2011/11/12 坂本麗衣 レコ発ワンマン@晴れ豆 | 音楽偏遊

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「ロードムービー第10章 坂本麗衣レコ発ワンマン」@代官山・晴れたら空に豆まいて
出演:坂本麗衣(vo,gt,key)、伊平友樹(gt)、岩村乃菜(perc,key,flute,cho.)、阿部光一郎(ba)、畑中誇太朗(dr)、furani(key,cho.)
スペシャルゲスト 奥村愛子
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そう、こういうワンマンを見たかった!!さすが坂本麗衣。最初から最後まで内容充実、どこを切っても坂本麗衣らしさに満ちた、ロックで素敵なライブでした。至福!



予感は開場前からあった。地下2階の晴れ豆には、開場を待ち望むファンが続々と詰めかけ、店の前から続く階段に長い行列が。50人は超えて最後尾は地上まで伸び、その先の1階路上にさらに多くの客が今か今かと開場を待ち望んでいた。みんなのワクワク感が伝わってきて、テンションも上がるというもの。お客さんがすでに着火しやすくなってるから、アーティストが初っ端からアッパーに行けば、一気に盛り上がる事が多い。そして、その期待を裏切らないのが坂本麗衣だ。


番号順に案内が始まり、20番過ぎた辺りで自分がネット予約でB2番だったことに気付く。店への予約はチケットと同時入場とのこと。あわてて列を抜け入れてもらう。ステージに近い前方の席をキープし、早速、本日のspacialシーフードカレーを堪能。美味!

坂本麗衣は今年初めから、ゆるりワンマンシリーズをスタートした。こじんまりした会場で、くつろいだ雰囲気のなか、新曲を数曲発表し、どれがいいかお客さんの拍手で決めてもらうなど、実験的な試みも盛り込んだプライベート感満載のライブだ。

これに対し、「ロードムービー」シリーズは、今現在の坂本麗衣の最高到達点を、全身全霊で見せるマイルストーン的位置付けのワンマン。その軌跡がそのままアーティスト坂本麗衣の成長の歴史だ。それだけに、今夜への準備には力が入っていた。

レコ発にするため、直前までシングル(3曲入り)製作に追われてた。入場特典で、それとは別に2曲入りCDも用意した。当然、リハも繰り返したろう。なんせ今夜は、演奏面で新しい試みが多いステージになっており、これだけの完成度まで煮詰めるには時間とエネルギーを要しただろう。でも、きっと楽しい作業だったことだろう。演奏者自身がワクワクしている事が、今夜はステージの端々から伝わってきたからたまらない。


さて開演。場内が暗くなり、坂本麗衣バンドのメンバーが位置についた時点で「おやっ」とファンの声が。パーカッションのノナちゃんが、キーボードについたのだ。あらかじめ誇太郎君がドラム叩くと分かっていたが、ノナちゃんが叩くだろうコンガとか別にセットされていたのにだ。しかも、key.&chorusでfuraniが参加することも案内されてる。麗衣ちゃんは、ギターに。どんなステージになるのか、ワクワクしてくる。

1曲目は「空と海のように」。いきなり好きな曲で始まりテンションがぐんと上がるアップ

そこから、今年ゆるりで発表してきた曲を中心に、一気に畳み掛けていく。誇太郎のドラムと、イフィのエレギターがすごく利き、締まった演奏が格好いい!阿部さんのベースが要所を絞めて、タイトでグルーヴたっぷり。ノナちゃんのキーボード&コーラスも華やか。いい音に気持ちよさげに、麗衣ちゃんのボーカルが最初から力強く、伸びやか。いつにも増して力入ってる。

特に「Soul Singer」がいい。「ある午後の~」に通じるシンガーをモチーフに力強く歌ったナンバー。この曲、早く音源化して欲しいな。

途中で「前半はノナちゃんと私でキーボードやって、後半はfuraniちゃんに任せます」と種明かし。なんと「愛のうた」までの計6曲をノナちゃんがキーボード。ド派手なソロはさすがに無かったが、本職と遜色なし。ノナちゃんのマルチな才能に驚く。彼女がいるから、坂本麗衣も安心してJ-45を掻き鳴らし、歌えるというもの。

特に「愛のうた」は、弾むようにリズムにのって歌う彼女につられ、体も弾む。音譜世界は一つで笑ってよ ドゥビドゥビダン、ドゥビドゥビイエ、ドゥビドゥビダッダン音譜ヒョー、楽しい!

7曲目のバラードな「夜明け前のステージ」で、麗衣さんがキーボード、ノナちゃんがパーカッションへスライドして定位置へ。ギターもいいが、坂本麗衣はやはり体を斜に構え、叩き鳴らすような渾身のキーボード弾き語りが迫力がある。

8曲目に、新シングルに収録された「木枯らしのバラッド」。バラードでなくバラッドってとこが彼女のこだわり。季節感たっぷり、北風に震える女性の姿が浮かぶが、その女性は芯があって強い印象。スローな曲調で、一聴すると特徴的なやや舌足らずで甘い声にフェミニンさを感じるが、少し聞くと分かる。儚くないのだ(笑)そこが好きなんだけど。

前半最後は「I love you,Because ~」。オシャレでポップ。サビの高音部で鼻に抜けるキンとした声に、堪らなく惹かれてしまう。ノナちゃんのパーカッション&タンバリン&コーラスが素敵。


第1部
1.空と海のように
2.キラキラ
3.Soul Singer
4.ロードムービー
5.ギフト
6.愛のうた
7.夜明け前のステージ
8.木枯らしのバラッド
9.I love you,Because you are you

しばしの休憩を経て、興奮の第2部へ。

furaniちゃんのキーボードが炸裂、イフィとのソロ対決で、俄然テンションが上がるが、それは終盤の話。まず、魅了してくれたのが、ノナちゃんのフルート!「Sunday Morning」で軽やかなフルートの調べが加わり、穏やかな午後の気持よいひと時。ノナちゃん、さすがビックリマーク

しかし、ここからが凄かった。まずは奥村愛子と坂本麗衣のツインボーカル合戦だアップ

昨年?、二人は隔週で東海ラジオの音楽番組でサブパーソナリティを努めて以来の仲。メインパーソナリティは、なんとあの乙三(おっさん)!彼はトークも、ライブも異様に盛り上がるすごい楽しいキャラ。その番組は毎週新曲を発表し、最後には記念ライブで乙三・坂本麗衣・奥村愛子の3人ではっちゃけたという。

乙三は勿論濃いのだが、奥村愛子がまた格好よく存在感があるいい女性シンガー。今回は乙三抜き、二人で番組でかなり盛り上がったというソーセージ弁当など3曲を、一緒にハモったり掛け合ったり、ノリノリなロックを響かせた。

実は奥村愛子を聞くの初めてだったが、一発でファンになった。ハンドマイクで二人で歌う姿は、映像に残して永久保存したいほどゾクゾクした。なんつーか、格好いいのだ。おしゃれで美形な大人の2人が、ロックして、競り合って、見ているだけでハイになる。

さあ、そして終盤戦。再び彼女が愛するギター、J-45を抱え、まずは「風の向こうへ」。furaniのキーボード前奏から始まる切ない名曲。坂本麗衣の心からの叫びが聞こえてくるよう。すでに疲れきってるだろうが、魂を振り絞るような歌声にグイグイ引き込まれる。

そして、「Joy」から怒濤のクライマックス。

furaniちゃんがMCで、坂本麗衣さんのサポートに入ると、麗衣さんから「そこは狂ったように弾いて」って言われる、と明かしていたが、その「狂ったような」キーボードソロがここで炸裂。彼女がすごい鍵盤プレイをすれば、バトンを受け継いでイフィも「狂ったような」エレキギターソロで応戦。その激しさにイフィも曲間ごとに両手をだらーんと下げ、息を整え手を休めずにいられないほど。そんな演奏合戦を、誇太郎くんとノナちゃんがドラム&パーカッション、さらに阿部さんのベースが腹に響くビートで、演奏を盛りたてる。ステージが熱い!!

「J-45」では、麗衣さんのボーカルが圧倒的な存在感で輝く。うーん、この曲聴けただけでも、来た価値があったというもの。しかし、それでは終わらない。「Jumping to the freedom」で再び、furaniとイフィの「狂ったような」ソロ合戦も炸裂し、会場のテンションはマックスへ。

そして、最後はあの名曲「遠くから」で、心を熱くしてくれた。スバらしい充実感が溢れた。


2部
1.Sweet pain
2.Sunday morning
3.剣唄(奥村愛子ソロ)
4.タイムマシンにおねがい(with 奥村愛子)
5.ソーセージ弁当(with 奥村愛子)
6.風の向こうへ
7.JOY
8.J-45
9.Jumping to the freedom
10.遠くから

en.1)Baby,Don't cry
en.2)ナナイロミライ

最後は当然、おおきなアンコールの手拍子に迎えられ坂本麗衣が、ノナちゃんとfuraniの2人だけ伴って登場。「今日、レコ発と言っておきながら、そのタイトル曲を実はまだ歌ってないんだよねー。もうアンコールやれって言ってるようなものですよね」そういって、このかわいらしい曲「Baby,Don't cry」を女子だけで演奏。柔らかい空気感で満たしてくれた。

そして、本当に最後の最後は定番の「ナナイロミライ」。会場と一体となって大合唱。熱い夜は大団円を迎えた。全身全霊、汗をふりみだしすべての力を出し切った感じの麗衣さんの満足そうな顔は、本当に素敵だった。

むーん、熱いロックな夜だった。坂本麗衣を改めて惚れ直したな。全21曲、これだけ力が入ったライブを見てしまったら、他のワンマンが気が抜けたように思えてしまわないか心配だ。

とにかく麗衣さん、お疲れさま。感動をありがとう。