凍
- 沢木 耕太郎
- 凍
「なぜ山に登るのか?そこに山があるからだ」
という、そっけない問答の答えを見つけた気がした。
登山家・山野井夫妻の登山事故を
てってーてきに、読んでるほうも凍傷になりそうなくらいリアルに
書いたノンフィクション。
こんな人たちが、こんな世界があるなんて知らなかった。
地図とか写真とかあるともっとイメージわいたのに。
と思ったら、山野井氏による日記山野井通信 に地図があった。
でもよく分からん。
あと凍傷の手術ってすさまじく痛そう…。
子供のころ、かつお節削り器で親指の先を削ったことがあり、
すごく痛かった。
指の先は神経が集まっているから特に痛いと、その時聞いた。
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その歌声は天にあふれる
- ジャミラ ガヴィン, Jamila Gavin, 野の 水生
- その歌声は天にあふれる
18世紀のイギリス。
この頃、子供への虐待・子捨ては日常茶飯事。望まぬ子を授かった人は、
仲買人・オーティスにありったけのお金をにぎらせて、
ちょっとはましな孤児院に連れて行くことをお願いする。
けれど約束するだけで、オーティスは預かった子供を奴隷として売ったり
赤ん坊なら道中で見殺しにしたりしている。
そんなオーティスの知恵遅れの息子ミーシャクが見初めた良家の子女。
その少女が幼なじみとの間に子供を作っちゃって…。それから8年後…。
面白い設定なのに、なぜだか読みづらくて仕方ありませんでした。
子供が子供を作っちゃいかん!と思った方は人気blogランキングへをクリック!
平成マシンガンズ
- 三並 夏
- 平成マシンガンズ
発表当時著者が15歳だったので話題になった本。読点も句点もなくつながっていく文章は目新しいものではないけれど女子中学生の混沌とした思考を表現するのにはぴったりの手法。
確かに頭の中はこんな風にとりとめもなく言葉が動いている感じだもんね。
自分の気持ちをストーリー仕立てにするために、無理やり人物設定(無関心な父、いじわるな愛人、イマドキなクラスメイト、謎な言動の母)を作りあげて小説にしたような、よくできた作文みたいだった。
おそらく編集者がつけたんだろうけど「平成マシンガンズ」というタイトルはかっこよくて好き。
中学生にしては(高校生にしては、10代にしては)上手という理由で賞をあげるのはやめてほしい、と思った人は 人気blogランキングをクリック!
脱出記
- スラヴォミール ラウイッツ, Slavomir Rawicz, 海津 正彦
- 脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち
去年、「本の雑誌」で椎名誠がやたらほめていた。
シベリアの強制収容所から脱出した7人(プラス1人)が
極寒のシベリアやゴビ砂漠(!)を徒歩で越え、インドを目指していく。
満州脱出本を一時期よく読んでいたが、
それらに比べると悲壮感が少なく、厳しくつらい旅の描写はあるのだけど、
時に楽しげにさえ感じる。
ナチスの強制収容所内で「同じ空間にレディがいると空想」して、
人間性を失わずに過ごしていた囚人たちがいるという話を思い出しました。
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包帯クラブ
- 天童 荒太
- 包帯クラブ The Bandage Club
心を傷つけられた場所に包帯を巻いてあげることで、
痛みを理解してあげようとする高校生たちの活動のお話
中高生向きの内容のためか、天童荒太の“痛い”感が抑え目で、
明るい未来を思わせるエピソードが挿入されているので
安心して楽しく読めた。
若い子達が「何かせずにはいられない!」と思った時に
背中を押してあげられるような本になりますように。
YASHA 夜叉
- 吉田 秋生
- YASHA〔文庫版〕 5
文庫版全6巻、読み終わりました。
遺伝子操作で特殊能力を身につけた双子が
善と悪に分かれて戦うハードボイルド(?)。
“悪”が3つぐらいに分かれて、複雑にからみあうので
「今、どことどこが手を組んでるんだっけ?」
「この人はどのグループ?」と考えることもしばしば。
後半、家族愛&謎解きに比重が変わってくると俄然おもしろくなった。
「BANANAFISH」を食わず嫌いしていたんだけど、
読みたくなりました。
それにしても、吉田秋生は児童虐待を必ずエピソードに入れるなあ。
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ひかりのメリーゴーラウンド
- 田口 ランディ
- ひかりのメリーゴーラウンド
中高生向きとはいえ、田口ランディがこんなに優しい小説を書けるとは思わなかった。
人のオーラを感じることのできる、エッチに興味も出てきた、
不思議で多感な少女の中学生活最後の夏休み。
初恋の男の子が不治の病にかかって…って
よくあるつまらない設定だけど、「泣かせよう」とするのではなく
「考えさせよう」としていて、メッセージ性がとても高い。
本好きな中高生女子に勧めたい。
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話し方のマナーとコツ
- 杉山 美奈子, 伊藤 美樹
- 話し方のマナーとコツ―暮らしの絵本
イラストや書き文字がかわいいし、
マンガっぽくて読みやすい。
コミュニケーションが苦手な人なら、
必ず何かしらポイントをつかむことができると思う。
心の中では
「自分ばっか話してんじゃねーよ」とか
「ばっかじゃないの!」と思っていても、
こうしとけば物事がスムーズに進むはず、ということ。
リンさんの小さな子
フィリップ クローデル, Philippe Claudel, 高橋 啓
生まれたばかりの孫娘と二人、戦火の国を離れ、
言葉もわからない国へ難民としてやってきたリンさん。
孫娘を守ることばかりを考える毎日の中で、大切な友達ができるのですが…。
ページ全体から、行間から、ヒタヒタとした悲しさと美しさを感じる本。
この感じ方は「博士の愛した数式」以来でした。
「こんにちわ」を名前と思い込んでしまうほど言葉の通じない二人が
お互いの悲しみを理解し、プレゼントを贈りあうほどの間に。
このプレゼントのシーンや、「リンさんと小さな子」の関係が分かった時、
そして最後の2行に涙がぼろぼろぼろっと出ました。
シンプルで悲しくて美しくて、二度、三度と読みたくなる。
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シャングリ・ラ
- 池上 永一
- シャングリ・ラ
ハードカバー592ページ2段組。
ボリュームがありすぎて、読みきるのにかなり時間がかかった。
東京都心の気温を下げるために、地上は森林化。
人民は空にも届きそうな積層都市アトラスへ移住。
しかしアトラスへ移住できるのはほんの一部。
地上の反政府ゲリラとの戦い、アトラス計画の本当の事実…などなど
ものすごいスケールの話が、ものすごく速い展開で進んでいく。
面白いような気もするんだけど、炭素経済の話などがよく理解できず、
またアニメっぽいキャラクターにもあまり感情移入できなかった。
でも美邦のラスト近くのエピソードはとても好きだ。
好きな人は、すごく好きな世界観だと思う。
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