Progressive Hydraulic Cushion(PHCとKYBのDHS) | Les Citroen dans la Vie ハイドロファン シトロエンC5 シトロエンC6 と日々のブログ

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「お金を出さずに知恵を出そう!」をモットーにハイドロシトロエンの修理方法や安価なパーツの入手方法など経済的に維持する方法と趣味や日常生活についてのブログです。※当ブログではフランス語の表記について文字化けを回避するためアクサン記号を省略しています。

シトロエン社は元来、あまり積極的に詳細な技術情報を公開してきていないようですが、共同で特許を取得したKYBやシトロエンファンの方々が様々な情報を公開してくださっているのでそこから技術の概要を推測することは可能です。

PHC(Prgressive Hydraulic Cushion)は3つの主要パーツを内蔵しています。

左からButee hydraulique de detente(油圧リバウンドストッパー)Amortisseur principal(メインバルブ[ダンパー])Butee hydraulique de compression(油圧バンプストッパー)の3つです。このようにショックアブソーバーの総ストロークを3分割することにより、1つのショックアブソーバーでありながら異なる特性を発揮することができます。1番目のメインバルブ[ダンパー]は、ストロークの中心付近で機能します。この作動領域では、ピストンとベースバルブである従来型のメインバルブが減衰力を提供します。2番目と3番目の油圧ストッパー部分は、リバウンドストロークとバウンド[コンプレッション]ストロークの終わりに近い位置で機能し、バウンド[コンプレッション]ストッパーとリバウンドストッパーはメインバルブが吸収しきれなかったエネルギーを吸収する役割を果たします。この役割分担により、ショックアブソーバーのメインバルブは快適性に重点を置いた設定が可能となり、より厳しい状況に遭遇したときのみ2つの油圧ストッパーが機能するため、快適性とハンドリング性能の両方の向上が可能です。これを効果的に達成するには、リバウンドストッパーとバウンド[コンプレッション]ストッパーの両方が十分なエネルギー吸収し、非常に柔軟に応答できなければなりません。この特許技術は、前例のないレベルの快適性を提供し、PSA・Stellantisが「flying carpet effect(空飛ぶじゅうたん効果)」と呼ぶように、パッセンジャーが車が道路の凹凸や穴を飛び越えているように感じることをねらったものであると思われます。

上の図のように、未だにButee mecanique classique(古典的[コンベンショナル]なバンプラバー)も装備しますが、従来型よりもかなり小ぶりであることが分かります。

因みに、detenteeは「リバウンド」compressionは「バウンド」buteeは「ストッパー」の意味です。

この動画が一番分かりやすいと思います。(フランス語です)

作動している様子のイメージビデオはこちらです。

私は上のCMソングがとても好きです。France Toulouseのインディーズ?フレンチポップスバンドMehariのBreatheという曲です。

ステランティスジャパンの技術資料(日本語)はこちらです。

同じく、KYBのプレスリリースによると2022年からKYBヨーロッパから従来新車装着のみで供給されていたPHCショックアブソーバー(KYBではDHS[Double Hydraulic Stops]ショックアブソーバーと呼びます)が部品番号3348095と3448033としてアフターマーケットパーツとして販売されているとあります。(英文です)
実際にパーツを検索してみました。

確かにパーツはありましたが、見た感じ汎用パーツではなく、C5AC専用パーツで他車用ではないみたいです。しかし、こんな記事もあります。

こちらがKYBがDHSを採用した高付加価値ショックアブソーバーの画像です。
DHSを搭載したBYD ATTO3の試乗画像です。
KYBはDHSを高付加価値ショックアブソーバーのための技術として紹介していますが、他にもセミアクティブ/アクティブショックアブソーバーも紹介されており、興味が尽きません。

今回、色々調べて感じたことですが、ハイドロニューマチックではなくなっても、「快適性とコーナリング性能の両立」というハイドロの重要な特性の1つはブランドのアイデンティティとして確実に受け継がれていることに安心しました。私はC5ACとC6を試乗して、結果的にC6を購入しましたが、今後、世代を重ねるうちにさらにリファインされて良くなっていくと信じたいと思います。

※本稿では読みやすくするためにダンパー本体をショックアブソーバー、内部のメインダンパーをメインバルブ、内部の補助ダンパーをストッパーとの表記に統一しました。

 

引用:fiches-auto.fr、stellantis.jp、kyb-europe.com、responsejp

 

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