脳死に対する治療中の合併症としては、
・感染症(肺炎、尿路感染など) 69%
・循環不全 63%
・尿崩症 56%
・下垂体機能低下症 34%
が挙げられました。
妊娠継続の終了、つまり脳死状態における出産の決断の原因としては、妊婦さんの循環不全(38%)と、胎児の状態悪化(35%)が挙げられました。
平均出産週数は、妊娠27.2週でしたが、脳死と判定された週数によって、大きく異なっていました。
89%は帝王切開であり、妊娠14〜25週で8人(23%)が子宮内胎児死亡、27人(77%)が亡くなることなく出産となりました。
出産となった赤ちゃんのうち、8人(23%)は出産時に健康と診断されましたが、15人(43%)は平均して20.3ヶ月のフォローアップが必要でした。妊娠23週と妊娠24週で生まれた2人(6%)は神経学的後遺症があり、妊娠25週と妊娠27週で生まれた2人(6%)は新生児死亡(生後28日以内の死亡)となりました。
平均出生体重は1,229g、週数に比べて小さく生まれる確率は17%でした。
亡くなる事なく生まれる確率は、脳死と診断された週数によって大きく異なり、
妊娠14週未満: 50%
妊娠14週〜19週6日: 54.5%
妊娠20週〜23週6日: 91.7%
妊娠24週〜27週6日: 100%
妊娠28週〜31週6日: 100%
と、妊娠週数が進むにつれて、良い結果になる確率も高くなることがわかりました。
脳死状態に限ったことではありませんが、妊娠週数が早ければ早いほど、赤ちゃんの健康状態は悪くなってしまうことが見てとれます。
妊娠中の脳死というのは、非常に稀な状態ではありますが、こういったデータは、万が一の時の参考になるので、非常に貴重な論文ですね。
妊娠週数と妊婦さんの健康状態という難しいバランスの中で治療に当たっている産婦人科医をはじめとした皆さんには、本当に頭が下がる思いです。