集まって住むことの利点とは
以前にマンション設計の仕事をしたときに、
いくつかマンションをリサーチしたことがあります。
車でその街を走ってみると、
驚くほど同じ特徴を持っていることに気付きました。
建物は南西側にL字型に建ち、
敷地北側に立体駐車場を持つ。
だいたい似たような感じです。
これは日影を規制する法律をもとにした、
最大限の容積が取れる形なのです。
いくつも並ぶマンションの外観上の違いといえば、
タイルの色や種類、ちょっとエントランス周りのデザインあたり。
これではクライアントから、
「住む人が自慢できるような、個性的なデザインに」
と言われても、建物自体の形は似たものになってしまいます。
効率的に部屋数を取ることで、
結果として住む人に低コストで提供できるわけですが、
これが本当に、
「集まって住むことの利点なのか」
と悩むこともありました。
例えばヨーロッパでは、
すべての住戸が南向きを求めているわけではなく、
北からの安定的な光を求める住み手もいます。
どのような環境に住みたいか。
これを追求していくと、
今までにない集合住宅の形が表れると思います。
時間を刻むものを
家の外壁を決めるときは、
みなさんすごく悩まれると思います。
「雑誌で見たような、かっこいいものにしたい」
「あまり目立ちすぎても困るし」
ここで一番重視されることは、完成時のイメージではないでしょうか。
もちろん家の雰囲気づくりには、
イメージを持つことは非常に大切です。
ただ材料を選ぶときには、
長い時間でどのような雰囲気になるかも考えてみてください。
例えば、外壁。
ハウスメーカー系ではサイディングというパネルが、
最も選択肢の多いものです。
レンガ調や金属のようなシャープな印象のもの、
塗り壁の左官仕上げのようなものなど。
これらは出来上がったときに非常に綺麗で、
年数が経ってもその綺麗さが保たれたままです。
良いことのようにも思えますが、
時間を刻まないものには愛着がわきにくいのではないでしょうか。
長年使っている万年筆が、
ど~しても買い換えられないように(私です)。
時間を刻む材料を使うと、
自分と一緒に過ごした分だけその痕跡を刻んでくれます。
それがやがて、
本当の我が家になっていくと思います。

