以前、異形成に対する治療として、円錐切除を繰り返した場合についてブログを書きました。
今回、また新たに円錐切除とその後の妊娠に関する論文が出てきたので、見ていきたいと思います。
一般的に円錐切除をすると早産リスクが高くなる可能性が指摘されており、今回の論文もその点について検証しています。
【目的】
早産期に前期破水した場合、円錐切除の有無で子宮内感染や新生児感染のリスクに違いがあるか、円錐切除した深さと早産期の前期破水に関係があるかを評価しています。
【対象】
770人の早産期前期破水した妊婦さんを対象に、お腹の上から羊水穿刺をして、羊水の感染状況を調べました。
【結果】
765人のうち76人(10%)が円錐切除を受けていました。
そのうち62人(86%)は一度だけ円錐切除を受けており、円錐切除の深さがわかったのは60人(97%)でした。
・子宮内感染の割合
円錐切除あり: 25%(76人のうち19人)
円錐切除なし: 12%(689人のうち85人)
・炎症はないものの子宮内に細菌が認められた割合
円錐切除あり: 25%(76人のうち19人)
円錐切除なし: 11%(689人のうち74人)
・新生児の敗血症(重い感染症) の割合
円錐切除あり: 8%(76人のうち11人)
円錐切除なし: 3%(689人のうち23人)
と、いずれも円錐切除をする事でリスクが高くなっていました。
円錐切除の深さによって、グループ1: 3〜8mm、グループ2: 9〜12mm、グループ3: 13〜17mm、グループ4: 18〜32mmとグループ分けして評価すると、
・子宮内感染の割合
グループ4: 29%(15人のうち5人)
円錐切除なし: 12%(689人のうち85人)
・炎症はないものの子宮内に細菌が認められた割合
グループ4: 40%(15人のうち6人)
円錐切除なし: 11%(689人のうち74人)
・新生児の敗血症(重い感染症) の割合
グループ4: 20%(15人のうち3人)
円錐切除なし: 3%(689人のうち23人)
以上のことから、円錐切除をする事で妊娠に対する様々な合併症のリスクが増える事、特に円錐切除を深くした場合にそのリスクが高くなる事がわかります。
以降の妊娠希望がある場合、円錐切除も選択肢ですが、レーザー蒸散といって「レーザーで病変部を焼いてしまう治療」が早産率を上げない治療として選択肢があるので、もし必要な時には検討してみて下さいね。