基板でカード状のテンプレートを作るの続編です。
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金属加工用テンプレートをステンレスのレーザカットで作成したらコストが高く、基板で同じものを作成してもらったら単価が抑えられて広く配布する事ができたのが前回です。
基板では機械加工用のテンプレートとして使うには確かに機械的強度の面で不安が残ります・・・それならば「基板でしかできないテンプレート」が作れるはずだと思い至りました。
基板でしか成しえない事を考えた時、最初に絶縁性が浮かびました。次に耐熱性です。絶縁性と耐熱性が要求される物・・・Neutrik XLRコネクタのハンダ付けテンプレートを思いつきました。
スケッチを描き @magicarchtec さんに送り、基板を作成していただきました。とりあえず試作をしてみよう、との段階です。
加工寸法
仕上がりイメージ
パースイメージ。手書きで「実際に使用したイメージ」も提出しています
試作品!!
ケーブルのストリップゲージ(実寸)
正面・・・ではなくこちらが背面。ノイトリックのXLRの3本柱である、音響・映像・照明を象徴する意匠設計
Our main objective is to be " one step ahead "はノイトリックの起業時のコンセプト。この文字部分はレジストを避けて表現している
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頭の中で使い方を考えて、勢いで設計しました。Adobe Illustratorデータ→基板のシルク印刷への変換などは全てお任せしています。今回、IllustratorのデータからDXF書き出ししたデータがそのまま基板用の加工データとしては使えない事が分かりました。これは円の描写がIllustratorはベジェ曲線で行われている為、CAD標準のスプライン曲線にうまく変換できない為です。
※その昔、After Effesctsでもパスの動作はベジェ曲線の為、円の軌跡を描こうとすると厳密な円ではない問題に悩んでいるフォロワさんがいましたね。
こういったミニマルなプロダクトを趣味でやっておくと、その後の人生に役に立つことがあります。
※別に役に立てようとやっているわけではありません。ただ好きなだけです。
Neutrik XLRコネクタのハンダ付けテンプレートはボールペンを差し込んで保持し使用する
ピン側は基板に直接差し込んで使用する。奥まで差し込む必要はなく、途中で止まる位置でOK。想像像以上の完成度
ピン側の参考使用写真。実際にこのように使えるのか?は正直微妙な判定だが雰囲気は抜群に良い
ソケット側の参考使用写真
ソケット側の拡大写真。ペンとの干渉が懸念されるが、カード面から距離があるため短く差し込むことで回避できる想定
ノイトリックのXLRコネクタのソケットはこの形状であれば途中で止まる構造をしている。この仕組みを応用した
Twitterで発表したところ、かなりの反応をもらえ驚きました。ここで、このNeutrik XLRコネクタのハンダ付けテンプレートのコンセプトを書いておきます。
- 絶縁性と耐熱性を備えた基板でしか成しえないもの
- 名刺サイズで収まるもの
- ノイトリック XLRコネクタの半田付けをやったことが無い人向けに、やってみようかなと思わせるもの
- ノイトリックの3本柱である、音響・映像・照明を象徴するもの
以上です。音響映像設備施工業に関わる半田付け熟練者がこのようなジグを使用しない事はこちらも分かっています。しかし、熟練者にもある程度使っていただけるかもしれない良いバランスの設計になったかと思っています。
熟練者(施工業)はペンでの保持に拘る必要はない
XLR3ピン、音響モード
XLR4ピン、映像モード。※映像機器はXLR 4ピンで電源供給を行う製品がある
XLR5ピン、照明モード
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ケーブルのΦを測るスケール穴をつけている。これを通せないケーブルはXLRのブーツをBXX-14に変える必要がある
集合写真
結果的に良く出来たので、どこかの会社にノベルティ配布で採用してもらいたいですね・・・。とりあえずは自分はInter BEE 2023のエンカウント配布用に製作を進めようと思います・・・思ったのですがTwitter他での反響が大きく、委託を考えています。少々お待ちください。
以下のサイトで販売を開始しました。
2024/6 追記
ノイトリック日本法人が運営する公式オンラインショップで取り扱ってもらう事になりました。
販売までの経緯や売り切れに関しての話は以下。