一回表明星から二点を先制した。
あの明星からまさかの二点先制。
湧き上がるスタンドの歓声が試合前に圧倒されていた俺をかき消した。
いけるかも・・・
安易にそう思ったその裏、二点取られあっけなく同点に追い着かれた。
そう簡単に勝たしてくれるわけが無い。
相手は明星である事を再認識させられた。
一回に二点ずつ取り合ってそのまま試合はこう着状態となった。
あの明星と俺たちの高校が互角に戦っている。
いや、内容を見れば互角以上だった。
『俺たちは強い』
試合が進行するに連れ、選手達の試合前の自信は確信に変わっていった。
カキーン!!
八回表、金属バットの快音が鳴り響いた。
今沢の放った打球はレフトの頭上を越える二点タイムリーツーベースだった。
四対二。
終盤八回、ついに貴重な二点を勝ち越したのである。
八回、九回の明星の攻撃を凌ぎ四対二で試合は終了した。
あの明星に俺たちが勝ったのである。