子宮には、子宮頸がんのできる子宮頸部と子宮体がんのできる子宮体部があります。


子宮頸がんは、比較的外側に近い部分にあるので、検査をする時には子宮頸部の表面から細胞を取る事になるのですが、子宮体がんは子宮の奥の方にある子宮体部から細胞を取らないといけないため、痛みがより強く出るなど、負担の大きい検査となります。


子宮頸部から体部にかけてストレートの方であれば、スムーズに検査できる事が多いのですが、お腹側に強く曲がっていたり、背中側に強く曲がっていると、うまく検査できないことも。


そこで、検査前の簡単な工夫で検査がうまくいく可能性が高くなる、という報告が出てきたので、ご紹介したいと思います。








こちらの論文では、子宮体がんの検査前に膀胱内に尿をたくさん溜めることで、検査がうまくいく確率が変わるかどうかを検証しています。



対象

外来で子宮体がんの検査を予定している18歳以上の女性214人


107人には、検査前に水分をしっかり摂ってもらって、膀胱にたくさん尿を溜めてもらい、残りの人たちは特に何も指示せずに、予定通り検査を行いました。


結果

体がん検査がうまくできなかった確率


膀胱を満たした群: 23.4%

膀胱は考慮しなかった群: 42.1%


痛みの強さ  


膀胱を満たした群: 4

膀胱は考慮しなかった群: 5


満足度


膀胱を満たした群: 8

膀胱は考慮しなかった群: 7


検査時間


膀胱を満たした群: 3.0±2.4分

膀胱は考慮しなかった群: 4.7±2.9分




このように、子宮体がん検査のように子宮内膜の検査をする場合、水分をしっかり摂って膀胱に尿を溜めておく事で検査の負担を減らす事ができる、と言えそうです。



これは、子宮の前側(お腹側)に膀胱が接しているため、膀胱を一杯にする事で、前側(お腹側)に傾いていた子宮の角度が、より真っ直ぐに変化して、検査がやりやすくなっているのだと思われます。



子宮の内膜の検査を予定されている方がいらっしゃったら、参考にしてみて下さいね。

以前、子宮筋腫に対してカテキンやビタミンDのサプリが有効ではないか、というブログを書きました。




今回は、新たに子宮筋腫に対するサプリの効果を検証した報告が出てきたので、ご紹介したいと思います。






こちらの論文では、子宮筋腫に対して腹腔鏡手術を予定している方に対して、カテキン(EGCG)、ビタミンD、Dカイロイノシトールのサプリを3ヶ月内服してもらい、手術に対する影響を調べています。




対象

妊娠していない、もしくは授乳していない30〜40歳の女性91人


子宮筋腫による症状で困っていたり、妊娠希望があるために腹腔鏡手術予定である方をサプリ群と対照群に分かれてもらいました。


・サプリ群44人: EGCG300mg、ビタミンD50μg、Dカイロイノシトール50mgを1日2回に分けて3ヶ月間服用してから腹腔鏡手術


・対照群47人: 腹腔鏡手術まで何も治療せず





結果


手術時間

 サプリ群: 41.93 ± 7.56 分

 対照群: 56.32 ± 10.63 分


出血量

 サプリ群: 149.09 ± 25.40 mL 

 対照群: 168.41 ± 21.34 mL


と、サプリ群の方が手術時間が短く、出血量も少なくなる結果でした。


サプリの副作用として、肝機能障害は認めませんでした。





このように、EGCG、ビタミンD、Dカイロイノシトールのサプリ服用は、子宮筋腫の手術にプラスに働く可能性があると言えそうです。




今までご紹介してきた報告でも、EGCGやビタミンDによって子宮筋腫が小さくなる可能性が指摘されており、その効果が手術にも良い影響を与えた、と考えられる報告ですね。


以前、子宮筋腫がお茶に含まれるカテキンで縮む話をしました。

 

 



 

 

 

その後、外来で実際にカテキンをオススメしていて、実際に筋腫が縮んだ方もいれば、それほど変わらないという方やサプリがなかなか続けられない方もいたりして、確実にカテキンで筋腫が縮むという強い実感が持てずにいるのですが・・・

 

 

とは言え、海外では引き続き筋腫とカテキンに関する関係を調べた報告が続ているので、今回はそれらを見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

対象

 

40歳以上の閉経前女性16人。3~10cmの子宮筋腫がある方を対象に、1日あたりEGCG:300mg、ビタミンB6:10mg、ビタミンD:50μgを90日間内服してもらいました。

 

(ビタミンDのサプリを調べてみると、単位が「IU」となっています。1μg=40IUなので、50μg=2000IUとなります)

 

 

 

結果 

 

患者さん毎に評価すると、筋腫のサイズが17.8%縮小しており、一つの筋腫あたり37.3%縮小していました。筋腫の位置では、漿膜下(子宮の外側)より筋層内の方が、より縮小効果が大きい結果でした。

 

生理周期の乱れや生理痛の強さ、生理の量には変化が見られませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

対象

 

4cm未満の筋腫を少なくとも1つ持っている、出産可能年齢の女性95人。41人はビタミンD 25μg + EGCG 150mg + ビタミンB6 5mgの錠剤を毎日2錠、4カ月間服用し、対照群の54人は治療を受けませんでした。

 

 

結果

 

治療後、筋腫の体積は37.9% 減少しました。一方、対照群では筋腫の体積が 5.5%増加しました。

 

 

 

いずれも、カテキンとビタミンを併用することで、子宮筋腫が小さくなる結果が認められました。

 

 

 

一方で、カテキンだけでは筋腫が縮まなかった、という報告もあります。

 

 

 
 
平均年齢45歳の25人が緑茶抽出物を6カ月間内服したものの、筋腫の大きさは変化しませんでした。
 
こちらの論文では、どれくらいの量のEGCGを内服していたのか、詳細がわかりませんでした。

 

 

 

以上の事から、子宮筋腫を縮めるにはEGCGだけではなく、ビタミンを併用することが、より有効である可能性が考えられます。

 

 

 

なかなか確定的なことは言えないのですが、ピルなどのホルモン治療や外科的治療が選択肢としてある中で、副作用などでそれらを選べない場合に、カテキンとビタミンのサプリを試しているのは、一つの選択肢として考慮してもよさそうですね。