Neutrik NLファストン(AMP 170332-1)の端末処理の仕方 | 音響・映像・電気設備が好き

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上記記事の続編、Neutrik NLファストン(AMP 170332-1)の端末処理の仕方です。

前回の続編として記載していきます。

 

今回のテーマは、NLファストンとして国内で販売されている2種のうち、通常のスピコンに使用されるファストン187用途であるAMP 170332-1の純正工具での圧着を取り上げます。

 

 

ノイトリック NLファストン製品別対比表

 

PDFデータのダウンロードはこちらから。再配布禁止、商用利用可です。

■ノイトリック NLファストン製品別対比表■

http://www.holycater.sakura.ne.jp/zip/pdf/Neutrik_NLFaston_jp.pdf

 

 

AMP ポジティブロックマークII圧着端子と工具の対比表(上記PDFの2ページ目に収録)

 

 

ポジティブロックマークIIの端子(一部抜粋)。170331-1、170332-1、170334-1、170335-1

 

 

AMP 170332-1で悩まされるのは、絶縁被覆クランプの特殊な形状です。これ、どうやって圧着するの???とこの端子を見た方は誰しも思った事でしょう・・・。

 

 

170331-1と170332-1の比較1

 

 

170331-1と170332-1の比較2

 

 

上記写真の右側がNeutrik NLファストン(AMP 170332-1)ですが、左側の一般的なオープンバレル形状(AMP 170331-1)に比べると絶縁被覆クランプが大きく開いています。このワイド幅に対応する汎用オープンバレル圧着工具はありません

これは純正の工具を手に入れるまで長年の謎でした・・・

 

 

AMP 753786-1 170332-1専用圧着工具

 

 

これが純正工具のダイス形状!!

 

 

下側は他のポジティブロックと変わらない。絶縁被覆部と芯線圧着部は段違いになっているのが特徴

 

 

こうなるのであった・・・・・!!

 

 

左の形状が右になる

 

 

そんな長年の謎も、AMP 753786-1 170332-1専用圧着工具で圧着をすれば一目瞭然、なんと楕円形状での絶縁被覆クランプでした。しかしこれではクランプ力が弱い気がします・・・。では、実際に圧着工程を見てみましょう。

 

 

●絶縁保護の考察

 

絶縁距離が保てていない

 

 

こちらはNeutrik NLファストン(AMP 170335-1)の端末処理の仕方を参考にしてください。純正のパーツでは対応不可の為、今回は熱収縮チューブを使用する事とします。

※絶縁被覆クランプ部が大きく、既製品の絶縁保護パーツではどれもはまらない為です。

 

 

●圧着手順

 

必ずマニュアルを熟読する事

 

 

事前に準備するのは AMP 取付説明書 411-5238、取付適用規格 114-5041です。

※但し、2条圧着の場合は絶縁被覆むき長さが取扱説明書通りの5mmではケーブルの太さによっては短すぎると思います。

ケーブルはカナレ電気の4S6と4S8を用意しました。

 

 

用意したケーブルはカナレ電気 4S6と4S8

 

 

●カナレ電気 4S6の2条圧着

 

4S6を色別により合わせる

 

 

絶縁被覆むき長さ5mmでストリップを行う

 

 

マニュアルに従い、縦に重ね圧着しつつ絶縁被覆を水平に並べる(最初から水平はNG)

 

 

圧着完了1

 

 

圧着完了2

 

 

どう考えても絶縁被覆クランプの力が足りません・・・。が、これが純正。そもそも、オープンバレル圧着端子のルールからこの形状の端子は外れると思いますね・・・。どんなに力をかけても絶縁被覆を押さえ込みようが無いため、ある程度の絶縁被覆の太さが無いとクランプ力が発揮されません。もう少し長くむき、水平になるように工夫を・・・とも考えましたが4S6ではそもそもが細すぎる為、それも難しいのです。(但し、規定寸法内に収まっています)

圧着後の端子確認は今回は省略します。

 

 

絶縁対策1。収縮前

 

 

絶縁対策2。収縮後

 

 

熱収縮チューブをし完成!!

 

 

絶縁処理は熱収縮チューブで行いました。これで完成です。純正端子に純正工具ですのでまず間違いがないかと思います。

 

 

●カナレ電気 4S8の2条圧着

 

Neutrik NLファストン(AMP 170332-1)の2条圧着はAWG20+AWG16の組合せのみとされている為、4S8の2条圧着は適応外となります。芯線は最大2.08㎟とされており、4S8の合計である2.5㎟より小さいです。ですが、ケーブルのスケアは国ごとに若干の差があり、筆者としては2条圧着も、芯線の0.5㎟の差も許容内としました。

※これを認めないと、日本国内でNeutrik NLファストン(AMP 170332-1)が存在している理由がなくなってしまいます・・・

 

 

マニュアルに従い、縦に重ね圧着しつつ絶縁被覆を水平に並べる(最初から水平はNG)

 

 

圧着完了

 

 

作例では絶縁被覆むき寸法は6.5mmとした(そうしないとひねることが出来ない)

 

 

クランプ部拡大。これでも絶縁被覆クランプの保持力は弱い

 

 

熱収縮チューブをし完成!!

 

 

絶縁被覆むき長さは規定の5mmから、ひねる分を追加し6.5mmとしました。そうしないと、絶縁被覆クランプ部分に水平に並びません。この条件の圧着はかなり難易度が高く、プレミアムツールでありながら、技能が必要とされてしまうケースです。

※2条圧着が難易度が高い

 

 

●カナレ電気 4S8の1条パラ圧着

 

カナレ電気の既製品ケーブル接続方法である、4S8の1条パラ圧着です。こちらはすべて規定内に収まっています。

 

 

1条の為、規定である絶縁被覆むき寸法は5mmとした

 

 

個別に圧着を行う

 

 

熱収縮チューブをし完成!!

この場合は170331-1を使用した方が綺麗に圧着が可能です。

 

 

以上で終了です。

とにかく、情報が少なく、純正工具を手に入れるまで何が正しい圧着なのかが分かりませんでした・・・。

本記事がとなたかの参考になれば幸いです。