こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月最後の休日の午後となっています。そして、明日からは7月になりますね。

 

まさに「光陰矢の如し(こういんやのごとし)」という感じでしょうか。すべての出来事(できごと)がすぐに過去のことになってしまうことに気がつきます。。

 

英語では、’’Time flies like an arrow.”

      「時は矢のように飛ぶ」と言われるようですね。

 

ちなみに弓矢(ゆみや)を使うスポーツ競技に「弓道(きゅうどう)がありますが・・・

弓道の矢の速度は、装備や弓の強さにもよりますが、時速200Kmとされていますので・・・

いかに速いかが、お分かりいただけると思います。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

         (筆者が人工知能 A Iで作成)

 

今回は、何かと話題の多い「ピロリ菌」に関するお話をしてみたいとと思います。
 
「ピロリ菌」の正式な名称は、正式名は「ヘリコバクター・ピロリ
(Helicobacter pylori)」と言います。
 

ヘリコとは「らせん」とか「旋回」という意味となります。ヘリコプターのヘリコと同じです。ひげの部分も回転させて移動します。

バクターとはバクテリア(細菌)。ピロリとは胃の出口(幽門)をさす「ピロルス」からきています。

 

名前が示すように、この菌は胃の幽門部から初めて見つかったのですね。時は、ロイヤルパース病院の病理医だったウォーレンは1979年、胃炎患者の胃粘膜に小さな曲がった未知の細菌(ピロリ菌)を発見し、その後消化器内科研修医マーシャルとの共同研究により、1982年にはピロリ菌の分離培養に成功し、1983年に報告しています。

 

マーシャル自身がピロリ菌を飲む実験により急性胃炎が起こることを確かめたエピソードは有名な話ですので、ご存知の方もいっらっしゃると思います。

 

西オーストラリア大学の名誉教授になったロビン・ウォーレン氏と同じように同大学教授となったバリー・マーシャル氏は、「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」を発見した功績から、 2005年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 

    (ヘリコバクター ピロリ菌;写真はお借りしました)

 

この「ヘリコバクター・ピロリ菌」が、なぜ重要なのか??・・・と言いますと・・「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染は、「胃がん」の発症リスクを高める主要な要因の一つと考えられているからというのが、そのとなります。

 

 

国際がん研究機関(IARC)と世界保健機関(WHO)は、「ヘリコバクター・ピロリ菌」をグループ1の発がん性物質に分類しており、ヒトにおける発がん性が確実であると認識されているのですね。

 

疫学研究では、「ヘリコバクター・ピロリ菌」感染者は、非感染者と比較して胃がんリスクが約2~6倍高くなると報告されています。

 

では、どのような機序により、「ヘリコバクター・ピロリ菌」は、胃癌病変を発生させていくのでしょうか?

 

それは、次のようなメカニズムが感が考えられています。

 

「ヘリコバクター・ピロリ菌」は、粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。

 

この慢性炎症は、胃粘膜の萎縮、腸上皮化生、異形成といった段階を経て、最終的に「胃癌」へと進行すると考えられています。

 

特に、H. pyloriの中には、細胞毒素関連遺伝子A「CagA(キャグエー)」を持つ菌株が存在し、この菌株はより強い炎症反応を引き起こすことが知られている。「CagA陽性」株は、この菌株はより強い炎症反応を引き起こすことが知られています。

 

「CagA陽性株」は、胃がんリスクをさらに高めるとされているリスクをさらに高めると考えられているのですね。

 

では、菌に感染しているか?・・・は、どのような検査を施行すればよいのでしょうか?

よく行われる検査は、以下のようなものになります。

 

1)血液検査:「ヘリコバクター・ピロリ菌」に対する抗体の有無を調べる。

 

2)呼気テスト:尿素呼気試験で、「ヘリコバクター・ピロリ菌」の有無を判定する。

3)便検査:便中の「ヘリコバクター・ピロリ菌」の有無を検出する。

4)内視鏡検査:胃粘膜の生検を行い、病理組織学的に「ヘリコバクター・ピロリ菌」を確認する。

 

しかしながら、日本へリコバクター学会は、上記の1)の抗体検査について、「血清抗体価は、現在のピロリ菌感染状態を反映するものではない」としており、「除菌治療前には、血清抗体法だけではなく現感染診断に適した検査を実施し、陽性であることを確認する」ことが必要であるとしています。

 

つまり、H. pyloriに対する抗体が陽性だったからといって除菌治療を行うことは推奨されない・・・という見解を出していますので、実際には、上記2)〜4)の検査が必要になってくるということになりますね。

 

 

JTKクリニックでは、主に2)の「呼気テスト」を施行しています。

 

さらに胃癌ばかりでなく、「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染が原因になることがあると分かっている疾患には、次のようなものがあります。

  • 慢性胃炎

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍

  • 胃ポリープ

  • 胃MALT(マルト)リンパ腫

  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

  • 機能性ディスぺジア

  • 鉄欠乏性貧血

「ピロリ菌」などとカワイイ名前をしているわけですが・・・なかなかのものですよね。
 
100歳〜120歳までの健康長寿を目指す「ウェル ビーイング」という考え方は、とても人気があるものです。
 
そして、その実現のために「幹細胞治療」、「幹細胞エクソソーム治療」、そして、「NMN」などといった「アンチエイジング」医療があり、これからも大いに発展していくことが予想されるわけです。
 
しかしながら、前回のブログ内でもふれた「内蔵型脂肪性肥満」からの2型糖尿病や脳血管障害の発症、そして、今回の「ヘリコバクター・ピロリ菌」感染からの胃癌や各種疾患の発症などのリスクを細かく避けていくことができなければ・・・
 
「ウェル ビーイング」という言葉どおりのことは、到底(とうてい)、夢のまた夢のこととなり、実現は難しい・・・と思ったりするのは、考えすぎなのでしょうか?・・・ね爆  笑
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
-------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>7月2日

 

晴れ間が見えるのは良いのですが、なんとも蒸し暑い1日となりましたね。

今回は、主に胃癌の原因となる「ヘリコバクターピロリ菌(以下はピロリ菌)」に関連するお話をさせていただきました。
 

「ピロリ菌」は、グラム陰性微好気性細菌といったものでありまして、正真正銘(しょうしんしょうめい)の「細菌」ということになります。

 

細菌が胃酸の中で育つのか?・・・と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「ピロリ菌」は、胃のなかで生存するために

尿素をアンモニアに変換する酵素である「ウレアーゼ」を産生し、胃の過酷な酸性環境で生き延びていくことが可能になっているのですね。

さらに「ピロリ菌」は、免疫応答を回避して排除を防ぐためのさまざまなメカニズムを進化させています。

「細菌」の感染で、癌病変が生じる・・・と言いますと、そんなことがあり得るのかと思われるかもしれませんが、「細菌感染」もDNAに障害を起こす外因的な要因のひとつと考えられています。

ほとんどの「発癌物質」は、DNA損傷や突然変異を誘発することによって作用するものであることが知られているわけですが・・・


「ピロリ菌」感染は、一般的な「発癌物質」と同様に・・・DNA損傷変化を及ぼすとされています。

では、「ピロリ菌」感染は、どのようなメカニズムで、ヒトのDNAにどのような変化を及ぼす(およぼす)のでしょうか?

そのメカニズム的は、次のようなものであると考えられています。

「ピロリ菌」が感染しますと・・・局所的な炎症を引き起こし、ヒト細胞において「酸化的損傷」や「二本鎖切断(DSB)」などのDNA損傷が引きおこされると考えられています。
「酸化的損傷」とは、「活性酸素」の関与する組織の傷害ですね。

さらに、各種の遺伝子発現に関与するプロモーターという部分のメチル化やヒストン修飾の阻害など(エピジェネティクス)、さまざまなメカニズムを通じて、DNA修復機構の連携が損なわれ、この修復機構にも障害などを起こしたりして、不正確なDNA修復を生じさせます。

 

また、「ピロリ菌」は胃の表面細胞に感染するだけでなく、胃腺の奥深くまで侵入し、幹細胞領域にまで達することが知られています。

 

これにより、幹細胞を活性化し、幹細胞を異常に増加させたりもします。


上記にあげた、さまざまな要因により、「ピロリ菌」感染後には、DNA修復経路の障害やゲノムの不安定性が増したり、染色体異常が容易に生じるなどの異常が蓄積して、最終的には「胃癌」の発生につながっていくというわけです。

「ピロリ菌」が誘発する胃がんにより、世界の中では2018年には約783,000人が死亡していると報告されています。
 このような状況から、国際がん研究機関(IARC)は、ピロリ菌をクラスI 「発がん物質」に分類しているというわけです。

image

           (図はお借りしました)


上の図に示すように・・・日本国内では「ピロリ菌」は幼年期に衛生環境が良くなかった年代に感染している人が多く、環境の整った現代では、感染している人の数が低下しています。

 

しかしながら、まだ一定の数の「ピロリ菌」の感染者もいることが予想されているために・・・健康診断などで「ピロリ菌」感染の有無をチェックする検査が含まれているのも、このためということになりますね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)
1.Genome Instability & Disease (2020) 1:129–142 
REVIEW ARTICLE
Helicobacter pylori infection induced genome instability and gastric cancer

Xiangyu Luiら など

 
 

 

     ( 赤坂プリンス クラシックハウス:筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

先週末には「梅雨入り(つゆいり)」が発表されましたね。

平年より2週間程度遅い「梅雨入り」なのだとか。

 

それでも、雨のおちてくる灰色の雲で覆われた空を見上げていると

 

「この梅雨の時期は、どのくらいっ続くのだろうか・・・」と考えてしまいます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

今回は、「インスリン感受性(かんじゅせい)の低下」・・・という話題をとりあげてみたいと思います。

 

「インスリン感受性の低下」とは、どのようなことなのでしょうか?

そして、このことが「肥満」からのみ生じるわけではないことをお話ししてみたいと思います。

 

 

「インスリン」は、膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞から分泌され、血糖値を調節することは、よく知られていることと思います。

 

通常の場合・・・「インスリン」は、細胞に作用して、血液中の糖を細胞内に取り込み、エネルギーとして利用できるようにします。

 

「インスリンの感受性の低下」とは、体内の細胞が「インスリン」に対して適切に反応しなくなる状態を指します。

 

つまり、「インスリン」が、細胞に作用しにくくなる状態を示すことになるので、「インスリン抵抗性(ていこうせい)」とも呼ばれます。

 

 

では、「インスリン感受性が低下」すると・・なぜ、「2型糖尿病」を発症するリスクが高くなると言われるのでしょうか?

 

それは、次のようなメカニズムから「2型糖尿病」の発症につながっていくと考えられているから・・・ということになります。

 

1)インスリンの効果の減少

 

細胞の表面には「インスリン受容体」があり、これが「インスリン」と結合することで、細胞が糖を取り込むシグナルを送ります。

 

「インスリン感受性が低下」すると、これらの受容体が「インスリン」に反応しにくくなり、同じ量のインスリンでは十分に効果を発揮できなくなります。

 

2)血糖値の上昇

 

細胞が糖を十分に取り込めなくなると、血液中の糖分が高いまま残ります。これが「高血糖」状態ということになります。

 

高血糖が続くと、身体はさらに「インスリン」を分泌しようとしますが、それでも効果が得られない場合、「インスリン抵抗性」呼ばれる状態に進行します。

 

3)インスリン抵抗性の進行

 

「インスリン抵抗性」が進行すると、膵臓は常に高い「インスリン分泌」を維持しようとしますが、やがて膵臓の機能が低下し、「インスリン分泌」が減少することがあるとされています。

 

これにより、「2型糖尿病」のリスクが高まるというわけですね。

 

では、「2型糖尿病」の発症リスクを高めてしまう「インスリン感受性の低下」は、どのようなことが原因で生じると考えられているのでしょうか?

 

これは、以下のような状況で生じやすいとされています。

 

肥満、運動不足,、加齢、遺伝、ストレス、睡眠不足どとなります。

 

では・・・「インスリン感受性の低下」を改善する方法はあるのでしょうか?

 

インスリン感受性を改善するための一般的な方法には、以下のようなものがあります:

 

◯ 健康的な食生活

バランスの取れた食事を摂ること、特に糖分や加工食品の摂取を減らし、野菜、果物、全粒穀物、良質なタンパク質を増やすことが推奨されます。

 

◯  定期的な運動

 有酸素運動や筋力トレーニングは、「インスリン感受性」を改善する効果があります。

 

◯ 体重管理

健康的な体重を維持することが、「インスリン感受性」の改善につながります。

 

◯ ストレス管理

ストレスを適切に管理することも重要です。リラクゼーション法やマインドフルネス、趣味などを取り入れると良いとされています。

 

◯  充分な睡眠

質の高い睡眠を確保することも、「インスリン感受性」を向上させるのに役立つとされています。

 

いかがでしたでしょうか。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記 >6月25日

「梅雨」に入ったのはよいのですが、なんとも蒸し暑い夜となっていますね。

 

今回は、「インスリンの感受性」の低下が、どのような状況で起こるのか?・・・というお話をさせていただきました。

 

インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。

 

「インスリン抵抗性」は、インスリンの働きが鈍くなる状態であり、多くは「内臓脂肪」の増加が代表的な原因とされています。しかしながら、本文内でもご紹介したように・・・運動不足、加齢、ストレス、睡眠不足なども原因として知られています。

 

「インスリン抵抗性」になると、どのようなことが起きてくるのでしょうか?

次のようなことが起きてくる可能性があっるのですね。。

 

まず、筋肉、脂肪組織、肝臓などの標的細胞がインスリンに対して鈍感になり、血液中の糖を効率よく取り込めなくなります。

 

そのため、血液中に糖が残り、血糖値が高くなる可能性があります。

 

血糖値が高い状態が続くと・・・膵臓は、血糖値を下げるために

より多くのインスリンを分泌しようとします。

しかしながら・・・当初は、通常より多いインスリンを分泌しようと頑張っていた膵臓もパワーが維持できなくなっていきます。

 

そして・・・最終的には膵臓のβ細胞が疲弊し、インスリン分泌機能が低下してしまいます。

これが2型糖尿病の発症に繋がっていくと考えられています。

 

では、「内臓脂肪型肥満」では、なぜ、最も「インスリン抵抗性」が起こりやすいのでしょうか?

これは、次のようなメカニズムであるとされています。。

 

「内臓脂肪」は、「皮下脂肪」に比べて、脂肪分解を受けやすく、血中への「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」の放出が亢進(こうしん)することが知られています

 

この血液中に存在する過剰な遊離脂肪酸は、筋肉や肝臓に蓄積することで「インスリン抵抗性」を引き起こします。

 

また、以前のブログ内でもご紹介したのですが・・「内臓脂肪細胞」は、「炎症性サイトカイン」を分泌し、インスリン受容体の機能を阻害する・・・と考えられているのですね。。

 

こうしたメカニズムにより、「内臓脂肪型肥満」は、糖尿病だけでなく、心血管疾患のリスクを高める重要な要因となると言えます。


最近の論文では・・・次のような興味深い報告もあります。


肥満における脂肪組織全体の機能不全の中で重要な発見は、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)/SIRT(サーチュイン遺伝子)の発現低下が報告されています。

 

NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)もSIRT(サーチュイン遺伝子)もNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の摂取により誘導されるものでしたよね。

 

若年でBMIの異なる「一卵性双生児」を対象としたの研究では、マイクロアレイ解析により、体重の重い者では、痩せている方と比較して、SIRT1(サーチュイン1遺伝子)、SIRT3(サーチュイン3遺伝子)」、SIRT5(サーチュイン5遺伝子)などのmRNAレベルでの発現が低下していることが明らかになったとされてい報告されています)


また、別の研究では、肥満被験者では、SIRT1(サーチュイン1遺伝子)、SIRT3(サーチュイン3遺伝子)、SIRT7(サーチュイン7遺伝子)のmRNAの発現が有意に低かったとも報告されています。

 

・・・と考えますと・・・長生きや健康長寿を目的に「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」のサプリを服用し続けても、あまり、

その効果が自覚しにくいかも・・・と思ったりもします。

 

まずは・・・「内臓脂肪」をなくすなどのダイエットを先行させ、その後に「N M N」を服用した方が、より効果が実感できるのかもしれませんね。

 

「インスリン抵抗性」も改善していくわけですから・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 


1.Diabetes2008;57(5):1269–1275.
Visceral Adiposity, Not Abdominal Subcutaneous Fat Area, Is Associated With an Increase in Future Insulin Resistance in Japanese Americans 

Tomoshige Hayashiら

2.Nutrients.2023 Aug; 15(16): 3652. 
Abdominal Obesity in Women with Polycystic Ovary Syndrome and Its Relationship with Diet, Physical Activity and Insulin Resistance: A Pilot Study
Jurczewska Jら

3.Biomedicines. 2023 Sep 18;11(9):2560.
The Role of NAD+ in Metabolic Regulation of Adipose Tissue: Implications for Obesity-Induced Insulin Resistance
Tatjana Ruskovakaら

 

 

          (以前のphoto:  筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨夜が雨の降っておりましたので、雨の休日と思っていました。

そんな予想に反して、青空の広がる休日となりました。

 

少し蒸し暑い(むしあつい)のには変わりないのですが、窓からは気持ちのよい風が入ってきます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

          (筆者が人工知能 AIで作成)

 

今回は「幹細胞(かんさいぼう)」についての話題にしてみたいと思います。

 

「幹細胞」とは、どのようなものであったでしょうか?

 

幹細胞には、いくつかの特徴的な性質がありましたね。

主な特徴を詳しく見てみたいと思います。

 

 

1)自己複製能力

 

「幹細胞」は自己複製する能力を持っていましたよね。

これは、同じ性質を持つ細胞を無限に生成し続ける能力を意味します。

これにより、幹細胞は長期間にわたって細胞源として存在し続けることができます。

 

2)分化能力

 

「幹細胞」は特定の条件下で、異なるタイプの細胞に分化する能力があります。

例えば、「造血幹細胞」は赤血球や白血球など、さまざまな血液細胞に分化することができますし、「神経幹細胞」であれば神経系の細胞のみに分化できることになります。

 

この性質により、「幹細胞」は組織や器官の修復、再生に不可欠であると言えます。

 

3)ニッチ依存性

 

「幹細胞ニッチ(stem cell niche)」と呼ばれ.「幹細胞」が各組織中に局在する場,もしくは微小環境.細胞外シグナルや細胞接着の場,酸素,栄養素等の供給を介して幹細胞の維持,機能制御に深くかかわるとされています。

 

4)再生能力

 

「幹細胞」は損傷した組織の修復や、病気の治療に利用される可能性があると考えられています。

 

例えば、心筋梗塞後の心臓組織の修復や、糖尿病に関連する膵臓のインスリン分泌に関与する「β細胞(ベータさいぼう)の再生に幹細胞が使用されることなどが、研究から明らかにされつつあるのですね。

 

これらの「幹細胞」の持つ特性が明らかになってきたことより、「幹細胞」は、再生医療の分野で、現在でも非常に重要な役割を担っていると考えられているのですね。

 

 

 

では・・・「幹細胞」は、血管内の投与されると・・・本当の損傷が激しい臓器に到達することができるのでしょうか?

それとも・・・損傷した臓器に到達することなく、無駄になってしまうのでしょうか?

 

損傷した臓器に到達すれば、すんなりと幹細胞は、その臓器に分化することは可能なのでしょうか?

 

・・・といろいろな疑問が出てきますが・・・続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは・・・またバイバイ

 

<ブログ後記>6月18 日

 

1日中降り続いた雨も止み(やみ)、窓からは涼しい風が入ってきます。あと、数日で梅雨(つゆ)に入るのだとか。

今回は、「幹細胞」の移植のお話をさせていただきました。

 

通常の「幹細胞」の移植という言葉は、大袈裟(おおげさ)であるかもしれませんね。
それは、どのようなものになるのか?・・・について、少しお話をしてみたいと思います。

 

まず、患者さんの脂肪組織から、「幹細胞」を採取します。

脂肪組織から採取された「幹細胞」は、「間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)」となるわけですが、この「間葉系幹細胞」は、損傷した組織の修復に重要な役割を果たすことが知られています。


どのような役割か・・・と言いますと・・・「間葉系幹細胞」は、損傷した組織に移動し、損傷した組織の細胞を置き換えたり、組織の修復を促進する因子を分泌することが知られているのですね。

治療としては・・・脂肪組織から採取された「間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)」は、培養・増殖した後に・・・患者さん自身に点滴投与されるわけです。

では、「幹細胞」は、点滴された後(あと)に・・・本当に損傷の激しい組織に優先的に到達することができるのでしょうか?

 

これは、多くの方が疑問に思われることかもしれませんね。

実は・・・「幹細胞」は、ほぼ正確に損傷した部位に到達(とうたつ)することができるとされています。

「幹細胞」が点滴投与された際に「損傷した組織」に優先的に到達するメカニズムは「ホーミング」と呼ばれています。


このメカニズムは、次のようなものであるとされています。

組織に損傷がありますと、「炎症」を示すシグナルとして「サイトカイン」や「ケモカイン」という物質が放出されます。


これらの分子は、「幹細胞」の特定の受容体に結合し、「幹細胞」を誘導することが知られています。
そのほかに「血管内皮細胞」は、活性化や幹細胞が血管壁に接着した後、細胞は血管の壁を越えて、組織間質に移動する仕組みなどが存在することも分かっています。

問題は、損傷する部位にたどり着いた後・・・ということになります。

いったい、どのような問題が生じるというのでしょうか?それは、次のようなものになります。

もちろん、「間葉系幹細胞」は、先にも述べたように・・・損傷した組織に移動し、損傷した組織の細胞を置き換えたり、組織の修復を促進する因子を分泌したりします。
 

しかしながら、この「損傷」の多い組織には「老化細胞」が蓄積していると考えられているのですね。

そして、いつものお話になりますが・・・「損傷」の多い組織の「老化細胞」は、他の組織の「老化細胞」と同様に「炎症性サイトカイン」などの「老化関連分泌表現型(SASP)」を分泌することが知られています。

そして、「SASP」は損傷の多い組織の中でさえも、周囲の細胞を「老細胞」化をしていくというわけです。

実は・・・このように「炎症性サイトカイン」などの「SASP」が多く存在する部位には、「幹細胞」は付着(ふちゃく)できない可能性が高い可能性が指摘されているのですね。

 

仮に付着できたとしても、その「幹細胞」は、分裂できない可能性が高いと考えられてます。

 

あたり前のことですが・・・「幹細胞」が「損傷」のある部位に付着できなければ、当然のことですが・・・「幹細胞」の持つ組織修復力を発揮できないということになりますね。

 

もちろん、「老化細胞」を除去できるワクチンなどが既にあれば問題はないのですが・・・残念ながら、現時点では市場に出ていません。

 

・・・としますと、どうすればよいか?・・・ということになります。

現時点で、ひとつの考えられる方法は、自分自身の「NK細胞」を用いる方法です。癌の予防治療として施行されるものですね。

 

以前にもお話をしましたが、「NK細胞」は「老化細胞」を破壊することができます。

 

「炎症性サイトカイン」などの「SASP」を放出する「老化細胞」がなくなれば、その後に投与した「幹細胞」は何の問題もなく損傷部位に付着し、分裂を開始できることが想像できます。こうした議論は、海外の論文でも散見(さんけん)されます。

もうひとつの方法としては、何らかの方法により、損傷部位に存在する「炎症性サイトカイン」などの「SASP」の量を減少させ、その再増加が起こらないうちに「幹細胞」を付着させ、分裂を開始させてしまうという考え方です。

 

これは、「炎症性サイトカイン」などの「SASP」をアフェレーシス療法を用いて、除去しようとするもので、いくつかの研究開発が進んでいるのだそうです。

 

「幹細胞」治療にリスクがないわけではありません。施行する際には、担当医師から充分な説明を受け、メリット・デメリットを確認していく必要がありそうですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1.Gerontology.2022  Mar; 68(3): 339–352. 

Aging and Mesenchymal Stem Cells: Therapeutic Opportunities and Challenges in the Older Group

Huan Chenら

 

2.Front Immunol.. 2022 Sep 29:13:940577.

Characterization of age-related immune features after autologous NK cell infusion: Protocol for an open-label and randomized controlled trial

Xiaofeng Tangら

 

3.Int J Mol Sci.2016 Jul; 17(7): 1164. 

Senescence in Human Mesenchymal Stem Cells: Functional Changes and Implications in Stem Cell-Based Therapy

Valentina Turrinettoら

 

 

 

 

(以前のphoto:  筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

梅雨の鬱陶しい(うっとうしい)季節を想像していたのですが・・・窓からは薄日が差し込み、爽やかな風も流れ込んでくる休日の午後となりました。

 

暦を見ますと七十二候は「蟷螂生(かまきりしょうず)」になっていますね。

 

「カマキリ」の英語名は、「Praying mantis」で、その前肢を振り上げる姿勢が祈りの格好に似ていることから、このように呼ばれるのだとか。

 

「カマキリ」について調べてみたところ、カマキリの寿命は約7ケ月

なのだそうです。メスは産卵期になると体力を蓄えるためにオスを食べてしまうそうで、オスの方はさらに寿命が短いのだとか。

 

なんとも儚い(はかない)命というわけですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(筆者がAIで作成)

 

今回は「動脈硬化(どうみゃくこうか)」を話題に取りあげてみたいと思います。

 

「動脈硬化」は初期症状がほとんどなく、加齢とともに進行してしまう「沈黙(ちんもく)の疾患」といわれますね。

 

生まれた時から、徐々に「動脈硬化」は進行していくとされますので・・・まったく、「動脈硬化」がないという方はいないはず・・・です。

 

では、この「動脈硬化」の進行に逆行(ぎゃっこう)する方法はないのでしょうか?・・・というのが、今回のテーマです。

 

まずは、「動脈硬化」のメカニズムを再度、取り上げてみたいと思います。

 

「動脈硬化(アテローム性動脈硬化)」は、心臓病や脳血管障害などの心血管系疾患の主な原因となる状態です。

 

この病態のメカニズムは、複数の段階に分けて説明することができるとされていましたね。

 

1.血管内皮細胞の損傷

 

動脈の内側を覆う「血管内皮細胞」が、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病などのリスク因子によって損傷を受けます。これにより、動脈の内壁が炎症を起こしやすくなります。

 

2.リポプロテインの蓄積

 

損傷した血管内皮を通じて、「低密度リポプロテイン(LDL)」などの脂質が動脈壁の内側に侵入し蓄積します。LDLは酸化されやすく、

「酸化LDL」はさらに炎症を促進します。

 

3.マクロファージの活動

 

「酸化LDL」を取り込んだマクロファージ(免疫細胞の一種)がフォーム細胞と呼ばれる脂肪を多く含む細胞に変化します。

これらのフォーム細胞が「プラーク(アテローマ)」の形成を促します。

 

4.プラークの形成と成長

 

蓄積された脂質、フォーム細胞、線維性組織などが複合して、動脈壁に「プラーク」を形成します。この「プラーク」が成長すると動脈の通路が狭くなり、血流が阻害されます。

 

5.プラークの安定性の変化

 

「 プラーク」は線維性キャップで覆われていますが、このキャップが薄いと「プラーク」が破裂しやすくなります。

 

「プラーク」が破裂すると、その部分で血栓が形成され、心筋梗塞や脳梗塞などの脳血管障害を引き起こす可能性があります。

 

このように・・・「動脈硬化」の進行は、これらのメカニズムが連鎖的に作用することで進行し、最終的には心筋梗塞や脳梗塞などの重大な心血管事象を引き起こす原因となるとされるわけですね。

 

 

ところで・・・上記のメカニズムでの中で「動脈硬化」の進行を緩やかにし、ストップさせ、改善の方向に逆行させられる可能性があっるとしたら・・・どの段階なのでしょうか?

 

これは、1.の血管内皮細胞の損傷を改善させることが重要であると考えられており、・・「血管内皮細胞」の機能が正常化し、その安定を保つことができれば・・・「動脈硬化」の進行を遅らせるか、「逆行」させる可能性がある・・・と考える研究者は少なくないのですね。

 

もちろん、これまでも「動脈硬化」の進行予防のために・・食生活の改善(果物、野菜、全粒穀物、良質な脂肪の摂取増加)、定期的な運動、禁煙など推奨(すいしょう)され、血圧のコントロール、血糖値の管理、脂質プロファイルの改善などが必要だと言われてきたわけですが・・・

これらのことは、すべて「血管内皮細胞」の損傷を改善する意味で、強調されてきたこととも言えるのですね。

 

例えば・・・「高血圧」は、「血管内皮細胞」に対して直接的な損傷を与えますし、「糖尿病」は、「血管内皮細胞」の機能障害のリスクを高めることが知られています。

 

また、最近では「スタチン系」という薬剤が使われることも多いわけですが・・・「スタチン系」系薬剤は、「LDLコレステロール」を低下させるだけでなく、抗炎症作用も持っており、「血管内皮細胞」の機能を改善する効果があります。

 

このように・・・これまでも「動脈硬化」の進行を予防する目的で、さまざまな方法が行われてきたのですね。

しかしながら、もしかすると・・・その効果は限定的であったかもしれません。

 

そこで・・・さらに違う方法によって、「血管内皮細胞」の損傷を改善させられないか?・・・となってくるわけです。

 

「血管内皮細胞」も「老化細胞」化して、炎症性サイトカインを放出し、周囲の正常な「血管内皮細胞」を急速に「老化」させてしまったりすることも知られており、なかなか、ハードルが高い問題になっているのかもしれません。

 

そこで・・・「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の濃度を高めることで、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化、そして、「ATP産生」を増加させることは・・・

 

「動脈硬化」を改善するのではないか?・・・と考える研究者が出てきたわけですね。

 

もちろん・・・「その可能性は高い・・・かも」というのが、その答えになるのですが、この続きは後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>6月11日

 

「想像力(そうぞうりょく)は、知識(ちしき)より大切だ」という言葉を残したのは、理論物理学者のアインシュタインです。

 

以前であれば・・・「動脈硬化」を改善するなんて、馬鹿げている・・・と一笑に付され(いっしょうにふされ)たことでしょうね。

 

しかしながら・・・世界の中には・・・ひょっとして「動脈硬化」を改善することは、可能なのではないか・・・と考える研究者も少なくないようです。

 

その考え方を少し紹介しますと、次のようなものになります。

 

 

まず、動脈の最も内側に存在するのが「血管内皮細胞」となります。

 

「血管内皮細胞」の機能は、以前のブログ内でもご紹介したのですが・・・

一酸化窒素(NO)やエンドセリンなど数多くの血管作動性物質(血管に働きかける因子)を放出しています。。

 

そして、血管壁の収縮・弛緩(血管の硬さ・やわらかさ)をはじめとして、血管壁への炎症細胞の接着、血管透過性、凝固・線溶系の調節などを行っていることが知られています。

 

さらに「血管内皮細胞」は、壁の内側に常に固定されているわけではなく、遊走能(ゆうそうのう)を持ち、移動することが可能な細胞なのですね。

 

「遊走能」とは、細胞などが生体のある場所から別の場所に移動する能力を指し(さし)ます。

 

「血管内皮細胞」の遊走能は、血管障害の程度や修復機転に関与していると考えられています。

 

また、次のようなことも分かっています。

 

「動脈硬化巣」に「血管内皮細胞」の「老化細胞」が蓄積していることがわかり,「血管内皮細胞」の「老化」を抑制すると血管機能が保たれ,

その反対に「血管内皮細胞」の「老化」を促進すると・・・血管機能が悪化することも報告されています。

 

さらに「血管内皮細胞」の「老化」を抑制することは,脳血管・心血管疾患だけでなく,肥満や糖尿病も改善させることが明らかとなっているのですね。

 

こうした現時点で分かっている知見(ちけん)を前提に考えますと・・・次のような考え方がされるのは、不思議でないように思えます。

 

「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の濃度が高まることと、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化、そして「ATP産生の増加」は、動脈硬化の改善に寄与する可能性があります。

 

これらの要因が、重要な役割を果たしていると考えられるのは、以下のようなメカニズムで、「動脈硬化」の予防や改善に関与すると考えられています。

 

1.NAD+とSIRT1の関係

これは、説明するまでもないかもしれません。

 

「NAD+」は、細胞内での重要な補酵素であり、エネルギー代謝や細胞の修復プロセスに必要です。

「SIRT1(サーチュイン1遺伝子)」は、NAD+依存的に産生が増加し、「DNA修復」、「抗炎症反応」、細胞の「老化防止」など多くの生理的プロセスに関与していますよね。

 

つまり、「NAD+」の濃度が高まると、「SIRT1」の活性が増し、これが「血管内皮細胞」の機能を向上させる可能性があるということになりますね。

 

次のことは、とても興味深いものになります。

 

2.内皮機能の改善

「SIRT1」は、「血管内皮細胞」の健康を保持することで知られており、この遺伝子の活性化は血管拡張、抗炎症作用、抗酸化作用を通じて「血管内皮機能」を改善します。

 

これにより、動脈硬化の初期段階である「血管内皮細胞」の機能障害を防ぐことが可能になる可能性があるということになります。

 

3.エネルギー産生の増加 

細胞のエネルギーにあたるものは、「ATP」でしたね。

「ATP」産生の増加は、さまざまな細胞の生存と機能の維持に

不可欠であると考えられています。

 

「血管内皮細胞」も例外ではなく、ストレスや損傷に対する耐性が高まる可能性が高いということになります。

 

これらをすべて、可能にするには・・・

 

(図はお借りしました)

 

となるのですが・・・果たして、経口からのNMNサプリで、充分な「動脈硬化」を改善するまでの「NAD+」濃度を保てるのか?・・・

という若干の疑問も残りますね。

 

ならば・・・欧米各国では、どのような考え方をするのか?・・・

ということになっていくのですが・・・

 

この話題は、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1.J-Stage「血管内皮細胞老化について」

 

2.Open Heart.2022; 9(2): e002171. 

Nutraceutical activation of Sirt1: a review

James J DiNicolantonioら

               など

 

image

 (ミッドタウン東京 フィリップ・ミル 東京

筆者撮影)

 

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(総合内科、リウマチ専門医)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月に入りまして、最初の休日となっています。

暦に目をやりますと・・・その七十二候は「麦秋至(むぎのときいたる)」となっています。

 

この時期にもう「秋」とは、なんとも不思議な気がして、調べて見ますと・・・

 

その意味は、麦が実り、たわわに黄金色に穂をつける、麦にとっての「秋」なのだそうです。

そして、この「秋」とは、百穀(ひゃっこく)が成熟するとき・・・ということになるようです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(筆者がAIで作成)

 

今回は、「サーカディアンリズム」に関連するお話をしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものですか?・・・という質問をされることが、最近は多くなりました。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものであったでしょうか?

 

あらためて、整理をしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」とは・・・

 

ヒトの体内時計が、生成する約24時間周期の生理的リズムですね。

もちろん、ヒトだけでなく、地球上の動物もこのリズムを持っています。

 

これは、地球の自転周期に合わせて進化した「内部的なメカニズム」で、生物が日々の環境の変化に適応できるようにしています。

 

そして、この「サーカディアンリズム」は、「睡眠」と「覚醒(かくせい)」のサイクル、「ホルモン分泌」、「体温調節」、「食欲」などの多くの生理活動を調節することが知られています。

 

サーカディアンリズムの乱れは、睡眠障害、うつ病、肥満、糖尿病などの健康問題につながることがあると考えられていましたよね。

 

このように重要な機能を持つ「サーカディアンリズム」ですが・・・

実は「免疫力」の強化作用を持つことも報告されています。

 

話は少し脱線しますが・・・一般的な話として、「免疫力」が高い・・・といった場合、どのようなことを指しているのでしょうか?

 

そうですね。これは、生まれつき備わって(そなわって)いる「自然免疫」のなかのひとつである「NK(ナチュラル・キラー)細胞」の活性が高いこと・・・でしたよね。

 

「NK細胞」の数が多いこと・・・と言いたいところですが・・・

高齢者では「NK細胞」の数は、むしろ増加していることが多いのですが、その活性は低下しており、「免疫力」は低下する・・・というお話は、以前のブログでご紹介させていただきましたよね。

 

「NK細胞」は免疫系の重要な一部であり、がん細胞やウイルスに感染した細胞を早期に認識して破壊する役割を担っています。

 

「NK細胞」と「サーカディアンリズム」の関係に話を戻しますと・・・いくつかの研究では、次のようなことが報告されています。

 

例えば・・・「サーカディアンリズム」は、「NK細胞」の活性に周期的な影響を与えることが示されています。

 

例えば、ヒトの「NK細胞」の活性は夜間に高まり、日中に低下する傾向があります。

 

このリズムは、個体の免疫反応効率を高めるために重要であると考えられているのですね。

 

また、こんなことも報告されています。

 

アルコール摂取の影響による「NK細胞」のリズムの変動も観察され、エタノール摂取は「NK細胞」の活性にマイナスの影響を及ぼすことが確認されているのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1)Sleep, Vol.24(7),October 2001

Total Sleep Deprivation Induces an Acute and Transient Increase in NK Cell Activity in Healthy Young Volunteers 

Yasuhiro Matumoto ら

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<ブログ後記>6月4日

 

今回は「サーカディアンリズム」が「免疫」のシステムにどのような影響を与える可能性があるか?・・・というお話をさせていただきました。

 

「サーカディアンリズム」、概日(きじつ)リズムとも呼ばれ、およそ24時間の周期で体内で調整される生物学的リズムのことを指します。

 

そして、このリズムは、本文内でもご紹介したとおり、「睡眠」と「覚醒」のサイクル、ホルモンの分泌、体温の調節、食欲など、多くの生理的プロセスに影響を与えることが知られています。  

 

そして、このリズムが乱れると、睡眠障害、気分障害、代謝異常などの健康問題を引き起こす可能性があると考えられています。

 

以前のブログでもご紹介したと思いますが・・・

 

「サーカディアンリズム」を主に調整するのは、「時計遺伝子」でしたよね。

image

(図はお借りしました)

 

例えば、ヒトでは「CLOCK」や「BMAL1」などの時計遺伝子が、体内時計の主要な部分を形成しており、これらの遺伝子が相互作用してタンパク質を生産し、そのタンパク質の濃度の変動が体内時計の周期を決定するのでしたね。

 

これにより、生物は自然の光暗周期に適応し、効率的に生活することが可能になります。

 

目から光が入ると時計遺伝子がリセットされる仕組みもありましたよね。

 

この時計遺伝子のリセットは、主に視交叉上核(SCN)と呼ばれる脳内の領域を通じて行われます。

SCNは体内時計の中心的役割を担っており、外界の光の情報を受け取って体内のリズムを調整します。その過程は以下のように進行します。

image

(図はお借りしました)

 

詳細は、またの機会にいたしますが・・・

 

このように、外界からの光の情報は目を通じて脳に伝わり、「時計遺伝子」を介して、「体内時計」がリセットされ、生物が環境に適応できるように生理的リズムが調整されるわけですね。

 

 

この「サーカディアンリズム」は、NK細胞の活性を高めるのではないか?・・・と考えられているわけです。

 

「NK細胞」の数よりも、「NK細胞」の活性が重要である・・・ということは、以前のブログ内でも強調させていただきましたよね。

 

例えば、ある論文ではラットの動物での検証なのですが・・・

 

ラットの脾臓から濃縮した「NK細胞」における時計遺伝子(Per1、Per2、Bmal1、Clock)、Dbp(時計制御出力遺伝子)、CREB(クロックシグナル伝達に関与)、細胞溶解因子(グランザイムBおよびパーフォリン)、サイトカイン(IFN-γおよびTNF-α)の発現の概日変化を測定しました。

 

この研究で得られた結果は、「NK細胞」に機能的な分子時計機構が存在し、「サーカディアンリズム」に連動する形で、細胞溶解因子(グランザイムBおよびパーフォリン)、サイトカイン(IFN-γおよびTNF-α)の発現の概日変化が認められたと報告されています。

 

「サーカディアンリズム」が、「NK細胞」に及ぼす変化については、g現在、さまざまな形で検証されているようです。次のように考えられているようです。一部を紹介しますと・・・

 

1. 機能的な変化:

   a. 殺傷能力の日内変動

      夜間から早朝にかけてNK細胞の細胞傷害活性が最大化する

      

      →結果として、癌細胞や感染細胞の排除効率が上昇する

 

   b. サイトカイン分泌プロファイルの変化

      

 IFN-γ、TNF-α、GM-CSFなどのサイトカイン分泌が夜間に増加。

      他の免疫細胞(T細胞、マクロファージ)を活性化する。

      

   c. 免疫監視能力の時間依存性

      NKG2D、NKp46などの受容体発現が日中よりも夜間に増加。

      異常細胞の認識と排除が、夜間により効率的に行われる可能性。

 

3.  SIRT1(サーチュイン1)-mTOR経路の活性変化

      SIRT1の発現と活性が日内変動を示す。

       夜間に高まり、mTOR経路を活性化する。

      その結果、NK細胞の増殖能、サイトカイン産生、細胞傷害活性が  

  増加する。

 

まだまだ、あるのですが・・・こちらは、またの機会にしたいと思います。

 

諸説さまざまなわけですが・・・「サーカディアンリズム」が作り出す「夜間」に「NK細胞」の活性が高くなり、「癌細胞」、「ウイルス感染細胞」、そして、「老化細胞」を効率よく除去できる仕組みがあるようです。

 

そして、3.のSIRT1(サーチュイン1)-mTOR経路とも関連してくっるのは、興味深いところです。   

 

「mTOR」は、2種類の複合体に存在するのですが・・・

 

「mTOR」のシグナル伝達異常は、がんや心血管疾患、糖尿病など、多くの病態に関与するとされていまして、現在のアンチエイジング医療研究のひとつの柱とされているからです。

 

私には、ただの偶然とは思えないのですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

2.J. Immunol.. 2005 Jun 15;174(12):7618-24. 

Circadian oscillations of clock genes, cytolytic factors, and cytokines in rat NK cells

Alvaro Arjonaら

 

3..J. Immunol. 1997 May 1;158(9):4454-64.

Effects of sleep and circadian rhythm on human circulating immune cells

J Bornら

 

 (筆者撮影)

 

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