2011/11/8 ILU GRACE、杉恵ゆりか、nora @strobe cafe | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「あたたかなノクターン」@北参道strobe cafe
出演:9×9 →杉恵ゆりかnoraILU GRACE →あやとり
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トップバッターは初めて見る男女ユニットの「9×9(くく)」。ノスタルジックで北欧風?のウインダムヒルのような音楽で、暖かいところで聞くと気持ちよく寝られそう。ギター辻岳人が素晴らしいテクで、ほんわかしたボーカル松本侑子をぐいぐい引っ張っている。

1)ブラジルのアーティストのカバー(曲名不明)
2)Water Bird
3)Englishman in New York
4)羽根
5)Lily

とにかくギターが目立ちまくり。ボーカルの彼女もかわいいし普通に歌える子なのだが、目がギターに行ってしまう。そういう点では、バランスが悪いようにも感じるが、ボーカルはギターのサポートという位置づけなら、それもありかもしれない。ループマシンなどのエフェクターも使いこなし、演奏は彼一人なのだが、広がりのあるいい音を作っていた。


2番手が、この日は早々に退出しなければいけないという杉恵ゆりか。昨日に引き続き、ベースの慎吾くんと2人でライブだ。

前は「キャッチーでポップな曲歌っている、ちっちゃくて可愛い歌手だけど……」と思ってた。あえて彼女のライブを見に行くことは無かった。でも、最近かなり気に入ってるんだよね。歌のサビにかけて、音階があがっていき、揺らいでいて、はかなげな裏声で歌うバラードは切なくて、かなり好きだなあ。

しかも、歌詞が頭にすっと入ってくる。今夜も「空中メトロ」の音譜ガタゴトオンと音をたてて走るメトロ音譜ってところで、キュンと来てしまう。いや、別に地下鉄オタクとかではありませんが(笑)

今夜はstrobe cafeなのでせっかくだから、とこの真っ白なライブハウスのシンボルのような白いエレピ?のRhodesで「あなたは私に嘘をつく」と「Cause I Love You」。ポンポンとやわらかい音が特徴のこの鍵盤の音で、優しく歌いあげていた。




また彼女のセンスを感じたのが、即興のバースデーソング。今夜が誕生日だというのに、ライブを見にきてくれた友達がいて、その喜びと祝意を心をこめてその場で曲にするという勇気。で、歌った曲がAメロから展開部分があって、サビへとぐぐっと盛り上がっていき感動的。時間かけて作ったのではないかというほどの完成度。すごし!音譜あなたの1年が幸せに包まれますように 心から願ってます音譜みたいな歌詞のサビが、キレイに音符にのっていて、素晴らしい作品だった。

1)冬のうた
2)空中メトロ
3)あなたは私に嘘をつく (on Rhodes)
4)Cause I Love You (on Rhodes)
5)即興バースデーソング for セーナちゃん
6)風になりたい


3番手はnora。おしゃれで可愛い。島歌のような強い声も魅力だが、ささやくようなウイスパーボイスもキャッチー。曲の中で劇的に使い分け、ドラマチックな歌を聞かせてくれる。さらに、アコギ弾き語り→ピアノ弾き語り→アコギ+ハープと次々楽器を持ち替えて、それを格好よく決める姿は魅力たっぷり。いいよお。



1)そばに on gt.
2)愛言葉 on pf.
3)ルート93 on gt.
4)ラブ中 on gt.+harp
5)星灯り on gt.

最後の曲前MCで、2007年に石垣島の音楽イベント「南の島の星まつり」に自分も出演したいとインディーズながら音源を送り出演が決まったのだが、台風で中止になったこと。その翌年に改めて出演させてもらったこと。縁ありその沖縄の地で2年半過ごし音楽活動を続けてきたことなどを語る。現地では泡盛のCMに出演したこともあるそう。

沖縄といえば楽園のイメージがまず浮かぶが、一方で戦場の記憶も残り、現在でも最も自殺率の高い島という悲しみがある。光があれば、影があるもの。その影の部分を星空に映じて曲を作ったと最後の「星灯り」。彼女も沢山の想いを抱えて歌っているのだと、今夜聞いてつくづく思った。素敵な歌いびとだ。


4番手が本日最も聞きたかった「ILU GRACE」。vocal&pfの愛留ちゃんと、パーカッションのKAZU君のユニット。さらにもはやレギュラーメンバーのba.も加わり3人で素敵な大人の音楽を作り出してくれました。



とにかく、愛留の声がとっても魅力的。ソウルフルで深くて強い。日本人というより黒人R&Bシンガーのような響き。話すと、とてもそんな声で歌うようには思えないボケボケ感たっぷりキャラなのにねー。わたし歌うと凄いんです――まさに、そんな感じ。

そのソウルボイスで歌うGlory やRhythmという曲がまた格好いいのだ。ちなみに先日、渋谷gee-geで歌ったときのGloryをKAZU君があげていたので、是非ご鑑賞を


1)The Glory
2)Why You've Changed
3)Rhythm
4)alive
5)two

あれ、セットリスト、前にgee-geでやった時と同じかも?それだけ鉄板ということかな。前の佐々木綾音の楽曲もまた是非やって欲しいなあ。前にgee-geでSUMMERはやったけど、他にもすごく魅力的な曲があるんだよね。いつか、ぜひお願いします。


トリは、3人組のジャズバンド「あやとり」。vocal&pfの黒沢綾を中心に、佐野俊介(ba)と工藤悠(drum)が織り成す音楽は、心地よい。とりわけ、ボーカルが美声すぎるくらい美声。そしてファルセットと地声の境目がほとんどなく、スムーズにきれいに下から上まで歌う歌唱力も見事。音楽もスムース、というかイージーリスニングなので、ほんと眠りに誘われそうだった。

逆にいえば、そこは課題かもね。「私たちは、ゆったりとしたアダルトな音楽をやってます」と紹介していたが、ゆったりだけどアダルトではない感じ。アダルトっていう言葉には、ちょっと危険な感じや嗜好性の高さを感じるが、音楽も歌い方も素直すぎる気がした。

黒沢さんが、もうちょっと悪女っぽくなると、すごくいいんだがなあ。性格を変えろってことじゃなく、歌い方。きれいに歌うだけでなく、切れ味や粘りや節回しの工夫も加えると、なお魅力的なアダルティーな感じになるのでは。勝手な好みの問題ですが(笑)

1)? (Joanna WangのLet's Start From Hereみたいな曲)
2)ドラマ
3)おたもい
4)鏡
5)サークルワン

なかなか、楽しいブッキング。今日つくづく思ったのは、声が独特で強い鍵盤弾き語りってタイプだということ。愛留しかり、ヒグチアイしかり。杉恵ゆりかの特徴ある声も、好きだなあ。声で強く個性を出していると、聞きたくなるようですね、わたし(笑)