明星高校。

地元では名門中の名門である。

甲子園の常連校でプロ野球選手も多く輩出している。

練習試合は地元の高校とは対戦しないで有名であった。

それは本大会となった時相手校に分析されない為と噂で聞いた事があった。

それほど徹底されていた。

それほど甲子園出場にプライドを持っていた。

甲子園行くなら明星。

プロ野球選手になるなら明星。

野球少年は誰もがそう思っていた。

俺も小泉ももちろんその一人だった。

中一、中二、中三・・・

時が経つにつれ、自分の実力の限界がわかってくる。

それはいずれある答えを導きだす。

『明星へ行っても通用しない』

小泉みたいにストレートに言う奴もいる。

俺みたいに「なんとなく」という奴もいる。

「明星倒して甲子園に行きたいから」という奴もいる。

「ここの監督の指導が評判だから」という奴もいる。

みんなあらゆる理由にすり替えて、この高校を選んだのだ。

みんなわかっていた。

それを心の隅に隠し込んでいた。

『明星へ行っても通用しない』事は。