フォンプラグのJIS規格とEIA/IEC規格 | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

Twitterでたびたび話題になるのが、カナレ電気のフォンプラグをギターに使わない方が良い、と言う話です。どうも、嵌合が良くなく不良が起きるようですが、筆者は楽器の演奏経験や楽器もののPA経験がないので、そういうものなのか、なんて思っていました。と言うことで今回は、そもそもこの話がなぜ出るのか?調べることにしました。

 

まず、自宅のフォンプラグを並べます。スイッチクラフトは今回の記事の為に購入しました。カナレは2Pがないので3Pで代用します。

 

 

 

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フォンプラグ。メーカ名のみ記載しますが上から、スイッチクラフト(SWITCHCRAFT)、アンフェノール(Amphenol)、ノイトリック(Neutrik)、不明(パナソニックのワイヤレスチューナ付属品)、カナレ電気です。

 

 

 

つぎに、フォンプラグの規格を調べます。フォンプラグは日本工業規格、JISのC 6560 単頭プラグ・ジャックで定められています。こちらは誰でも閲覧が可能ですので、そこから寸法を拾ってみました。※閲覧のみ許可で複写(スクリーンショット含む)は厳禁なため、再描写を行った

 

 

参考リンク:
日本工業標準調査会:データベース検索-JIS検索
http://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
こちらで「C 6560」を検索してください。

 

 

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JIS C 6560 単頭プラグ・ジャックで定められているプラグ寸法。1/4インチプラグと言う別名からも分かるように、直径が約6.35mmです。
※2Pも3Pも重複部分は規格上完全同一寸法です。詳細はJISを閲覧して見て下さい。

 

 

こちらは日本規格ですので、海外規格を調べます。海外規格はEIA RS-453 / IEC 60603-11です。こちらは無料で閲覧する事が出来ません・・・ですので、ここは奥の手を使いまして、ノイトリックのCAD図面を参考にしてみます。

 

 

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ノイトリックのフォンプラグのCAD。

 

 

ここで驚くのは直径が6.29mmと言うことです。JISに記載されている公差は+0.04、-0.05との事で、6.29は6.34の最小公差範囲なのです。これが最大だと、6.38になって、ノイトリック(EIA規格とみなします)6.29とは0.09も違うことになります。ここまで差が出たらプラグのガタつきとして体感出来ますね。
※現時点ではEIA/IEC規格のフォンプラグの公差は不明だが、6.29から±公差があるとすると、JISの6.34(+0.04,-0.05)からは大きく外れることとなる。

 

 

太さが違うのであれば、ひょっとしたら他も違うのかも知れないぞ・・・と言うことで、JIS規格とEIA/IEC規格(ノイトリックの図面をここでは同規格とみなします)のアウトラインを写真に乗せて比較してみました。

 

 

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フォンプラグのJIS規格とEIA/IEC規格のアウトライン比較。
※アンフェノールのプラグはテーパが掛かっており、水平に置くことが出来ていません。

 

 

ここで形状が見事に二分され、区別が明らかにつきました。
EIA/IEC規格はスイッチクラフト(SWITCHCRAFT)、アンフェノール(Amphenol)、ノイトリック(Neutrik)
JIS規格は不明(パナソニックのワイヤレスチューナ付属品)、カナレ電気
です。

 

 

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JIS規格とEIA/IEC規格では、太さだけではなく、先端形状とプラグの長さも微妙に違う。

 

 

ギターの出力ジャックに使用されているメーカはスイッチクラフトであるとの情報から、スイッチクラフトのジャックを用意しました。これに、上記のプラグを嵌合させてみます。

 

 

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スイッチクラフトのジャックにスイッチクラフトのプラグ

 

 

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スイッチクラフトのジャックにカナレ電気のプラグ

 

 

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カナレ電気のプラグはわずかな力で引き抜き方向に動く。

 

 

先端形状とプラグの長さの違いにより、カナレ電気のプラグはわずかな力で引き抜き方向に動きます。これはスイッチクラフト同士では見られなかった現象です。

 

 

どのような差があるのか?拡大写真が以下です。

 

 

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EIA/IEC規格のジャックにEIA/IEC規格のスイッチクラフト(SWITCHCRAFT)のプラグ

 

 

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EIA/IEC規格のジャックにEIA/IEC規格のアンフェノール(Amphenol)のプラグ

 

 

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EIA/IEC規格のジャックにEIA/IEC規格のノイトリック(Neutrik)のプラグ

 

 

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EIA/IEC規格のジャックにJIS規格の不明(パナソニックのワイヤレスチューナ付属品)のプラグ

 

 

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EIA/IEC規格のジャックにJIS規格のカナレ電気のプラグ

 

 

 

EIA/IEC規格のジャックにEIA/IEC規格のプラグに比べると、EIA/IEC規格のジャックにJIS規格のプラグは確かに嵌合が甘いと言うのが結論です。ただ、この甘さが接触不良につながるのかはここでは検証できませんでした。ですが、「カナレ電気のフォンプラグをギターに使わない方が良い」と言う話の裏付けにはなったかと思います。正しく表記すれば、「EIA/IEC規格のジャックにJIS規格のプラグは避けた方が良い」と言う事です。
※メーカ製品批判ではありません。規格の相違による嵌合の品質の話をしています。

 

 

 

今回の件を調べるにあたって、参考になる不具合事例がありました。

 

 

【PDF】MIDAS、Veniceのphone プラグに関する不具合
http://www.midasconsolesjapan.com/news/venice_phone_plug.pdf

 

 

こちらはEIA/IEC規格のジャックにJIS規格のプラグを差し込むことにより、(一部の組み合わせの場合)嵌合不良が起き、プラグの差し込みが検知されず音が出ないくなると言う不具合です。
なるほど、この様な事例もあるのですね・・・

 

 

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上記のMIDASの件は特殊な事例だとは思いますが、そもそも、ギターに使われているこのスイッチクラフトのジャックの構造にまず問題があるように感じます・・・

 

 

本記事がどなたかの参考になれば幸いです。
 
参考リンク: