経産婦さんだと、出産後にお傷が出来ないことも多いのですが、やはり初産の方だとどうしても傷ができる事が多くなります。


医学的には会陰裂傷と言って、その傷の深さによってグレードを分けて評価しています。


1度裂傷は、表皮が薄くさけているだけの状態。いわば擦り傷のような感じなので、基本的には縫うこともなく、自然に良くなるのを待ちます。


一方で4度裂傷ともなると、腟の壁だけでなく、直腸まで裂けてしまっているので、腸を縫って、腟も縫って、とかなり大掛かりな手術になることも。


幸い、私が10年近くお産に関わる中で、4度裂傷になった方はお一人だけでした。


1度裂傷と4度裂傷はどちらもあまりないことで、傷ができるときには、多くは2度裂傷か3度裂傷になります。



2度裂傷では、表面の皮膚だけでなく、真皮と言ってやや深い皮膚まで裂けている状態。


3度裂傷では、更に進んで肛門括約筋という筋肉まで裂けている状態を言います。



そこで、今回はこの会陰裂傷を縫うか縫わないか、という比較をした論文を見つけたのでご紹介したいと思います。




3度裂傷では、肛門括約筋が切れており、これを修復しないことには、肛門に力が入らず便失禁に繋がるため、これは縫わないといけないかと思います。


そこでこの論文では、2度裂傷を縫うべきかどうかを調べています。


対象となったのは、172人の褥婦さん。



89人は全く傷がなく、2度裂傷を縫ったのが46人、縫わなかったのが37人でした。



退院時の痛みで評価すると、2度裂傷を縫ったグループでは、痛み止めを使う割合が52%、縫わなかったグループでは35%、傷のないグループでは23%でした。


一方で、痛みの強さは縫ったグループでも縫わなかったグループでも違いがありませんでした。



産後12ヶ月の時点での尿失禁や便失禁、性機能に関する評価では、縫っても縫わなくても違いはありませんでした。



骨盤底筋の強さに関しては、何も傷がなかった人では、28%が弱くなっていたのに対し、傷を縫ったグループでは58%、縫わなかったグループでは47%でした。



以上のデータから言えることは、2度裂傷であれば縫わなくても問題なく、むしろ縫った方が退院時の痛みは強いかも、ということです。



問題点があるとすれば、一口に傷を縫うと言っても、縫い方にはいくつか方法があり、それによって結果が異なる可能性ですね


私自身は真皮縫合と言って、縫った直後から皮膚がきれいに寄っていて、糸が表に出ない縫い方をしていました。


それだと抜糸する必要もないですし、見た目にも綺麗で、退院時に傷が離開していたこともありませんでした。



ただ、痛みの強さと言われると、全員縫っていたので、縫わなかった場合との比較はできず、、、



痛み止めを使った結果として、痛みの強さがほぼ同等という論文の結果なので、個人的には縫っておいた方がいいのかなぁ、という印象を持ちました。