音楽偏遊 -23ページ目

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

今夜のライブ、かなり楽しみにしていた。渋谷めぐみファンとして彼女のステージはいつでも期待しているが、それだけではなく、ツーマンのお相手が「せきぐちゆき」だからだ。

せきぐちゆきのライブは見たことが無かったが、その名前はずっと前から聞いていた。昨年末のレコード大賞では、なんと優秀アルバム賞を授賞。いま話題のアーティストだ。数曲、どこかでかかっているのを聞いたことがあったが、どんなステージを見せてくれるのかワクワクしていた。

出番は先に渋谷めぐみで、後からせきぐちゆきだったが、せきぐちゆきの事を先に書く。

この日はキーボードの弾き語り。一人だけのステージだ。真紅のドレスと、長い黒髪、強い目力が印象的な整ったルックス、落ち着いた大人の女性風で、存在感たっぷり。いいねー、大人の女は大好きだw

そして、歌いだした彼女の第一印象は「五輪真弓みたいだな」だった。昭和の歌謡曲のテイストがたっぷり。しかも、この「隠れ家」の歌い方も五輪真弓のよう。なるほど、こういう歌手だったのかーと納得。

さらに聞き進めていくと、五輪真弓だけでなく、高田瑞恵や岡村孝子、日吉ミミ、テレサテンなどなど、曲ごとに昭和を彩った大歌手たちの影が見える。それを、せきぐちゆきという一つの個性が我が物として歌いこなしていく。面白いねー。しかも、曲ごとの完成度は高いし、歌唱力もあるし。

彼女のようなSSWが、レコ大のアルバム賞をなぜ取れたのだろうと疑問だったが、納得するものがあった。きっと審査委員たちに、彼女のマルチな昭和歌謡曲ぶり、そのテイストが受けたのだろう。数多くリリースされるアルバムの中で、現代においてこれは異色であり異能だ。裏にどんな駆け引きがあったか、それは与り知らないが、面白いところを突いていると思う。

1)隠れ家
2)地獄花
3)めぐり逢い交差点
4)メンズの味はお好みで
5)ひなめぐり
6)未来物語
7)桜通り十文字
8)歩み
en. 卒業

アラフォーおじさん世代としては、結構ツボにくる音楽だ。せきぐちゆきさんも明るく、ノリのよいトークはラジオ風。昔のオールナイトニッポンのような雰囲気。栃木なまり交じりの言葉も庶民的で良いのでは。ほんとうに、個性的なアーティストだ。


さて、順番が逆になってしまったが、今夜の渋谷めぐみのライブもなかなか良かった!

今夜の客席はほとんどがせきぐちゆきさんのお客さん。渋谷めぐみファンは5人ほどしか見かけず。彼女も相当不安だった様子。特に昨年末からユメオチをお客さんに一緒に踊ってもらうことを定番にしているのだが、自分のファンが少ない中で、浮いてしまわないか、心配だったようだ。

ところがそれは杞憂に。彼女のステージが始まると、あまりにもせきぐちゆきとは違う音楽に最初は戸惑っていたお客さんも、徐々に彼女の世界に入っていく。3曲目の「秘密」からアップテンポな曲を並べて、ユメオチへノリを作っていこう、という作戦(?)は狙い通り。秘密ではまばらだった手拍子が、東京ではかなり増え、ユメオチの時にはみな大きく手を打ち鳴らし、さらに振り付けまでやってくれた。

【セットリスト】
1)dejavu
2)trap
3)秘密
4)東京
5)ユメオチ
6)会いたい

この時点までには、最初、興味なさげにしていた何人かのせきぐちゆきファンも、ステージに注目している様子がありあり。横から彼らの表情を見ていて、ちょっと嬉しくなった。渋谷めぐみも、こうして見ず知らずのお客さんをステージングでここまで乗せられうようになったのだ。感動。

お客さんの意識のベクトルがステージの自分に集まってくるのって、きっと感じるのだろう。彼女も最初こそ緊張感が見えたが、じょじょにリラックスしていくのが手にとるように分かる。最後の「会いたい」では、バラードを情感たっぷりに歌い、お客さんを酔わせていた。

別の日の映像だけど、「会いたい」はこんな曲


最初に歌ったのが新曲「dejavu」で、この曲は渋谷めぐみのイントロとして打ってつけの内容。面白いのだが、今夜聞いて思ったのは、1曲目に歌うときはもう少し前奏に工夫がいるかなという点。前奏からポンポンと歌に入ってしまうと、知らない人は戸惑う。もっと厚みがあって、この後の展開を予感させてワクワクするような、イントロのインストがあっても良いように思う。例えば、少しスタンダードなジャズのフレーズを入れて、そこから変化していって曲につなげるとか。初めてのお客さんの「つかみ」には工夫の余地ありかな。

でも間違いなく、この1年で渋谷めぐみは進化しつつあると思う。

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「ムラタトモヒロと○人の女たち」@代官山ノマド
出演:郁彩 →ヒグチアイ →菅田紗江 →スモポ新澤美佳 →オガワマユ →吉村かおり
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ムラタトモヒロ、さすが!まさに奇才なっ・・・なんと! その才能を遺憾なく見せつけられた夜だったな~、この6股野郎が(笑)

残念なことに全部は見れなかった。二十数年ぶりに絶対外せない講義が母校であったからね。ヒグチアイからチケットを購入し、郁彩もすごく楽しみにしていたが、前半3組には間に合わなかった。うーん、残念ショック!

それでも、後半3組見ただけで今夜のライブの素晴らしさは十分伝わってきた。このイベントにかけたムラタトモヒロの労力の大きさもね。称賛すべき内容だった。

今夜、出演した「6人の女たち」は、いずれ劣らぬ高い潜在力を持つ有望女性アーティストばかり。これだけの顔ぶれが集まってくれた、というだけでムラタに敬意を抱く。

さらに凄いのは、それぞれをイメージして、この日のために6曲の新曲を書き下ろしたことだ。それが駄作や粗製乱造なら何をかいわんやだが、どの曲も聞かせる。無論、ムラタカラーはバッチリ出てるが、彼自身が歌うより、曲を贈られたアーティストの方にピタッとくる。彼が一人ひとりを思い浮かべ、この子にはこれを歌って欲しいという意図が伝わってくるのだ。

好きな女性にオリジナルの曲を贈る男心、分かるなー♪自分に才能があれば絶対やってる。それを、6人もの魅力的女性に、一夜で大盤振るいするってんだから、この男エロすぎ(笑)

歌姫たちは、全てムラタトモヒロのギターで、それぞれ3曲を歌った書き下ろし曲と、ムラタの持ち歌のカバー、そして自分の歌のムラタアレンジ版。つまり、彼は3×6曲のアレンジをして、それぞれのアーティストのために譜面を作って渡し、それぞれと時間を合わせてリハもこなしたはず。大変な手間だよね。

好きな女のためなら、何でもやるだろうが、それは報われるだろうという期待が高いから。同時に6人に公平に献身するなんて、俺らには無理だなあ。ムラタエロパワーの大きさに、惚れちゃうぜ。

さて、僕が見れたのは、4番目の新澤美佳(スモークポーク)から。

ムラタが1日に6人とデートするという設定。美佳ちゃんとは、景色の良い横浜でのんびりするとか。早速、さっきまで下北沢にいたはずだろう、と客席から突っ込まれる。このお客さんとの一体感が楽しい。みんな、ムラタが好きなんだな。

美佳ちゃん、前半戦に引き続き(らしい)放置プレー。でも6人の中で一番古くからの旧知の二人。ムラタが酩酊状態で初めてスモークポークを聞いたとき、あまりに上手くて一気に酔いが覚めた、と振れば、美佳ちゃんも今夜の出演者の中では私が一番ムラタの音楽を評価してる、と応じる。ひゅー、熱いね。

しかし、そな言葉に偽りなし。美佳ちゃんはスモポの曲歌うより、せっかくだからと3曲ともムラタの曲に。1曲目は、なんとアルコリカだ。これって実際、浮気だよな(笑)戸城佳南江さま、浮気男がここにいるよ~w

しかし、美佳ちゃんバージョンもなかなかいいね♪真っ赤なドレスが艶かしい彼女が歌うと、また違ったイイ女の魅力が。ふわふわしてるようでいて、締めるとこしめて、出すとこ出して。音楽を深いところで理解してないと、こうは歌えない。ムラタ音楽のエロさを見事に捉えてる!

それが益々発揮されたのが、不完全変態。この曲を歌いこなす女の子ってなかなかいないと思う。それを、こなすどころか、まるで自分の持ち歌のようにいなして、決める。あぁ、いい女だ!坪くんとは別にこのユニットでも十分金取れるぜ。

1)ピエロ(アルコリカ)
2)不完全変態(ムラタ)
3)午前3時のあなたの夢を(書き下ろし)


5番手はオガワマユ。ムラタと彼女という取り合わせは、ちょっと違和感あるね。彼女が人見知りな感じなので、打ち解けてる雰囲気ではない。しかし今夜はピアノを弾かない
オガワマユというレアなステージを見れたのは貴重。

特に気に入ったのは、オリジナルの[「リンネル」。シーツに包まれた男と女、その心の葛藤と安らぎ。不完全変態のような変態さスレスレのところで抑えつつも、ぎりぎりまで突っ込む。ムラタでありながら、オガワマユの高潔さも守っている言葉遊びのマジック。こういう詩、ほんと上手いよなー。

1)Holly River(オガワ)
2)リンネル(書き下ろし)
3)たいくつでウソに泣いている?(ムラタ)


さあ、そしてトリは貫禄の吉村かおりぃ。

今夜の出番順などうやって決めたんだよ?とかおりぃから詰め寄られ、「逆年功序列で」と白状するムラタ。このぉー、言ってかおりぃが笑いを取る。彼を攻めて軽妙な笑いをとれる女性アーティストって、やはり、かおりぃか戸城佳南江しかいないだろうなあ。相性なのか。

誰がどのムラタの曲をカバーするか、6人が取り合ったとか。年寄りの姉さまとしては皆がカバーしたそうな曲を若者に譲ったそうで、選んだのは「虫」。彼女が歌い始めて、心の中で「おぉー」と叫んでしまった。あのおぞましい曲を選ぶなんて(笑)首筋に虫が這い上がってきたりするんだから。

しかし、吉村かおりにかかれば、幻想のように消化されてしまう。もともと、吉村かおりの楽曲が幻想的イメージに彩られており、違和感がないんだよね。そういうの歌わせると、誰よりも上手いかも。逆にきれいにまとまってしまって、物足りないよ(笑)

そして、今夜のために彼が書き下ろした曲で僕が聞けた3曲のうち、一番気に入ったのがこの「ピアノ」だ。黒と白がめまぐるしく入れ替わる男と女の隠微さを、隠喩しながらピアノの心を描くなんて。それでいながら、きれいなバラードに仕上がっている。どうしたら、こんな曲を作れるのだろう。尊敬するわ、本当に。

何より、この曲をかおりぃのために書いた彼の気持ちが伝わってくる。今夜歌った「きみのあした」をはじめ、「海月」や「チョコレート」まで、吉村かおりの楽曲は彼女ならではの才気で尖っている。それが、彼女の魅力なことは間違いない。でも一方で、女の子らしい繊細さややわらかさも彼女の本分なのだ。ちょっと強がったり、笑いとばしたりした、そういう面をうやむやにしているだけなのだ。

「ピアノ」は、そんな彼女が自分の曲ではけっして出してこない女性らしい部分を、やさしく歌える曲に仕上がっている。この曲を歌っている彼女はとても魅力的で、彼女の一面を上手く引き出していた。今回、ムラタが6人の女性シンガー一人ひとりを思い描きながら、曲を書き下ろしたというのが、よく分かった瞬間だった。

1)虫 (ムラタ)
2)きみのあした(吉村)
3)ピアノ(書き下ろし)

今夜ムラタがくれた曲を、それぞれのシンガーは自分のライブでも歌っていくのだろう。きっと歌った本人が、その曲を気に入っているだろうから。そうして彼女たちに歌ってもらえれば6股だろうが男冥利につきるというものだ。

ちなみに今夜、僕は聞けなかった前半の3人に提供した曲名は
郁彩/シグナル
ヒグチアイ/Mr.groove
菅田紗江/ライン
だったそうです。いずれそれぞれのライブで聞いてみたいものです。もしくは今夜のライブをそのままコンピレーションしてくれれば、絶対買うのだが。

最後はムラタトモヒロのオンステージ。今夜、カバーしていなかった曲の中から彼らしいステージを見せてくれた。曲名はひかえてなかったので覚えてないが、充実したライブだった。

改めて最後に、ムラタ さすが!
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「鉄ロックフェスティバルvol.80」@渋谷gee-ge
出演:oaグミ →oa加藤はるか →関取花 →Rabuka →保刈あかね →ヒグチアイ
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7th floorから独立するように、gee-geが誕生して1年半。ブッキングの鉄平さんもgee-geに移り、この新しいライブハウスのスタートと同時に心機一転立ち上げたのが、女性インディーズミュージシャンを中心にしたブッキングイベント「鉄ロック」だった。

これまでも色々な節目で記念祭を仕掛けてきたが、今回も80回目ということで、選りすぐりの実力派アーティストを揃えてきた。個人的にも大好きなヒグチアイと保刈あかね、それに関取花と、いずれ劣らず素晴らしい声と迫力の持ち主たち。これは見ずにはいられません。

実はこの日、裏で見田村千晴や河合杏林、kayocoらが競演する下北沢Gardenや、いいくぼさおりや辻香織が出る晴れ豆など、見たいライブが各地であったが致し方ない。


2人目のオープニングアクト、仙台在住のギター弾き語り、加藤はるかの冒頭から聞く。

1)太陽
2)君を好きになって?
3)Stay With Me
4)Freedom
5)感情のゴミ箱

聞けなかったが、1人目のオープニングアクトのグミ=めかるが少ししか歌わなかったらしく、加藤はるかが2曲余計に歌えることに。計5曲、メインアクトと変わらない。ただ今夜のメインの4人とは、力量の差が歴然。oaで良かったと思う。逆にこれから目指すべきレベルを目の当たりにできて、彼女も学ぶことが多かっただろう。本人も「勉強になった」と話していた。

前に上京した際も、彼女がgee-geで歌っていたのを覚えてる。素直でまっすぐ。ややもすると平板になりがちだが、よく伸びる良い声を持っている。歌唱力やステージングなどこれからだと思うが、これから伸びてくるのではないかな。楽しみ。

さあ、ここからが本日の興奮のステージだった。

1番手は関取花。いやー、分かっちゃいるけど、いつもながら彼女が歌い出した瞬間にはゾクッとする。空気を切り裂くぴーんと張り詰めた素晴らしい声なのだ。

1)汽車のうた
2)寿限無
3)1216
4)石段のワルツ
5)めんどくさいのうた

最初と最後以外の3曲は初めて聞く曲。1216は亡くなった大切な人への想いを昔書いた曲という。一方、2)4)は新曲。特に寿限無は面白いねー。彼女の好きな「寿限無寿限無~」というあの落語を題材にした曲で、うまーくまとまっていて聞き入ってしまうのだが、歌詞に「やぶら小路の藪柑子」とか出てくるから笑ってしまう。いやー、上手いねえ。

「石段のワルツ」は彼女にしては珍しい短調で、しかもワルツ。本人も短調の曲が作れたことが嬉しいと感激していたが、決して暗いわけでなく、ジャンジャンジャンと刻むギターにのせて、迫力あるボーカルが聴き応えあった。


2番手はRabuka。今夜はボーカルゆめんちゃんと、グランドピアノにしゅうた君の二人編成。本当は3人編成のグループなんだけどね。

そのゆめんちゃんがまた、本当に楽しげに表情豊かに歌うのだ。そして彼らの音楽も、軽やかにリズミカルにふわふわと空を飛んでいるように心地よい。つられてこっちも楽しくなってくる。表情豊かなアーティストって、すごい好きなんだよなあ。

1)たびのとり
2)チャーミー
3)ひのせき?
4)アルト
5)その先に続く海
6)twice

特に気に入ったのがチャーミー。幻想的で、ノリノリで、二人が紡ぐその空気に包まれるだけで、なんかハッピーになる。大前提として、歌が上手いんだよね。上手くないと、聞いていて楽しくないから。また聞きたい、そう思うナイスグループです。


さあ、そして今夜、一番聞きたかった保刈あかねの登場だ。いや、ヒグチアイファンとしては無論、ヒグチを聞きにきてるのだけど、ホカリがまたいいんです!これが。

あえて座高の低い椅子に腰掛け、膝を立てるような姿勢で真っ正面を見つめる。そして、ぐっと息を吸い込み、ためて、そこから息とともに吐き出された声はなんて力強く、飲み込まれるような深さを持っていたことか。

gee-ge店内の空気が切り裂かれていく。一瞬で虜になってしまう。そして、切れ味の鋭いギターにのせて、世界をぐいぐい広げていく。歌詞に説得力があるのだ。

1)つないだ手の先に
2)いつでも君と
3)迷子の犬
4)嘘つきと言った相手は自分だった
5)朝焼けセンチメンタル

定番の「いつでも君と」や「朝焼けセンチメンタル」「迷子の犬」は、安心して引き込まれる。でも今夜、個人的にすごく気に入ったのは「嘘つきと~」。切なく、ブルージーに歌い上げる彼女の姿の格好いいことったら。その歌声は小さく、強く、優しく、強く、ドラマチックで息もつけない。素晴らしい!


さあ、そしてトリはヒグチアイ。今年のヒグチアイ聞き初めだ。

髪の毛がさらさら艶やかで、きれいに内巻き。なんか最近、ヒグチアイ、きれいじゃないかい?何かいいことあったかな。そんな邪推はどうでもいいのだが、昨秋ごろから彼女の恋愛の曲の説得力が増している気がする。表現力が増しているんだよなあ。

今夜もそんな恋歌で攻めてくるかと思いきや、攻撃的な選曲をもってきたね。古い曲も歌うと言っていたのは、どうやら「証」のことか。昨年末にもどこかで歌ってなかったかなあ。個人的には、もうちょっと古くて、最近歌っていない曲たちのどれかを聞きたかったのだが。「大人」とか。歌わないだろうな、あの曲は(笑)

ただ最初の「証」という力業の曲を、今夜はどこか軽やかに歌っていく。いや、十分に迫力あるのだが、関取花や保刈あかねというパワフルな歌い手の後だけに、軽やかに聞こえるから不思議。それでも、「黒い影」のど迫力とかは他の追随を許さない。彼女のピアノがまた圧倒的な力を持っていて、聞く者の思考力を奪い去り、黒い奔流に飲み込んでいく。

最後の「ココロジェリーフィッシュ」では、やはり軽やかなピアノの調べに連れられて、いつのまにか深く深く海のなかに沈潜してしまう。そして、息つく間もなく、大きな意志に同調してしまうのだ。すごい。

1)証
2)夏が来るちょっと前に
3)本物と正直
4)黒い影
5)ココロジェリーフィッシュ

ふと思った。これからヒグチアイはどこに向かっていくのだろう。まあ、たぶん、歌って踊れるピアノ弾き語りではないだろうけど(笑)

今夜は最後まで、本当に充実のライブだった。さすが鉄平さん!今年もすてきなブッキング、よろしくお願いします。