胎児エコーで評価する項目の一つに
NT
というものがあります。
これは、赤ちゃんの首の後ろの浮腫みを表しているのですが、この浮腫が大きいとダウン症などの染色体異常や心臓疾患などの確率が高くなる場合があります。(経過を見ていく中で全く問題がなくなる事もあります)
厳密には、妊婦さんの年齢とミリ単位で計測した正確なNTの値が必要になってくるのですが、このNTの値から具体的な染色体異常のリスクを計算する為には、FMFという団体の資格認定を受ける必要があります。
以前からこの認定には興味があったのですが、今回このFMFの認定試験を受けて、無事NT計測の資格を取得できました。
現時点で、日本国内でこの資格を取得しているのは272名のようです。(なぜか世界地図から該当する国を選んで資格取得者を閲覧するシステム)
という訳で、当院でも妊娠11週0日から妊娠13週6日までの方を対象に、希望される方にはNTを計測して、具体的な確率を出す「胎児ドック」を始めたいと思います。
一点だけ注意していただきたいのは、あくまで結果は「確率」である、という事です。
NT計測による結果は、例えば「ダウン症の確率が50分の1です」とか「ダウン症の確率が500分の1です」といった形で表されるため、その結果を踏まえて羊水検査のように診断を確定できる検査に進むかどうか判断してもらう事になります。
ちなみに、新型出生前検査として有名になったNIPTも、同様に確率が出てくる検査であり、こちらは10万前後と費用が高い代わりに、結果として出てくる確率が8割〜9割と、かなり高い確率が出てきます。
この辺りは金額的な負担や、結果としての確率をどう捉えるかも踏まえて、どの検査を受けるのか、検討してもらう必要があると言えますね。