DMX203-2PのストリップとNC5FXX-B & BXX14の取り付け | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

DMX照明制御ケーブルのカナレ電気 DMX203-2Pのストリップと、DMX用コネクタのノイトリック NC5FXX-B、ケーブル径(φ7.9mm)が熱収縮チューブの嵩増しによりφ~8mmまでの通常ブーツでは締め切れないので、 φ8~10mm用のBXX14ラージブーツを組み合わせた一連の作業の記事です。
いつもどおりの切り分けですとケーブルストリップと端末加工は分けるのですが、こちらはDMXケーブルのためひとつの記事にまとめます。
今回は難易度が高い、全ピン熱収縮チューブ取り付け加工を行います。
 

 

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CANARE DMX203-2PとL-4E6Sの比較。
比べ物にならないくらいDMX203-2Pが太いです。

 

 

そもそも、DMXって?と言うことで軽く調べました。
調べると、最初に出てくる規格名称が DMX512(DMX512A)に準拠。なんとこれ、TIA/EIA-485(RS-485)に基づく通信プロトコルとのこと。正式名称ではもはやないのですが、RS-232C、RS-422、RS-485というと筆者のような音響映像設備業では欠かすことの出来ない大事な制御プロトコルです。その中でも、最上位のRS-485と言うことです。映像分野ですと、監視カメラのPTZ(パン・チルト・ズーム)制御に利用されます。
このTIA/EIA-485(RS-485)ですが、AWG 24(0.2sq)のツイストペアケーブルをベースにし、公称で約1.2km、最大で50Mbpsの通信が可能とのこと。接続はデイジーチェーンが可能。線路の特性インピーダンスが120Ω、よって回路終端も120Ωの様です。

 

参考リンク:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
TIA/EIA-485(RS-485)のインターフェイス回路
http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja179/jaja179.pdf

 

この仕様を元にした照明制御がDMX512(A)ということです。※DMX512では245、250、255kbpsで運用されているようです。
ちなみにRS-485というと設備ではUTP Cat.5e(LAN)ケーブルなんかで配線されることも多いですが、特性インピーダンス100Ωのツイストペア線の4対であるので仕様上は問題ないのですね。と言うことは、DMXもSTP Cat.5eなら全く問題ないですね。(DMX203-2Pがシールド線なのでSTPなら良いだろうと判断)

 

カナレ電気のDMXケーブルは110Ω仕様ですが、こちらAES/EBUでなじみが深いですね。

 

Twitter上で、@kaz141421356さんより以下のDMX512のLANケーブル運用の情報をいただきました。色々とありがとうございます。

 

PLASA Technical Standards Program (TSP) Published Documents
http://tsp.plasa.org/tsp/documents/published_docs.php
American National Standard E1.11 2008 (R2013) Entertainment Technology USITT DMX512-A
の項「7.3 IEC 60603-7 8-position modular connectors」
表「Table 4 - Connection Schedule for DMX512 Equipment Using IEC 60603-7 8-PositionModular Connectors」
でIEC 60603-7(8P8C、通称RJ45コネクタ)でのDMX512伝送のピンアサインが公開されています。

ケーブルストリップ作業

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シースの周りにカッタを入れて、そこから直交T字にカッタを入れて、T字が交わるところをニッパで掴み、シースを剥ぎ取ります。
熱収縮チューブをキャノンのピンにも取り付けるので、半田付けの際の熱を考慮し、先端から20mmの位置でストリップします。

 

 

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上記の方法を行う際の刃入れ深さの参考写真です。こんなのは慣れれば誰でも出来ます。

 

 

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シースを剥ぎ取ったら、編組を若干下げ、ドレン線を引き出します。
勢いで作業してしまうとこのドレン線を見失いますので注意して下さい。

 

 

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ドレン線をうまく残し、編組を写真のようにひっくり返します。

 

 

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次にアルミラップシールドの根元に少し切り込みを入れ、外します。
特性インピーダンス保持用の乳白色の棒(PEロッド)も切り落とします。

 

 

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編組を縦にニッパで切り、開いたあとにケーブルの周りに沿って全て切り落とします。この際、編組のカスが残らないように注意して下さい。

 

 

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ケーブルストリップはこれで完了。
DMX203-2Pは0.35mmでAWG換算で22です。太いですね。

コネクタ取り付け作業

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DMX用コネクタのノイトリック NC5FXX-B。
写真下のほうにあるブーツ2種類の上が通常品、下がφ8~10mm用のNEUTRIK BXX14ラージブーツです。

 

 

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左が通常品、右がφ8~10mm用のNEUTRIK BXX14ラージブーツ。
※今回のDMX203-2Pはφ7.9mmで、これに熱収縮チューブをかけると、限界を超えます。
そのため、このラージブーツを使用します。チャック部分への熱収縮チューブの干渉を避ければ通常のブーツでも取り付けは可能です。
※カナレの完成品DMXケーブルでもBXX14ラージブーツが使用されています。

 

 

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用意する熱収縮チューブは3種類です。ケーブル全体用途のφ8mm×20mmが1、ドレン線用途のφ2.0mm×20mmが1、キャノンピン用途のφ3.5mm×10mmが5です。

 

 

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忘れないように、ラージブーツとケーブル全体用途のφ8mm×20mmとドレン線用途のφ2.0mm×20mm熱収縮チューブを通します。ここで通した、ケーブル全体用途熱収縮チューブは最後まで収縮させません。

 

 

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ドレン線用途のφ2.0mm×20mm熱収縮チューブをヒートガンで収縮させます。
このドレン線にあわせて他の内線もストリップし、予備半田をします。
その後、コンタクトピンに丁度入るような長さに先端を切り落とします。メスの場合はちょい長めに、オスの場合は短めに切り落とすのがコツです。
その後、キャノンピン用途のφ3.5mm×10mm熱収縮チューブを通し、写真のように半田付けの熱から一番遠いところまで離します。

 

 

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現場での半田付けの際、コネクタの保持はどうしているのですか?とたまに聞かれますが、写真のように片手でコネクタとケーブルを保持します。
DMXは3ピンコネクタしか使わない方式が現在は主流ですが、規格としては5ピンですので、フルピンアサインします。
1番がGNDは決まっていますのでここにはドレン線を半田付けします。

 

 

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後の2Pの黒白、赤緑のペアをどうアサインするかですが、ここはカナレの既製品のピンアサインに従い、2:黒、3:白、4:赤、5:緑にします。VCTFの4芯でもこの並びですので非常になじみが深いです。
ドレン線だけ半田付けをしておけば外れ落ちるということはありませんので、落ち着いてピンアサインを確認し、ケーブルを差し込んで半田付けして下さい。

 

 

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半田付けが終わったら、全ての熱収縮チューブをヒートガンで収縮させます。

 

 

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チャックを嵌め、ケーブルがクランプできるか確認します。

 

 

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ブーツを締めこんで完成です!
オス側のNC5MXX-Bはこれよりキャノンピンの熱収縮チューブ加工が簡単ですので安心して下さい(笑)