以前、腹腔鏡手術の後に起きてしまう肩の痛みについて、ブログを書きました。
以前のブログで紹介したのは手術中の対応という、患者さん自身ではどうしようもない対策方法だったのですが、今回は患者さん自身で対応できる方法を見つけたので、ご紹介したいと思います。
この論文では、腹腔鏡手術の後の肩の痛みに対して、手・腕のマッサージと、電気治療(経皮的電気刺激治療)の効果を検証しています。
対象
腹腔鏡手術にて胆嚢摘出した138人に、いつもの鎮痛剤に加えてマッサージをした群(46人)、いつもの鎮痛剤に加えて電気治療をした群(46人)、いつもの鎮痛剤のみ使用した群(46人)に分かれてもらいました。
マッサージ・電気治療ともに術後4時間、8時間、12時間経過した時点で、それぞれ30分ずつ行いました。
マッサージに関しては、このように手の指、手のひら、手の甲、腕を中心に揉みほぐしています。
電気治療に関しては、このように背中の左右に電気治療のパッドを貼り付けて、150Hz・75msから開始し、痛くなったり筋肉が収縮する手前まで強さを上げていきました。
痛みの評価は、それぞれを治療を開始する前と、治療後20分経過してから評価しています。
結果
いずれの治療でも時間経過とともに痛みは軽快していきましたが、マッサージ・電気治療ともに、以前の鎮痛剤だけで治療するより痛みの数値は低くなっていました。
マッサージと電気治療には違いはありませんでした。
以上のように腹腔鏡手術の後に起きる肩の痛みに対しては、手を中心としたマッサージや、電気治療が効果的である、と言えそうです。
毎回30分のマッサージというのは、なかなか病院スタッフが担当することは難しいのですが、電気治療に関しては、持ち込んで使わせてもらえるかも知れないので、相談してみて下さいね。
ちなみに、電気治療で有名なオムロンさんだと、コンパクトなものはコチラになります。
ただ、こちらはコンパクトな分、上限が238Hzまでなので、やや効果が弱いかも知れません。
こちらに関しては、最大1200Hzまで上げられるので、効果が期待できそうです。
今回は術後の肩の痛みに対して、マッサージや電気治療が効果的かも、という結論だったのですが、医師になってから「痛み」=「鎮痛剤」「薬」という選択肢ばかりだったので、このように薬とは異なる治療法というのは、非常に勉強になりますね。
実際、電気治療に関しては他の痛みについても効果が確認された論文もあるようなので、また改めてご紹介できれば、と思います。