌い方。きれいに歌うだけでなく、切れ味や粘りや節回しの工夫も加えると、なお魅力的なアダルティーな感じになるのでは。勝手な好みの問題ですが(笑)

1)? (Joanna WangのLet's Start From Hereみたいな曲)
2)ドラマ
3)おたもい
4)鏡
5)サークルワン

なかなか、楽しいブッキング。今日つくづく思ったのは、声が独特で強い鍵盤弾き語りってタイプだということ。愛留しかり、ヒグチアイしかり。杉恵ゆりかの特徴ある声も、好きだなあ。声で強く個性を出していると、聞きたくなるようですね、わたし(笑)