映画「「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
2015年 インド 159分
<監督>
カビール・カーン
<キャスト>
パワン(バジュランギ):サルマン・カーン、
シャヒーダー(ムンニ):ハルシャーリー・マルホートラ、
カリーナ・カプール、
ナワーズッディーン・シッディーキー、
<内容>
パキスタンの小さな村。
幼い頃から声が出せない障害を持つ女の子シャヒーダー:ムンニ(ハルシャーリー・マルホートラ)は、心配したお母さんと一緒に、インドのイスラム寺院に願掛けに行く。
ところがその帰り道、1人でインドに取り残されてしまう。
困り果てたシャヒーダーが出会ったのは、ヒンドゥー教のハヌマーン神の熱烈な信者、パワン(サルマーン・カーン)だった。
バカがつくほどの正直者で、お人好しなパワンは、これもハヌマーンの思し召しと、母親とはぐれたシャヒーダーを預かることに。
ところがある日、彼女がパキスタンのイスラム教徒と知ってビックリ。
インドとパキスタンは、歴史や宗教、経済など、様々な点で激しく対立していたからだ。パワンは、パスポートもビザも持たないシャヒーダーを、国境を越えて家に送り届けることを決意。
果たしてシャヒーダーちゃんは、無事に母親と再会できるのか……?
(MovieWalker)
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すべてはラストのために!
争いを行い敵対している国々、そしてその人々にはぜひ見てもらいたい作品。
複雑な背景の中にシンプルに訴える、ハートフルな物語。
前回鑑賞からさらに評価アップ!
5年前にレヴューしている作品、そして今回またスクリーンで観ることができるのかと楽しみにしていた作品。
4月27日キノシネマみなとみらいで鑑賞。
初めて映画館でこの作品を観た時、その映画館では結構ガラガラ状態だったのが、今回の映画館では多くの方が鑑賞しておりました。過去の記事を追加修正してレヴューです。
スクリーンに、自然美しいパキスタンの山岳地帯の小さな村が映し出される。
その村でTV観戦する村人たち。
TVではパキスタンとインドのクリケットの試合の真っ最中。
そのなかに一人の妊婦がいた。
数年後、元気に遊ぶ娘シャヒーダー。
彼女は生まれつき言葉を発することができない。
村の長老の勧めで隣国インドのデリーにある、ニザームッディーン廟に母親と彼女が参拝することになった。
シャヒーダーが言葉を話せるようにと祈願する母親。
その帰路、印パ国境検問所付近で列車が停車中にシャヒーダーが列車を降りてしまい、動き出した列車に置き去りにされてしまう。
シャヒーダーがいないことに気付いた母は娘を探そうとするが、列車はすでに国境を越えていたため探しに向かうことができなかった。
インドに取り残されたシャヒーダーは、インド国内に移動する貨物列車に乗り込み数時間後に到着した場所で目が覚める。
列車の外では何やらお祭り騒ぎの様相。
二人の主人公シャヒーダーとパワンが出会うシークエンス。
さぁ~~ここから唯一無二、
サルマン・カーンの兄貴ぃ~が演じるパワン(バジュランギ)の登場。
この冒頭からの4分20秒に及ぶ集団ダンスが凄いのなんのって、超絶悶絶ミラクルヒカルにヤクルトピルクルなんのことかわかりませんが、とにもかくにもすごいのです。
ボリウッド3大カーンのひとり、
サルマン・カーンの兄貴~~が
ムキムキの身体でエレエレダンスを踊ってしまうのです。
最初観た時にもその圧倒的なダンスに衝撃を受けたのでしたが、今回はもう自分もノリノリマサノリで、体中の細胞がエレエレ状態になったのは言うまでもありません。
この凄さは、映像を観たものにしかわからない体験でしょう!
筋肉ムキムキ、ラグビー選手?かと思うほどで、上半身のガタイがすごい。でも軽快に踊るんですよ。
↓サルマン・カーン圧巻のダンス必見!!
ただこの物語のすごいところは、エレエレダンスやチキンダンスだけではなく、インド映画の良いところ満載で、そのエキスがシンプルにギューッとつまっています。
そしてその中には、これまたとってもシンプルで重要なメッセージが込められているのです。
敵対するインドとパキスタンだけではなく、全世界の人々にもしっかりとそのメッセージが伝わる事を祈りたい。
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ちなみに今作品は、ほくとの気ままなブログ令和元年度の
「とってもウルウルしたで賞」
を受賞しております。グランプリにしてもいいくらいの作品でしたが、その時のグランプリは映画「アンダーグラウンド」でした。
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インドに迷い込んでしまった敵対しているパキスタンの迷い子を親元に送り届ける、ただそこには色々な障害苦難が待ち構えているというシンプルな物語。
丁寧に作られていて良い間のとりかた、絶妙な展開で話が進んでいくので約2時間30分、時間が経つのが早く感じました。
今回も面白く、そしてストーリーが分かっていてもほくとの頬を濡らしてしまい、ウルウルしたで賞になったことはいうまでもありません(前の時よりウルウルしてしまったかも)。
歌あり踊りありアクションあり、
そして友情あり
笑いあり
涙ありの
痛快ヒューマンドラマ!
バジュラギおじさんと小さな迷子が、いがみ合っている国家間に風穴を開けてくれます。
子役の女の子は可愛かったですね。話ができない設定なので、仕草と目で演技していますが、それがまた可愛い。
ハヌマーン神を信仰するインド人のパワンが、いがみ合う敵国パキスタンのムスリムの人たちによって助けられ、目的が成就する展開。
この作品の良いところは、敵対する国パキスタンを平等に扱い描いております(けっこうインド映画では、パキスタンの事を悪く描くことが多いみたいですよ)。
争いごとの絶えないインドとパキスタンが舞台ですが、政治的に色々あってもパワンのような人、そして彼を助けたような人が多くなれば、国が違うからまた宗教が違うからといって戦争がおきるなんてこともなくなると思いますね。
劇中でも、スパイ容疑でパキスタンの警察から逃げる彼らを乗せたパキスタンのバスの中、乗客の一人が彼らのいきさつを聞いて
「貴方のような人が多くいれば争いなどおきないのに」
とつぶやいていた言葉は印象的でした。
また警察から逃れる彼らを匿ったイスラム寺院責任者に、ハヌマーン信仰のパワンが
「自分はモスリムでなく異教徒だから寺院に入ることができない」
というと、
「そんなことは関係ないですよ。異教徒だろうが誰でもこの寺院はカギをかけず、いつでも門戸を開いているのだから」
といって彼らを招き入れ匿うのでした。
このような寛容な宗教観があれば良いのですが・・・。
またこの物語の中ではインドの闇の部分でしょうか、戦争や宗教の問題だけではなく、人身売買の問題なども出てきます。
ビザもパスポートも申請書も何にもないわけなので、お隣の国に行くことができない。
その時に旅行会社のある人物が、お金を払うなら知り合いに頼んで国境を超える事が可能だとパワンに話しをもちかけます。
結婚のためにと、貯めておいた大金をその人物に払って、ムンニ(シャヒーダー)ちゃんをよろしく頼むのですが、実は彼は女衒の顔もあったのです。
国境を超えるどころか、風俗店に売ってしまうのです。
しかし間一髪ムンニちゃんを奪い返し、そこで悪党野郎に正義の鉄拳!!
アクションシーンですね。
悪党どももやっつけるシーンは爽快です。
彼はとにかく馬鹿正直。
インドパキスタンの国境を隠れトンネルで渡るのですが、相手国(パキスタン)の国境警備隊に一応許可を得ないと堂々と入れないと、捕まっては戻され、また別のトンネルを使って渡るのですが警備隊をワザワザ待って、また捕まっての繰り返し。
ハヌマーン神の教えを守るかのように、警備隊の許可を得るまで繰り返します。
トンネルの場所も教えちゃったりしますW
ただこの馬鹿正直さが、だんだん人を動かしてゆくのですけれど・・・。
そうそう、途中警察の車をバナナで動けなくするシーンがでてきます。
車のマフラーにバナナ突っ込んでのネタといったら、あのハリウッド映画ですよねW
そしてこの作品で重要な存在だったのが、TVレポータのナワーブ。
彼は最初インドのスパイ容疑をかけられたパワンのレポーターをしていたのですが、事情が分かると二人に同行して協力します。
そしてその真実のレポートをTVで放映してもらえるように上層部に掛け合いますが、一蹴されてしまう。
しかたがないのでユーチューブにアップロードするのですが、その反響がすごかった。そのレポートを見たインド、パキスタン双方の国の人の心を動かすことになっていきます。
SNSは使い方次第で人や国を分断させてしまうことも、また今作品にあるように結びつけることもできる典型でした。
スパイ容疑で警察に逮捕されてしまったパワン(バジュランギ)は、インドに帰ることができたのでしょうか。
シャヒーダーちゃんは無事母と再会はできたのでしょうか。
奇跡も起きるラストシーンは
号泣必死、感動の嵐。
タオルを用意して観に行くようにしましょう!!!
シンプルでとても分かりやすく、素晴らしい作品でした。
インド映画になじみのない方にも、超おすすめ作品です。
この作品はなぜかネットで配信されていないんですよね。今回のように再上映で観るか、ツタヤのレンタルで観る事しかできないようです。とっても素晴らしい作品なので、ぜひネット配信などで多くの方に見てもらいたいですね。
(画像全てお借りしました)
5点満点中4,3
(おまけの映像)
サルマン・カーンの兄貴い~も、涙ぐんでおります。