手嶋龍一・佐藤優対談 中公新書ラクレ出版『公安調査庁』2020年3版  | 異文化交差点

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今私は首記の本を読んでいる。実を言えば、今少しずつAction小説を書いているので、その資料の一つとしてIntelligence活動の第一線にいる手嶋龍一氏及び佐藤優氏らの対談を読み、私なりに日本と海外における情報活動知識をつかみたいという理由があるからだ。

 

中身をざっと読んで、大方は網際(Internet)上で入手できる情報が約9割あり、残りの約1割は、両氏がIntelligence活動中に得た体感知識で、これは面白かった。

 

しかし、外務省Intelligence担当職員らの語学力について佐藤氏が語った内容を読み、正直言って愕然とした。その一部を以下引用してみる。


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手嶋:外務省では新人として採用した後、通常は大学院の修士課程などに派遣して、二年間は語学を含めて学ばせていますね。

 

佐藤:それだけではまったく足りません。まず、本省で一年、東京外国語大学の三年生レベルくらいの基礎を固められるプログラムを勉強させた後、二年から三年留学をさせて、帰国してから実務に三年ぐらい就ける。それでも本当に使えるようになる人材は全体の二割ぐらいです。

 

・・・

佐藤:・・・英語なら英検の準一級ぐらいを確実に取っておいて、その実力の範囲で仕事をする。それが現実的なのです。

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えっ、これが日本の英語界を先導する外務省の実態なの??? 

 

更に驚いたのは、佐藤氏は、文部省が支援している英検は言うが外務省が支援している国連英検については何も語っていない。知らないのだろか、それとも外務省が嫌いな元外務省外交官であった佐藤氏が、国連英検も嫌いになり、それに言及しなかったのであろうか、佐藤氏に直接聞いてみないとそれは分からない。

 

それはさて置き、英検準一級程度の英語力で外務省の仕事が務まるという実態はおぞましい限りだ。英検準一級に合格するのは難しいということは私も知っている。しかしこの実力では、世界の動向に関する情報を英語で入手できないしその読解力もない。そしてアングロ・サクソン人、ユダヤ人、ロシア人、華人らに対して対等な会話ができない、説得もできない、ましてや格調高い英文を書く力はない。

 

日本人の英語力の貧弱さは、佐藤氏が語ることにより裏付けされたと思わざるを得ない。

 

外務省では、高卒と言えども、全職員が国連英検A級に合格して当然だ。そして外交官ともなれば、国連公用語(中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)である英語以外の言語も最低一つはA級合格して欲しい。佐藤氏は、ロシア対策外交官だったので、彼は英語とロシア語それぞれA級に合格していなければならない。これも彼に直接聞いてみないと分からないが。

 

英米語圏担当の外務省職員は、国連英検特A級に合格している必要がある、と思うが、佐藤氏が語った外務省の語学力実態を知るにつけ、望むべくもあらずか、と溜息を吐きそうになる。

 

私はこれを知り、今書いているAction小説の内容を少し修正しなければならない、と思い、既に約350枚書いている原稿を加筆修正するつもりでいるが、少々、気持ちが落ちてしまっているので、この作業は気が重い。でも今年中に書き上げてAmazonのキンドル本として出版するつもりでいるので、とにかく頑張る。

 

以下余談ですが、参考までに貼り付けておきます。