こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

2月最初の休日となっています。

2月は「如月」と書いて「きさらぎ」と呼ばれることもありますね。

そのように読むようになったのは、室町時代の頃とされています。

 

「如月」を「じょげつ」と読んでも、2月の異称になるわけですが、これはm中国最古の字書『爾雅(じが)』に「二月を如となす」とあることから生まれました。

「如となす」は、万物が神意に従うように現れ出ることだそうで、

自然がいきいきと動き出す時期といえますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

先週末のことでしたが、米国のオンライン・タブロイド紙『Raw story』の驚くような記事があったそうです。

 

トランプ米大統領による交流サイト(SNS)への執拗な投稿について、専門家から健康状態を懸念する声が上がっている。米国内のある医師は25日、大統領の深夜の連投や感情的な言動は、脳卒中後の一般的な副作用である「激越性(げきえつせい)うつ病」の兆候である可能性があるとし、医療チームによるより適切な介入が必要だと指摘したというニュースがありました。

 

22日にブリュッセルで開かれたEUの臨時首脳会議で、一部首脳らに「アウト・オブ・ヒズ・マインド(正気を失っている)」と評価されたという報道もあります。

 

そこで、今回は「脳卒中後うつ病」とは、どのようなものか?また、「アルツハイマー病」と違いについて、お話をしてみたいと思います。

 

高齢化に伴い、「脳卒中」と「認知症」の患者数は世界的に増加しているそうです。

 

脳卒中を経験した人の約3〜4割が「脳卒中後うつ病(PSD)」を発症するとされ、特にイライラや落ち着きがなくなる「激越(げきえつ)」を伴う場合、リハビリの妨げになるとされています (参考1,2,3)

 

 

一方、「アルツハイマー型認知症(AD)」は認知症の約7割を占める代表的な病気です [4]。「脳卒中後うつ病(PSD)」の認知機能の低下は、うつの治療によって「回復する可能性(可逆性)」があるのに対し、ADはゆっくりと進行する病気です。この違いを正しく理解することが、適切な治療への第一歩となります。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

では、「脳卒中後うつ病(PSD)」が起こる仕組みとは、どのようなものになるのでしょうか?

「脳卒中」になると、脳の中では単なる「心の落ち込み」以上の物理的な変化が起こるとされています。

 

1)神経の炎症

 

脳の血管が詰まったり破れたりすると、脳内の免疫細胞(ミクログリアなど)が活性化し、炎症物質を放出します。これが脳の「修理機能」を邪魔し、うつ症状や記憶力の低下を引き起こします(参考5,6,7)

 

2. ストレス反応の暴走

 

脳卒中という大きなストレスにより、体内のホルモンバランス(HPA軸:視床下部-下垂体-副腎系)が崩れます。ストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰に出続けると、記憶を司る「海馬」という部分がダメージを受けてしまいます(参考8)。

 

 

3.神経伝達物質の不足

 

意欲や気分に関わるセロトニン、ドパミンといった物質の通り道が脳卒中によって遮断され、回路がうまく働かなくなります (参考9)。

 

続きは、後日の話題にしてみたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ後記   >2月3日

 

今日は「節分」ですね。明日からは「立春(りっしゅん)」となり、暦の上では、「春」になるわけですね。

 

今回は「脳卒中後うつ病」について、お話をさせていただきました。

「脳卒中」とは、脳梗塞(約7割)、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害ということになりますね。

 

実は、「脳卒中後うつ病」と「アルツハイマー病」の鑑別(かんべつ)は難しいとされています。

 

トランプ氏の姪メアリー・トランプ氏は、叔父がアルツハイマー病を患っている可能性があると以前から述べていましたので、ある意味では、トランプ氏にとって、優しい診断(?)であったのかもしれません。

 

彼女は、ユーチューブチャンネルで、トランプ氏が

1999年に93歳で亡くなった祖父 フレッド・トランプ氏に様子が似てきていることから、退行性の病気であるアルツハイマー病の可能性があると述べていたのです。

 

では、「脳卒中後うつ病(PSD)」と「アルツハイマー病(AD)」には、どのような特徴があるのでしょうか?参考文献が多いので、後記の方では省略させていただきたいと思います。

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」と「アルツハイマー病(AD)」を比較しながら、お話をしてみたいと思います。

 

「脳卒中」は成人における主要な脳障害の原因であり、生存者の30〜40%が「脳卒中後うつ病(PSD)」を発症するとされています。

 

一方、「アルツハイマー病(AD)」は、認知症の60〜70%を占める進行性疾患である[とされています。

 

両者は症状が、とても似ているわけですが、「脳卒中後うつ病(PSD)」の認知障害は可逆的である可能性が高く、「アルツハイマー病(AD)」は、進行性で不可逆的であるため、正確な鑑別が予後を左右するとされています。

 

つまり、もしも「脳卒中後うつ病(PSD)」によるものであれば、認知症の症状が、治療により改善する可能性がある・・・ということになりますね。

 

鑑別は難しいとされるわけですが・・・脳神経内科などの専門家から見ると、それぞれの疾患の認知障害パターンには明確な差異があるとされています。

まず、機能・行動への影響をみてみますと、以下のようになります。

1)作業の正確性

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では、「処理速度や注意機能の低下が認められるが、治療により、改善が可能であるとされています。

 

「アルツハイマー病(AD)は、「 IADL(買い物、料理など)」は認知機能低下の初期段階で低下しやすい傾向があり、ADL(食事、排泄など)は、不可逆的に悪化していくとされています。

 2.BPSD(行動・心理症状 )

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では「激越(げきえつ)症状」や「易刺激性」が目立つとされています。

 

「激越(げきえつ)症状」とは、強い焦燥感、不安、イライラを伴い、じっとしていられず動き回る(そわそわする、徘徊、手をもみ合わせる等)行動が特徴の精神状態を指します。

 

うつ病特有の「動きが鈍くなる」状態とは異なり、一見活動的に見えるが、内心は「パニック」に近い状態であるとされています 。

 

一方、「アルツハイマー病(AD)」は、「アパシー」から始まり、進行に伴い徘徊や夕暮れ症候群、社会的孤立が生じるとされています。

 

「アパシー(Apathy)」とは、感情の欠如を語源とする、無気力・無関心・自発性の低下した状態を指します。周囲の事象だけでなく、自分の身の回りや日常的な活動への意欲が著しく減少するとされています。

 

認知症や脳血管障害、「パーキンソン病の周辺症状(BPSD)」として多く見られ、本人に自覚が乏しい、または悲哀感を伴わない点が「うつ」とは異なる特徴であるとされています。

 

若年発症例では、いずれも職業的・経済的損失が甚大となると解説されています。

 

では、治療については、どうなのでしょうか?

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では、の抗うつ剤「SSRI」などの薬剤投与が有効であり、「感情」のみならず、「認知機能」や「ADL」の改善させることが示されています。

 

ADL(Activities of Daily Living)とは、日常の生活動作を指しますね。

 

「アルツハイマー病(AD)」については、「ChE(コリンエステラーぜ)阻害薬」や「NMDA受容体拮抗薬」による対症療法に加え[、「レカネマブ,ドマネマブ」等の抗抗アミロイドβ(ベータ)抗体薬により進行を抑制する新しい段階に治療も進みつつあるようです。

 

いずれにしても、「認知症」を早期に見つけ出すことが重要であると

考えますので、JTKクリニックでは、通常の「長谷川式認知症スケール」や AIによる「認知症判断のためのプログラム」を試験的に運用しながら、早期の「認知症」をいち早く見つけ出し、専門医に紹介していく体制を始めています。

 

なかなか、難しい分野の医療ということになりますね。

 

少なくとも「脳卒中後うつ病(PSD)」を見つけ出し、専門医による抗うつ剤「SSRI」などの投与を行い、症状が改善できれば嬉しいと、

今は、思っています。

 

また、後記の方は、参考文献が多数のため、割愛させていただきました。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1)Lancet Neuol. 2021 Oct;20(10):795-820. 

Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019 

GBD 2019 Stroke Collaborators

 

2)Stroke. 2017 Feb;48(2):e30-e43. 

Poststroke Depression: A Scientific Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association

Amytis Towfghiら

 

3)J Neuropsychiatry Cjin Neurosci.. 2024 Winter;36(1):22-35 Poststroke Depression: An Update

Robert G Robinsonら

 

4)Neurobiol Agin. 1997 Jul-Aug;18(4 Suppl):S27-32.

The neuropathological diagnosis of Alzheimer's disease: clinical-pathological studies 

BT Hyman

 

5)Aging Dis. 2024 Feb 28;16(1):394-407. 

Neuroinflammation and Post-Stroke Depression: Focus on the Microglia and Astrocytes 

Weizhuo Luら

 

6)Mol Neurobiol. 2024 Jan;61(1):132-147. 

Investigating the Potential Mechanisms and Therapeutic Targets of Inflammatory Cytokines in Post-stroke Depression 

Yutong Zhangら

 

7)Aging Dis. 2024 Feb 9;16(1):209-238. 

Inflammatory Pathogenesis of Post-stroke Depression

Xinyu fengら

 

8)Nat Rev Immunol. 2016 Jan;16(1):22-34. 

The role of inflammation in depression: from evolutionary imperative to modern treatment target  

Andrew H Millerら

 

9)Mol Psychiatry. 2006 Nov;11(11):984-91. 

The etiology of poststroke depression: a review of the literature and a new hypothesis involving inflammatory cytokines  

GSpallettaら

 

(梅の花とメジロ)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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               <今週、なんとなく聞いてみたい曲> 

 

 

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<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯Zoomを用いた遠隔医療相談を始めました(内科関連疾患)

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

強い寒波の影響で、日本海側では大雪になっているようです。

それに対して、太平洋側は寒いのには変わりがないのですが、雲ひとつない青空が広がるわけですね

 

このことは、1968年 日本人初のノーベル文学賞を受賞した

「川端康成(かわばた やすなり)」氏が「雪国」の冒頭の文章

 

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

 

という一文に表現されています。

今でもこの感覚は、かつての自民党総裁「田中角栄(たなか かくえい)」 氏の時代に作られた「上越新幹線」で東京から新潟まで

向かう時に体験できますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

さて、今回は「JTKクリニック」の「メディカルダイエット」がバージョンアップをしたというお話をさせていただきたいと思います。

 

明治時代から120年以上の歴史を持つ「えのきや相談薬舗」さんと

共同で開発をした「ダイエット漢方」を用いて治療を行なってきました。

この漢方は「煎じ薬(せんじぐすり)」でして、生薬を減量にしており、「皮下脂肪型」と「内臓脂肪型」に分かれており、服用しますと

食欲が低下し、脂肪組織が燃焼されるようにメカニズムになっています。

もちろん、この間に自分に適したカロリーの食事内容になるような

食事療法も行っていただき、多くの方がBMI 20~22まで体重を減量することが可能であり、リバウンドや副作用がありませんので、

とても優れたダイエット方法であると自信を持っていたわけです。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

それに対して、世界の医療の中では「肥満」は悪である・・・という考え方が、とても早いスピードで広がってきたのですね。

さらに単なるダイエットの方ばかりでなく、「糖尿病境界域(HbAic

6.0~6.4)」の方も多くなりました。

 

それで、「メディカルダイエット」の内容に「マンジャロ(注射薬)」

と「リベルサス(経口薬)」を加えたわけです。

 

もちろん、「ダイエット漢方」は残して、これまでのように中心となることに変わりはありません。

 

では、なぜ、「マンジャロ(注射薬)」や「リベルサス(経口薬)」が必要であると考えたのか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

それは「肥満治療」の新時代が到来(とうらい)したのではないか?

・・・という考え方があります。

 

現在、「肥満」は、世界的な公衆衛生上の「重大な課題」であると認識されるようになってきているのですね。

 

その理由は・・・「心血管疾患」、「2型糖尿病」、特定の「悪性腫瘍」など、多くの慢性疾患のリスク因子として認識されているからなのですね。

 

特定の悪性腫瘍とは「脂肪肝」でして、以前のブログ内でもお話をしていたわけですが・・・「脂肪肝」は「肝硬変」に発展し、その一部

が「肝臓癌」に発展することもあるわけですね。

 

「国際糖尿病連合(IDF)」によれば、2021年時点で世界の「糖尿病患者数」は、5億3700万人に達し、その約90%が「2型糖尿病」であると報告されているのですね(参考1)。

 

「肥満」と「2型糖尿病」の密接な関連性を考慮すると、効果的な「体重管理戦略」の確立は、現代医療における最重要の課題である・・・ということになるわけです。

 

では、なぜ、これまでの「肥満治療」ではダメなのか?・・・ということになります。それは、次のような理由になるのかもしれません。

 

従来の「肥満治療」は、「食事療法」と「運動療法」を基盤として、

「薬物療法」は、補助的な位置づけにとどまっていたと言えると思います。

 

しかし、「GLP-1受容体作動薬」の登場により、この治療パラダイムは大きく変化したと言われています、

 

とくに、2021年に肥満治療薬として承認された「セマグルチド(オゼンピック)」は2.4mg 週1回の投与をする皮下注射製剤ですが・・・

 

プラセボ対照試験において「15-17%の平均体重減少」を達成し、これまでの薬物療法では到達困難であった領域に到達したことが確認

されています。

 

この効果は、胃の内容を縮小する外科的治療(減量手術)に匹敵する効果を示したことが報告されています。(参考2)。


 

もちろん、世界の医療が目指した徹底的な「ダイエット療法」は、なかなか厳しいものであるのかもしれませんね、

 

「マンジャロ(注射薬)」や「リベルサス(経口薬)」の実際の効果や

心臓血管の保護作用などの話題は、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>1月27日

 

相変わらず、寒い夜になっていますね。

 

昨夜は、柄にもなく、哲学のエッセンスのようなものを眺めておりました。

ひとつ、ご紹介させていただきますと・・・

 

「ジム・ローン」という哲学者の言葉がありました。

ご存知の方も多いと思いますが・・・

 

彼の言葉は、環境に甘んじず、自分自身で未来をデザインするための本質的な行動を促しているとされています。

 

その言葉のひとつに

 

 "Discipline is the bridge between goals and accomplishment." 

「規律とは、目標と達成の間にかかる橋である」

 

内面の「秩序」と「安定」が、外面的な「成功」や「繁栄(はんえい)の基盤となるという思想なのだそうです。

 

現在のなんとも騒がしい世の中の出来事は、横に置いておくとして、

 

将来の健康のためには、やはり、BMI 22程度まで体重を落とす必要が

あるわけで・・・

 

これを達成するためには、食生活や日常生活の運動などの「秩序」を守り、決して、「絶対に目標を達成するという、ブレない意識の「安定」が必要であろう・・・夜中にひとり、思ったりもしました。

 

さて、今回は、薬剤を用いたダイエット(メディカルダイエット)について、お話をさせていただきました。

 

JTKクリニックのメディカルダイエットは、基本的には血糖値の指標

である「HbA1c 6.0~6.4)」のいわゆる「2型糖尿病の境界域」の方を

BMI 22程度まで体重を減量し、正常範囲に戻すことを目標にしています。

 

私自身もHbA1c 6.3 → 5.6 程度まで「ダイエット漢方」を用いて、正常範囲に戻り、その後は食生活にも気をつけていますので、「ムリすじ」な話ではないと確信も持っているわけです。

 

では、どのような薬剤を用いるのか?・・・というと、ひとつは

「GLP-1受容体作動薬」である「リベルサス」という内服薬となります。

 

また、さらに強力である「マンジャロ」は、「GIP/GLP-1受容体作動薬」という注射薬となり、これらの薬剤は、「インクレチン関連薬」と呼ばれるものであり、体重の減量が期待できます。

 

ここでは、後者の「マンジャロ」に焦点を当ててみたいと思います。


繰り返しになりますが、「肥満」は「慢性疾患」であり、「2型糖尿病」を含む多くの病気の「前段階」になり得ることが知られています。

 

そうした背景の中で、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」は、

世界初の「GIP/GLP-1受容体作動薬」であり、もともとは、「2型糖尿病」治療に使われる「週1回の皮下注射薬」となります。

 

この薬剤は、食欲を抑え、血糖値も改善するため、体重減少効果が

期待でき、「メディカルダイエット」に用いられる薬剤のなかでも

注目されています。

では、どの程度までの体重減少が期待できるのでしょうか?

1.体重減少(肥満・糖尿病なしの例:SURMOUNT-1試験)

「肥満(糖尿病なし)」で、176週時点の平均体重変化率は  
5mg投与で−12.3%、10mg投与で、−18.7%、15mg投与で

−19.7%と報告されています。


一方、プラセボ群では、−1.3%であったと報告されていますので、かなりの効果が期待できそうです(参考5)。

また、40〜52週の投与継続では、体重が約 −5.4〜−11.7 kgの体重減少が期待できて、減量達成が20.7〜68.4%とされています(参考3)。

さらに体重だけでなく、脂肪が減ることも報告されています。

2.「脂肪」が減る(体組成:DXAサブ解析)

SURMOUNT-1のDXAサブ解析という報告では、72週で体重−21.3%に対して、脂肪量−33.9%/除脂肪量−10.9%で、

減量の約75%が脂肪量の減少であったことが報告されています(参考3,4)。  
つまり「体重が落ちる」だけでなく、「脂肪がしっかりと落ちる」ことが示されているわけですね。

では、なぜ食欲が低下し、体重が減るのでしょうか?

GLP-1とGIPはいずれも食後に分泌される「インクレチン」というものになります(参考5)。

「GLP-1」は、満腹感を高め、胃の動きを遅くし、食欲を抑えます。  
また、胃排出遅延、脳(視床下部)への作用、迷走神経を介した満腹シグナルが関わります。

さらにGLP-1受容体作動薬は、中枢神経(視床下部・脳幹など)のGLP-1受容体を活性化することが、体重減少の主要な経路とされています(参考5)。

そして「おいしい物を見たとき・考えたときの反応(報酬系)」にも作用し、食への"ごほうび感"を弱めて過食を減らす方向に働く可能性があります(参考6,7)。

これに対して、「 GIP」は主に血糖調節(インスリン分泌促進)に関与し、満腹感への影響は付随的と考えられていますが、GLP-1と組み合わせることで、食欲抑制や代謝改善が相乗的に働く可能性が指摘されています(参考3)。

3.血糖改善(糖尿病の例:SURPASS)

大規模SURPASS試験というものでは、週1回5〜15 mgでHbA1cが平均約1.9〜2.6%低下し、単剤・併用療法ともに強力だったと報告されています(参考6)。

また、大規模試験(SURMOUNT-2)では、「肥満+2型糖尿病」でも体重が落ちることも示されています。

この試験では、「2型糖尿病」を伴う「肥満」の成人で−12.8〜−14.7%の体重減少が示され、肥満症薬としての適応を裏付ける結果とされています(参考10)。

では、副作用には、どのようなものがあるのでしょうか?


◉ 副作用(よくあるもの/注意が必要なもの)

 

GLP-1受容体作動薬となっていますが、「GIP/GLP-1受容体作動薬」の

「マンジャロ」にも共通するものとなります。

 

 A)消化器症状(最も多い)

GLP-1受容体作動薬で最、も多いのは消化器症状です。

 

45件の無作為化比較試験(27,729例)のベイジアンネットワークメタ解析というものでは、消化器系有害事象の全体発生率は11.66%で、

症状は悪心(21.49%)が最多、続いて嘔吐、下痢、便秘、消化不良などが報告されています(参考11)。  

また、別の大規模な解析(FAERS解析)では、消化器症状の77.44%が開始30日以内出て、発症までの中央値は1日であったと報告されています(参考12)。


多くは軽度〜中等度で、続けるうちに軽減する傾向があるとされています。
その対策としては、低用量から開始してゆっくり増量することや、食事は少量頻回、脂っこい物や辛い物を控えるなどが推奨されています(参考13)。

B)膵炎(まれだが重症化する可能性あり)

急性膵炎は「まれだが重い」副作用として注意されています。

もちろん、大規模解析の中には、GLP-1関連薬で膵炎リスクが明確に上がるとは限らない結果もあります(参考14)。


ただし、肥満や2型糖尿病そのものが、「膵炎のリスク因子」なので、強い腹痛(背中まで痛む)、嘔吐が続くなどの症状があれば早めの受診が重要であるとされています。
「膵炎」の既往がある方では一般に慎重に判断する必要があります。

 C)甲状腺腫瘍(特に髄様癌)

げっ歯類の前臨床試験で、GLP-1受容体作動薬がC細胞過形成や甲状腺髄様癌を誘発した報告があります(参考13)。  


また、フランスの大規模観察研究では、GLP-1受容体作動薬の使用(1--3年)と甲状腺癌リスク上昇の関連が報告されています(参考16)。


このため、この点は引き続き注意深い監視が必要とされています。  
一般的に、甲状腺髄様癌の既往・家族歴がある方は禁忌・慎重対応の対象になるとされています。

 D)胆嚢・胆道系(胆石、胆嚢炎)

胆石や胆嚢炎は、GLP-1受容体作動薬でリスク上昇が示されている有害事象の一つです(参考17)
 

急速な体重減少そのものも胆石リスクになり得るとされ、ゆっくりと体重を減量する方がよいとされています。 

E)筋肉量の減少

研究によっては、総体重減少の15〜40%が筋肉量の減少だったとされ(参考18)、特に高齢者やフレイル傾向の方では注意が必要です。  

対策として、たんぱく質摂取(体重1kgあたり1.0〜1.2g以上)などが推奨されています(参考19)。

中止後のリバウンド(体重再増加)については、またの機会にお話をしてみたいと思います。

 

いかがでしょうか?副作用もそれなりのものがありまして・・・

「ニンニク注射」や「プラセンタ注射」のように軽く打っておこうかなどと投与できるものではないことがお分かりいただけたと思います。

 

JTKクリニックは、初診時は来院していただき、定期的な採血による

検査もしながら、慎重に「メディカルダイエット」を行っていきたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただき

誠にありがとうございましたお願い


参考)

1)Lancet. 2022 Nov 19;400(10365):1803-1820.

Type 2 diabetes 

Entasham Armed

 

2)N Engl J Med. 2021 Mar 18;384(11):989-1002.  John P H Wilding

Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity

John P H Wilding


3)N Engl J Med 2025 Mar 6;392(10):958-971.  
Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention  
Ania M Jastreboffら

4)Diabetes Obes Metab . 2025 May;27(5):2720-2729.  
Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study of adults with obesity or overweight  
Michelle Lookら

5)Gastroenterology. 2007 May;132(6):2131-57.  
Biology of incretins: GLP-1 and GIP  
Laurie L Baggioら

6)Cardiovasc Diabetol . 2022 Sep 1;21(1):169.  
Tirzepatide, a dual GIP/GLP-1 receptor co-agonist for the treatment of type 2 diabetes with unmatched effectiveness regrading glycaemic control and body weight reduction  
Michael A Nauckら

7)Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2016 May 15;310(10):R885-95.  
GLP-1 and weight loss: unraveling the diverse neural circuitry  
Scott E Kanoskiら

8)Endocrinology. 2012 Feb;153(2):647-58.  
GLP-1 neurons in the nucleus of the solitary tract project directly to the ventral tegmental area and nucleus accumbens to control for food intake  
Amber L Alhadeffら

9)Diabetes. 2014 Dec;63(12):4186-96.  
GLP-1 receptor activation modulates appetite- and reward-related brain areas in humans  
Liselotte van Bloemendaalら

10)Lancet. 2023 Aug 19;402(10402):613-626.  
Tirzepatide once weekly for the treatment of obesity in people with type 2 diabetes (SURMOUNT-2): a double-blind, randomised, multicentre, placebo-controlled, phase 3 trial  
W Timothy Garveyら-

11)Front Pharmacol. 2025 Sep 19:16:1613610.  
Comparative gastrointestinal adverse effects of GLP-1 receptor agonists and multi-target analogs in type 2 diabetes: a Bayesian network meta-analysis  
Xingmiao Xieら

12)Front Endocrinol (Lausanne). 2022 Dec 7:13:1043789.  
Association between different GLP-1 receptor agonists and gastrointestinal adverse reactions: A real-world disproportionality study based on FDA adverse event reporting system database  
Lulu Liuら

13)J Clin Med. 2022 Dec 24;12(1):145.  
Clinical Recommendations to Manage Gastrointestinal Adverse Events in Patients Treated with Glp-1 Receptor Agonists: A Multidisciplinary Expert Consensus  
Juan J Gorgojo-Martínezら

14)JAMA Intern Med . 2013 Apr 8;173(7):534-9.  
Glucagonlike peptide 1-based therapies and risk of hospitalization for acute pancreatitis in type 2 diabetes mellitus: a population-based matched case-control study  
Sonal Singhら

15)Endocrinology . 2010 Apr;151(4):1473-86.  
Glucagon-like Peptide-1 receptor agonists activate rodent thyroid C-cells causing calcitonin release and C-cell proliferation  
Lotte Bjerre Knudsenら

16)Diabetes Care . 2023 Feb 1;46(2):384-390.  
GLP-1 Receptor Agonists and the Risk of Thyroid Cancer  
Julien Bezinら

17)JAMA Intern Med 2016 Oct 1;176(10):1474-1481.  
Association of Bile Duct and Gallbladder Diseases With the Use of Incretin-Based Drugs in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus  
Jean-Luc Faillieら

18)Curr Nutr Rep. 2025 Apr 28;14(1):63.  
Impact of GLP- 1 Receptor Agonist Therapy in Patients High Risk for Sarcopenia  
Zoe Memelら

19)Diabetes Obes Metab . 2024 Sep:26 Suppl 4:16-27.  
Changes in lean body mass with glucagon-like peptide-1-based therapies and mitigation strategies  
Ian J Neelandら

 

(筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

新しい年を迎えて半月が過ぎました。

 

普段どおりの日常の生活の中に戻り、忙しい日々のなかで

常識に流されてしまいがちになりますね。

アップル創業者スティーブ・ジョブズが残した、こんな言葉があります。

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life."

「時間は限られているのだから、他人の人生を生きることに浪費してはいけない」という意味になります。

 

自分らしい選択、自分の心が本当に望む道を歩むことが重要であることを教えてくれるような気がしますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

美容・抗老化医療において、「高濃度ビタミンC(IVC)」の点滴療法は、皮膚の若返りや美白を目的として日常的に活用されています。

 

今回は、最新の知見に基づき、その作用機序と安全性について、お話をしてみたいと思います。

ビタミンC(アスコルビン酸)

まずは、高濃度ビタミンCについてのお話をしてみたいと思います。

よくある疑問から、お話をしてみたいと思います。

 

「ビタミンC」は、すぐに尿として体外に出てしまう・・・と思ってらっしゃる方は、多いかもしれませんね。

 

それは、本当なのでしょうか?

 

「ビタミンC」の動態における最大の制約(せいやく)は・・・

「腸管吸収の飽和性(ほうわせい)であると言えます。

 

ある研究によれば、経口摂取による血中濃度は厳密に制御され、最大でも 200μmol/L 程度でプラトーに達することが報告されています(参考1)。

 

つまり、どんなに「経口」から、「ビタミンC」を摂取しても・・・

天井がありまして、200μmol/L 程度よりは濃度が増加しないということになりますね。

 

これに対し、静脈内にビタミンC投与(IVC)をすると、「ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVCT1/2)」による制限を回避し、50gの投与で 13,400 μmol/L を超える超生理学的濃度を達成可能であるとされています(参考2)。

 

Böttgerらのレビュー が示す通り、「高濃度ビタミンC」は薬物の排泄速度が、その時点での体内薬物濃度に比例するわけですが、この一時的な「ビタミンC」の高濃度状態が後述するプロオキシダント作用の鍵となると報告wpされています(参考3)、

 

 

image

                                      (AIを用いて画像を作成)

 

「高濃度ビタミンC」は、単なる抗酸化剤にとどまらず、皮膚の「構造維持」において「補酵素」として不可欠な役割を担うことが知られています。

 

1.コラーゲン合成の最適化


真皮層の弾力性に影響を与える「コラーゲン分子」の生成過程において、プロリル水酸化酵素およびリシル水酸化酵素の活性化に

「ビタミンC」が必要であることが分かっています。

 

「ビタミンC」は、これら酵素の活性中心にある鉄イオン Fe3+

を還元状態 鉄Fe2+ と酵素の活性中心に含まれる金属維持することで、安定した三重らせん構造の形成を促進します(参考4)。

 

 

2)IVC特有のプロオキシダント作用

点滴によって達成される薬理学的濃度では、「ビタミンC」は一時的に過酸化水素(𝐻2𝑂2)を発生させる「酸化促進剤」として機能します。

これはがん細胞への選択的毒性として知られていますが、皮膚組織においても、軽微な「酸化ストレス」が細胞の自己修復能力(ホルミシス効果)を刺激する可能性が示唆されています(参考5,6)。

 

 

軽微な「酸化ストレス」が細胞の自己修復能力(ホルミシス効果)を刺激する・・・などと少し厄介(やっかい)なお話になっているわけですが、続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>1月20日

 

1月20日は、1年のうちで、最も寒いとされる「大寒」だそうで、窓の外では冷たい風が吹き荒れているようです。
ニュースを読んでいて、円安傾向が続いているのに加え、日本の長期国債の金利が史上最高水準になっていることも背筋が寒くなるニュースであると思った次第です。

さて、今回は「高濃度ビタミンC点滴」のお話をさせていただきました。

真皮層は、「線維芽細胞」の作り出すコラーゲンとエラスチンの格子状の構造物からできており、この隙間をヒアルロン酸で埋めていることになります。

加齢により、「線維芽細胞」の機能が低下してくると・・・コラーゲン、エラスチンの構造物が弱っていき、その結果、皮膚表面のシワやタルミが出てしまうわけですね。

真皮層の弾力性に影響を与える「コラーゲン分子」の生成過程において、プロリル水酸化酵素およびリシル水酸化酵素の活性化に「ビタミンC」が必要であるので、

この真皮層のコラーゲンの強化には、とても有効であるのは間違いがないと言ってよいと思います。

本文の中で、「高濃度ビタミンC点滴」には、「ホルミス効果」があると報告されているというお話をしたのですが・・・現時点では、実は賛否両論があるものとなっています。

「高濃度ビタミンC点滴」の持つ「ホルミス効果」というのは、次のような理論となります。
よく強調されるのは、次のようなことになります。

 

「高濃度ビタミンC点滴」は、 「過酸化水素」を発生させる「酸化促進剤」として機能する性質を持つ、これが軽微な「酸化ストレス」

となるというものです。

この軽微な「酸化ストレス」は、癌細胞に対する選択的毒性を持つことが知られています、

今回は「癌」に対する一定の治療効果があるというお話はしませんが、このような新しい知見を報告した論文は多くなっています。

この原理と同様に・・・皮膚組織においても、軽微な「酸化ストレス」が、真皮層の「線維芽細胞」に微小なダメージを一旦与えることで、その「線維芽細胞」の自己修復力(ホルミス効果」を引き出し、
コラーゲン、エラスチンを最強化させるというストーリーになるわけです。

なんとも頼もしい理論ではあるのですが、現時点では「???」となっているわけですね。
現時点では「理論的仮説」の域を出ておらず、直接のヒト皮膚データはほぼ存在しないようです。
 

海外の文献には、実際の臨床応用を考える際には、「抗酸化・保護作用」が主目的であり、「意図的ホルミシス」としての利用には慎重さが必要であると述べられています。

このようなことから、先に述べたような「真皮層のコラーゲンの強化」には、有効とだけお話をすることが多いわけですね。

これと比較しますと、「iPS細胞由来エクソソーム」は、加齢の進んだ「線維芽細胞」内に入ることにより、

「コラーゲン」、「エラスチン」の産生量は、劇的に回復することが報告されているので、「高濃度ビタミンC点滴」よりは効果が期待できるということになります。

次に「メラニン産生」を「高濃度ビタミンC点滴」だ抑制できるかという問題があります。

これは、皮膚の表皮層と真皮層の境界付近に「メラノサイト」があり、このメラノサイトから「メラニン」という色素が分泌され、徐々に表面に浮き上がってくるわけですね。


「メラニン」には、色が付いておりまして、皮膚表面に限局した部位に出れば「シミ」となり
広範囲に出れば「クスミ」ということになりますね。

「高濃度ビタミンC点滴」は、メラノサイトからのメラニン色素の産生を抑制し、さらに皮膚表面のメラニン色素を無色化し、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を活発化させると考えられています。

これは、「ビタミンC」自体にメラノサイトのメラニン産生を抑える明確な機序があり、美白外用剤としては科学的根拠があるとされています。

一方で、「高濃度ビタミンC点滴」が表皮メラニン沈着をどの程度改善するかを示すヒト臨床データは乏しいものの、理論的に充分に可能であると考えてよいとされているのですね。

なかなか、「ビタミンC」の世界は、奥が深いですね、

今回も最後までお付き合いくださり
誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Ann Internal Med. 2004 Apr 6;140(7):533-7.

Vitamin C pharmacokinetics: implications for oral and intravenous use

Sebastian J Padaysttyら

 

2)Ammino Acids. 2008 Apr;34(3):347-55. 

SVCT1 and SVCT2: key proteins for vitamin C uptake  

I Saviniら

 

3)J Exp Clin Caancer Res,. 2021 Oct 30;40(1):343.

High-dose intravenous vitamin C, a promising multi-targeting agent in the treatment of cancer

Fransiska Böttgerrら

 

4)Antioxidants(Basal). 2022 Aug 26;11(9):1663.

Ascorbic Acid (Vitamin C) as a Cosmeceutical to Increase Dermal Collagen for Skin Antiaging Purposes: Emerging Combination Therapies

Yong Chool Booら

 

5)Front Med (Lausanne). 2025 Aug 29:12:1633447.

The dual role of vitamin C in cancer: from antioxidant prevention to prooxidant therapeutic applications

Xiongfeng Caoら

 

6)Nutrients. 2020 May 21;12(5):1501.  

Two Faces of Vitamin C-Antioxidative and Pro-Oxidative Agent

Kaźmierczak-Barańska Jら

 
 

(恵比寿ガーデンプレイス バカラのシャンデリア)

(筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

新しい年が始まり、いつもの日常が戻りつつあるという方は多いかもしれませんね。

 

1800年代の米国の思想家 ラルフ・ワルド・エマーソンは次のような

言葉を残しています。

 

「Do not go where the path may lead. Go instead where there is no path and leave a trail.」

 

「道なき道を行け。そして足跡を残せ」

1年の始まりには、やや勇ましい言葉が相応しい(ふさわしい)ように思います。

 

皆さまの体調はいかがでしょうか?

 

 

(AIで画像を作成)

 

さて、今回は「老人」の認知症に関連したお話をしてみたいと思います。

例えば・・・「最近、あの方は頑固(がんこ)になりましたね」なんて、話題は出てこないでしょうか?

 

さまざまな医療の進歩により、ヒトの人生の長さは、ますます、長くなっていきそうですね。

 

人生120年時代に何が起こりうるか?・・・ということを事前に予測し、問題を回避することは、重要なことに思います。

 

ますます、元気な高齢者が増えて、社会活動に積極的に関わることが

多くなることが予想されます。

 

身体(からだ)は、すこぶる元気であるのに・・・目に見えない形で「認知症」といかないまでも、「認知機能」の低下を密か(ひそかに)発症している場合には、致命的なミスを起こしてしまうこともあるわけですね。

 

先にあげた「頑固になった」という性格の問題として片付けるのではなく、として捉える視点は、現在の老年精神医学や行動経済学の考え方に合致してい流のだそうです。

 

例えば、高齢者や認知症の方で、周りが助言しても、本人が失敗を経験しても、同じ行動を繰り返すことがあります。将来の「危険(病状悪化、金銭問題など)」を軽く見てしまうこともあります。

これは「性格が頑固」というより、脳の中で「経験から学ぶ仕組み」と「未来を思い描く仕組み」が弱くなった結果として起こることがあるわけですね。

 

いったい、どのようなことが起こるというのでしょうか?

 

 1. 経験から学びにくくなる理由:「報酬予測誤差」が働きにくい

ヒトは、失敗や成功を通じて学びます。そのとき脳では、「予想していた結果」と「実際の結果」の差を使って、次の行動を調整しています。

これを「報酬予測誤差(Reward Prediction Error)」と呼びます。

この調整には、ドーパミンの仕組みが関わり、とくに中脳から眼窩前頭皮質(OFC)や前帯状皮質(ACC)につながる回路が重要です。
加齢や認知症でこれらの領域が弱ると、「失敗した」「これは良くなかった」というサインをうまく受け取れなくなります。

 

その結果、普通ならブレーキがかかる場面でもブレーキが効きにくくなり、同じ行動が繰り返されます。

さらに周囲が説明しても、その情報が脳の中で「次から変えよう」という更新につながりにくくなることがあるというのですね。
 

(AIを用いて画像を作成)

 

2. 未来を想像しにくくなる理由:「エピソード的将来思考」が弱る

将来の不利益(このままだと病気が悪化する、生活が困る等)を理解するには、脳が未来の自分の状況を具体的に思い描く力が必要です。
 
これは.「エピソード的将来思考(Episodic Future Thinking)」と呼ばれます。

この機能は、記憶に重要な「海馬」と、将来の場面を組み立てる「腹内側前頭前皮質」の連携で成り立ちます。
 
「海馬」は、さまざまな記憶をインデックス化しており、それらの記憶を世に起こす時の手がかりになるものでしたね。
 
「認知症」では早い段階からこのネットワークが弱くなりやすく、結果として「今この瞬間」に意識が偏りやすくなります。

そのため、数か月後・数年後の問題が現実味のない話のように感じられ、目の前の楽さや利益が優先されやすくなります。いわゆる「現在バイアス」が強くなる、という形で説明されます。

まだまだ、特徴があるのですが、続きは後日の話題にしたいと思います。
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
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< ブログ後記  >1月13日

 

なんとも、騒がしいニュースばかりで、ウンザリすることの多い毎日

ですね。

だからといって、特定の個人を「頑固」で認知症なのではないのか?・・・などととお話をするつもりではないわけです。

 

ちょっと、難しいなあ〜と思われる方もいらっしゃると思いますので

少しだけわかりやすい文章にしてみたいと思います。

 

なので、今回は、参考文献を省略したいと思います。

本文でもお話をしたように「認知症」の方が周囲の助言を聞かず、同じ失敗を繰り返す姿は、一見すると「性格が頑固になった」ように見えます。

失敗を指摘されても、修正ができないことも、同じことになりますね。

 

しかし、脳科学の視点から見れば、それは性格の問題ではなく、

「脳という精密機械の特定の部品が物理的に壊れた」状態ということになります。

 

それは、繰り返しにもなりますが・・・

​​​​​​
1. 「学習機能」の故障---(失敗を経験に変えられない)

人間は通常、失敗すると脳内のセンサー(報酬予測誤差)が働き、「次はこうしよう」と行動を修正します。

ところが、「 認知症」では、この「修正指示」を出す「眼窩前頭皮質(OFC)」などの回路が機能しません。

 

例えば・・・車についているカーナビの「再検索(リルート)機能」が壊れた状態であるということになります。

 

間違った道に入っても、ナビが「ルートを外れました」と教えてくれないため、本人は正しい道を走っているつもりで、同じ間違いを繰り返してしまいます。

2. 「未来シミュレーター」の停止---(数分後~未来の危機が想像できない)

「このままでは病気が悪化する」という警告を理解するには、未来の自分を想像する力(エピソード的将来思考)が必要になってきます。

 

「エピソード的将来思考(Episodic Future Thinking: EFT)」とは、「未来に起こりうる出来事を、まるで目の前で見ているかのように具体的に想像する能力」のことですね。

 

しかしながら、「記憶」の司令塔である「海馬」と、イメージを組み立てる「腹内側前頭前皮質」の連携が断絶していまますと、

未来に起こりうる事態が、予想できなくなってしまうとされています。

例えば・・・目的地が「寒い」という知識はあっても、現地で自分が凍えている姿や、厚着をして歩いている姿をリアルにシミュレーションできないため、適切な防寒具を持たずに家を出てしまう。

 

とか

 

今このお菓子を食べたら、明日の朝に胃もたれで苦しんでいる自分の姿をリアルに想像(疑似体験)できないため、「今食べたい」という欲求を抑える動機が湧かない。

 

とか

 

これを言ったら相手がどんな表情をし、その場がどんな空気になるかを事前に脳内で「プレビュー」できないため、思いついたことをそのまま口に出してしまう

 

などのエピソードになります。

 

3. 「他者モニター」の麻痺-----(アドバイスが自分への「攻撃」に聞こえる)

他人の意図を汲み取る能力(心の理論)が低下すると、周囲の親切な助言が正しく処理されません。

「内側前頭前皮質」が障害されると、他者の視点に立つことができなくなります。

 例えますと・・・翻訳機が故障して、外国語がすべて「怒鳴り声」に変換されているような状態です。

周囲がどれほど論理的に説明しても、本人の脳には「自分を否定するノイズ」としてしか届きません。

4. 「付箋(ふせん)」が剥がれ落ちる脳

「後でこれをしよう」と覚えておく力を「展望記憶」と呼びますが、「前頭葉」が衰えるとこれが維持できません。

例えますと、 脳の中に貼った「備忘録(びぼうろ苦)の付箋」が、貼ったそばから剥がれ落ちていく状態です。

たとえその場で「わかった」と納得しても、次の瞬間にはその約束自体が消えてしまうため、周囲には「反省していない」と映ってしまいます。

とこのようなものになります。

 

話を少し変えまして・・・ヒトは、時間や歴史の「流れ」をどこで、感じるのでしょうか?

 

これは、、脳全体のうち、どこか一か所ではなく、「海馬・内側側頭葉」が時間情報を刻み、「前頭葉・頭頂葉」および「DMN(Default Mode Network:デフォルトモードネットワーク)」がそれを「物語」として統合するネットワーク全体の働きと考えられています。

 

「DMN」とは、脳が意識的な活動をしていないとき、つまり、ぼんやりしているときに活性化する神経回路ななります。
 

「自分の社会的立場を歴史の流れに合致させられない」という感覚は、一見すると社会学的・哲学的な問題に思えますが、脳内では「海馬」が司る「エピソード記憶」「時間的展望」「社会的な地図(Social Mapping)」といった機能が深く関わっているからなのだそうです。

 

ヒト1人の脳には約860億個のニューロンがあり、それぞれが数千から数万のシナプス結合を持っています。脳は並列処理に優れ、約20ワット程度の低消費電力で動作します。

 

最新の「量子コンピューター」は量子ビット(qubit)を使い、重ね合わせやもつれといった量子力学的な性質を利用して計算します。

ヒトの脳は、現在の最先端の量子コンピューターでも数百台以上にもなる能力を持っているとされます。

 

先にお話をしたように一部の不具合があれば、「認知症」があれば判断に間違いが出てしまうというわけですね。

 

これからの世界は、「AI(人工知能)」の台頭」によるシンギュラリティー.温暖化や海流変化による気候変動、海面上昇による陸地の減少、気候変動による食料難など、さまざまな問題が山積みなわけですね。

 

これらを解決する方向に進んでいかなければ、地球はヒトが居住できない惑星になっていく可能性もあるわけです。

 

まあ、そう考えると・・・ボケたもん(者)勝ちになるわけですがね。

 

これからの世界を担う方には、遠い将来を見通す「大局観(たいきょくかん)」を持って、未来に向かっていただきたいと願うばかりです。

 

今回も最後までお付き合いくださり、

誠にありがとうございましたお願い

 

(丸の内仲通りイルミネーション)

 (筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

新年明けましておめでとうございます。

 

旧年中は当ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。皆様からのコメントや応援のお言葉が、毎週の更新の大きな励みとなっております。

 

本年も読者の皆様にとって有益で、楽しんでいただける記事をお届けできるよう努めてまいります。

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

皆様にとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIで画像を作成)

 

今回は、「内臓脂肪型肥満」や「動脈硬化」の改善に有効なのではないかと考えられている新規の治療について、お話をしてみたいと思います。

 

まずは、「iPS細胞由来エクソソーム」です。

 

2006年、山中伸弥博士の率いる京都都大学の研究グループによってマウスの「線維芽細胞」に4つの遺伝子を導入することで作成された「万能細胞」ですね。

2012年のノーベル生理学・医学賞を山中伸弥先生は、受賞されていますね。

現在では、ヒトでも「iPS細胞」は、作成され、さまざまな分野で臨床研究が進められているわけです。

この「iPS細胞」からも「エクソソーム」が放出されています。

 

この「iPS細胞由来のエクソソーム」の特徴として、間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームと比較して細胞増殖能や抗老化能が高い傾向にあることが報告されています(参考1)。

 

動脈硬化に関連することとしては・・・血管内皮細胞」の老化を逆転させ、虚血部位の「血管新生」を促進する能力が優れていることが示唆されています。

 

さらに肺高血圧モデル細胞で、細胞老化関連表現型(SASP)の抑制したという報告もあります(参考2)。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

次に『間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム』です。

 

についても、「動脈硬化」に関連する多くのデータが示されています。
 

「間葉系幹細胞」や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、非常に強力な「抗炎症作用」と「組織修復能」を持っていることが分かっています。

「間葉系幹細胞」や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の大きな特徴は、次のようになります。

 

内臓脂肪に浸潤している「M1型マクロファージ(炎症促進性)」を「M2型マクロファージ(抗炎症性)」へ転換させることができます(参考3)。

 

これにより、内臓脂肪から放出されるTNF-αやIL-6などの「炎症性サイトカイン」の産生が減少し、全身のインスリン抵抗性と動脈硬化の進展が抑制されることが報告されています。

 

さらに「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、miR-148a(マイクロRNA-148a)を肝臓に届けることによって肝線維症(肝硬変)から保護することも分かっています。

 

miR-148aは、肝内マクロファージの機能を調節し、肝線維症の潜在的な治療効果を示すのだそうです。

 

また、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、miR‑let‑7/IGF2BP1/PTEN 経路を介して、アテロームプラーク内のマクロファージの浸潤と生存を減少させる可能性があり、プラーク炎症負荷低下につながる可能性が示されています(参考4)。

 

つまり、プラークの安定性を保つと考えてよいかもしれませんね、

 

ここまでをみると、「動脈硬化」の根本的な問題は、「血管内皮細胞」の障害であり、その一部は「血管内皮細胞」が老化細胞に変化することです。

としますと・・・「iPS細胞由来のエクソソーム」は、「血管内皮細胞」の老化スピードを低下させ、虚血部位の「血管新生」を促進する能力が優れていることが示唆されています。

 

さらに炎症性サイトカインを放出させる「SASP」を改善させることは、「動脈硬化」の進行を緩やかにする可能性があります。

 

一方で、「内臓脂肪型肥満」の存在は、「動脈硬化」を進行させるとされていますが、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、

内臓脂肪に浸潤している「M1型マクロファージ(炎症促進性)」を「M2型マクロファージ(抗炎症性)」へ転換させ、その結果として、

「炎症性サイトカイン」を減少させます。

 

このことは、その結果として「動脈硬化」の進展を抑制させる効果が期待できるわけですね。

「iPS細胞由来のエクソソーム」と「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の両者を見てみると、どちらも、研究論文が、少ないのが現状です。

しかしながら、現時点では作用機序は異なるものの、「動脈硬化」の進展に一定の効果が期待できる可能性があると言えるかもしれませんね。

 

次に「NAD+」や「NMN」、そして、「高濃度ビタミンC点滴」の「動脈硬化」に対する効果はあるのか?・・・と疑問が湧いてくるわけですが、これらについては、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごし下さいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ後記>   1月6日
 

2026年が始まり、1週間程度になりますね。
正月には雪も降りました。

日本最古の歌集とされる「万葉集」には、正月の雪を「吉事が重なるしるし」として喜ぶ和歌があります。

その和歌は、大伴家持という歌人の和歌で

「新しき年の初めの初春の 今日降る雪の いやしけ吉事」

というものがあります。その意味は

「新年の今日、降りしきる雪のように、良いことがますます重なりますように」となりますね。


「正月一日」の宴で詠まれたことが示されていますが、正月の雪を表現しているといってもよいかと思います。

さて、本題に入りますと・・・「肥満」とくに「内臓脂肪型肥満」は、慢性炎症を介して「動脈硬化性心血管疾患」を惹起する

中心的病態であると言えます。

これに対して、通常の治療以外の「新規治療」の可能性、また、治療の補助となるものはないか・・・というのが、今回の話題ですね。

本文内では、「iPS細胞由来のエクソソーム」と「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」について、お話をしたわけですが・・・その他にも「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」と
「NAD+((ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」、「高濃度ビタミンC点滴」などにその効果があるのではないかとされているわけですね。」

まず、「NMN」ですが、マウスでは、「NMN』の投与により、以下のことが報告されています。

 

それは、加齢に伴う内皮機能低下と大動脈硬化(スティフネス)がほぼ正常化し、血管内皮細胞に依存する血管拡張、NO依存性拡張、脈波伝播速度、弾性率が改善したという報告があります(文献5)

また、同様にマウスによる動物実験ですが、NMNは大動脈内皮炎症(ICAM‑1, vWF)を抑え、アンジオテンシンII誘発の内皮機能障害を防ぎ、NO依存性血管拡張を回復させたという報告もあります文献6)。

ヒトでは、大規模な臨床試験は行われていないこともあり、残念ながら、現時点で「動脈硬化」そのものを改善させたという報告はないようです。

しかしながら、「NAD⁺前駆体(主にニコチン酸)」は、ヒトで

LDL-C・TG低下、HDL上昇など「脂質プロファイル」を有意に改善し、「動脈硬化」のリスク低減につながる可能性が示されています(参考7) 。

NR(ニコチンアミド・リボシド)は、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)と同様に体内で、「NAD+」に変換される前駆体ということになりますね。

これらのNAD+前駆体は、グルコース、及び、脂質代謝の改善、加齢に関連する疾患の予防や加齢に伴う慢性炎症の軽減などの潜在的ば可能性が高いと報告されています(参考8)。

さらにヒトデータは、まだ前臨床レベルではあるのですが、「NMN」や「NAD+」の投与により、

血管壁を構成する細胞のミトコンドリアの機能回復と抗酸化力をアップさせることが確認されており、今後、新しいデータが報告される可能性が高いと考えられます。

次に「高濃度ビタミンC 点滴療法」ですが、「動脈硬化」の予防にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?


「高濃度ビタミンC点滴療法」は、経口摂取では到達できない血中濃度を達成できるという利点があります。

しかし、「動脈硬化」の「治療」としてのエビデンスレベルは、NAD+前駆体やエクソソーム療法と比較すると、相対的に弱いと考えられています。

「ビタミンC」は、内臓脂肪やそれによの病態そのものを根本的に変えるというよりは、急性的な酸化ストレスの軽減や既存の治療法への補助として位置づけるのが妥当であると考えられているようです(参考9)。

しかし、大規模臨床試験において、「ビタミンC」単独投与が心血管イベントを有意に減少させたという確固たるエビデンスは得られていないといえます。

実際に多くの「高濃度ビタミンC点滴療法」の論文に目を通してみても、主にがん補助療法として研究されており、抗腫瘍効果や抗酸化・抗炎症などが議論されています(参考10)

確認されているのは・・化学療法の効果を高め。その副作用を軽減することになります。


しかしながら、「動脈硬化」の進行抑制や改善するという報告は、やはり、見当たりませんでした。

上記に述べたことから、「NMN」や「NAD+点滴」と併用する形で、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の投与か、或いは、「iPS細胞由来エクソソーム」のどちらか、或いは、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の投与」と「iPS細胞由来エクソソーム」の併用療法が、
内臓脂肪の機能正常化と血管壁の生物学的若返りを同時に達成するための極めて合理的な戦略であるとする報告も幾つかありました。

いずれにしても、単独ではなく、これらの中から併用していくことが有用であると考えて良いのかもしれなせんね。

あくまでも・・・現時点の報告からは・・・ということになるわけですがね。

今回も最後までお付き合いくださり
誠にありがとうございましたお願い
 

参考)

1) J Transel Med. 2015 Feb 1:13:49. 

Exosomes released from human induced pluripotent stem cells-derived MSCs facilitate cutaneous wound healing by promoting collagen synthesis and angiogenesis 

Jieyuan Zhangら

 

2)Circulation、Vol 148 Number Suppl 1 

Abstract 14923: Induced Pluripotent Stem Cell Derived Endothelial Progenitor Cells Attenuate Pulmonary Arterial Hypertension

Wei -Chun Huangら

 

3) Stem Cell Res Ther 2025 Feb 21;16(1):74.

Huc-MSCs-derived exosomes alleviate non-alcoholic steatohepatitis by regulating macrophages polarization through miR-24-3p/STING axis

Wel Jiangら

 

4)Stem Cell Research & Therapy.2025.16

Mesenchymal stem cells derived exosomes: a new era in cardiac regeneration

Hossein Rayat Pishehら

 

5)Aging Cell. 2016 Jun;15(3):522-30. 
Nicotinamide mononucleotide supplementation reverses vascular dysfunction and oxidative stress with aging in mice.
Natalie E de Picciottoら

 

6)Biochem Pharmacol . 2020 Aug:178:114019.
Reversal of endothelial dysfunction by nicotinamide mononucleotide via extracellular conversion to nicotinamide riboside
Łukasz Mateuszukら

7)Nutr Metab (Lond) . 2022 Mar 18;19(1):20.
Effects of NAD+ precursor supplementation on glucose and lipid metabolism in humans: a meta-analysis
Ou Zhongら

8)Endocr Rev . 2023 Nov 9;44(6):1047-1073.
 Nicotinamide Adenine Dinucleotide in Aging Biology: Potential Applications and Many Unknowns
Shalender Bhasinら

9)J Am Coll Nutr. 2003 Feb;22(1):18-35.
 Vitamin C as an antioxidant: evaluation of its role in disease prevention
Sebastian J Padayattyら

10)J Exp Clin Cancer Res. 2021 Oct 30;40(1):343.
High-dose intravenous vitamin C, a promising multi-targeting agent in the treatment of cancer
Franziska Böttgerら
 

(東京駅駅舎)

 (筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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