2012/1/21 ムラタトモヒロと6人の女たち@代官山ノマド | 音楽偏遊

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「ムラタトモヒロと○人の女たち」@代官山ノマド
出演:郁彩 →ヒグチアイ →菅田紗江 →スモポ新澤美佳 →オガワマユ →吉村かおり
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ムラタトモヒロ、さすが!まさに奇才なっ・・・なんと! その才能を遺憾なく見せつけられた夜だったな~、この6股野郎が(笑)

残念なことに全部は見れなかった。二十数年ぶりに絶対外せない講義が母校であったからね。ヒグチアイからチケットを購入し、郁彩もすごく楽しみにしていたが、前半3組には間に合わなかった。うーん、残念ショック!

それでも、後半3組見ただけで今夜のライブの素晴らしさは十分伝わってきた。このイベントにかけたムラタトモヒロの労力の大きさもね。称賛すべき内容だった。

今夜、出演した「6人の女たち」は、いずれ劣らぬ高い潜在力を持つ有望女性アーティストばかり。これだけの顔ぶれが集まってくれた、というだけでムラタに敬意を抱く。

さらに凄いのは、それぞれをイメージして、この日のために6曲の新曲を書き下ろしたことだ。それが駄作や粗製乱造なら何をかいわんやだが、どの曲も聞かせる。無論、ムラタカラーはバッチリ出てるが、彼自身が歌うより、曲を贈られたアーティストの方にピタッとくる。彼が一人ひとりを思い浮かべ、この子にはこれを歌って欲しいという意図が伝わってくるのだ。

好きな女性にオリジナルの曲を贈る男心、分かるなー♪自分に才能があれば絶対やってる。それを、6人もの魅力的女性に、一夜で大盤振るいするってんだから、この男エロすぎ(笑)

歌姫たちは、全てムラタトモヒロのギターで、それぞれ3曲を歌った書き下ろし曲と、ムラタの持ち歌のカバー、そして自分の歌のムラタアレンジ版。つまり、彼は3×6曲のアレンジをして、それぞれのアーティストのために譜面を作って渡し、それぞれと時間を合わせてリハもこなしたはず。大変な手間だよね。

好きな女のためなら、何でもやるだろうが、それは報われるだろうという期待が高いから。同時に6人に公平に献身するなんて、俺らには無理だなあ。ムラタエロパワーの大きさに、惚れちゃうぜ。

さて、僕が見れたのは、4番目の新澤美佳(スモークポーク)から。

ムラタが1日に6人とデートするという設定。美佳ちゃんとは、景色の良い横浜でのんびりするとか。早速、さっきまで下北沢にいたはずだろう、と客席から突っ込まれる。このお客さんとの一体感が楽しい。みんな、ムラタが好きなんだな。

美佳ちゃん、前半戦に引き続き(らしい)放置プレー。でも6人の中で一番古くからの旧知の二人。ムラタが酩酊状態で初めてスモークポークを聞いたとき、あまりに上手くて一気に酔いが覚めた、と振れば、美佳ちゃんも今夜の出演者の中では私が一番ムラタの音楽を評価してる、と応じる。ひゅー、熱いね。

しかし、そな言葉に偽りなし。美佳ちゃんはスモポの曲歌うより、せっかくだからと3曲ともムラタの曲に。1曲目は、なんとアルコリカだ。これって実際、浮気だよな(笑)戸城佳南江さま、浮気男がここにいるよ~w

しかし、美佳ちゃんバージョンもなかなかいいね♪真っ赤なドレスが艶かしい彼女が歌うと、また違ったイイ女の魅力が。ふわふわしてるようでいて、締めるとこしめて、出すとこ出して。音楽を深いところで理解してないと、こうは歌えない。ムラタ音楽のエロさを見事に捉えてる!

それが益々発揮されたのが、不完全変態。この曲を歌いこなす女の子ってなかなかいないと思う。それを、こなすどころか、まるで自分の持ち歌のようにいなして、決める。あぁ、いい女だ!坪くんとは別にこのユニットでも十分金取れるぜ。

1)ピエロ(アルコリカ)
2)不完全変態(ムラタ)
3)午前3時のあなたの夢を(書き下ろし)


5番手はオガワマユ。ムラタと彼女という取り合わせは、ちょっと違和感あるね。彼女が人見知りな感じなので、打ち解けてる雰囲気ではない。しかし今夜はピアノを弾かない
オガワマユというレアなステージを見れたのは貴重。

特に気に入ったのは、オリジナルの[「リンネル」。シーツに包まれた男と女、その心の葛藤と安らぎ。不完全変態のような変態さスレスレのところで抑えつつも、ぎりぎりまで突っ込む。ムラタでありながら、オガワマユの高潔さも守っている言葉遊びのマジック。こういう詩、ほんと上手いよなー。

1)Holly River(オガワ)
2)リンネル(書き下ろし)
3)たいくつでウソに泣いている?(ムラタ)


さあ、そしてトリは貫禄の吉村かおりぃ。

今夜の出番順などうやって決めたんだよ?とかおりぃから詰め寄られ、「逆年功序列で」と白状するムラタ。このぉー、言ってかおりぃが笑いを取る。彼を攻めて軽妙な笑いをとれる女性アーティストって、やはり、かおりぃか戸城佳南江しかいないだろうなあ。相性なのか。

誰がどのムラタの曲をカバーするか、6人が取り合ったとか。年寄りの姉さまとしては皆がカバーしたそうな曲を若者に譲ったそうで、選んだのは「虫」。彼女が歌い始めて、心の中で「おぉー」と叫んでしまった。あのおぞましい曲を選ぶなんて(笑)首筋に虫が這い上がってきたりするんだから。

しかし、吉村かおりにかかれば、幻想のように消化されてしまう。もともと、吉村かおりの楽曲が幻想的イメージに彩られており、違和感がないんだよね。そういうの歌わせると、誰よりも上手いかも。逆にきれいにまとまってしまって、物足りないよ(笑)

そして、今夜のために彼が書き下ろした曲で僕が聞けた3曲のうち、一番気に入ったのがこの「ピアノ」だ。黒と白がめまぐるしく入れ替わる男と女の隠微さを、隠喩しながらピアノの心を描くなんて。それでいながら、きれいなバラードに仕上がっている。どうしたら、こんな曲を作れるのだろう。尊敬するわ、本当に。

何より、この曲をかおりぃのために書いた彼の気持ちが伝わってくる。今夜歌った「きみのあした」をはじめ、「海月」や「チョコレート」まで、吉村かおりの楽曲は彼女ならではの才気で尖っている。それが、彼女の魅力なことは間違いない。でも一方で、女の子らしい繊細さややわらかさも彼女の本分なのだ。ちょっと強がったり、笑いとばしたりした、そういう面をうやむやにしているだけなのだ。

「ピアノ」は、そんな彼女が自分の曲ではけっして出してこない女性らしい部分を、やさしく歌える曲に仕上がっている。この曲を歌っている彼女はとても魅力的で、彼女の一面を上手く引き出していた。今回、ムラタが6人の女性シンガー一人ひとりを思い描きながら、曲を書き下ろしたというのが、よく分かった瞬間だった。

1)虫 (ムラタ)
2)きみのあした(吉村)
3)ピアノ(書き下ろし)

今夜ムラタがくれた曲を、それぞれのシンガーは自分のライブでも歌っていくのだろう。きっと歌った本人が、その曲を気に入っているだろうから。そうして彼女たちに歌ってもらえれば6股だろうが男冥利につきるというものだ。

ちなみに今夜、僕は聞けなかった前半の3人に提供した曲名は
郁彩/シグナル
ヒグチアイ/Mr.groove
菅田紗江/ライン
だったそうです。いずれそれぞれのライブで聞いてみたいものです。もしくは今夜のライブをそのままコンピレーションしてくれれば、絶対買うのだが。

最後はムラタトモヒロのオンステージ。今夜、カバーしていなかった曲の中から彼らしいステージを見せてくれた。曲名はひかえてなかったので覚えてないが、充実したライブだった。

改めて最後に、ムラタ さすが!