こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

月日が経つのは早いもので、6月も半ばになろうとしていますね。

「円安」は、ジリジリと進行していて、すべての物の値段が高くなってきたなあ・・・と思う毎日です。

 

日本の製品を海外輸出するためには、我慢(がまん)すべきと考えていましたが・・・円安は輸出企業にはプラスと言われてきたからですね。

 

しかしながら、実際は、昨年下半期の輸出額を見ると、日本はイタリア、韓国にも抜かれ、世界5位から7位に転落しているそうで、とても不思議な気がしました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

今回は、メディカルダイエット目的で使われることが多くなり、それと同時に社会問題化している「マンジャロ(一般名:チルゼパチド: GIP/GLP-1受容体作動薬)について、お話をしてみたいと思います。

 

「マンンジャロ」は世界初のGIP受容体+GLP‑1受容体のデュアル作動薬(ツインクレチン)となります(参考1)

 

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)は、栄養素の摂取に応答して腸管内分泌細胞(L細胞およびK細胞)から分泌される「インクレチン」です。

 

インクレチン」が作用するGIPレセプターとGLP-1レセプターは。いずれも膵β細胞に発現し、「食後高血糖時」にインスリン分泌を増強するとされるとされています。

 

このため、高血糖状態になりにくい「メディカルダイエット」目的の場合は、「低血糖」にはなりにくいとされています。

 

また、「インクレチン」と呼ばれるホルモンは、膵β細胞でインスリン分泌を高めるだけでなく、脳の摂食調節回路にも働きます。

 

その結果、食欲低下摂取カロリー減少を起こすことになります。

 

GIP・GLP-1は視床下部などの「満腹(サティエティ)センター」のニューロンを活性化し、満腹感を高め摂食を減らすわけですね(参考2)。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

本来は、「2型糖尿病」の治療薬であるはずですが・・・

なぜ「肥満」の治療薬に使用されるケースが出てきたのでしょうか?

 

「肥満治療」における新たな到達点を示したのが、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」の第3相試験であるSURMOUNT-1試験であるとされています。

 

この試験では、糖尿病を伴わない肥満(BMI ≥ 30)または体重関連合併症を有する過体重(BMI ≥ 27)の成人2,539例を対象としています。この試験の中で、以下のようなことが確認されています。

 

BMI≥30、またはBMI≥27かつ体重関連合併症あり、糖尿病なしの成人を1:1:1:1で5/10/15 mgまたはプラセボに無作為に分け、全員がカロリー制限(約−500 kcal/日)と週150分以上の運動の指導を受けたのだそうです(参考3)

 

そして、主要評価項目はベースラインから治療終了までの体重%変化したかを見たわけですね。

 


A)体重減少効果

 

72週間の皮下投与(週1回)により、5 mg群で16.0%、10 mg群で21.4%、15 mg群で22.5%の平均体重減少を達成した。15 mg群では参加者の約3分の1が25%以上の減量に到達している


B)選択的な体組成改善

 

機序的に特筆すべきは、減量の大部分が脂肪組織に由来する点である。脂肪量が33.9%減少したのに対し、除脂肪量の減少は10.9%にとどまったそうです。

筋肉だけではなく、水分や骨、臓器も含めた脂肪以外のすべて

が「除脂肪量」ということになります。

 

これに伴い、血圧、ウエスト周囲径、脂質プロファイル、インスリン抵抗性、CRPといった心血管リスク因子が包括的に是正され、SURMOUNT-1では「臨床的に意味のある持続的な体重減少」が得られたと報告されています。

 

ここで、炎症の指標である「CRP」が含まれることに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

これらの中で「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)の持つ効果として、特に重要なのが「抗炎症作用」であることが報告されているのですね。

GLP-1受容体を作動させる性質は、「腫瘍壊死因子α(TNF-α)」や「インターロイキン-6(IL-6)」などの「炎症性サイトカイン」の産生を抑制し、C反応性蛋白(CRP)を低下させる。低悪性度の慢性全身性炎症は「動脈硬化」の進展や「心不全」を引き起こすリスクであるため、この抗炎症作用は双方の疾患に共通する強力な保護機序となると考えられているのですね。
 

フレイルや加齢の観点から見ると、GLP-1/GIP系は単なる血糖調節ホルモンではないと言えます。

近年は、

  • 慢性炎症(inflammaging)の抑制
  • ミトコンドリア機能改善
  • 脂肪組織炎症の軽減
  • インスリン抵抗性改善
  • 心血管保護

などが報告されており、加齢関連疾患への応用が期待されているのですね。

 

では、心血管系には、どのような影響を及ぼすのか?

そして、気になる「副作用」は?・・・となっていくわけですが、

このお話の続気は、後日の話題にしたいと思います

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>6月16日

 

早くも6月の中旬を過ぎ、梅雨の季節の中でありますが、今日はとてもよいお天気で、青空を見ることができました。

 

今回は「マンジャロ(一般名:チルゼパチド: GIP/GLP-1受容体作動薬)のお話をさせていただきました。

 

本来は、「2型糖尿病」の薬剤であり、いわゆる「痩せ薬(やせぐすり)」ではないわけですね。JTKクリニックでは「総合内科」として

「糖尿病」の治療も行なっているのですが・・・副作用などのことを

考えると、なかなか使いにくいと感じることが多いような気がします。

 

しかしながら、心筋梗塞などの、いわゆる心血管イベントを予防し、心臓の機能を回復させる効果は特筆すべきものだと思います。


「マンジャロ(GIP/GLP-1受容体作動薬)は、血糖値を低下させるだけでなく。心血管イベントやリスク因子に影響することが、多くの大規模試験とメタ解析から示されています。

「マンジャロ」の心血管への影響は、糖尿病・肥満・心不全などで

これまでに解析された結果が多く蓄積しています。

その結果は「安全性は確認済み+多くの場面でリスク低下の可能性がある」ことが報告されています(参考4)。

実臨床118,252例のメタ解析では、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome), 心不全, 脳卒中, 主要有害心血管イベント、全死亡がすべて有意に低下することが報告されています(参考5)

現時点で得られているエビデンスから、「マンジャロ」は「少なくとも心血管イベントリスクを増やさず、多くの場合で明確なリスク低下」を示しています。ランダム化比較試験(RCT)だけでなく、実際の臨床データを用いた研究やメタ解析でも一貫した傾向として示されています(参考5)

2型糖尿病がなく、肥満のある方で「マンジャロ」の効果は、どのように評価されているのでしょうか?

SURMOUNT‑1試験の事後解析では、糖尿病のない肥満/過体重2,461人で10年ASCVDリスクスコアを算出し、72週時点で相対リスクが16〜24%低下し、プラセボではむしろ増加したことが報告されています(参考6)。

ASCVDAtherosclerotic Cardiovascular Disease(動脈硬化性心血管疾患) の略となります。

単一の疾患名ではなく、動脈硬化を基盤として発症する心血管疾患の総称となりますね。


また、同じ試験の3年追跡では、肥満かつ前糖尿病患者で、10年予測CVD(Cardiovascular Disease(心血管疾患) のリスクがプラセボで増加する一方、「マンジャロ」では用量依存的に低下したことが報告されています(参考7)。

また、別の解析では、同コホートでの10年後に2型糖尿病発症するリスクも60〜69%相対低下していたことも報告されています(参考8)

では、「マンジャロ」の副作用では、どのようなものが報告されているのでしょうか?

消化器症状としては、悪心、下痢、嘔吐、消化不良、便秘などが最も多く、症状の発現は、用量が多いほど増えるとされています。

 

5/10/15mgでいずれも、これらの有害事象が約4〜5割にみられ、悪心は最大約24%まで増加すると報告されています(参考9,10 11.)

もちろん、投与量が増えれば、副作用の出現が増加する訳ですが、その程度の多くは軽度〜中等度で、開始後の用量増量期に集中し時間とともに減少するとされています(参考12,13)

もちろん、重篤(じゅうとく)な副作用も報告されていますので、注意が必要です。

重篤な副作用とは、どのようなものなのでしょうか?

急性肝障害などによる肝機能障害を起こしたという症例報告があります(参考14)。


また、神経・精神症状として、足下垂の原因となる腓骨神経障害幻覚・被害妄想などの症例報告があり、急速な体重減少や栄養不良との関連が示唆されています(参考15)。

月経異常・不正出血、睡眠障害なども報告されています(参考15)。

また、「マンジャロ」を使用すると骨格筋が減少するということがよく言われますが、脂肪量は大きく減る一方で、除脂肪量(筋肉を含む)は相対的に保たれており、「骨格筋を大きく犠牲にしている」証拠は乏しいと述べられています(参考16)。

内脂肪が減ることで筋肉の「質」は改善している可能性があると報告されています。
 

しかしながら、高齢者やもともと筋力が弱い人では、レジスタンス運動と十分なタンパク摂取を組み合わせて筋量維持を図ることが推奨されると考えられています。

さらに少数とはなりますが、膵炎、胆のう・胆道疾患、重度の脱水・腎障害、まれな神経・精神症状や甲状腺腫瘍を発症したという報告もあります。

ここまでのことがおきますと・・・医学的な管理なしには管理が難しいということになります。
JTKクリニックでは、初診は来院を原則としています、BMIの測定、検診データなどを持参していただき、リスクがないかを確認した上で、目標体重必要なカロリー数の算出などをした上で
「マンジャロ」による治療を開始しています、

必要であれば、遠隔での「管理栄養士」による食事指導も行なっています。


では、少しでも早く「肥満」を解消するのが重要と考えるか?・・・ということになるのですが、これには以下のような理由があります

「肥満」、とくに「内臓脂肪型肥満」は、左室駆出率が保たれた「心不全(HFpEF)」の病因の1つである・・・という考え方があります。

 

その原因としては、内臓脂肪・心外膜脂肪に由来する局所的・全身性の炎症、および機械的圧迫がそのベースにあります。


「マンジャロ」の投与により、左室駆出率が保たれた「心不全(HFpEF)」に対して行われた試験で、その症状・QOL(KCCQスコア)や運動耐容能がどのように変化したかを報告した「STEP-HFpEF試験」というものがあり、以下のように報告されています。

英国の26万人のコホート研究では、クラス3肥満(非常に高度)が、心不全3.3倍・全死亡2.7倍など最悪の転帰であったと報告されています(参考17)


また、若年〜中年期で肥満を維持した人は、正常体重維持の人に比べ、全死亡HR 1.6〜1.7と一貫して高リスクであったと報告されています(参考18)

最大の「BMI」値を24年間追った研究でも、最高BMIが高いほど死亡リスクが単調に増加し、正常域に一度も出なかった人が最も生存率良好であったと報告されています(参考19)。
 
体重減少がなぜ、寿命を伸ばすのか?・・・という疑問に答える

「心臓」というひとつの臓器に対してのみを見た試験に「SUMMIT試験のCMR(心臓MRI)サブスタディ」というものがあります。

この試験は、「マンジャロ」がHFpEF+肥満患者心臓リモデリングと心周囲脂肪をどこまで改善するか」を精密画像で評価した研究です。
心臓MRIを用いたSUMMIT試験のサブ解析により、次のような解剖学的なメカニズムが明らかとなっています。


「マンジャロ」投与群では、プラセボ補正後に左室心筋重量が11 g減少(95%信頼区間 -19 〜 -4 g、P=0.004)、心臓周囲(傍心臓)脂肪組織が45 mL減少(95%信頼区間 -69 〜 -22 mL、P<0.001)した。
IL-6などを分泌する炎症性の心臓周囲脂肪が減少したこと、および左室肥大の退縮(逆リモデリング)が確認されたことは、抗炎症的心保護メカニズムを証明する上で極めて重要であると報告されています(参考20)

つまり、「マンジャロ」は、単なる体重減少効果を超えて、以下のような心臓機能の保護・改善傾向があるということになります。

 

1)全身性・局所性炎症の軽減

 

2)血圧・循環血漿量低下による血行動態の改善

 

3)心臓周囲脂肪の減少と左室肥大の退縮を生じる

 

4)心筋エネルギー代謝の最適化と内皮機能改善を通じ、心血管イベントとHFpEF病態を多面的に改善する。

最後に「マンジャロ」を中止すると、体重はどうなるのでしょうか

これは、URMOUNT‑4試験というもので報告されており、36週にわたりが報告されています。

 

「マンジャロ」を投与して、約21%減量した後、継続群と中止群(プラセボ)に1:1で再割り付けて体重の増加を確認した試験となります。
結果としては、次のように報告されています。

52週後の結果として、

継続群:さらに 5.5%減量

中止群:+14.0%の体重増加(=大きなリバウンド)が確認されたという報告されています(参考21)。

同じ試験の追加解析では、中止後1年で「体重減量分の25%以上を再増加した人」が大多数であったと報告されています(参考22)

体重が戻るほど、腹囲・血圧・LDL相当・HbA1c・インスリンなど心代謝パラメータの改善も逆戻りしたとも報告されています(参考23)

当然ながら、「マンジャロ」の投与量が多いほど、中止後にリバウンドをする体重は大きいわけですね。このために食事療法を徹底しながら、「マンジャロ」をできるだけ少ない投与量としていくことがリバウンドを防いでいくことが重要になるわけですね。

 

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

 

 

 

参考)

1)Cardiovasc Diabetol. 2022 Sep 1;21(1):169. 

Tirzepatide, a dual GIP/GLP-1 receptor co-agonist for the treatment of type 2 diabetes with unmatched effectiveness regrading glycaemic control and body weight reduction

 Michael A Nauckら

 

2)Front Endocrinal(Lausanne)

Mechanisms of action and therapeutic applications of GLP-1 and dual GIP/GLP-1 receptor agonists

 Qiyuan Keith Liu

 

3)Diabetes Obes Metab. 2025 May;27(5):2720-2729. 

Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study of adults with obesity or overweight

 Michelle Lookら

 

4) Nat Med. 2022 Mar;28(3):591-598. 
Tirzepatide cardiovascular event risk assessment: a pre-specified meta-analysis
Naveed Sattar ら

 

5) Endocr Pract. 2026 Mar;32(3):369-379. 
Cardiovascular Outcomes in Adults With Type 2 Diabetes Treated With Tirzepatide: A Systematic Review and Meta-Analysis of Real-World Studies
A B M Kamrul-Hasan ら

 

6)Diabetes Obes Metab. 2024 Jan;26(1):319-328. 
Tirzepatide reduces the predicted risk of atherosclerotic cardiovascular disease and improves cardiometabolic risk factors in adults with obesity or overweight: SURMOUNT-1 post hoc analysis
Emily R Hankosky ら

 

7) Diabetes Obes Metab. 2025 Dec;27(12):7385-7394. 
Tirzepatide and the 10-year predicted risk of cardiovascular disease and type 2 diabetes in adults with obesity and prediabetes: A post hoc analysis from the three-year SURMOUNT-1 trial
Emily R Hankosky ら

 

8) Diabetes Obes Metab. 2023 Dec;25(12):3748-3756. 
Tirzepatide reduces the predicted risk of developing type 2 diabetes in people with obesity or overweight: Post hoc analysis of the SURMOUNT-1 trial
Emily R Hankosky ら

 

9) J Endocr Soc. 2023 Jan 26;7(4):bvad016. 
Adverse Events Related to Tirzepatide
Rahul Mishra ら

10) Diabetologia. 2022 Aug;65(8):1251-1261. 
Management of type 2 diabetes with the dual GIP/GLP-1 receptor agonist tirzepatide: a systematic review and meta-analysis
Thomas Karagiannisら

11) Pharmaceuticals (Basel). 2025 Apr 30;18(5):668. 
The Efficacy and Safety of Tirzepatide in Patients with Diabetes and/or Obesity: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials
Ligang Liu ら

 

12) Diabetes Obes Metab. 2025 Apr;27(4):1826-1835. 
Gastrointestinal tolerability and weight reduction associated with tirzepatide in adults with obesity or overweight with and without type 2 diabetes in the SURMOUNT-1 to -4 trials
Domenica M Rubino ら

13)J Endocrinol Invest. 2024 Nov;47(11):2671-2678. 
The real-world safety profile of tirzepatide: pharmacovigilance analysis of the FDA Adverse Event Reporting System (FAERS) database
I Carusoら

 

14)Front Pharmacol. 2025 Jul 1:16:1608657. 
A retrospective observational study on case reports of adverse drug reactions (ADRs) to tirzepatide
Mengmeng Huang ら

 

15)Drug Healthc Patient Saf. 2026 Jan 8:18:556918. 
Adverse Events Associated with Tirzepatide: Updated Pharmacovigilance Analysis Using FAERS (2022 Q1-2025 Q1) with an Adapted Time-to-Onset Method
Saisai Gu ら

 

16) Cureus. 2025 Jul 29;17(7):e89020. 
Effects of Tirzepatide on Skeletal Muscle Mass in Adults: A Systematic Review
Roberto A Hidalgo Ramos ら

 

17)BMC Public Health. 2021 Apr 15;21(1):576. 
Long-term body mass index changes in overweight and obese adults and the risk of heart failure, cardiovascular disease and mortality: a cohort study of over 260,000 adults in the UK
Barbara Iyen ら

 

18)BMJ. 2019 Oct 16:367:l5584. 
Weight change across adulthood in relation to all cause and cause specific mortality: prospective cohort study
Chen Chen ら

 

19)JAMA Netw Open. 2018 Nov 2;1(7):e184587. 
Association of Obesity With Mortality Over 24 Years of Weight History: Findings From the Framingham Heart Study
Hanfei Xu ら

 

20)J Am Coll Cardiol. 2025 Feb 25;85(7):699-706. 
Tirzepatide Reduces LV Mass and Paracardiac Adipose Tissue in Obesity-Related Heart Failure: SUMMIT CMR Substudy
Christopher M Kramer ら

 

21)JAMA. 2024 Jan 2;331(1):38-48. 
Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity: The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial
Louis J Aronne ら

 

22) JAMA Intern Med. 2026 Feb 1;186(2):157-167. 
Cardiometabolic Parameter Change by Weight Regain on Tirzepatide Withdrawal in Adults With Obesity: A Post Hoc Analysis of the SURMOUNT-4 Trial
Deborah B Horn ら

 

 

(東京スカイツリー)

(筆者撮影)

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<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯Zoomを用いた遠隔医療相談を始めました(内科関連疾患)

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

梅雨空というのでしょうか。灰色の雲に空は覆われており、ときに雨がぱらついています。ひんやりとした空気も季節が変わったことを感じさせますね。

 

暦に目をやりますと、その七十二候「蟷螂生(かまきりしょうず)」となりますね。この蟷螂(かまきり)とは例の多くなハサミを持ち

その手が祈っているように見えることから「Praying mantis」と英語では名前がついています。

 

ある日、荘公は馬車で狩りに出かけたとこっ炉、道に一匹の虫がいて、斧(前足)をふりあげ、馬車の車輪に向かってきたそうです。

 

荘公は「これは、何という虫か」と御者に尋ねた。御者は「これは、「蟷螂(とうろう;カマキリ)という者ですが、自分の力のほどを考えず、進むことのみ知って、退くことを知りませぬ」と伝えたそうです。

 

荘公はそれを聞いて「これがもし人間なら、天下の武勇の者であるだろう」と言い、わざわざ車の向きを変えさせ、道の「カマキリ」をよけて通ったのだそうです。

 

このエピソードを示したものが

「此為人、必為天下勇武矣」という言葉となります。その意味は

「これがもし人であったなら、必ずや天下の勇者であっただろう」

 

国君である彼が、その勇気に敬意を払って一匹の虫に道を譲ったこの話が世に伝わると、命を投げ出して仕える主君を知ったとばかり、天下の勇者が続々と荘公のもとに集まってきたのだそうです。

ただし、イメージだけで荘公のもとに集まってきた者は、皆、カマキリのように玉砕(ぎょくさい)し、全滅したとか、しなかったとか。

 

同じ姿が、文脈によっては「死を恐れず信念に殉ずる勇」とも読まれる。戦略とは状況次第で評価が反転するということが、中国の古典解釈本には述べられています。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

今回は加齢に伴う「フレイル(frailty)」についてお話をしてみたいと思います。

 

「フレイル」とは、加齢に伴って心身の予備能力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する、虚弱な状態を指します。

 

日本語では「虚弱」に近い概念ですが、日本老年医学会が2014年に「フレイル」という呼称を提唱しました。

重要なのは、適切な介入によって再び健常な状態に戻りうる「可逆性」を持つ点である・・・になります。

 

人口の高齢化が世界規模で進むなか、「フレイル」は現代医療における最大の課題の一つであるとされています、

 

「フレイル」とは、加齢に伴う複数の生理系における予備能の低下(Homeostenosis:恒常性維持能力の狭小化)を基盤とし、感染症や手術などの軽微なストレスに対して過剰な脆弱性を示す多次元的かつ動的な状態と定義されています (参考1)。

 

「フレイル」は固定化された不可逆的な「老い」ではなく、

生体の「恒常性破綻の初期段階」であり、適切な介入によって健常な状態(Robust)へと回帰しうる「可逆性」を有することが臨床的に極めて重要であると言えます。

frは、その加齢に伴う「フレイル」を発症させる分子・生理学的機序とは、どのようなものなのでしょうか?

 

「フレイル」の病態は、単一の臓器不全ではなく、全身の細胞・分子レベルの機能低下が相互に増悪し合うネットワークの破綻として理解されています。

 

「フレイル」となる機序を整理してみたいと思います。

1. 細胞老化とインフラメイジング(Inflammaging)

 

加齢に伴い、DNA損傷やテロメア短縮を蓄積した「老化細胞」が全身の組織に滞留します。

これらの老化細胞は、「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」と呼ばれる機構を介して、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインを無秩序に

分泌し続けるのは、いつも強調していることですね。

 

この結果生じる全身性の慢性微小炎症状態「インフラメイジング」である とされています(参考2)。

 

image

(AIを用いて画像を作成) 

 

「インフラメイジング」は、骨格筋のタンパク質分解亢進、造血幹細胞の機能低下、食欲不振を惹起(そうき)し、「フレイル」の負のスパイラルにつながる最大の駆動力となるわけですね。



2.骨格筋の減少(サルコペニア)と同化抵抗性

 

「フレイル」の身体的側面の中核をなすのが、加齢性の筋量・筋力低下である「サルコペニア」であると言えます (参考3)。

 

 

ここで「サルコペニア(sarcopenia)」「フレイル」の違いを再度まとめておきたいと思います。

 

「サルコペニア」は、加齢などに伴う骨格筋量の減少と、筋力または身体機能の低下を指す、筋肉に限定した概念です。

 

それに対して、「フレイル」は、加齢に伴い「予備能力」が全般的に低下し、ストレスに対する脆弱性が高まった状態を指します。

身体的・精神心理的・社会的の三側面を含む多次元的な概念です。

 

その評価には、Friedの表現型モデル(体重減少・疲労感・筋力低下・歩行速度低下・活動量低下の5項目)や、欠損の累積で捉える 「Frailty Index」 などが用いられます。

 

階層の違いとして、「フレイル」がより上位の包括的な概念であり、「サルコペニア」はその身体的側面を支える基盤であると考えることができますね。

 

「サルコペニア」による筋力・筋量の低下が、歩行速度低下や易疲労感を生み、身体的な「フレイル」につながっていくということになりますね。

 

では、加齢により「サルコペニア」、つまり、筋力・筋量の低下が生じていくのは、なぜでしょうか?

 

それは、次のような理由によります。

 

「筋組織」では加齢に伴い、運動神経の脱落、脂肪組織の浸潤、そして筋幹細胞(サテライト細胞)の自己複製能の低下が生じることが分かっています。

 

分子レベルで特に重大なのが「同化抵抗性(Anabolic resistance)」である。高齢者の筋細胞では、食事由来のアミノ酸(特にロイシン)を感知してタンパク質合成のスイッチを入れる「mTORC1経路」の活性化が減弱していることが分かっています。

 

そのため、若年者と同量のタンパク質を摂取しても十分な筋合成応答が得られず、「筋萎縮」が進行しやすいと考えられています。

 

さらに「ミトコンドリア」の機能異常が・・・という話題になっていくわけですが・・・お話の続きは後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<.ブログ後記 > 6月9日

 

今回は「フレイル」についてのお話をさせていただきました。

 

ヒトは加齢に伴って、身体機能(体力)認知機能(認知能力)の両方が徐々に低下することが知られています。

 

ただし、その程度や速度には大きな個人差があり、適切な生活習慣によってかなり抑制できることも分かっています。

 

この個人差の中には「ミトコンドリア」も関与すると考えられています。

なぜ、「ミトコンドリア」が重要なのかと言いますと・・・「ミトコンドリア」はすべての細胞のエネルギーとなる「ATP」を産生するからということになります。

 

例えば、筋肉量が同じでも

  • ATP産生能力が高い人
  • ATP産生能力が低い人

では体力が大きく異なると考えられます。実際に筋生検や血液解析では、「フレイル」状態にある高齢者は、健常高齢者に比べて

  • ミトコンドリア機能低下
  • ATP産生低下
  • mtDNA損傷増加

が認められています

 

少し詳しくみてみますと・・・細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」は、加齢とともに酸化的リン酸化の効率が低下し、「活性酸素種(ROS)」の異常産生をきたすようになります。。

正常であれば機能不全に陥った(おちいった)「ミトコンドリア」は.マイトファジー(自食作用)というメカニズムによって除去されるわけですが、

加齢に伴いこの「ミトコンドリア」の品質管理メカニズムが破綻(はたん)するわけですね。


これにより細胞内の「活性酸素種(ROS)」などの酸化ストレスが激化し、さらなる「細胞老化」「SASP」を誘導する悪循環に陥る とされています(参考4)。

では、「フレイル」を逆転させる治療介入の方法とは、どのようなものになるのでしょうか?

「フレイル」は「進行するだけ」の状態ではなく、多くの研究で改善・予防が可能な“可逆的な状態であることが示されています。


現在は、全身の主要筋群を漸進的に鍛える(きたえる)プログラムが標準的であるとされています、

大規模メタ分析では、運動(特にレジスタンス・筋力トレーニング)がフレイルを減らす効果が最大と報告されています(参考5,6,7)

さらに「フレイル」を改善する方法として、単独の運動よりも、運動+栄養の介入がより効果的という報告が多くあります(参考8)。

では、「フレイル」を改善するのにどのような「栄養」が良いのでしょうか?

本文内でお話をした「同化抵抗性」を克服するため、高齢者には若年者以上のタンパク質摂取が必要であることが報告されています。

 

「同化抵抗性」とは、食事でタンパク質を摂取したり、運動を行ったり、若年者ほど筋肉が合成されなくなった状態を指します。


多くの介入試験で「タンパク質摂取量」の増加が、「フレイル」や「歩行速度」の改善と結びついていることが報告されています

(参考9)。

さらに果物・野菜摂取が多く、全体として食事の質が高いほど「フレイル」が少ないというも観察研究が報告されています(参考10)

国際的なガイドラインでは、健康な高齢者で1.0〜1.2 g/kg/日、フレイルやサルコペニアを有する場合は1.2〜1.5 g/kg/日のタンパク質摂取が推奨されているのですね (参考11)。

特に、mTORC1経路というものを強力に駆動する「ロイシン」を豊富に含む良質なタンパク質の摂取が重要であるとされています。

 

その理由は、以下のようになります。

 

「ロイシン」は分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つで、筋肉に対して単なる材料ではなく、「筋タンパク質合成のスイッチを入れるシグナル分子」として働からなのですね。

 

また、筋機能の維持には「ビタミンD」の充足が不可欠であるともされています。

では、NAD⁺代謝への介入、つまり、「NMN」や「NAD+点滴」などは「フレイル」を予防できるのでしょうか?

老化の共通基盤としての「NAD⁺枯渇」という事実をもとに

最近、老化生物学において最も注目されているのが「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)」ということになります。

「NAD⁺」は、「ミトコンドリア」におけるATP産生の補酵素であるだけでなく、長寿遺伝子産物である「サーチュイン(Sirtuin)」や、「DNA修復酵素(PARP)」の基質として機能することは、以前のブログ内でお話をしたとおりです。

「加齢」に伴い、NAD⁺合成酵素(NAMPT)の活性が低下する一方で、「老化細胞」が発現するCD38などのNAD⁺分解酵素が過剰に働くため、組織のNAD⁺レベルは著しく枯渇する。

これが「ミトコンドリア」の機能不全や「エピジェネティクス異常」の引き金となるわけです (参考12)。

動物実験においてNAD⁺前駆体(NMNやNR)の投与が抗老化作用を示したことを受け、ヒトでの臨床試験が急ピッチで進んでいるそうです。
健康な高齢男性を対象とした日本の無作為化比較試験では、「NMN」の経口摂取が安全に血中NAD⁺レベルを上昇させ、歩行速度や握力など一部の運動機能指標を改善する可能性が示されています
(参考13)


現段階における科学的に妥当な「フレイル対策」は、エビデンスが確立している「適切なタンパク質摂取」「レジスタンス運動」を土台とし、近い将来、「NMN」などによって、「NAD+」を高値に保つことができてたら、尚更(なおさら)良いですね・・・というこよになります。

 

現時点においても「フレイル」の悪循環は、科学的根拠に基づいた介入によって確実に断ち切ることができることは、覚えておいて損はなさそうですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


 

参考)

1)Clin Geriatr Med. 2017 Aug;33(3):293-303. 

Frailty in Older Persons

Matteo Cesariら

 

2)Nat Rev Cardiol. 2018 Sep;15(9):505-522. 

Inflammageing: chronic inflammation in ageing, cardiovascular disease, and frailty

 Luigi Ferrucciら

 

3)Age Aging. 2010 Jul;39(4):412-23. 

Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis: Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People

Alfonso J Cruz-Jentoftら

 

4) BMC Geriatr. 2025 Sep 2;25(1):681. 
The effect of resistance training for older adults with cognitive frailty: a randomized controlled trial
TingTing Wu ら

 

5)Age Ageing. 2023 Feb 1;52(2):afad004. 
Comparative effectiveness of non-pharmacological interventions for frailty: a systematic review and network meta-analysis
Xuemei Sunら

6)Eur Geriatr Med. 2024 Oct;15(5):1169-1185. 
Interventions to prevent the onset of frailty in adults aged 60 and older (PRAE-Frail): a systematic review and network meta-analysis
Annette Eidam ら

7) PLoS One. 2020 Feb 7;15(2):e0228821. 
Primary care interventions to address physical frailty among community-dwelling adults aged 60 years or older: A meta-analysis
Stephen H-F Macdonaldら
 

8) Healthcare (Basel). 2025 Jan 30;13(3):276. 
Prevention and Mitigation of Frailty Syndrome in Institutionalised Older Adults Through Physical Activity: A Systematic Review
Guillermo Francisco Martínez-Montas ら
 

9) Arch Gerontol Geriatr. 2024 Oct:125:105480. 
Nutritional management interventions and multi-dimensional outcomes in frail and pre-frail older adults: A systematic review and meta-analysis
Weina Liら

 

10)Nutrients. 2019 Jan 5;11(1):102. 
Dietary Factors Associated with Frailty in Old Adults: A Review of Nutritional Interventions to Prevent Frailty Development
Juan José Hernández Morante ら

 

11)J Am Med Dir Assoc. 2013 Aug;14(8):542-59. 
Evidence-based recommendations for optimal dietary protein intake in older people: a position paper from the PROT-AGE Study Group
Jürgen Bauer ら
 

12) Cell Metab. 2018 Mar 6;27(3):529-547. 
Therapeutic Potential of NAD-Boosting Molecules: The In Vivo Evidence
Luis Rajman ら

 

13)NPJ Aging. 2022 May 1;8(1):5. doi:10.1038/s41514-022-00084-z.
Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older men
Masaki Igarashi ら

 

image

(以前のphoto:レインボーブリッジと東京タワー)

               (筆者撮影)

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自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

5月最後の休日の午後になっていますね。

時間の経つには、とても早いものであると感じますね。

 

毎日の海外のニュースを読んでいますと・・・こんなに世の中が揺れ動いた時期は、私が生まれてからはなかったなあ〜などと思います。

 

「道(タオ)」を万物の根源とし、人為を排して自然のままにあること(無為自然)、争わず控えめであること(柔弱・不争)を説いた古代中国の思想家「老子」は、著書『道徳経』の中で、次のような言葉を残しています。

 

「飄風不終朝、驟雨不終日」

 

(つむじ風は朝じゅう吹き続けず、にわか雨は一日じゅう降り続かない)

 

という言葉で、天地(自然)の壮大な営みですら長くは続けられないのだから、人間が無理をして声高に主張したり、不自然な力みを行ったりしても長くは続かないと説いています。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

JTKクリニックでは、『メディカル・ダイエット』の診療を行っています。多くの方が体重を減らすことに成功し、また、道半ばの方もおります。

当院の特徴は、徹底した食事カロリーのコントロールと栄養の偏りをなくすことにあります。そのために外部施設の管理栄養士による食事指導もできる体制となっています。

 

今回は、日々の診療の中で、よく聞かれる内容についてお話をしてみたいと思います。

 

それは・・・「体重を減らせば動脈硬化は改善するのか?」ということになります。


「動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)は、血管壁にコレステロールを核とする病変(プラーク)が蓄積し、慢性的な炎症を伴いながら進行する疾患であり、心筋梗塞や脳梗塞といった致死的なイベントを起こしやすくなりますね。

 

以前にもお話をしたように「肥満」、とりわけ内臓脂肪の蓄積を認める「内臓脂肪型肥満」は、この病態を加速させる中心的な危険因子として確立しています。

 

では、『体重の減量(ダイエット)」に取り組むことは、以下の3つの項目にどのような影響を及ぼすのか?・・・を見てみたいと思います。


1)「動脈硬化」そのものの改善(進行抑制)

2) 既存の「プラーク」の縮小(退縮)

3)  「血管内皮細胞」の機能正常化

結論を先に言ってしまうと・・・体重を減量すること(ダイエット)は「血管内皮細胞」の機能を確実に改善し、「プラーク」の質的安定化を促進する一方で、

「プラークそのものを縮小させる」効果は薬剤ほど直接的ではな色されているのですね。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

では、なぜ「肥満」、とくに「内臓脂肪型肥満」は、血管を痛めてしまうのか?・・・について、復習してみたいと思います。

 

「内臓脂肪」は、胃や腸などの周りに蓄積するわけです。つまり、腹腔内の腸間膜などに蓄積しやすく、男性や閉経後の女性に蓄積しやすい傾向があるとされています。

このような脂肪の組織が「白色脂肪組織」ということになりますね。


「白色脂肪組織」は、かつて単なるエネルギーの貯蔵庫と見なされていたが、現在では多彩な生理活性物質「アディポカイン(脂肪組織から分泌されるシグナル分子)を分泌することが分かっているのでしたね。

このために「内臓脂肪」は、生体内最大級の「内分泌・免疫器官」と考えられているわけです (参考1)。

 

栄養の摂りすぎ(過栄養)により「脂肪細胞」が肥大化すると、細胞ストレスや「酸化ストレス(活性酸素種)」による細胞傷害が起きてくることが知られています、

 

その結果、「TNF-α」、「インターロイキン6(IL-6)」、「IL-1β」、「CCL2(単球遊走性ケモカイン)」といった炎症性サイトカインの局所的・全身的な上昇が生じ、これがインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)の直接的な原因となるとされています (参考1)。

 

さらに、肥大化した脂肪組織には・・・

「細胞傷害性T細胞(CTL: CD8+T細胞)」が活性化して浸潤し、「単球」や「マクロファージ」などの免疫細胞が集積することで、組織内の「炎症」が自己増殖的に拡大していくことが分かっています(参考2)。

つまり・・・ 「内臓脂肪」は「炎症を発信する臓器」であると言っても過言ではないということになりますね。


ここで重要なのは、「皮下脂肪」よりも「内臓脂肪(VAT: Visceral Adipose Tissue)「動脈硬化」とより強く関連する点である。

なので、「皮下脂肪」であれば大丈夫ということではないので、注意が必要ですね。

 

ある論文が興味深いデータを示しています。

 

高齢者集団を全身の「MRI」を用いたアンギオグラフィー(MRA)で評価した研究では、「内臓脂肪量」は全身の「動脈硬化スコア」と有意に関連しており、その関連は「アディポネクチンの低下」「インスリン抵抗性」が生じることで「動脈硬化」を生じていることが示されています(参考3)。 

 

すなわち、「内臓脂肪」の蓄積は「血管壁」へ直接・間接的に悪影響を及ぼすというわけですね。

 

ちょっと、長くなってしまいましたね。

このお話の続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>6月2日

 

6月になりましたね。6月は英語で「June」ですが、ローマ神話に登場する女神「ジュノー(Juno)」に由来すると聞いたことがあります。

古代ローマでは、女神「ジュノー」にちなんで6月(ラテン語でJunius)を神聖な月として祝っていたのだそうです。

 

今回は、肥満とくに「内臓脂肪型肥満」が「動脈硬化」を引き起こすトリガー(引き金)となり、さらに「動脈硬化病変」を拡大・伸展させていくというお話をさせていただきました。

 

実は、「内臓脂肪量」が多いほど、頸動脈壁の厚さや容積など「動脈硬化」が強くなることが大規模画像研究で示されています (参考4)。

これは「内臓脂肪」の貯留により「アディポネクチン」の低下」を認め、このことが「動脈硬化」の進展に関与しているというお話をしたわけですが・・・この「アディポネクチン」は、脂肪組織が分泌する代表的な抗炎症性・抗動脈硬化性のアディポカインであるとされています。

アディポカインとは、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質を総称して「アディポサイトカイン(アディポカイン)」というであり、健康な状態では2型糖尿病や動脈硬化に対して強い保護的役割を果たしていると考えられています(参考5)。

ところが肥満状態では、逆説的にこの「アディポネクチン」の分泌が低下し、代わりに「レプチン」や「レジスチン」といった動脈硬化を促進するアディポカインが優位となることが分かっています (参考6)。

この「アディポネクチン」の低下という「血管の守護者の喪失(そうしつ)」と「促進因子の台頭」という二重の不均衡が、血管壁における「慢性炎症」と「血管内皮機能障害」の温床となるわけです。

 

なので、ダイエットを行うことで、「内臓脂肪」を減らしていくことの本質的な意義は、まさにこの「アディポサイトカイン(アディポカイン)」環境を正常な方向へと巻き戻す点にあるわけですね。

この一連の事象を「分子レベル」で見てみると、次のようなものになります。

肥満に伴う「脂肪細胞」の肥大化は、局所的な低酸素状態を招くとされています。

これがマクロファージの集積を誘導し、集積したマクロファージは炎症を増悪させる「M1型(慢性炎症性)」へと表現型を変え、TNF-αやIL-6を放出して隣接する脂肪細胞のインスリンシグナルを障害するわけです (参考1)。

この悪循環の結果、「遊離脂肪酸(FFA)」の血中への流出が増大し、肝臓での脂質合成亢進、全身性のインスリン抵抗性、そしてプラーク形成の引き金となる「酸化LDL(悪玉コレステロールの酸化体)」の増加が連鎖的に生じるというわけです。

これらは、いずれも「動脈硬化」の上流に位置する病態であり、ダイエットによる「体重の減量」はこの連鎖を「脂肪細胞の縮小」という根本レベルで断ち切るアプローチでもあるということになります。

 

次にダイエットが「血管内皮細胞」にどのようなメリットを生じさせるか?・・・について、詳しくみてみますと以下のようになります。

その前に「血管内皮細胞」の機能が正常に機能しているのか?・・・を見るためには、血管のしなやかさや防衛力などを確認する必要があります。


その臨床的指標として広く用いられるのが、上腕動脈の「血流依存性血管拡張反応(FMD: Flow-Mediated Dilation)」という検査があり、血管内皮細胞の状態を知ることができます。

「肥満」は、この「FMD」の低下を特徴とする血管内皮機能不全と直結しているわけですが、ダイエットにより「内臓脂肪」を減らしますと、この「FMD」を速やか(すみやか)に改善させることが確認されています。

ある介入研究の解析によると、過体重・肥満成人において「減量幅」と「FMD」の改善には有意な比例関係が認められ、

体重が10 kg減少するごとに、「FMD」が約1.11%上昇すると推定されるという結果を示しています(参考7) 。

つまり、体重の減量を行うことで「血管内皮内皮細胞」の機能が改善

したわけですね。
 

「FMD」が約1%程度の上昇があったということは、あまりインパクトを感じない方も多いかもしれませんが・・・


一般に疫学研究では、「FMD」が1%上昇するごとに「心血管疾患リスク」が約8%低下するとされており、この「1.11%の改善」は臨床的にきわめて大きな意味を持つと考えられています。

また、超低カロリー食(1日580 kcal)を用いた6週間の短期集中減量研究では、体重が平均101 kgから90 kgへ減少(約11%の減量)すると同時に、「FMD」が5.5%から8.8%へ有意に上昇した(P<0.0001)ということが報告されています(参考8) 。

「血管内皮細胞」機能の改善が、動脈硬化の改善・進展抑制につながると考えてよい根拠は、「血管内皮細胞」の機能障害が動脈硬化のごく初期段階に位置するためです。

「血管内皮細胞」が障害されると、NO産生低下による血管拡張能の低下、接着分子(VCAM-1、ICAM-1)の発現亢進による単球の接着・浸潤、LDLの内膜透過性亢進と酸化、平滑筋細胞遊走などが連鎖し、これが「プラーク形成」の起点となります。

したがって、「血管内皮細胞」の機能が改善すれば、この上流の病態を抑えられるということになります。
実際に、「血管内皮細胞」の機能を示す指標である「FMD」の改善が、心血管イベント減少と関連することが多くの研究で示されています。

では、血管内の「プラーク」については、どうでしょうか?
「内臓脂肪」を減らすことにより、「プラーク」は小さく(退縮)なり、やがては、消失するのでしょうか?

「肥満」は「頸動脈プラーク」の「不安定化」と強く関連し、特に70歳未満男性では肥満で不安定プラークのオッズ比が約6倍と高い報告があります(参考9)。

また、CTでみた「内臓脂肪量」が多いほど、「冠動脈プラーク」全体量、とくに危険度の高い低密度非石灰化プラーク量が増えることが示されています(参考10)

つまり、肥満により「内臓脂肪」が増加すると。「プラーク」は形成されやすくなり、しかも危険性の高い不安定なプラークになる可能性があるわけですね。

 

不安定な「プラーク」は破裂して、血管を塞いで(ふさいで)しまうので、リスクが大きいということになります、これが心筋梗塞や脳梗塞の発症につながるから・・・ということになります。

しかし、「内臓脂肪」の減少そのものが、画像で確認される「プラーク」体積の消退や構造的安定化を直接起こしたと示す研究は、現時点の論文群にはなく、主役は依然として強力な「脂質低下療法」となります。

動脈硬化性プラーク(アテローム性プラーク)の安定化や縮小は、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベント予防の鍵とされているのですね。

過去数十年で、「スタチン系薬剤」を中心とした強力な脂質低下療法がプラーク体積の減少や構造的安定化をもたらすことが、IVUS(血管内超音波)やOCT(光干渉断層法)などの画像研究で繰り返し示されています。

さらに、PCSK9阻害薬やエゼチミブなど新規薬剤の追加など多様なアプローチが登場しているのですね。

これらのスタチン系薬剤、PCSK9阻害薬やエゼチミブなど新規薬剤の追加療法などの強力な「プラーク」の退縮効果や強力な構造安定化作用については、またの機会にお話をしてみたいと思います。

 

さて、最後にひとつ質問をさせていただきたいと思います。

 

もし、あなたが「内臓脂肪型肥満」があり、頸動脈や冠動脈などに「プラーク」があると指摘されたとします。

 

あなたは、「内臓脂肪型肥満」を改善するための「ダイエット療法」と「スタチン系薬剤」を中心とした強力な「脂質低下療法」の

どちらから開始しますか?

 

そうですね・・・これらを同時に開始することが正解となるわけですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Front Endocrinol(Lausanne). 2013 Jun 12:4:71. 

Adipokines mediate inflammation and insulin resistance

Hyokjoon Kwonら

 

2)Front Cardiovasc Med. 2023 Aug 14:10:1235953. 

Adipokines in atherosclerosis: unraveling complex roles

Jiaying Luoら

 

3)Altherosclerosis. 2009 Jul;205(1):163-7. 

Visceral adipose tissue, adiponectin levels and insulin resistance are related to atherosclerosis as assessed by whole-body magnetic resonance angiography in an elderly population

 T Hansenら

 

4)Commun Med (Lond). 2025 Oct 17;5(1):424. 
Visceral adipose tissue and hepatic fat as determinants of carotid atherosclerosis
Russell J de Souza ら

 

5) Int J Mol Sci 2022 Nov 29;23(23):14982. 
The Role of Adipokines in Inflammatory Mechanisms of Obesity
Tatiana V Kirichenko ら

 

6)Int J Mol Sci. 2022 Nov 29;23(23):14982. 
The Role of Adipokines in Inflammatory Mechanisms of Obesity
Tatiana V Kirichenko ら

 

7) Atherosclerosis. 2015 Mar;239(1):21-30. 
Weight loss improves fasting flow-mediated vasodilation in adults: a meta-analysis of intervention studies
Peter J Jorisら

 

8)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2004 Jan;24(1):124-8. 
Weight reduction with very-low-caloric diet and endothelial function in overweight adults: role of plasma glucose
Maria Raitakari ら

 

9) Nat Rev Cardiol. 2024 Jul;21(7):487-497. 
Atherosclerotic plaque stabilization and regression: a review of clinical evidence
Ashish Sarrajuら

 

10)Lipids Health Dis. 2025 Oct 4;24(1):308. 
Visceral fat area loss reduces 10-year atherosclerotic cardiovascular disease risk in Chinese population with type 2 diabetes mellitus: a prospective cohort study
Jingて Jinら

 

(フェアモントホテル東京のテラスから)

(筆者撮影)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

何とも鬱陶(うっとう)しい蒸し暑さを感じる休日の午後になっています。

世界のニュースを見ますと、さらに鬱陶しさを感じるのは、私だけでしょうか?

たまたま、目にした記事ですが・・・「歴史」の知識がない者が多くなっているという内容のものがありました。

 

共和制ローマの政治家・哲学者であったマルクス・トゥッリウス・キケロは、現代にも通じる名言を残した人物として知られていますが次のような言葉を残しています。

 

Not to know what has been transacted in former times is to be always a child. If no use is made of the labours of past ages, the world must remain always in the infancy of knowledge.

 

過去に起きたことを知らないのは、永遠に子どものままでいることだ。過去の時代の労苦が活用されなければ、世界は知識の幼年期にとどまり続けるだろう。

 

なるほど、現代に生きる人の心にも刺さりそうだ・・・と思うのは、

私だけでしょうか?

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIで画像を作成)

 

今回は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」「神経学的疼痛」の関係について、お話をしてみたいと思います。

 

「夜間に痛みが激化する」、「明け方に症状が悪化する」といった「疼痛」の強度の時間的変動は、慢性疼痛、とりわけ神経障害性疼痛(neuropathic pain)を抱える患者さんにおいて広く共有されている臨床的特徴であると言えます。

 

帯状疱疹後神経痛(PHN)、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)、三叉神経痛などの患者の多くが、「痛みの強さ」に明確な「日内変動(diurnal variation)」があると報告しています。

 

近年の時間生物学研究は、この現象が単なる主観的な錯覚ではなく、生物学的な根拠に基づくものであることを解明しつつあります。

その中核を担う(になう)のが「サーカディアンリズム(概日リズム)」、すなわち体内時計であるというわけです。

 

生物は約24時間周期で生命活動を律する精巧な分子時計を細胞レベルで保有しており、睡眠・覚醒サイクル、体温調節、ホルモン分泌、免疫・炎症反応など、ほぼすべての生理機能がこのシステムによって時空間的に制御されていることがわかっていいます。

 

近年の基礎医学研究は、侵害受容閾値の変動中枢および末梢の神経炎症、さらには疼痛関連神経回路の可塑性(かそせい)もまた、この「サーカディアンリズム(概日リズム)」の強力な制御下にあることが示されているのですね。


そこで、今回は「サーカディアンリズム(概日リズム)」を動かす分子のメカニズムをお話をした上で、神経障害性疼痛の発症・維持メカズムとの関わりを、末梢神経から脊髄後角、大脳皮質に至る階層的な視点からお話をしてみたいと思います。

 

そして、これらの知見をもとにした「時間医療(クロノセラピー:chronotherapy)」の可能性について、お話をしてみたいと思います。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

 

「サーカディアンリズム(概日リズム)」は、約24時間周期の自律的な振動を示す生理機能であり、その分子基盤は「時計遺伝子(clock genes)」群からなる転写・翻訳フィードバックループ(Transcription-Translation Feedback Loop: TTFL)によって形成されています(参考1)。

 

生体全体のリズムを統御(とうぎょ)する「マスタークロック(主時計)」は、視床下部の「視交叉上核(Suprachiasmatic Nucleus: SCN)」に存在します。

 

SCNは網膜の固有「視細胞」から投射する網膜視交叉上核路(RHT)を介して光情報を受け取り、外界の明暗サイクルに同調します。

 

そして、神経性・体液性シグナルを介して全身の「末梢時計」の位相(ずれ)を統合・調節しています(参考2)。

 

「マスタークロック(主時計)」の存在する「視交叉上核(Suprachiasmatic Nucleus: SCN)」の代表的な出力システムとしては、次のようなものがあることが知られています。

 

松果体(しょうかたい)からの「メラトニン分泌」(夜間に上昇)および、「視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸」を介した「グルココルチコイド(ヒトではコルチゾール:朝方に上昇)」の分泌が挙げられ、これらが全身の「末梢時計」の重要な同調因子(zeitgeber)として機能することが分かっています。

 

重要なことに、「侵害受容シグナル」の一次中継組織である「後根神経節(Dorsal Root Ganglion: DRG)」や、痛みの統合・修飾を行う「脊髄後角(Dorsal Horn)」などの神経組織にも、SCNとは独立して自律的に機能する末梢時計が存在することが明らかになっています。

 

この痛みの受容・伝導路における「局所的な分子時計」の存在こそが、「神経障害性疼痛」「サーカディアンリズム」を直接結びつける解剖学的・分子生物学的基盤となるというわけですね。

 

では、ヒトにおける「痛み」の感受性に日内変動(概日変動)は、

どのようにして生じるのでしょうか?

 

この話題は。後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>5月26日

 

今回は、「慢性疼痛」や「神経障害性疼痛」などが「サーカディアンリズム(概日リズム)」の影響を受けることについて、お話をさせていただきました。

 

「痛み」は24時間の中で強さが変動し、その大きなドライバー(促進因子)の一つが「サーカディアンリズム」であるとされています。

以前にもお話をしたことがあるかと思いますが・・・「視交叉上核(SCN)」が「親時計(マスタークロック)」として、全身の臓器にある「末梢時計」を同調させるわけですが・・・

 

 

そのメカニズムには、「時計遺伝子(clock genes)」というものが存在し、「サーカディアンリズム」を作り出しているわけです。

 

代表的な「時計遺伝子」としては、CLOCK, BMAL1, PER,CRYなどがありましたね。

「神経障害性疼痛(neuropathic pain)」でも日内変動やこれらの「時計遺伝子」の関与が示されていまして、「睡眠障害」とも複雑に絡み合っている可能性が指摘されているのですね。

実際に多くの総説を見ますと・・・糖尿病性末梢神経障害・帯状疱疹後神経痛などの「神経障害性疼痛」は夕方〜夜に痛みがピークになることが多いと報告されていますし、(参考3)

「線維筋痛症」でも明確な「サーカディアンリズム(概日リズム)」のパターンを示し、痛み管理への応用可能性が指摘されています(参考4)。


ところで、「睡眠」の状態がよくないことは「痛み」を悪化させるのでしょうか?

この答えは、以下のようなものになります。

ヒトを対象とした厳密(ちみつ)な実験では、睡眠や行動の影響を排除した条件下においても、
痛みの感受性が明確な「日内変動」、つまり「サーカディアンリズム」のパターンを示すことが報告されているのですね。

つまり、「痛み」の変動の大部分は、「サーカディアンリズム」によるものであり、この影響に比較しますと「睡眠」の影響は比較的、限定的なものであると考えられているわけです(参考5)。

疾患ごとに痛みの時間的パターンが異なることも知られています。「神経障害性疼痛」では夜間に痛みが増強する傾向があり、一方で「関節リウマチ」では朝方に痛みが強くなることが多く報告されています(参考6)。

これは「炎症性サイトカイン」や「サーカディアンリズム」による神経伝達系の「時間依存的変動」が関与しているからと考えられています。


近年、「痛みの制御に関わる神経系そのものにも「末梢の時計機構」が存在することが明らかになっています。

例えば、「脊髄後角(せきずいこうかく)」という部分において「時計遺伝子」の発現が低下すると、神経の過敏化(かびんか)が生じ、「痛覚過敏」が誘導されることが動物モデルで示されています。

「脊髄後角」は、皮膚や筋肉、内臓が感じ取ったさまざまな感覚(痛覚、温度覚、触覚、深部感覚)を、感覚神経を通じて最初に受け取る場所になります。



受け取った感覚情報を脳に送る前に、脊髄内で情報を処理・統合します。

例えば、痛みを和らげる痛みの信号が脳に伝わる前にブロックされる現象も、主にこの「脊髄後角」が役割を担う(になう)ことになります。

また、ある別の「時計遺伝子」の異常が生じることにより「内因性カンナビノイド系」が活性化し、痛みが抑制される可能性も報告されています(参考7)。

 

内因性カンナビノイド系(ECS)とは、

  • 神経の過剰興奮を抑える
  • 炎症を鎮める
  • 痛みを軽減する

という「ブレーキ機構」の働きをします。

ただし、これらの知見の多くは動物実験に基づくものであり、ヒトでの検証をしていく必要があるともされています。

「線維筋痛症」などの「慢性疼痛」でも、神経だけでなく免疫系も重要な役割を担うとされています。

 

例えば、「ミクログリア」などの免疫細胞は、「サーカディアンリズム」に従って、「炎症」応答を変化させ、時間帯によって「サイトカイン」の分泌量が変動することが知られています(参考8)。

夜間の光曝露や生活リズムの乱れは、上記のような調節機構を破綻させ、炎症を増強させる可能性があるとされています(参考9)。

先にお話をしたように「慢性神経疼痛」と「睡眠障害」は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」ほどではないものの、密接に関連して悪循環を形成します。


「痛み」によって睡眠が障害されると、脳内の炎症が増強し、その結果さらに「痛み」が強くなることが知られています。この過程には「P2X7受容体」というものを介した「ミクログリア」の活性化が関与していると報告されています(参考10,11)。

「ホルモン」の影響も重要です。夜間に分泌される「メラトニン」鎮痛作用抗酸化作用を持ち、痛みを抑制する方向に働きます。


一方、朝方に分泌される「コルチゾール」は抗炎症作用を持ち、炎症性疼痛を抑制します(参考12,13)。

夜間はコルチゾールが低下するため、炎症が優位となり、「痛み」が増強しやすい時間帯となるわけですね。

これらの知見から、薬剤投与のタイミングを最適化する「時間医療(クロノセラピー)」が注目されています。鎮痛薬の効果は投与時刻によって変化することが示されており、体内時計に基づいた治療戦略の重要性が指摘されています。

また、生活習慣の改善も重要な介入手段です。

規則正しい睡眠、朝の光曝露、夜間のブルーライト回避などは体内時計を整え、神経炎症を抑制することで痛みの改善に寄与する可能性があります(参考14)。

以上のように、「痛み」は単なる局所的な現象ではなく、体内時計、免疫、神経系が相互に作用する全身的な生理現象であると考えることができます。

「サーカディアンリズム」を初めとして、体内時計分子・神経炎症を標的とした新規治療の可能性も報告されていますが・・・それについてのお話はまたの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

参考)

1)J Pain Res. 2025 Sep 9:18:4687-4698. 

Circadian Rhythms and Pain: A Narrative Review on Clock Genes and Circadian-Based Interventions

Zong-Qi Huangら

 

2)Annu Rev Neurosci. 2012:35:445-62. 

Central and peripheral circadian clocks in mammals

Jennifer A Mohawkら

 

3) Pain Pract. 2023 Jan;23(1):94-109. 
Circadian pain patterns in human pain conditions - A systematic review
Nebojsa Nick Knezevicら

 

4) Neurosci Biobehav Rev. 2021 Oct:129:296-306. 
Circadian rhythms and pain
Jacob R Bumgarnerら

 

5)Brain. 2022 Sep 14;145(9):3225-3235. 
Circadian rhythmicity of pain sensitivity in humans
Inès Daguetら

 

6)Pain Pract. 2023 Jan;23(1):94-109. 
Circadian pain patterns in human pain conditions - A systematic review
Nebojsa Nick Knezevicら

 

7)PNAS Nexus. 2024 
Suppression of neuropathic pain in the circadian clock-deficient Per2m/m mice involves up-regulation of endocannabinoid system
Wakaba Yamakawaら

 

8)J Pain Res. 2024 Sep 16:17:3005-3020. 
Diabetic Neuropathic Pain and Circadian Rhythm: A Future Direction Worthy of Study
Baozhong Yang ら

 

9)Int J Mol Sci. 2025 Jul 30;26(15):7372. 
Circadian Light Manipulation and Melatonin Supplementation Enhance Morphine Antinociception in a Neuropathic Pain Rat Model
Nian-Cih Huang ら

 

10)Front Neurosci. 2023 Feb 3:17:1095718. 
P2X7 receptor-activated microglia in cortex is critical for sleep disorder under neuropathic pain
Tingting Li ら

11)Brain Behav Immun. 2019 May:78:116-130. 
Stimulation of nuclear receptor REV-ERBs suppresses production of pronociceptive molecules in cultured spinal astrocytes and ameliorates mechanical hypersensitivity of inflammatory and neuropathic pain of mice
Norimitsu Morioka ら

 

12) Front Neurosci. 2021 Jul 2:15:705173.
Systems and Circuits Linking Chronic Pain and Circadian Rhythms
Andrew E Warfield ら

13)Int J Mol Sci. 2025 Jul 30;26(15):7372. 
Circadian Light Manipulation and Melatonin Supplementation Enhance Morphine Antinociception in a Neuropathic Pain Rat Model
Nian-Cih Huang ら

 

14)Brain Behav Immun. 2019 May:78:116-130. 
Stimulation of nuclear receptor REV-ERBs suppresses production of pronociceptive molecules in cultured spinal astrocytes and ameliorates mechanical hypersensitivity of inflammatory and neuropathic pain of mice
Norimitsu Morioka ら

 

image

(フェアモントホテル東京のテラスから)

(筆者撮影)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

高気圧に覆われて、全国的に青空が広がっているようです。

最高気温は九州から関東で30℃以上の真夏日になる所が多いのだとか。

 

これからは「熱中症」にも気をつけなければなりませんね。

そして、「紫外線」にも・・・ということになります・

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

「皮膚」は人体最大の臓器であり、外界との物理的・化学的・微生物学的バリアとして機能しています。

加齢に伴う皮膚の変化、すなわち「皮膚老化(skin aging)は、しわ・たるみ・色素沈着といった整容的問題にとどまらず、創傷治癒の遅延、感染防御能の低下、皮膚癌リスクの上昇など、臨床的に極めて重要な問題を抱えて(かかえて)いる と言えます(参考1,2)
 

 

「皮膚老化」は、加齢そのものに起因する「内因性老化(chronological aging)」と、紫外線・大気汚染・酸化ストレスなどによる「外因性老化(extrinsic/photoaging)」に大きく分けられますが、両者は最終的に共通の細胞・分子メカニズムを呈するとされています (参考1,3)。

 

皮膚の大半の体積と力学的強度を担うのは「真皮層」であり、その構造的・機能的劣化こそが「皮膚老化」の本質であると考えられているのですね。

 

今回は、真皮層の中心的細胞である「線維芽細胞」の老化(セネッセンス)に焦点を当て、その機序と新たな治療戦略をお話ししてみたいと思います。

 

では、なぜ「皮膚老化」はその根本的な原因が「線維芽細胞」の「老化」にあると言えるのでしょうか?

真皮層に存在する「線維芽細胞」は、コラーゲン(I型・III型)、エラスチン、グリコサミノグリカン(GAG)などの細胞外マトリックス(ECM)を産生し、真皮の機械的強度を維持しています。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

加齢に伴い「線維芽細胞」は「萎縮」した形態をとり、細胞外マトリックス(ECM)との機械的相互作用が低下する。

 

その結果、c-Jun/AP-1 経路の活性化を介して MMP-1(コラーゲン分解酵素)が上昇し、「コラーゲンの断片化」が進行するという悪循環が成立するからという理由になります(参考1,4,5)。

 

さらに、老化線維芽細胞は 「SASP(senescence-associated secretory phenotype)」 を介して炎症性サイトカインを放出し、周囲の組織恒常性を破壊する(参考3)。

それならは、自分の「線維芽細胞」を培養し、投与すればよいのではないか?・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、培養し増殖した「線維芽細胞」を血管内投与しても、全身の皮膚真皮へ均一に移行し、「老化線維芽細胞」を置き換えるという考えは、現在の医学的知見からは考えにくいとされています。

実際に「線維芽細胞」を血管内投与した実験は2007年にIWoodleyらによって報告されています。

VII型コラーゲンを発現するように改変したヒト線維芽細胞を静脈内投与すると、マウスの皮膚創傷部位へ集まり、VII型コラーゲンを届け、創傷治癒を促進したと報告されています(参考6)。

血管内投与された特定の「線維芽細胞」が、実験的創傷部位に集まり、創傷治癒を助ける可能性があることが示されたものですが

、創傷部位では炎症、血管透過性亢進、ケモカイン、ECM変化などが起こるため、繊維芽細胞などが細胞が集まりやすくなり、これが創傷の治癒を早めたことを確認した実験ということになります。

傷があれば、線維芽細胞はホーミング、つまり、血管内に投与された線維芽細胞が、損傷した組織から発せられるシグナルを感知し、自動的に集まって修復する能力がありますということであり、

これは、正常な老化皮膚やしわのある皮膚に血管内投与した「線維芽細胞」が選択的に集まり、皮膚を若返らせることを示したものではないと強調されているところなのですね。

 

それならば・・・この老化した「線維芽細胞」の活性を取り戻すには、どうしたらよいのか?・・・ということになりますね。

 

このお話の続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>5月19日


今回は、加齢に伴う「線維芽細胞」の老化をどうすればよいか?・・

・というお話をさせていただきました。

加齢に伴い、真皮層にある「線維芽細胞」の分子生物学的なミクロの変化は、どうなっているのか?・・・を見てみますと、以下のように報告されています。

p16 ↑
p21 ↑
SA-β-gal活性 ↑
SASP(IL-6, IL-8 など)↑
 

この組み合わせは、「老化細胞(セネッセンス細胞)」が同定される際に用いられる標準的な組み合わせとされています。

 

このうち、「SA-β-gal活性」は、老化細胞(cellular senescence)を同定する際に最も広く用いられる古典的マーカーのひとつですね。

そして、「老化細胞」のマーカーである「p16」が発現しています、この「p16」はG1期に細胞周期を停止させます。


つまり、「p16」の発現は細胞の老化を促進すると考えられているわけですね。さらに「p21」も発現しています。


「p16」「p21 」は、いずれも「細胞周期」を停止させるタンパク質」ですが、役割・誘導機構・には重要な違いがあるとされています。

「p16」は、慢性・不可逆的老化の指標とされます。つまり、細胞分裂が進み、テロメアの長さがそれ以上は分裂できない「ヘイフリックの限界」に達したことを示しています。そして、この「p16」は、加齢に伴い指数関数的に増加すると考えられています。

それに対して、「p21」は、DNA損傷や一時的ストレス状態により、細胞分裂が停止した状態であり、「可逆的」な変化を示すものとなります。つまり。修復後に再増殖可能であるとされています。

実際に真皮層に存在する「線維芽細胞」は加齢により、p16 ↑,p21 ↑,SA-β-gal活性 ↑が認められることが多くの研究で示されています(参考7)。


では、「p21」の多く発現した「老化細胞」は、周囲の正常細胞に「老化」させる能力は小さいのでしょうか?

残念ながら、多くのモデルで、「p21陽性老化細胞」は、炎症性サイトカインやケモカインの放出等が生じる「SASP」を示すというデータが多数あります(参考8)

さらに、Wylesらが総説で指摘するように、老化細胞化した「線維芽細胞」は単に「機能不全細胞」であるだけでなく、「SASP」を介して周囲の組織恒常性(そしきこうじょうせい)を破綻させる「能動的な加害者」として作用すると述べられています(参考9)。

つまり、DNA損傷や一時的ストレス状態により、細胞分裂が停止した状態であり、「可逆的」な変化を示す「線維芽細胞」も一旦、「老化細胞」になってしまうと・・・テロメアがそれ以上は分裂できないとことに達した「ヘイフリックの限界」に達して「老化細胞化した線維芽細胞(老化線維芽細胞)」と同様の振る舞いをする・・・ということになります。

 

では、「線維芽細胞の老化細胞化(老化線維芽細胞)」がもたらす皮膚の構造的・機能的破綻としては、どのようなことが起きてくるのでしょうか?

これについては、以下のように説明されています。


「老化線維芽細胞」のコラーゲンI/III合成能は低下する一方、MMP-1, MMP-3, MMP-9の発現が上昇し、ECMの分解優位状態が成立すると報告されています(参考10)。

結果として皮膚は薄く、弾力性を失い、しわ形成が進行し、創傷治癒が遅延するというプロセスを辿ることになります。

Quanらは、ヒト皮膚への機械的支持(架橋ヒアルロン酸注入)が「線維芽細胞」を再活性化し、コラーゲン合成を回復させることを臨床的に示しており、 これは「線維芽細胞 ⇔ ECM」の双方向相互作用が老化制御の核心であることを示しています(参考11)。

では、「老化線維芽細胞」の対する治療とは、どのようなものになるのでしょうか?

1) NAD⁺前駆体補充療法(NMN),NAD+点滴

NAD⁺の低下はサーチュイン活性低下を介して、ミトコンドリア機能低下、DNA修復障害、SASP亢進、エピジェネティック異常をもたらす[参考12,13)。

NAD+の前駆体である「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」の補充は、これらを統合的に改善することが期待されています

(参考14)。

「皮膚線維芽細胞」においては、Changらが、「酸化ストレス」でセ「老化細胞」になってしまった「ヒト真皮線維芽細胞」に対し、「NMN」が、細胞内の「活性酸素種(ROS)」と「ミトコンドリア活性酸素種(ROS)」を低減し、NF-κB  p65亢進を抑制し、SIRT1とNrf2発現を回復させ、SA-β-gal陽性細胞を減少させることを報告しています(参考15 )。

これは「NAD⁺/SIRT1(サーチュイン1)軸」の活性化が「線維芽細胞セネッセンス(老化線維芽細胞)」を実際に逆転させうることを示す重要な前臨床的証拠であると考えられています。
(ただし、ヒト皮膚における局所投与の有効性については、なお大規模臨床試験が必要であるとされています)

2) iPS細胞由来エクソソーム

 iPSC由来エクソソームとは、iPS細胞が分泌するナノサイズの細胞外小胞で、タンパク質・miRNA・mRNA などを運び、親細胞と同様の再生・保護作用を「細胞を入れずに」発揮できることから、細胞フリー再生医療の有力候補とされています (参考16)

その「iPS細胞由来のエクソソーム」は、miRNA・mRNA・成長因子・タンパク質を内包し、細胞間情報伝達を担う細胞外小胞であることが分かっていますが・・・

 

UVB照射により傷害を受けた「線維芽細胞」および、継代培養によって自然に「老化細胞」に至った「線維芽細胞」の双方で、SA-β-gal活性、MMP-1/MMP-3発現を有意に低下させ、I型コラーゲン発現を回復させることが示されています[ 参考17,18)。

さらに「p16」,「p21」への影響をみてみますと・・・
「iPS細胞由来エクソソーム」は、老化したヒト「線維芽細胞」や他の老化モデル細胞に対して、老化マーカー(p21, p16, SA‑β‑gal)の発現を抑制して、若返り効果を示すことが報告されています。


特に皮膚線維芽細胞モデルでは、i「iPS細胞由来エクソソーム」が、老化関連遺伝子発現の回復やSA‑β‑gal活性の低下、p21/p16の発現抑制などを通じて老化表現型を改善することが明らかになっています(参考19,20.21)

さらに一部の研究ではSASP因子(IL-6, TNF-α, MMP群等)も同時に抑制されることが示唆されており、「炎症環境改善」も期待できるとされています(参考22)

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い
 

参考)
1)J Cell Commun Signal 2023 Sep;17(3):523-529.
Skin aging from the perspective of dermal fibroblasts: the interplay between the adaptation to the extracellular matrix microenvironment and cell autonomous processes
Gary J Fisherら

2)Biochem Pharmacol. 2017 Oct 15:142:1-12.
The impact of cellular senescence in skin ageing: A notion of mosaic and therapeutic strategies
Marie Toutfaireら

 

3)Gerontology. 2024;70(1):7-14.
Cellular Senescence in Human Skin Aging: Leveraging Senotherapeutics
Saranya P Wylesら

 

4)Arch Dermatol. 2008 May;144(5):666-72.
Looking older: fibroblast collapse and therapeutic implications
Gary J Fisherら

5)J Invest Dermatol . 2013 Mar;133(3):658-667.
Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts, endothelial cells, and keratinocytes in aged human skin in vivo

Taihao Quanら

 

6)Mol Ther . 2007 Mar;15(3):628-35.
Intravenously injected human fibroblasts home to skin wounds, deliver type VII collagen, and promote wound healing
David T Woodleyら

 

7) Int J Mol Sci. 2020 Jan 5;21(1):343.
Derivation of Cell-Engineered Nanovesicles from Human Induced Pluripotent Stem Cells and Their Protective Effect on the Senescence of Dermal Fibroblasts
Hyelim Lee ら

 

8) Mol Metab. 2023 Jan:67:101652.
p21 induces a senescence program and skeletal muscle dysfunction
Davis A Englundら

 

9) Gerontology. 2024;70(1):7-14. 
Cellular Senescence in Human Skin Aging: Leveraging Senotherapeutics
Saranya P Wyles ら

 

10) Arch Dermatol. 2008 May;144(5):666-72.
Looking older: fibroblast collapse and therapeutic implications
Gary J Fisherら

 

11) J Invest Dermatol. 2013 Mar;133(3):658-667.
Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts, endothelial cells, and keratinocytes in aged human skin in vivo
Taihao Quan ら

 

12) Trends Cell Biol. 2014 Aug;24(8):464-71.
NAD+ and sirtuins in aging and disease
Shin-ichiro Imai ら

13) NPJ Aging Mech Dis. 2016 Aug 18:2:16017.ら
It takes two to tango: NAD+ and sirtuins in aging/longevity control
Shin-Ichiro Imai ら

 

14) Nat Rev Mol Cell Biol. 2016 Nov;17(11):679-690. 
Slowing ageing by design: the rise of NAD+ and sirtuin-activating compounds
Michael S Bonkowski ら

 

15) Int J Mol Sci. 2022 Jul 7;23(14):7539.
Nicotinamide Mononucleotide and Coenzyme Q10 Protects Fibroblast Senescence Induced by Particulate Matter Preconditioned Mast Cells
Tsong-Min Chang ら

 

16) Molecules 2024 Mar 26;29(7):1468. 
The Combined Anti-Aging Effect of Hydrolyzed Collagen Oligopeptides and Exosomes Derived from Human Umbilical Cord Mesenchymal Stem Cells on Human Skin Fibroblasts
Huimin Zhu ら

 

17) Int J Mol Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715.
Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts
Myeongsik Oh ら

18) Tissue Cell. 2026 Jun:100:103363.
Exosomes from APCs ameliorate human skin fibroblast senescence via p53/p21 signaling pathway
Yong-Chao Zhangら

 

19) Int J Mol Sci. 2020 Jan 5;21(1):343.
Derivation of Cell-Engineered Nanovesicles from Human Induced Pluripotent Stem Cells and Their Protective Effect on the Senescence of Dermal Fibroblasts
Hyelim Lee ら

20) Int J Mol Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715.
Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts
Myeongsik Ohら

21) Mater Today Bio. 2023 Mar 4:19:100600.
iPSC-sEVs alleviate microglia senescence to protect against ischemic stroke in aged mice
Xinyu Niu ら

 

22) Mater Today Bio. 2023 Mar 4:19:100600.
iPSC-sEVs alleviate microglia senescence to protect against ischemic stroke in aged mice
Xinyu Niu ら

 

 

 

 

(ホテルニューオータニ東京)

(レッドローズガーデンの風景)

 

(筆者撮影)

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