こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

シルバーウィークの休暇であるわけですが、残念ながら雨模様のお天気になっていますね。

 

大型の台風25号が近づいているようで、雨脚(あまあし)が強くなっていくのかもしれませんね。

 

シルバーウィークの期間のうちに「台風一過(たいふういっか)」の青空が広がれば嬉しいと思ったりもします。

 

皆さまの体調はいかがでしょうか?

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

 「まだまだ自分は元気である」と思っている方が多い年齢、40〜50歳代の年代の方は、多くの人が自らを「まだ若い」と感じる一方で、「健康診断」の各臓器の機能の示すデータが静かに動きはじめる時期でもあるとも言われています。

 

2026年に Aging Cell 誌に発表された論文は、この年代に「免疫」の要(かなめ)となる細胞の機能が衰えはじめることを具体的に示しています(参考1)。

 

どのような「免疫細胞」の機能が衰える(おとろえる)のかと言いますと・・・いわゆる「免疫力」に大きく関与するとされている

「NK(ナチュラルキラー)細胞」の機能が低下するというのです。

 

その原因として、ヒトの中年期における「脂肪蓄積」が、体を守る「NK細胞」の働きを鈍らせ、それが中年期以降に高まる死亡リスクの一因になりうるということを報告しているわけです(参考1)。

 

 

「NK細胞」の働きが鈍くなる(にぶくなる)とは、言うまでもなく

「NK細胞」の活性が低下するということになりますね。

 

このAging Cell 誌に発表された論文のち知見から、「NK細胞」の機能低下・・・つまり「活性」の低下が、なぜ感染症のリスクを押し上げ、さらには老化そのものを加速させかねないことが強調されているのかを医学的な視点から見てみたいと思います。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 
Aging Cell 誌に発表された論文(参考1)が明らかにしたのは、以下のようなことになります。
 
中年期の肥満・・・これは男性に多いとされる「内臓脂肪型肥満」になりますが・・・「NK細胞」の2つの主要な機能を顕著に低下させるという点が示されています。
 
すなわち、「NK細胞」の細胞傷害性顆粒を放出する「脱顆粒能」と、免疫応答を牽引する「IFN-γ産生能」の2つの機能が低下していたと報告されています。
 
 
「NK細胞」の脱顆粒とは、標的細胞を排除するために「NK細胞」内の細胞傷害性顆粒(lytic granules)を開口放出することで、具体的には、パーフォリンやグランザイムなどのエフェクター分子を放出するプロセスのことを指しますね(参考2,3)
 

もうひとつの機能低下・・・「NK細胞」が持つ「INF-γ(インターフェロン・ガンマ)」の産生の低下は、ヒトの「免疫応答」のメカニズムに致命的(ちめいてき)なダメージを与えます。

 

大袈裟(おおげさ)な話である・・・と思われる方も多いかもしれませんね。

 

実は、「NK細胞」が産生する「INF-γ(インターフェロン・ガンマ)」は、感染早期の病原体排除や抗腫瘍免疫の誘導において重要な主要エフェクターサイトカインでになっていることが知られています(参考4,5)

 

少し詳しくお話をしますと・・・

 

「NK細胞」が産生した「INF-γ(インターフェロン・ガンマ)」は、細胞傷害活性と協調して多彩な「免疫細胞」を動員する以下のような働きがあるのですね。

 

 

1)抗ウイルス・抗菌(抗細菌)防御の誘導

 

単球やマクロファージを活性化し、MX1やIFIT1などの抗ウイルス分子発現を誘導して複製を抑制することも報告されています(参考6,7)。

 

また、「癌組織」に対しても「癌細胞」を破壊するだけでなく、さまざまな働きを持つわけですが・・・

 

「NK細胞」の働きが鈍くなる(にぶくなる)こととは、「殺傷する力」と「免疫細胞を動員する力」の両者が損なわれる(そこなわれる)ということになり、「NK細胞」が免疫防御の最前線において、質的にも量的にも機能不全になれば、「免疫システム」全体の機能が
低下していく可能性のあるわけです。
 
ここで注目すべきは、この2026年に Aging Cell 誌に発表された論文論文が「中年期のヒト男性」および「中年期のオスマウス」において特に顕著な「NK細胞」の機能低下を報告している点です(参考1)。
 
中年期以降に「内臓脂肪型肥満」があることが、なぜ「NK細胞」の機能低下に結びつくのか?
 
続きは、後日の話題にしたいと思います。
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
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<ブログ後記>9月23日

 

今回は「内臓脂肪型肥満」がありますと・・・いわゆる「免疫力」であるともされる「NK細胞」の活性が低下してしまうというお話をさせていただきました。

 

「NK細胞」の活性とは、その「破壊力」と言っても良いかもしれませんね。

 

もちろん「NK細胞」の活性は、以下の図で示すように20歳ぐらいに

そのピークとなり、以後は緩やかに(ゆるやかに)低下していくとされています。

 

          (図はお借りしました)

 

「内臓脂肪型肥満」がありますと・・・さらに「NK細胞」の活性は低下していくということになりますね。

 

「肥満」と「NK細胞」の関係については、免疫代謝学の進展により解明が進んでいきています。

「肥満」の状態・・・その多くは「内臓脂肪型肥満」ですが・・・

 

この「内臓脂肪型肥満」では、蓄積した脂肪組織が慢性的な微小炎症を呈し、マクロファージなどが炎症性サイトカインを持続的に分泌することが知られています。この微小環境下で「NK細胞」の細胞傷害活性やIFN-γ産生能が損なわれることは、多数の研究で確認されています(参考8)
 

その分子メカニズムの核心を突いたのが、2018年の先駆的な研究であるとされています(参考9)。


「内臓脂肪型肥満」により組織内や血中の遊離脂肪酸が増加すると、「NK細胞」は脂質を過剰に取り込み、PPARαおよびPPARδという脂質代謝を制御する転写因子が過剰に活性化する現象が起こります。

その結果、細胞の主要なエネルギー源となる解糖系を駆動する「mTOR」経路のシグナルが阻害され、「NK細胞」は深刻な代謝不全(代謝的麻痺)に陥る(おちいる)ことが分かっています(参考9)。

エネルギーと生合成の基盤を絶たれたNK細胞では、グランザイムやパーフォリンの発現が低下するだけでなく、細胞傷害性顆粒を標的細胞との接着面(免疫シナプス)へと輸送する「トラフィッキング機能」が物理的に阻害されてしまうというのですね(参考9)。 

重要なのは、この機能不全が不可逆的な細胞死ではなく、環境に由来する代謝的麻痺である点だ。実験的にPPARを阻害したり、ミトコンドリアへの脂質輸送を遮断したりすると、解糖系が回復し、細胞傷害性が元に戻ることが証明されています(参考9)。
 

「内臓脂肪型肥満」によって「NK細胞」が代謝的麻痺に陥り、ウイルスへの感受性が高まることは、多くの論文でも繰り返し指摘されています。

インフルエンザなどの呼吸器系ウイルスに対して、「内臓脂肪型肥満」のある者が重症化しやすい背景の一つに、「NK細胞」をはじめとする自然免疫の機能低下が存在すると考えられています。

 

感染症リスクは、高齢者だけの問題ではないわけですね。
 

「NK細胞」という「防波堤」が中年期の肥満を契機に低くなりはじめることこそが、私たちに突きつける警告であると言えるのではないでしょうか。

さらに・・・ここからが、感染リスクと並ぶ、医学的に極めて重要な論点であると言えます。


「NK細胞」は、病原体やがん細胞だけでなく、「老化細胞」の監視と排除(Senolysis)も担って(になって)いましたね。

「老化細胞」は、は単に細胞分裂がストップするだけでなく、「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」を生じ、炎症性サイトカイン、ケモカイン、組織分解酵素などを周囲に放出し続ける。

 

少数の老化細胞であれば免疫系によって速やかに排除されるが、加齢に伴い各組織に蓄積すると、慢性的な微小炎症(Inflammaging)を引き起こし、動脈硬化、糖尿病、がんなど、様々な加齢関連疾患の温床となるとされています。

この厄介な「老化細胞」を積極的に排除しているのが「NK細胞」である。老化細胞はDNA損傷応答を契機に、細胞表面にMICAやULBPといった「NKG2Dリガンド」を高く発現します。


NK細胞は自身のNKG2D受容体でこれを感知し、パーフォリン・グランザイム経路を介して老化細胞を殺傷・除去するわけですね(参考10)。


ここで、これまでの知見が一本の線でつながりますね。

中年期の「内臓脂肪型肥満」は、脂質代謝の異常を介して「NK細胞」を代謝的麻痺に陥らせる(おちいらせる)わけです。

 

機能不全に陥った「NK細胞」は、組織に生じた老化細胞を十分に排除できなくなります。

 

排除を免れた「老化細胞」は蓄積し、「SASP」によって炎症性物質をまき散らします。

 

その慢性炎症は、脂肪組織の炎症をさらに増悪させ、「NK細胞」の機能をいっそう抑制する・・・という「負の連鎖」が存在することがお分かりいただけると思います。

「老化細胞」の蓄積は「老化の速度」そのものを規定する主要因の一つであると考えられています。

 

「NK細胞」の機能低下は、単に感染への扉を開くだけでなく、この「老化加速のループ」の引き金を引きうるのである。

また、「老化細胞」の監視と表裏一体の機能として、NK細胞による

「がん免疫監視(Tumor immunosurveillance)」も重要であると言えます。

実際に・・・一般住民を対象とした11年間の長期間にわたり経過を見た(前向きコホート)研究では、末梢血中の「NK細胞」の活性が低い群は、高い群に比べて将来のがん発症リスクが有意に高い(約1.4倍)ことが示されています(参考11)。

「内臓脂肪型肥満」そのものが複数のがんの確実な危険因子であることを踏まえると、肥満による「NK細胞」の機能不全は、中年期以降の癌発症リスクを静かに高めるベースとなるわけです。

 

免疫監視の綻び(ほころび)は、数年から十数年という長い潜伏期間を経て、がんという形で表面化しうると言えますね。

では、どうすればよいのか?・・・ということになりますね。

もちろん、悲観する必要はないと思います。


先にお話をしたように、「内臓脂肪型肥満」に伴う「NK細胞」の代謝麻痺は不可逆的な現象ではなく、「可逆的」な現象であるからですね。

したがって、積極的に体重・体脂肪の減少させることが、「NK細胞」の機能を回復させうることが複数の研究で示されています。

中年期は、免疫の低下がまだ機能停止(代謝的麻痺)の段階にとどまっているとされ、積極的に体重・体脂肪を減少させて「内臓脂肪型肥満」の解消を行なっていくことによって、「免疫応答」や「老化細胞」の除去能を回復させうる、重要な「分岐点」であると言えそうですね。

 

「食欲の秋」ですが・・・あなたはどうしますか?

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い
 

参考)

1) Aging Cell. 2026 Sep;25(9):e70707. 

Natural Killer Cell Dysfunction Is Emerging During Midlife Obesity

Ruojia Biaoら

 

2)J Immunol. 2018 May 1;200(9):3231-3243. 
Single Degranulations in NK Cells Can Mediate Target Cell Killing
Lavesh A Gwalaniら
 
3)Curr Protoc. 2026 Aug;6(8):e70452. 
Assessment of Natural Killer Cell Serial Degranulation
Jens A Niemannら

 

4)Crit Rev Immunol. 2016;36(2):131-147. 

Metabolic Regulation of Natural Killer Cell IFN-γ Production

Annelise Y Mahら

 

5)Cell Rep. 2022 Sep 13;40(11):111342. 

In vivo G-CSF treatment activates the GR-SOCS1 axis to suppress IFN-γ secretion by natural killer cells

Xiangyu Zhaoら

 

6)Front Immunol. 2018 Mar 9:9:293. 

Regulation of Human Natural Killer Cell IFN-γ Production by MicroRNA-146a via Targeting the NF-κB Signaling Pathway

Hongwei Wangら

 

7)Viruses. 2022 Jul 14;14(7):1538.

Galectin-9 and Interferon-Gamma Are Released by Natural Killer Cells upon Activation with Interferon-Alpha and Orchestrate the Suppression of Hepatitis C Virus Infection

Ann Paolo Carrecaら

 

8)Blood. 2020 Dec 24;136(26):3004-3017.
 Increased lipid metabolism impairs NK cell function and mediates adaptation to the lymphoma environment
Takumi Kobayashiら

 

9)Nat Immunol. 2018 Dec;19(12):1330-1340. 

Metabolic reprogramming of natural killer cells in obesity limits antitumor responses

Xavier Micheletら

 

10)Aging (Albany NY) . 2016 Feb;8(2):328-44.
NKG2D ligands mediate immunosurveillance of senescent cells
Adi Sagivら

 

11)Lancet . 2000 Nov 25;356(9244):1795-9.
Natural cytotoxic activity of peripheral-blood lymphocytes and cancer incidence: an 11-year follow-up study of a general population
K Imaiら

 

(麻布台ヒルズで見つけた秋の始まり)

(筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大学医学部卒)

    

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

9月最初の日曜日は、あいにく雨模様のお天気となっています。

 

今朝はベッドの中で暫く(しばらく)の間、雨の音を聞いていました。小鳥の泣き声などではなく、雨の音で起きるのも悪くはない・・・などと考えていました。

 

近代歌人のひとりである与謝野晶子(よさのあきこ)の和歌

 

「地の上のものの総てを斬りきざむ白刃の如く秋雨ぞ降る」

 

を思い出しました(うろ覚えでしたが・・・)。

 

なんと大袈裟(おおげさ)なと思ったりもすたわけですが、ニュース

の記事を見ますと、「秋雨前線(あきさめぜんせん)」だ活発化しており、明日の午前中には関東に「線状降水帯」ができる可能性もあるのだとか。

 

明日は細心の注意が必要なのかもしれませんね。

 

皆さまの体調はいかがでしょうか?

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

さて、今回は「早期癌」の発見にもつながるようなお話をしてみたいと思います。最近では30歳代で癌を発症することが多くなっていますので、皆さまに無関係であるとばかりは言えないかもしれませんね。

 

私たちのヒトの血液には、体のさまざまな細胞から漏れ出した、ごく微量の「DNAの断片」が常に漂って(ただよって)いることが分かっています。

 

この「DNAの断片」は「セルフリーDNA(cell-free DNA:cfDNA)」と呼ばれています。

 

この意味は、細胞の外を自由に循環しているDNAという意味)にになります。

 

癌を発症していない健康な人の体でも、細胞は日々生まれ変わっており、その入れ替わりの副産物として、少しずつ「DNAの断片」が血中へこぼれ出ているわけです。

近年、この血中DNAを採血だけで解析し、癌の有無やその性質を推定する「リキッドバイオプシー(liquid biopsy:液体生検」と呼ばれています。

ちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが、組織を切り取る従来の生検に対して、血液という"液体"を調べる検査)」が急速に発展してきました。

 

体に針を刺して組織を採る負担がなく、繰り返し行えるこの検査は、がんの早期発見や治療効果の判定に大きな期待が寄せられています。

この「リキッドバイオプシー(liquid biopsy」その研究の過程で、2つの興味深い事実が明らかになっています。

 

それは、標題にも書きしたが・・・

 

癌のあるヒトの血液を調べてみますと、「DNAの断片」が、健常者よりも (A)短くなり(参考1,2,3)、その(B)総量も増える(参考4,5)という現象が起きていることが分かっています。

 

血液の中に細胞の外を漂う(ただよう)「DNAの断片」が存在すること自体は、実は今から70〜80年以上前、1940年代にはすでに報告されていました。

 

しかし、その量があまりに微量で、しかも短い断片だったため、長らく「なぜそこにあるのか」「どんな意味を持つのか」はよく分かっていなかったのですね。

 

DNAを大量かつ精密に読み解く技術(次世代シークエンサー)が普及したこの十数年で、ようやくその正体と臨床的な価値が、急速に明らかになってきたと言えます。

 
ここで「DNAの断片」、つまり「セルフリーDNA(cell-free DNA:cfDNA)」が、どのような意味を持つものであるかの説明をしておきたいと思います。

 

「セルフリーDNA(cfDNA)」の大部分は、体のどこかで日々起きている「細胞の死」により生じます。

 

細胞が寿命を終えて計画的に自死する「アポトーシス(apoptosis:あらかじめ組み込まれた、秩序だった細胞死)」や、傷害を受けて破裂するように死ぬ「ネクローシス(necrosis:壊死)」が起きると・・・細胞内のDNAが断片化して血流へ放出されることが分かっています(参考6)。

 

放出された「DNAの断片(CfDNA)」は数十分から数時間という短い時間で分解・排泄されるため、血中のcfDNAは「今まさに起きている細胞の入れ替わり」を映す、うつろいやすい指標であるとも言えますね。

 

 

さらに言えば・・・健常者では、この血中「DNAの断片」の主な供給源は、骨髄でつくられる血球(白血球など)です。そのため、血中のcfDNA濃度はごくわずか(おおむね血漿1mLあたり10ナノグラム未満)に保たれています。

 

日々死んでいく血球の量と、それを片づける体の処理能力とが釣り合い、低い水準で安定しているからという理由になります。

一方、癌のある方では、この血中DNAの一部が「癌細胞」に由来します。これを特に「循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)」と呼ばれており、癌の特異的変異やエピジェネティック変化を保持することが報告されています(参考7,8)

 

image

(AIを用いて画像を作成) 

 

では、がん患者の血液を流れる「DNAの断片(CfDNA)」は、なぜ「短く」なるのか?・・・についてみていきないと思うのですが・・・

その前に健常者の「DNAの断片(cfDNA)」についてをみてみたいと思います。

 

細胞の核の中では、全長にすれば約2メートルにもなる長大なDNAが、そのまま裸で存在しているわけではありません。

 

DNAは「ヒストン」というタンパク質の芯(八量体)に約1.7回巻きついて、糸巻きのような単位を無数につくり、コンパクトに折り畳まれています。

この糸巻き一つがヌクレオソームで、芯に巻きついたDNAは約147塩基(bp:DNAの長さの単位)、隣の糸巻きどうしをつなぐ"ひも"の部分(リンカーDNA)が約20bpです。

 

健常者血漿中の「DNAの断片(cfDNA)」はヌクレオソーム1回折り分(約147 bp)とリンカーDNA(約20 bp)の合計に相当する約166–167 bpを主要ピークとするが、長さは一定ではなく多様な断片群が共存することが報告されています(参考9,10)


                               (図はお借りしました)

 

細胞が「アポトーシス」で死ぬとき、DNAを切る酵素(ヌクレアーゼ)が働きます。このとき、「ヒストン」に巻きついた部分は芯に守られて切られにくく、露出したリンカー部分が優先的に切断されます。その結果、ヒストンに保護された147bpに前後のリンカーを加えた約167bp(研究によっては166bpとも記載されます)を最頻値(もっとも多い長さ)とする、特徴的なそろい方が生まれます。

 

 

 
上記が健常者の「DNAの断片(CfDNA)」の長さがほぼ、同じ長さになるメカニズムです。
 
がん患者の血液中の「DNAの断片(CfDNA)」は、なぜ「短く」なってしまうのでしょうか?
 
お話の続きは・・・後日の話題にしたいと思います。
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
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<ブログ後記>9月8日

 

今回は、癌を発症すると・・・健常人と比較して「DNAの断片(cell-free DNA:cfDNA)」が短くなる傾向があり、しかも大量に血液中に存在する・・・という摩訶不思議(まかふしぎ)なお話をさせていただきました。

 

この理由について、お話をしてみたいと思います。

 

健常者の「正常細胞」がアポトーシスで死ぬとき、DNAを切る酵素(ヌクレアーゼ)が働くことが知られています。

アポトーシスは「プログラムされた細胞死」と呼ばれるわけですので

細胞内にある自分(細胞)自身の「DNA鎖」をバラバラにするわけですね。
 

このとき、「ヒストン」に巻きついた部分は芯に守られて切られにくく、露出したリンカー部分が優先的に切断されます。

その結果、ヒストンに保護された147bpに前後のリンカーを加えた約167bp(研究によっては166bpとも記載されます)を最頻値(もっとも多い長さ)とする、特徴的な「DNAの断片」が生じるわけです。


さらに、そのピーク以下には約10bpごとの階段状の周期が見られます。これはDNAの二重らせんが1回転する長さ(約10.4bp)に対応し、酵素がらせんの外側から一定間隔で刻んだ痕跡です(参考11,12)。


では、「癌細胞」が存在すると、なぜ「DNAの断片」が短くなるのでしょうか?


この背景には、いくつかの要因が重なり合っている理由からとされています。

(1)クロマチンが"緩む(ゆるむ)"ことによる保護の低下

「癌細胞」では、遺伝子を包み込む「クロマチン(chromatin:DNAとタンパク質の複合体)」の畳まれ(たたまれ)方が正常細胞と異なっています。

とりわけ、活発に読み取られる遺伝子や、その働きを調節する領域を中心に、構造がほどけて開いた「オープンクロマチン」が広がっています。

 

image
 

「ヌクレオソーム」による保護が弱いこうしたDNA領域は、酵素の攻撃を受けやすくなります。


守りの薄い場所では、リンカーだけでなくヒストンに巻きついた芯の部分にまで切れ込みが入り、147bpよりさらに短い"芯を削られた"断片が生じるのです。腫瘍ごとに異なるヌクレオソームの配置が、こうしてctDNAの長さや切断端の特徴として、血中の「DNAの断片」に

反映されることになります。

(2)がんゲノム全体の「低メチル化」

癌に共通する大きな特徴の一つに、ゲノム全体でDNAのメチル化(mシトシンという塩基にメチル基が付くこと)があります。

 

DNAのメチル化が起きると、その部分の遺伝子の転写(RNAからmRNAができること)が抑制されます。

 

癌では、このDNAのメチル化が低下していることが多いとされています。(参考13)。

DNAが「メチル化」が失われるとクロマチンはより緩み(ゆるみ)やすくなり、DNAを切断する「酵素(こうそ)」が近づきやすくなることが分かっています。

さらにに低メチル化と断片の短さは、同じ「クロマチンの緩み」という現象の、表と裏の関係にあると考えられています。

(3)DNAを切る「酵素(こうそ)」の働き方の違い

血中の「DNAの断片」の最終的な長さと、切断端の塩基配列(末端モチーフ)は、複数の酵素(ヌクレアーゼ)の連携で決まることが分かっています。

 

例えば、この酵素(ヌクレアーゼ)は、細胞内で最初に働く「DFFB」、そして血流の中で断片をさらに刻む、循環型の「DNASE1L3」や「DNASE1」などが知られています(参考14)。

これらの酵素は、それぞれ好む切り方(裸のDNAを好むもの、ヌクレオソームごと刻むもの、など)が異なります。


癌の微小環境ではこの「酵素」群の活性バランスが変化するため、癌由来の分子は、切断端の配列にも独特の偏り(かたより)を帯びながら、いっそう短縮の方向へ傾いていくのです。

次に、もうひとつの現象―「DNAの断片(cfDNA)」総量の増加――に目を向けてみたいと思います。その理由は、大きく3つに整理できます。

その1)

癌組織では、細胞の入れ替わり(ターンオーバー)が非常に速いことです。がんは盛んに増殖する一方で、その裏側で多くの細胞が同時に死んでいきます。

とくに、腫瘍が大きくなると内部まで栄養や酸素が届かなくなり、ネクローシス(壊死)が起こりやすくなります。
秩序だったアポトーシスと、こうした壊死とが合わさって、大量のDNAが血流へ放出されるのです(参考6)。


健常者では血漿1mLあたり10ナノグラム未満に保たれる「DNAの断片(cfDNA)」が、癌が進行すると数倍から10倍程度にまで増えるのは、この"供給側"の増加が主な原因です。

その2)

癌組織の量(腫瘍量)と「DNAの断片(cfDNA)」の量が、おおむね相関することが分かっています。
640人のがん患者を調べた大規模な研究では、「DNAの断片(cfDNA)」は進行がんの多くで検出され、局所にとどまる早期がんでも一定の割合で検出されることが報告されています(参考15)。

つまり、癌腫瘤が大きく進行しているほど、死んで放出される細胞も増え、血中に出る、「DNAの断片(cfDNA)」も増える――という量的関係があることも分かっているのですね。

 

この関係があるからこそ、、「DNAの断片(cfDNA)」の量を測ることで、治療によって腫瘍が縮んでいるか、再び増えていないかを、経過とともに追いかけることができるということになります。

その3)

放出だけでなく「片づけ(クリアランス)」の側の変化も寄与します。血中の「DNAの断片(cfDNA)」はふだん、肝臓や腎臓、そして循環する酵素(ヌクレアーゼ)の働きによって、速やかに分解・排泄されています。


しかし、癌組織からの供給がこの処理能力を上回ると、余った分が血中に蓄積していきます。


加えて、がん患者では、、「DNAの断片(cfDNA)」が壊れきらずに比較的長い分子として残る割合が増える「DNAインテグリティ(integrity:DNAの完全性・連続性)の上昇」も報告されています(参考16)

これも見かけの総量を押し上げる一因と考えられています。放出が増え、片づけが追いつかない――この二つが重なって、総量の増加として観察されるわけですね。

 

実際にj癌のある方(癌患者)と健常者の「DNA断片(cfDNA)」の量と長さについて報告しているデータを見てみたいと思います。

 

以下のdataは、株式会社日本遺伝子研究所(宮城県仙台市)のデータ

をお借りしたものとなります。

 

以下の図は、健常者2112例、癌のある方(癌患者)2166例の血液中の「DNA断片(cfDNA)」の濃度を計測した結果となります。

青色が健常者の「DNA断片(cfDNA)」の濃度分布となり、赤色が

癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の濃度分布となります。

 

    (日本遺伝子研究所より提供:無断転載 禁)

 

上記の図を見ますと、健常者の「DNA断片(cfDNA)」より癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の濃度の分布の方が、その濃度が高い方向にずれていることが理解できます。

 

つまり、癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の濃度は、すべてではないものの、高濃度(量が多い)傾向があると言えます。

 

また、DNA断片(cfDNA)」の長さについても、以下のように株式会社日本遺伝子研究所(宮城県仙台市)より次のように報告されています。

 

以下の図は、健常者2086例、癌のある方(癌患者)2386例の血液中の「DNA断片(cfDNA)」の長さを計測した結果となります。

 

    (日本遺伝子研究所より提供:無断転載 禁)

 

上記の図を見ますと、健常者の「DNA断片(cfDNA)」より癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の長さの分布の中央値が、その濃度が高い方向にずれていることが理解できます。

 

つまり、癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の長さは、すべてではないものの、健常者の「DNA断片(cfDNA)」より短くなる傾向があることが分かります。

 

実際に当院にて検査された患者さんの例での報告書をお示ししますと

以下のように報告されます。黄色の星(★)がたついている値が患者さん自身の「DNA断片(cfDNA)」の量ということになりますね。

少し見えにくいかもしれませんが、癌のある方(癌患者)のデータ

では、「DNA断片(cfDNA)」の量が増加しているのがお分かりいただけると思います。

 

 

また、株式会社GCリンフォテック(東京都江東区)の「DNA-CT」という検査においても健常者の「DNA断片(cfDNA)」より癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」の長さの違いは示されています。

 

      (GCリンフォテック社より提供;無断転載 禁)

 

詳細な検査のメカニズムは、またの機会にいたしますが、上の図の上段左は健常者の「DNA断片(cfDNA)」が一定のサイズのものが中央付近に存在していることが分かります。

 

上の図の上段右は癌のある方(癌患者)の「DNA断片(cfDNA)」を

示しています。これをみますとさまざまな長さの断片が生じており、

しかも、その量が多いので濃く染まっているのが分かるかと思います。

 

もちろん、これらの検査で「DNA断片(cfDNA)」の異常が認められるのは、各種画像検査(CT検査,MRI検査, 内視鏡検査など)で「癌病変」が見つかる3〜5年前と考えられることから、癌の超早期検査や

癌治療後の再発の兆候を知る検査として、有効かもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

※研修会出席のため、9月13日のブログは

 お休みさせていただきます。

 

参考)

1)Genome Res. 2022 Feb;32(2):215-227.

Characteristics, origin, and potential for cancer diagnostics of ultrashort plasma cell-free DNA

 Irena Hudecoveら

 

2)Clin Chem. 2022 Sep 1;68(9):1151-1163. 

Single-Molecule Sequencing Enables Long Cell-Free DNA Detection and Direct Methylation Analysis for Cancer Patients

L Y Lois Choyら

 

3)Nat Commun. 2026 May 8;17(1):6226. 

Cell-free DNA size deconvolution resolves nucleosomal origins and reveals tumor-associated fragmentomic alterations

Ze Zhouら

 

4)Cancer Discov. 2023 Oct 5;13(10):2166-2179.

The Origin of Highly Elevated Cell-Free DNA in Healthy Individuals and Patients with Pancreatic, Colorectal, Lung, or Ovarian Cancer

Austin K Mattoxら

 

5)Sci Rep. 2019 Mar 26;9(1):5220. 

Quantifying circulating cell-free DNA in humans

Romain Meddebら

 

6)Cancer Res. 2001 Feb 15;61(4):1659-65.

DNA fragments in the blood plasma of cancer patients: quantitations and evidence for their origin from apoptotic and necrotic cells

 S Jahrら

 

7)Cancer Res Treat. 2023 Apr;55(2):351-366. 

Clinical Circulating Tumor DNA Testing for Precision Oncology

Hyunji Kimら

 

8)Lab Chip. 2018 Apr 17;18(8):1174-1196. 

Circulating tumor DNA and liquid biopsy: opportunities, challenges, and recent advances in detection technologies

Lena Gorgannezhadら

 

9)Theranostics. 2020 Mar 26;10(11):4737-4748. 

Size profile of cell-free DNA: A beacon guiding the practice and innovation of clinical testing

Jiping Shiら

 

10)Int J Med Sci. 2023 Jan 12;24(2):1503. 

Cell-Free DNA Fragmentomics: The Novel Promising Biomarker

Ting Qiら

 

11)Cell. 2016 Jan 14;164(1-2):57-68. 
Cell-free DNA Comprises an In Vivo Nucleosome Footprint that Informs Its Tissues-Of-Origin
Matthew W Snyder

12)Am J Hum Genet. 2020 Feb 6;106(2):202-214. 
The Biology of Cell-free DNA Fragmentation and the Roles of DNASE1, DNASE1L3, and DFFB
Diana S C Han ら

 

13)Ann N Y Acad Sci. 2018 Apr;1418(1):69-79. 
Revisiting the genomic hypomethylation hypothesis of aging
Archana Unnikrishnanら

 

14)Am J Hum Genet. 2020 Feb 6;106(2):202-214.
The Biology of Cell-free DNA Fragmentation and the Roles of DNASE1, DNASE1L3, and DFFB
Diana S C Hanら

 

15)Sci Transl Med. 2014 Feb 19;6(224):224ra24. 

Detection of circulating tumor DNA in early- and late-stage human malignancies
Chetan Bettegowdaら

 

16)Cancer Res. 2003 Jul 15;63(14):3966-8.
Increased plasma DNA integrity in cancer patients
Brant G Wang ら

 

(夜の東京駅舎)

(筆者撮影)

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JTKクリニックホームページ

 

理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大学医学部卒)

    

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

いよいよ8月も残り1日となっていますね。

先週はクリニックから自宅に戻る際に「夕焼け」を眺めながら

なんとなくですが・・・もう夏も終わりかなと思いました。

 

忍者であったという説もある松尾芭蕉(まつおばしょう)は、

「奥の細道」の中でつぐのような句を残しています。

 

  あかあかと日はつれなくも秋の風

 

「日はなお赤々と、そしらぬ顔で照りつけているのに、吹く風にはもう秋がある。」

 

たしかに風のなかにも秋の気配を感じるようになっているような気にします。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

今回は「内臓脂肪型肥満」である場合に「NMN」サプリの服用や「NAD+」の投与をしても効果が減弱する可能性がある・・・というお話をしてみたいと思います。

 

早速ですが・・・、「内臓脂肪型肥満」を伴わない「通常の加齢」における「NAD⁺」低下のプロセスを見てみたいと思います。

 

「内臓脂肪型肥満」を伴わない「通常の加齢」における「NAD⁺」低下のプロセスを見る。もちろん加齢によっても「NAMPT(ニコチナミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)」を介したNAD⁺合成は漸減します。

 

 

しかし、それ以上に影響が大きいのが消費経路の亢進であることが分かっています。

近年の研究により、「NAD+」の消費亢進の引き金が「慢性炎症」であることが明らかになっています。

 

加齢に伴う「慢性炎症」といえば・・・そうですね。「老化細胞」ということになりますね、

 

加齢に伴い組織に「老化細胞」が蓄積すると、それらが分泌する炎症性物質である「SASP:老化関連分泌形質」が組織常在性のマクロファージを刺激し、「CD38」を強力に誘導することが知られています(参考1,2)。

 

実際に・・・加齢した組織では「CD38」を高発現するM1型の炎症性マクロファージが集積し、これが組織内のNAD⁺を枯渇させることが示されている(参考1)。

 

「老化細胞」やSASPを除去すると「CD38」の発現が低下し、「NAD⁺」量が部分的に回復することも示されており(参考2)、加齢型「NAD⁺」低下のメカニズムは「インフラメイジング(炎症を伴う老化)」による消費の亢進にあるといえるわけですね。

 

image

(AIを用いて画像を作成) 

 

では、「内臓脂肪型肥満」の状態にあると・・・「NAD⁺」低下のメカニズムが変化するのでしょうか?答えは「Yes」ということになります。

 

 

「内臓脂肪型肥満」においては、これが「産生経路の顕著な減弱」と「複数の消費経路の同時亢進」という二重苦の様相を呈すると考えられています。

第一に、「産生経路の減弱」についてですが、以下のようなメカニズムとなります。

 

高脂肪食負荷モデルや肥満患者の脂肪肝の組織では・・・「代謝ストレス」によって「NAMPT(ニコチナミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)」の発現が著しく低下し、「NAD⁺」の合成能が損なわれることが動物実験等でも示されています(参考3)。

 

ヒトにおいても、遺伝的背景が同一である一卵性双生児の体重不一致ペアを用いた研究でも、肥満している側の脂肪組織ではNAD⁺/サーチュイン経路の発現が有意に低いことが示されています(参考4)。

 

このことは、加齢とは独立して、「肥満そのもの」が「NAD⁺」合成を阻害することを証明していますね。

 

さらに「内臓脂肪型肥満」では、「NAD⁺」の「複数の消費経路の同時亢進」という2つ目の現象が起きているわけですが・・・

 

この続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記 >9月1日

 

9月になりましたね。

さっそく、「内臓脂肪型肥満」があると「NAD+」の低下がさらに速く

進行する・・・というお話をしてみたいよ思います。

 

「内臓脂肪型肥満」においては、これが「産生経路の顕著な減弱」と「複数の消費経路の同時亢進」という二重苦の様相を呈すると考えられています。

第一に、「NAD+産生経路の減弱」についてですが、以下のようなメカニズムとなります。

高脂肪食負荷モデルや肥満患者の脂肪肝の組織では・・・「代謝ストレス」によって「NAMPT(ニコチナミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)」の発現が著しく低下し、「NAD⁺」の合成能が損なわれるメカニズムについてはお話をしました。

 

 

実は動物モデルにおいて、「内臓脂肪型肥満」において脂肪組織の「NAD+」レベルが低下することは、多くの研究者によって妥当な結果であるとされています。

 

ただし、ヒトにおける直接的な「内臓脂肪型肥満」と「NAD+」測定したデータは少ないとされています。


ヒトの「肥満」と「NAD+」でその関係性が分かっている多くの知見は「皮下脂肪型肥満」または、「皮下脂肪型肥満」の動物モデルで報告されています。

 

つまり、「内臓脂肪型肥満」ばかりでなく、「皮下脂肪型肥満」でも「NAD+」が低下する可能性があるということになります。

実際に「肥満」では脂肪組織の「NAMPT」発現低下と「NAD+」の減少が一貫して認められ、サルベージ経路の障害が関与する ことが多数報告されています(参考5,6,7)

「肥満」がある場合の「炎症性サイトカイン」(IL-1β、IL-6、TNF-α)などは、「NAMPT」遺伝子発現を直接抑制し、その産生量が低下する
ことも報告されています(参考8)。

 

image

 

 

では、これらの「産生経路の顕著な減弱」以外の要因
「複数の消費経路の同時亢進」とは、どういうことなのでしょうか。

第二の問題とは、(CD38・PARP)の過剰亢進であると言えます。
どのようなことか、具体的にはどのようなことなのか?・・・について、お話をしてみたいと思います。

 

 

「内臓脂肪」は、「マクロファージ」が浸潤しやすい「慢性炎症」の温床(おんしょう)であることが分かっています。


過剰な肥満脂肪組織の慢性炎症環境において、「炎症サイトカイン」(TNFα・IL6・IL1β)を産生するとともに「脂肪細胞」の

「CD38 mRNA」を著明に誘導します(参考8)。


つまり、肥満や脂肪細胞分化に伴い、「CD38」分子は脂肪細胞系でも増加するわけです(参考9)。

「CD38」は「NAD+」を分解する主要酵素ですので、「脂肪細胞」の増加に伴い、「NAD+」は低下をしていきます。

 

この「NAD+」の低下と同時に「NAMPT」および「SIRT3」の発現を低下させる ことが報告されています。
 

正確に言えば・・・「NAMPT」が低下することにより、「NAD+」が低下すると言った方が良いかもしれません。

実際に一卵性双生児のうち、肥満状態にある方が「NAMPT」の発現が有意に低下していることが報告されています(参考10)。

しかしながら、話は、これでは終わらない・・・わけですね。

この「NAD⁺」の低下、或いは、その枯渇の最も深刻な被害を受けるのが、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」であるということになります。

実際にヒトの肥満者の脂肪細胞では、細胞の大きさとは無関係に、全体の肥満度に応じて「ミトコンドリア」の酸化能力(燃焼力)が低下していることが報告されています(参考11)。

実際に双生児の肥満者側では、「ミトコンドリア」の脂肪酸酸化やTCA回路などの燃焼系遺伝子群が軒並み抑制されていたことが報告されています(参考12)。

つまり、「肥満」状態にある場合には、「ミトコンドリア」の機能障害が起きている可能性が高いということになります。

この「ミトコンドリア」の機能障害と「NAD⁺」の低下・枯渇を結びつけるものは、どのようなメカニズムなのでしょうか?

 

 

 

これは、「ミトコンドリア」に局在する脱アセチル化酵素・・・「サーチュイン3(SIRT3)」であることが分かっています。
 

「サーチュイン3(SIRT3)」は「ミトコンドリア」に局在するNAD⁺依存性脱アセチル化酵素で、「NAD⁺」低下により活性が落ちる性質があるため、「NAD⁺」状態をミトコンドリア機能へ変換する代表的なセンサーとして位置づけられているのですね(参考13,14)

 

「内臓脂肪型肥満」の状態にありますと、加齢の程度は別として、「NAD⁺」が低下、または、枯渇しますと・・・「サーチュイン3(SIRT3)」の活性が低下し、多数のミトコンドリアタンパク質が「過剰アセチル化」状態となる。

このために「ミトコンドリア」が機能不全に陥る(おちいる)ということになります。

その結果、「ミトコンドリア」からの「活性酸素(mtROS)」の漏出が増加し、それがさらなる炎症とPARP活性化を招くという悪循環が形成されるわけですね。

 

 

ちょっと複雑かもしれませんが、結論としては・・・

 

「肥満」の状態、とくに「内臓脂肪型肥満」を放置したまま

「NAD+」を増加させるために「NMN」のサプリを服用して

「健康長寿」を実現することは、なかなか難しいことである可能性がありますね。

 

まずは、BMI 22を目指しての「ダイエット」ありきの「健康長寿」と

言えるかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


参考)

1)Nature Metab. 2020 Nov;2(11):1265-1283. 

Senescent cells promote tissue NAD+ decline during ageing via the activation of CD38+ macrophages

Anthony J Covarrubiasら

 

2)Nat Metab. 2020 Nov;2(11):1284-1304. 

CD38 ecto-enzyme in immune cells is induced during aging and regulates NAD+ and NMN levels

Claudia C S Chiniら

 

3)Cell Metab. 2011 Oct 5;14(4):528-36.

Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice

Jun Yoshinoら

 

4)J Clin Endocrinol Metab 2016 Jan;101(1):275-83. 

Obesity Is Associated With Low NAD(+)/SIRT Pathway Expression in Adipose Tissue of BMI-Discordant Monozygotic Twins

Sakari Jukarainenら

 

5) Biomedicines. 2023 Sep 18;11(9):2560. 
The Role of NAD+ in Metabolic Regulation of Adipose Tissue: Implications for Obesity-Induced Insulin Resistance
Tatjana Ruskovskaら

6) Redox Biol. 2017 Aug:12:246-263. 
Adipose tissue NAD+-homeostasis, sirtuins and poly(ADP-ribose) polymerases -important players in mitochondrial metabolism and metabolic health
Riikka Jokinen ら

7)Cell Rep. 2016 Aug 16;16(7):1851-60. 
NAMPT-Mediated NAD(+) Biosynthesis in Adipocytes Regulates Adipose Tissue Function and Multi-organ Insulin Sensitivity in Mice
Kelly L Stromsdorfer ら

8) Biomedicines. 2023 Sep 18;11(9):2560. 
The Role of NAD+ in Metabolic Regulation of Adipose Tissue: Implications for Obesity-Induced Insulin Resistance
Tatjana Ruskovska ら

9)J Cell Mol Med. 2018 Jan;22(1):101-110.
CD38 deficiency suppresses adipogenesis and lipogenesis in adipose tissues through activating Sirt1/PPARγ signaling pathway
Ling-Fang Wangら

10)J Clin Endocrinol Metab. 2016 Jan;101(1):275-83.
Obesity Is Associated With Low NAD(+)/SIRT Pathway Expression in Adipose Tissue of BMI-Discordant Monozygotic Twins
Sakari Jukarainen ら

11)J Clin Endocrinol Metab. 2014 Feb;99(2):E209-16. 
Adipocyte mitochondrial function is reduced in human obesity independent of fat cell size
Xiao Yin ら

12)J Hepatol. 2022 Dec;77(6):1504-1514. 
Mitochondrial respiration is decreased in visceral but not subcutaneous adipose tissue in obese individuals with fatty liver disease
Kalliopi Pafili ら

13)J Neurosci Res. 2019 Aug;97(8):975-990. 
Nicotinamide mononucleotide alters mitochondrial dynamics by SIRT3-dependent mechanism in male mice
Nina Klimova ら

14) Drug Discov Today. 2023 Jun;28(6):103583. 
Role of SIRT3 in mitochondrial biology and its therapeutic implications in neurodegenerative disorders
Yogesh Mishra ら

 

(夜のスカイツリー)

(筆者撮影)

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(総合内科、リウマチ専門医)

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          曲を更新しました

                   

               <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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   (検査結果からの解説・必要な追加検査などの説明を含む)

 

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◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

いよいよ8月も終盤になっていますね。

 

熊本の地震、千葉の豪雨、世界で起こっている戦争と、世界の終末が

近いような気もするわけですが・・・たぶん、そうはならずに

あと1~2年もすれば、落ち着いた世の中になるような気がしています。

 

今、現在がどのような時代であるかを誰も正確に述べることはできませんね。

ドイツの哲学者であったヘーゲル(ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル)は、次のような言葉を残しています。

 

Wenn die Philosophie ihr Grau in Grau malt, dann ist eine Gestalt des Lebens alt geworden, und mit Grau in Grau läßt sie sich nicht verjüngen, sondern nur erkennen; die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug.

 

「哲学がその灰色を灰色で描くとき、生の一つの姿はすでに老いてしまっている。灰色を灰色で塗り重ねても、その姿を若返らせることはできず、ただ 認識する ことができるだけである。ミネルヴァの梟(ふくろう)は、たそがれが訪れてはじめて、その翼を広げて飛び立つのだ。」

 

ミネルヴァ(=ギリシアのアテナ)は、知恵の女神で、その従える梟は「知」の象徴です。梟が夕闇にならねば飛び立たぬように、(哲学的)認識もまた、ある時代が成熟し老いを迎えたあとにようやく訪れるというという比喩(ひゆ)ということになります

 

つまり人間は、自分がその只中に生きている現実や歴史を、リアルタイムで把握し導くことはできない。理解できるのは、その時代が終わった時である・・・ということになりますね。

 

こんな時代だから頑張ってもしょうがない・・・と言う方も多いわけですが、「いつまでも同じ時間は流れないのになあ〜」と私は思ったりもしますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

今回は「NK細胞」と「老化細胞(senescent cell)」についてのお話をしてみたいと思います。

 「NK細胞」は、生まれた時から備わっている自然免疫の細胞のひとつでしたよね。この「NK細胞」は、「癌細胞」、「ウイルス感染細胞」、そして「老化細胞」を破壊することができることが分かっています(参考1)。

 「老化細胞」がどのようにできるのか?・・・をまず、復習してみますと次のようになります。

 

体細胞が何度も分裂していくことにより、「テロメア」という部分が短くなっていき、「老化細胞」になっていきます。

「テロメア」は染色体末端にある反復配列であり、細胞分裂ごとに50–200 塩基(bp)ずつが失われることが分かっています。

 


        (図はお借りしました)

 
細胞の分裂すると「テロメア」が限界まで短くなり、それ以上の分裂はできないところに達します。「ヘイフリック限界」に達してしまうと、それ以上は細胞分裂ができなくなり、「老化細胞」になります(参考2)。

このようにして「老化細胞」になるメカニズムを「複製老化」と呼びます。
 
また、それとは別の機序で、「DNA損傷誘導性老化」は、遺伝の変異が生じたDNA病変の蓄積が生じると「DNA損傷応答(DDR)」が

細胞周期停止を起こすことにより「老化細胞」になるというものになります (参考3)。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

これらの「老化細胞」は、 炎症性サイトカイン・ケモカイン・プロテアーゼ・成長因子などを産生することが知られています。(参考4)

この分泌されるものがを「SASP(senescence-associated secretory phenotype:老化関連分泌形質)」と呼ばれます。
 

「SASP」は周囲の組織に微小な慢性炎症を引き起こし、動脈硬化、組織の線維化、発がんといった加齢関連疾患の温床となります。

 

そして、「老化細胞」が持続的に蓄積すると、「SASP」が周囲の正常細胞に「老化」を伝播し、組織恒常性を破壊させることが報告されています。

 

では、「老化細胞」の排除は可能なのでしょうか?
 
本来であれば、生体内に生じた「老化細胞」は免疫監視メカニズム、とりわけ「NK細胞」などの自然免疫系の免疫細胞によって認識され、排除されます。

「NK細胞」から分泌される「パーフォリン」が「老化細胞」の細胞膜に孔を形成し、そこからセリンプロテアーゼであるグランザイムが細胞内に侵入してアポトーシスを誘導します(パーフォリンとグランザイムを含む顆粒の開口分泌)。

 




しかし、残念ながら蓄積した「老化細胞」は,、自ら「免疫監視から逃避する」メカニズムを持っていることが知られています。 

その中心的な役割を担うのが、非古典的MHCクラスI分子である「HLA-E(Class-E抗原)」であることが分かっています。

「HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)」とは、簡単に言うと「細胞表面にある自分自身を証明する身分証明書」のようなものです。ほぼすべての細胞の表面にあり、免疫系に対して「私はこの体の正常な細胞ですよ」と示す役割を担っています。


下の図でm大きな黄色で示したTCR(T細胞レセプター)の上にペプチドが提示され、

 

正常な自己のペプチドが提示されていれば「問題なし」と見なされ、
 

ウイルス感染やがん化で異常なペプチドが提示されると「異常あり」

 

と判断して攻撃する
という監視システムが働いてるわけですね。

     (図は一部お借りしました)

「HLA-E」は、赤く示していますが、非古典的MHCクラスIb分子と呼ばれるもので、限られた多型性を持ちながらNK細胞およびT細胞の両方を調節することが知られています。

体内をパトロールしている「NK細胞」や、分化が進んだT細胞(細胞障害性T細胞)の表面には、「NKG2A」という抑制性受容体(CD94分子とのヘテロ二量体を形成)が発現しています。

「老化細胞」の表面には、「HLA-E」が強く発現しているために近づいていった「NK細胞」に存在する「NKG2A/CD94受容体」に特異的に結合してまいます。


これにより「NK細胞」が「老化細胞」を攻撃を開始するための活性化シグナルは強制的に遮断(脱リン酸化)されてしまうことが報告されています(参考5)、

上記のようなメカニズムにより、「NK細胞」は「老化細胞」を認識できているにもかかわらず、「老化細胞」をスムーズに破壊できないという可能性が出てくるわけですね。

 

では、どうすれば「NK細胞」はスムーズに「老化細胞」を破壊することができるのでしょうか?

 

お話の続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ
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<ブログ後記  >8月25日

今回の話題は、なかなかヘビーでありました。理解しにくいお話になってしまったと反省しています。

なぜ、このようなお話をしたのかと言いますと・・・今年の夏 8月11日に Nature Reviews Immunologyのいう権威のある科学雑誌の中で「老化細胞(senescent cells)」の免疫監視と免疫逃避を体系化した重要な論文が発表されたのですね(参考6)

この論文の概要をお話しますと・・・「老化細胞」は本来、「NK細胞」だけでなく、T細胞、マクロファージなどによっても認識・排除されます。
しかし加齢とともに、「NK細胞」をはじめとする免疫細胞の攻撃力を示す「活性」は低下していきます。

「老化細胞」側も免疫チェックポイント分子の発現、免疫抑制メカニズムの誘導などを利用して除去を免れ、組織内に蓄積するというモデルについての詳細が解説されています。

「老化細胞」と「NK細胞」との関係では、NKG2D依存性の老化細胞認識、「NK細胞」から分泌される「パーフォリン」が

「老化細胞」の細胞膜に穴を開けて、そこからセリンプロテアーゼである「グランザイム」が細胞内に侵入してアポトーシスを誘導することで、「老化細胞」を排除をしようよするのですね。


その際に「老化細胞」は「HLA-E」などの免疫抑制作用のある分子を表出して「NK細胞」の攻撃から逃げようとするわけです。

これが、「老化細胞」の免疫回避と呼ばれるものとなります。

 

同様の現象は「癌細胞」でも起こっているとされています。

なぜ、このような話が重要なのか?・・・といいますと、

今後の「老化細胞除去療法(セノリティック・セラピー)」は、

セノリティック薬(Senolytic drug:老化細胞除去薬)で老化細胞をなくすだけでなく、「老化細胞」の免疫逃避を解除することで「 NK細胞」による生理的排除を回復させるということが注目されていることが、その理由となります。

 

このためには、「HLA-E」の存在を念頭においておく必要があることになります。

この方法として、ひとつの仮説として、「iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来エクソソーム」が「HLA-E」の免疫抑制に対して、有効なのではないかという説があります。

エクソソーム(細胞外小胞:EVs)は、細胞が分泌する直径40〜150nm程度の脂質二重膜小胞であり、内部にタンパク質、mRNA、miRNAなどを内包して細胞間相互作用を媒介します。未分化で若返り能を持つiPS細胞から回収される「iPS細胞由来エクソソーム」には、組織修復や抗老化作用があることが報告され始めています。

理論上、「iPS細胞由来エクソソーム」は以下の2つのアプローチから、「HLA-E」による免疫回避メカニズムを打破することができるのではないかと考えられています



【 1 】「老化細胞」をパラクライン的に修飾し「SASP(老化関連分泌形質)」を鎮静化する経路

「iPS細胞由来エクソソーム」は、老化した間葉系幹細胞の細胞内「活性酸素種(ROS)」を低下させ、老化表現型を緩和すること(参考7)や、老化皮膚線維芽細胞の老化マーカーを低下させることが報告されています(参考8)。

「iPS細胞由来エクソソーム」の作用により、「老化細胞」の「SASP(老化関連分泌形質)」」の産生が低下し、IL-6などの炎症性サイトカイン分泌が減少すれば、p38 MAPK経路を介したHLA-Eの過剰発現も低下し、結果としてNKG2Aを介した免疫回避が解消される可能性があります。

複数の研究が、「老化細胞」のHLA-E発現が「SASP(老化関連分泌形質)」関連の炎症性サイトカインによって誘導されることが確認されています(参考9)。

つまり「iPS細胞由来エクソソーム」を投与することによって、「老化細胞」の「SASP(老化関連分泌形質)」が産生が低下し、HLA-E発現が低下する可能性があるということになります。

【 2 】「NK細胞」自身の老化を改善し、細胞傷害活性を回復させる経路

 2025年のChenらの報告では、自然老化マウスに「iPS細胞由来エクソソーム」を投与することで、脾臓の「NK細胞」の老化表現型が改善し、抗腫瘍免疫応答が回復することが示されました。
 

そのメカニズムとして、老化した「NK細胞」で発現が上昇している抑制性チェックポイント分子である「CISH(Cytokine-inducible SH2-containing protein)」というタンパクを抑制し、STAT3のリン酸化シグナルを回復させ、「NK細胞」の活性、つまり、殺傷能力が

回復するということになります(参考10)。

このように加齢で衰えた「NK細胞」の活性化経路を修復することは、HLA-Eによる抑制シグナルを凌駕(りょうが)する強力な「アクセル」を取り戻すことにつながるということになります。

ただし、今後の課題として、これらのエクソソーム研究の大半がインビトロ(試験管内)や動物モデルに留まっており、「HLA-E依存的な免疫回避の解除」を主目的としたヒト臨床試験は現時点では実施されていません。
 

今後、各国の研究者が答えを出していくのかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考) 
1) Front Immunol. 2025 Apr 4:16:1565278.
Senescence, NK cells, and cancer: navigating the crossroads of aging and disease
Marina Gerguesら

2) Int J Mol Sci. 2019 Oct 8;20(19):4959. 
Replication Stress at Telomeric and Mitochondrial DNA: Common Origins and Consequences on Ageing
Pauline Billard ら

3) J Clin Invest. 2022 Aug 15;132(16):e158446. 
Epigenetics, DNA damage, and aging
Carolina Soto-Palma ら 

4)Nat Rev Mol Cell Biol. 2024 Dec;25(12):958-978. 
The senescence-associated secretory phenotype and its physiological and pathological implications
Boshi Wang ら

5) Biomed J. 2023 Jun;46(3):100581. 
Cellular senescence and the host immune system in aging and age-related disorders
Yvonne Giannoula ら

 

6) Nat Rev Immunol. 2026 Aug 11. . Online ahead of print.
Immune surveillance and immune evasion of senescent cells
Pau Garcia-Baucells ら

 

7)Stem Cells. 2019 Jun;37(6):779-790. 
Highly Purified Human Extracellular Vesicles Produced by Stem Cells Alleviate Aging Cellular Phenotypes of Senescent Human Cells
Senquan Liu ら

8)Int J Mol Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715. 
Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts
Myeongsik Ohら

 

9)Nat Commun. 2019 Jun 3;10(1):2387. 
Senescent cells evade immune clearance via HLA-E-mediated NK and CD8+ T cell inhibition
Branca I Pereira ら

 

10)Stem Cell Res Ther. 2025 Nov 12;16(1):634.
 iPSCs derived sEVs ameliorate NK cell senescence by targeting CISH-STAT3
Yu Chen ら

 

 

(夏の終わりのお台場の風景)

(筆者撮影)

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   (私の名前が出てくるのは、ご愛嬌で・・・)

    

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暦に目をやりますと二十四節気では「立秋」となっていますね。

 

いつの間にか、夏の季節が終わってしまったななどと寂しい気もしました。

いよいよ秋の季節か・・・と思うわけですが、西洋では秋の始まりを秋分(9月下旬)または9月1日とするのが一般的だそうです。

 

「去りゆく夏を惜しむ」のではなく、「ゆっくり過ぎる夏の終わりの時間そのものを味わい、楽しむ」と考えるのが良いのかもしれませんね。

 

アメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの言葉にある次のような言葉を思い出しました。

 

"Live in each season as it passes; breathe the air, drink the drink, taste the fruit, and resign yourself to the influences of each."

 

過ぎゆくそれぞれの季節を、そのただ中で生きよ。その空気を吸い、その飲み物を飲み、その果実を味わい、季節ごとの力に身をゆだねよ

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

今回の話題は「グリア細胞」についてのお話をしてみたいと思います。

 

かつての脳神経系の研究は「ニューロン中心主義」であったといえます。

情報を電気信号として運び、シナプスで伝達する「ニューロン(神経細胞)」こそが脳の主役であり、「グリア細胞(神経膠細胞)」はそれを物理的に支える「糊(glia)」にすぎない、と考えられてきたわけですね、

 

しかしながら、最近といっての20年程度前程度になりますが・・・分子生物学・生体イメージング技術の進展により、「ニューロン(神経細胞)」ばかりでなく、「グリア細胞」も重要であることが分かってきたわけですね。

 

現在では「グリア細胞」は、シナプス伝達の調節、細胞外環境の恒常性維持、免疫監視、髄鞘形成、軸索への代謝供給、グリンパティック系による老廃物排出など、脳機能の根幹を担う能動的な細胞集団として理解されています。

 

以前は「グリア細胞」は「ニューロン(神経細胞)」の10倍程度存在するという記述が長く教科書に載っていましたが、これは間違いであったことが判明しています。

 

現時点の技術である「等方性分画法(isotropic fractionator)」を用いた定量では、ヒト成人脳全体の「ニューロン(神経細胞)」は約860億個、「グリア細胞」などの非ニューロン細胞は約850億個であり、比率はほぼ1対1であることが分かっています (参考1)。

 

中枢神経に存在する「グリア細胞」は、以下の3種類の細胞があることが分かっています、

 

image

          (図はお借りしました)

 

中枢神経系のグリア細胞(神経膠細胞)は大きく4種類に分類されます。

 

1.アストロサイト(星状膠細胞)

 

最も数が多く、神経細胞への栄養供給、細胞外のイオン・神経伝達物質の恒常性維持、血液脳関門の形成・維持、シナプス機能の調節などを担います。

 

2.オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)

 

中枢神経系で軸索に髄鞘(ミエリン鞘)を形成し、跳躍伝導による神経伝達の高速化を支えます。1個のオリゴデンドロサイトが複数の軸索を巻きます。

 

3.ミクログリア(小膠細胞)

 

中枢神経系における免疫担当細胞(マクロファージ系)で、病原体や損傷細胞・老廃物の貪食、炎症応答、シナプスの刈り込みなどを行います。

 

4.上衣細胞(ependymal cells)

 

上衣細胞は脳室・脊髄中心管を裏打ちし、脳脊髄液の産生・循環に関与します。

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

では、このような「グリア細胞」の異常は、何らかの疾患を引き起こすのでしょうか?

 

「グリア細胞」の特異的遺伝子変異による疾患には、アレキサンダー病 、ペリツェウス・メルツバッハ病、EAST/SeSAME症候群などが知られています。

これらの疾患の詳細な内容は、ここでは触れませんが「グリア細胞」の遺伝子の変異で生じる疾患があるということになります。

 

また、「グリア細胞」の神経変性で生じる疾患には「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」や「アルツハイマー病(AD)」があるとされています。

 

「反応性アストロサイト」の毒性転換のメカニズムによるものでは

「パーキンソン病」の発症の誘因とされています。

 

このメカニズムは、炎症時に「活性化ミクログリア」が分泌する

IL-1α、TNF、C1qの3因子によって誘導される神経毒性アストロサイト(いわゆるA1アストロサイト)は、シナプス形成能を失い、ニューロンやオリゴデンドロサイト死を誘導するというもので、「パーキンソン病」がこれにあたる可能性が指摘sれています(参考2) 。

 

また、自己免疫が関与する疾患では「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」という疾患では、「アストロサイト」の足突起に局在するAQP4に対する自己抗体(抗AQP4抗体)が補体を活性化し、アストロサイト溶解を主徴とする「アストロサイト」の障害があると報告されています(参考3) 。



また、近年では、重篤でない呼吸器COVID-19の後にも白質「ミクログリア」の持続的活性化とOPC・オリゴデンドロサイトの減少、海馬新生の低下が生じることがマウスおよびヒト剖検組織で示され、いわゆる「brain fog」の細胞基盤としてグリアが注目されている(参考4)。

このように実に多彩な病態が「グリア細胞」の異常で発症する方も多いと思います。

 

これらの疾患に加えて、「線維筋痛症」も「グリア細胞」の異常に起因するのではないか・・・という海外の論文も多く散見されるようになっておるのですが、これは後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>8月18日

 

今回は「神経細胞(ニューロン)」とともに存在する「グリア細胞」について、お話をさせていただきました。

「グリア細胞」は血中の「サイトカイン」などの影響を受けやすいとされています。

とはいっても、「血液脳関門(BBB)」という部分をサイトカインは通過

できないと考えられています。サイトカインのタンパクのサイズが大きいからという理由になりますね。

 

しかしながら、IL-1、TNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインについては、  「血液脳関門(BBB)」上に特異的な担体があり、少量ながら能動的に脳内へ運ばれまることが知られています。

 

また、最後野、終板脈管器官、正中隆起などの脳室周囲器官では、構造的に「血液脳関門(BBB)」を欠く「窓」のような場所がありまして、血中サイトカインが直接、脳組織に接触できると考えられています。

その際に脳室周囲器官に常在する「ミクログリア」や「アストロサイト」などの「グリア細胞」が最初に感知し、シグナルを内側へ中継するというメカニズムが存在するとされています。

 

そして「グリア細胞」の異常は、脳神経に明確が異常を起こすとされています。

その理由は、「グリア細胞」は、シナプス形成、神経伝達物質のクリアランス、イオン恒常性、代謝サポートを通じて神経活動を調節するなどという重要な働きを持っているのですが、これらの機能が障害されると、「シナプス機能不全(synaptic dysfunction)」が生じることが分かっているからということになります(参考5,6)

「シナプス機能不全」とは、「神経細胞(ニューロン)」間の情報伝達の場であるシナプスが、正常に働かなくなった状態ということになります。

つまり、本来であれば「神経細胞(ニューロン)」はシナプスという部分を介して、情報を伝達していくので、「グリア細胞」は無関係であ

るはずですが・・・「グリア細胞」の異常があると、この神経の伝導

がうまくいかないということになりますね。

 

 

「グリア細胞」はシナプスの形成、維持、除去を直接制御し、その機能不全はシナプス数の減少とシナプス可塑性の障害を引き起こすことも報告されています(参考7)。

こうした「グリア細胞」の異常は何らかの疾患で起こるわけでhなく、加齢に伴い、ミクログリアとアストロサイトなどの「グリア細胞」がミトコンドリア機能の障害を示し、シナプス可塑性の調節が低下することも報告されています(参考8)。

ここに紹介した報告以外にも「グリア細胞」の機能異常は、神経伝達物質の調節、シナプス可塑性、代謝サポート、炎症制御の複数の経路を通じて脳神経の活動に影響を与えることが、多数の証拠によって裏付けられているわけですね。

では、本文内でも示した「線維筋痛症」について、「グリア細胞」の異常と関連があるかについて、お話をしてみたいと思います。
 

「線維筋痛症」は、全身の広範な疼痛に加え、睡眠障害、疲労、認知機能低下を伴う慢性疼痛症候群であると言えますね。

 

組織損傷や炎症所見が乏しいにもかかわらず、軽微な触刺激が痛みとして知覚され(アロディニア)、痛み刺激が過大に感じられる(痛覚過敏)。

このような「入力に対する出力の利得(gain)が異常に高い」状態は「中枢性感作(central sensitization)」と表現されます(参考9,10)

それでは「線維筋痛症」の1の大きさの刺激を10の大きさに増幅するメカニズムとして、どのように考えればよいのでしょうか?
 

ひとつの仮説として、以下のようなメカニズムが提唱されていますので、ご紹介しておきたいと思います。

脊髄後角における疼痛増幅の分子基盤には、「グリア細胞」のひとつである「ミクログリア」と「ニューロン」間のクロストークが存在することが知られています。

クロストークとは、異なる情報チャネル間の相互作用 ということになります。  

 


    
   【末梢神経入力/組織損傷】
               ↓
    感覚ニューロンからのCSF1・ケモカイン放出
               ↓
    脊髄「ミクログリア」のCSF1R・P2X4受容体発現亢進(参考11 ,12) 
               ↓
    「ミクログリア」からのBDNF放出
               ↓
    脊髄後角ニューロンのTrkB受容体活性化 → KCC2発現低下

(参考13)
               ↓
    ニューロン内Cl⁻濃度の上昇(Cl⁻平衡電位の脱分極側シフト)
               ↓
    GABA / グリシンによる抑制性入力が「脱抑制(興奮性)」へ逆転
               ↓
    【「1の痛み入力」が「10の痛み出力」として上位中枢へ伝達】
    

BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)とは「脳由来神経栄養因子」と呼ばれるタンパク質の一種となります。


このKCC2機能低下による陰イオン勾配の破綻こそが、抑制系を興奮系へと変質させ、知覚刺激を爆発的に増幅する分子スイッチである(参考13) 。

KCC2(カリウム・塩化物共輸送体2)は、成熟した中枢神経系の神経細胞に特異的に発現する膜タンパク質ということになります。

 

さらに「グリア細胞」のひとつである「アストロサイト」由来のCCL2やCx43を介したパラクリンシグナルが、シナプス伝達の長期増強(LTP)を固定化する可能性が指摘されているのですね (参考14)。
 

いろいろな物質の記号が出てきて、申し訳ありませんが・・・
 

一言で言えば「グリア細胞」の異常が重なり、疼痛の増強が生じる
可能性が示されている
と言えます。もちろん、実際のところはまだまだ基礎研究による検証が必要であると言えます。

では、実際に「線維筋痛症」で実際に得られている証拠として、どのようなことが報告されているのでしょうか?


ヒトでの直接証拠は、近年ようやく蓄積し始めたと言えるかもしれなせんね。

 

ひとつは、「ミトコンドリア」の外膜蛋白のTSPO(トランスロケータータンパク質)を標的とするPETリガンドを用いた研究で、慢性腰痛患者さんの脳において「グリア細胞」の活性化を示す集積上昇が報告されています(参考15)。
 

それと同様に「線維筋痛症」患者を対象とした多施設PET研究でも、健常者と比較して大脳皮質広域でTSPO結合能が上昇し、その程度が疲労スコアと相関することが示されています。つまり「グリア細胞」の活性化を示す集積上昇があったということになりますね

(参考16)。

一方、末梢側の証拠として、「線維筋痛症」の患者さんの免疫グロブリンIgGをマウスに投与すると痛覚過敏・握力低下・活動量低下が再現され、「線維筋痛症」の患者さんのIgGが後根神経節の「グリア細胞」に結合することが示されています(参考17)。

これはの一部が「グリア細胞」に対する自己抗体を介した自己免疫疾患の病態でありうることを示すわけで、きわめて重要な知見であると言えますね。

ただし、確定的結論ではないということは強調しておきたいと思います。

 

またの機会に「グリア細胞」の深掘りをしてみたいと思います。エクソソームによる「線維筋痛症」の疼痛改善の可能性については、その時にお話をしてみたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


 

 

参考)

1)J Comp Neurol. 2009 Apr 10;513(5):532-41.

Equal numbers of neuronal and nonneuronal cells make the human brain an isometrically scaled-up primate brain

Frederico A C Azevedoら

 

2)Nature. 2017 Jan 26;541(7638):481-487. 

Neurotoxic reactive astrocytes are induced by activated microglia

Shane A Liddelowら

 

3)Lancet. 2004 Dec;364(9451):2106-12. 

A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis

Vanda A Lennonら

 

4)Cell. 2022 Jul 7;185(14):2452-2468.

Mild respiratory COVID can cause multi-lineage neural cell and myelin dysregulation

 Anthony Femandez-Castanedaら

 

5) Aging Dis. 2024 Apr 1;15(2):459-479.
The Role of Glial Cells in Synaptic Dysfunction: Insights into Alzheimer's Disease Mechanisms
Yang Yuら

6) Life (Basel). 2025 Sep 23;15(10):1498. 
Interplay Between Aging and Glial Cell Dysfunction: Implications for CNS Health
Mario García-Domínguez ら

 

7) Front Cell Neuro sci. 2019 Feb 13:13:42. 
Glial Control of Synapse Number in Healthy and Diseased Brain
Eunbeol Lee ら

 

8)Front Cell Neurosci. 2021 Aug 31:15:718324. 
Modulation of Glial Function in Health, Aging, and Neurodegenerative Disease
Kendra L Hanslikら

 

9) Pain. 2011 Mar;152(3 Suppl):S2-S15. 
Central sensitization: implications for the diagnosis and treatment of pain
Clifford J Woolf ら

10) JAMA. 2014 Apr 16;311(15):1547-55. 
Fibromyalgia: a clinical review
Daniel J Clauw ら

 

11)Nature. 2003 Aug 14;424(6950):778-83. 
P2X4 receptors induced in spinal microglia gate tactile allodynia after nerve injury
Makoto Tsuda ら
 

12) Nat Neurosci. 2016 Jan;19(1):94-101. 
Injured sensory neuron-derived CSF1 induces microglial proliferation and DAP12-dependent pain
Zhonghui Guanら

13)Nature. 2005 Dec 15;438(7070):1017-21. 
BDNF from microglia causes the shift in neuronal anion gradient underlying neuropathic pain
Jeffrey A M Coull ら

14) Neuron. 2018 Dec 19;100(6):1292-1311. 
Microglia in Pain: Detrimental and Protective Roles in Pathogenesis and Resolution of Pain
Gang Chenら

 

15)Brain. 2015 Mar;138(Pt 3):604-15. 
Evidence for brain glial activation in chronic pain patients
Marco L Loggia ら

16) Brain Behav Immun. 2019 Jan:75:72-83.
Brain glial activation in fibromyalgia - A multi-site positron emission tomography investigation
Daniel S Albrecht ら

 

17)J Clin Invest. 2021 Jul 1;131(13):e144201. 
Passive transfer of fibromyalgia symptoms from patients to mice
Andreas Goebel ら

 

(東京エディション 虎ノ門The Jade Room + Garden Terraceより)

(筆者撮影)

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