2011/11/7 斉藤麻里、杉恵ゆりか、高田梢枝@gee-ge | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「Grateful Girls vol.42」@渋谷gee-ge
出演:chay杉恵ゆりか木下直子斉藤利菜アルコリカ高田梢枝斉藤麻里
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鉄平さん企画Grateful Girlsもはや42回目とはすごいねえ。本日もいいブッキングなので、渋谷gee-geへ素直に向かう。

1組目はchay。アコギ弾き語り。

初めて見たが、ハーフのモデルのような可愛い顔立ち。声も、初々しさと強さを併せ持っていて、ロックテイストの曲が似合いそう。実際、2曲目の「But」ではアコギにエフェクターかまして、音を歪ませ、ギンギンのロック。なかなか格好良い。

音譜全力でぶつかっていけ、砕け散っても、But don't feel like it音譜なんてハードな歌詞もいい。

そのルックス、アッパーな曲が似合うところなど、「getaway」や「Goin' My Way」など歌ってたころのマリアに似てる。3年ぐらい前のマリアはこんな感じだったかもな、と想像して楽しい。ただ、マリアの方が鋭く、プロ意識が高い。マリアがここに至るまでに抱えた悲喜こもごもの想いの強さと経験、そこからくる覚悟が違うのは一目瞭然。彼女の体から、そうした諸々がオーラとなって発散されている。僕が好きな彼女の曲は「終われない夏」などのバラードなんだけどね。

逆にchayの場合、ここまで素直に育ってきたのかなあ、と思わせる優しさやワガママさを感じて面白い。アッパーな曲で高い音階を歌うときに声がキンキン響き過ぎるきらいがあるのが気になるが。

1)Together
2)But
3)初めての気持ち
4)?
5)Again

でも、間違いなくこれから伸びそうな素材。ステージングとか磨けば、会場全体を沸かせるようなライブもできるようになるだろう。経験を積めば、オーラも出てくるかも。きっとボイトレの先生とかから「もっと感情表現を丁寧に」とか指摘されていて、上手く歌わなければという意識が強すぎるんだろうなあ。曲を自分のものにして、さらにその先で自らの個性をガツンとぶつけられるようになると、心を捉えられるようになるかも。

すでに、1曲目の「Together」は洋服の青山のCMソングになるなど、Top Coatという佐々木希や杏などが所属する事務所のプッシュを受けているというし、これからの活躍は楽しみだね。ちなみに、その青山のCMは佐々木希が出てるやつ。なるほど、だね。


2組目は、身長144cmと小さくても、最近とみに存在感と大人っぽさを増している杉恵ゆりか

今夜は最初と最後の曲を1人でピアノ弾き語り、2-4はベースにイケメン西塚真吾君を加えて演奏。最近、女の子からイケメンってちやほやされて天狗になってる、と釘を刺されていたが、二人は二十歳の同級生。という。その2人で、しっとりした曲中心の大人の杉恵バージョン。最近、これが沁みる。

最近のしっとりバージョンライブでは、衣装が昭和のお嬢様風ってのも結構似合っていていい感じ。NHKの朝の連ドラに出てきそうだよ。

とにかく曲がいい。歌詞がいい。一つひとつの言葉がすっと頭の中に響いてくるのだ。ああ、こんな切なさ、昔感じたなあと、しみじみ思う。特に「空中メトロ」の音譜ガタゴトオと音をたてて~音譜ってところや、「冬のうた」の音譜冬の風を身にまとい、君のもとへ、君のもとへ音譜というくだりのメロディラインと、それを歌う彼女の儚くも甘く強い声にぐっとくる。素晴らしいソングライターなのだ。

1)いつでも帰っておいで
2)空中メトロ
3)冬のうた
4)Cause I Love You
5)ユメに、キミに

アルバム音源に関しては、ポップな「幸せであるように」以来リリースが途絶えており、今日のセットリストの中では5)ぐらいしか収用されてない。newアルバムが切望されるところだ。

それに関しては、来年初めのレコ発目指して準備中とのこと。それまでは、これを聞いてねとこの日、DEMO音源を用意してきた。「花びらのラブレター」と「ユメに、キミに」の2曲入りで、かつてレコーディングしたことがあるもの。

どちらもいい曲だが、「空中メトロ」や「あなたは私に嘘をつく」など、早く欲しいな。彼女の曲はライブでなくても、聴きたいと思わせる力がある。


次の斉藤利菜の前に、来店していた木下直子が、1曲だけの飛び入りアクト。「生きとし生けるもの」を熱唱した。11月9日のワンマン@gee-geの告知のためだ。

それにしても、彼女はさすが。たった1曲だが、歌い出した途端にその世界観に引き込まれる。スケールの大きさに、歌詞の深さに、そして慈愛に満ちた安定感ある声に、心がじわっと温かくなり涙腺がゆるむ。ワンマン、仕事あって行けないんだよなあ。本当に残念だ。

ここで、ちょっと所用のため、斉藤利菜アルコリカを見られず。紺屋は、この2組も楽しみにしてたのに、残念。聞けず申し訳ない、利菜さん、戸城佳南江ちゃん、ムラタ君。

5組目の高田梢枝は最初から聞けた。感動的!

前に一度、ちょっとだけ聞いたことがあったが、その時は注目してなかったので、実質的には今夜初めて彼女の歌と向き合った。そして、その素朴でしみじみとした歌声と楽曲にちょっとはまった。

鉄平さんが、彼女はメジャーだったと語っていたが、調べてみると2004年8月に「渋滞ぬけみちなし」でソニーミュージックからデビューしてた。そしてセカンドシングルが、今夜1曲目に歌った「秘密基地」。アニメのテーマソングに選ばれたためか、youtube見るとすごい数の「歌ってみた」やカバー映像が上がっている。なるほど。今は一人でライブを続けているとのこと。

1)秘密基地
2)非常階段
3)5年3組
4)グッピー
5)星の降るまち

でも、個人的には「非常階段」と「5年3組」に結構感動したな。特に「非常階段」は、アルバムを聞くと、すごくしっかりした音を作りこんであって劇的過ぎるくらいにドラムやギターが響いているが、今夜はギター一本の弾き語り。素朴にトツトツと彼女が歌う声から、込められて強い想いがびしびし伝わってきた。

音譜裏切られ傷ついて その先は闇で~誰にも負けたくなかった 一番になりたかったんだ それでも私はこの顔をこの体を好きになれずに ふざけるな って咆えていた音譜 こういう歌詞を、こういう風に歌えるアーティストって好きなのだなあ。この曲はこう続く音譜みんなに認めて欲しいから みんなを認めてしまうんだ~あきらめちゃいけない 誰かに負けてもしまっても 1番になれなくたって それでも私はちっぽけなこの私を好きになりたい ふざけるなって生きていく音譜(「非常階段」から)

歌詞が無茶苦茶いいんだよね。もっとずっと若いころに聞いていたら、一人部屋にこもって高田梢枝で泣いてたんじゃないかな。青春の苛立ちや無力感を、ストレートな歌詞で本当に上手く表現している。また機会があったら、ぜひ聞きたいアーティストと一人出会えたなあ。


さあ、そしてオオトリは最近またまたパワーアップして絶好調な斉藤麻里だ。

どんなアーティストでも波はあるし、新しいアルバム製作に合わせて大量に新曲を作り、そうした曲を演奏しはじめるとライブの雰囲気がガラッと変わることも多い。斉藤麻里にもそうした波はあるのだろうが、なんか最近の彼女はいい感じだ。先日の赤坂graffitiのライブでも、先輩たちをさしおいて着席のお客さんを総立ちにさせてしまったとか、ちょっとしたライブでもコール&レスポンスで全員に大声で歌わせたりとか。ライブハウスの空気を完全に自分のものにしてしまう勢いがある。それは、今夜も例外ではなかったよ。

まず最初は軽いジャブ「夕焼けセンチメンタル」で、もうお客さんの心は弾み始める。メリハリの利いたギターの演奏と、勢いのある彼女の歌が、ぐいぐいと引っ張っていく。聞いていて、本当に楽しいんだよね。

「魔法のバンドエイド」の優しさで、ぐいっと心をとらえ、久しぶりのバラード「うそつき」でしんみりさせ、そこからは一気にテンションを上げて、会場は大盛り上がり。「Melody」の間奏では、定番の学園天国ばりの音譜ヘイヘイヘイヘーイヘイ音譜の掛け合いで客席を煽り、同じ曲の最後には今度は「ラララララ」と会場中を歌わせる。

そして最後はアッパーに「ハレルヤ」で、内容かなり充実だった今夜のライブをしっかり締めくくった。トリに不足なし。彼女のステージは本当に、お客さんと一体となって突き進むから楽しい。

1)夕焼けセンチメンタル
2)魔法のバンドエイド
3)うそつき
4)Melody
5)ハレルヤ

ああ、楽しい夜だった。最近のベストブッキングと話しているお客さんもいたが、それも納得。興奮の一夜でした。アルコリカ聞けてれば、なお良かったのだが、それは今度のお楽しみに。