カナレ電気のフォンプラグ F-15の形状が変更された | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

以前、書いたフォンプラグのJIS規格とEIA/IEC規格という記事があります。微々たる反響が継続的にありまして、未だに何かと話題になります。フォンプラグについてはここ何年もずっと調査を続けていまして、リンク先の記事に書いていない顛末として、IEC 60603-11 規格書を購入してみたら寸法がほぼJISと同じだった、と言う事がありました。(混乱を招くので便宜上、JISに対してEIA/IECという表記は変更していません)

本格的に調査を行うために、日本のフォンプラグのJIS規格書をすべて購入し(廃盤の旧規格の更に改正前が遡って購入できることを知らなかった)調査は継続しています。本当に手強く、個人で調査をするレベルをとうに超えています・・・

 

続編はこちら → フォンプラグのJIS規格とEIA/IEC規格~その2~

 

そんな中、調査の参考にカナレ電気のΦ6.3mm / モノラルフォンプラグ F-15を買ってみた所、ぱっと見で分かるほど先端形状が変更されていると言う事がありました。

 

 

カナレ電気 Φ6.3mm / モノラルフォンプラグ F-15の旧タイプと新タイプ(映っているのは筆者)

 

 

Twitterでつぶやいたところ、店頭の製品も変更されている事を確認してくださった方が数名いました。感謝!

 

 

一見して分かる変更が行われた

 

 

3Dによる再現比較

 

 

勤務先のギター弾きに何も言わず、このプラグをぱっと渡してみたら、形が違うね、と反応を貰いました。そうです、よく見ないと分からないレベルの変更ではないのです。明らかに形状が違います。

 

調べて見てもプレスリリースが出ているわけではありません。カナレ電気に問い合わせを行った所、下記の返答を頂きました。

 

 

F-15は、5年ほど前(注:2015年)からご提供写真の寸法にて製造しております。
R1.3部の寸法公差は、JISの標準公差の精級・中級(±0.2)※1で製作しておりJIS C 6560規格に準拠しております。
相手側コネクタとの接触安定性を向上させるため、公差範囲内のマイナス方向にて製造しております。
また、製品仕様書範囲内・規格内の調整となるため、対外的にはご案内はしておりません。

※1 JIS B 0405-1991 普通公差-第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差

 

参考リンク:
日本工業標準調査会:データベース検索-JIS検索
http://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
こちらで「B 0405」を検索してください。

 

 

公差内での変更なのですね。5年前・・・と言うと店頭在庫は確かに入れ替わっていておかしくはありません。(注:規格準拠内の変更はむやみに変更案内を出すと小売りなどの在庫問題が出るのでサイレントにやるのが製造業の常套手段です。いや、でも気が付かなかった・・・これを読んでいる方は手持ちがありましたらぜひ確認してみてください。)

上記の経緯から、発注時に「新型」を指定する事は出来ません。こればかりは仕方がありませんね・・・。カナレ電気は従来より、仕様変更を行う際は型番変更、場合によってはプレスリリースを行ってきました。今回の件はその法則から外れており不思議に思っていました。(F-15AとかF-15Bになるべき事案だろうと筆者は考えていました。今もそう思っています。)

うーん、なるほど・・・・。

 

 

カナレ電気 Φ6.3mm / モノラルフォンプラグ F-15の仕様書。準拠規格はJIS C 6560との記載がある

 

 

JIS C 6560 単頭プラグ・ジャックで定められているプラグ寸法。筆者による再描写。せっかくJIS規格書を購入したので、JIS C 6560-1994(2020年6月確認版)を確認しましたが同じでした

 

 

新旧を比べて見ると、差がみられるのはくびれの1.3 Rの部分です。ここが明らかに違います。その他はマクロ撮影の写真を見ても同じように思えます。(実際はその他の点も変更されているかもしれません)

 

参考リンク:
日本工業標準調査会:データベース検索-JIS検索
http://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
こちらで「C 6560」を検索してください。

 

 

さて、カナレ電気さんの回答にある「接触安定性の向上」ですが、これはつまり、海外製フォンジャックへの嵌合性能の向上でしょう。冒頭のリンクにもある、フォンプラグのJIS規格とEIA/IEC規格で、日本のJIS規格のフォンプラグが海外製のジャックへの嵌合が甘い事があるようだ、との考察を取り上げましたが、この差を埋める変更がなされたのだろうと予想しています。

 

以下にF-15の旧タイプと新タイプをスイッチクラフトのフォンジャックに嵌合した際の写真を掲載します。

 

 

F-15の旧タイプと新タイプのスイッチクラフト製ジャックへの嵌合

 

 

比べて見ると一目瞭然で、接点が1点だった旧形状に比べて、新形状は2点接触するようになっています。JIS規格のジャックへの嵌合ですが、旧タイプと比べても「体積が増えている」ので問題が無いと思います。

こんなことが出来るのですね・・・・・写真で分かるように嵌合具合が向上しているので、プラグ本体を軽く引いて動くようなことは以前に比べるとありません。これで現場での接触不良が減れば良いですね。カナレのF-15をギターやベース、エフェクタに使ってももしかしたら問題が無いかもしれません!!(自信はない)

※前回も書きましたが、筆者はPA屋ではないので実際に接触不良を感じたことはありません。

 

JIS C 6560 準拠のプラグを作っている各社もこれに続くと良いですね。ただ、もうちょっとさ、宣伝しても良いんじゃないですかね・・・・・・・・・・・ではでは・・・