建築家長沼幸充ブログ -23ページ目

東京木材市場へ行く

先日、新木場にある「東京木材市場」に行った。
ここは名前の通り、全国から木材が集まる市場。
本当にいろいろな種類の木材があり、職員によると、
地方からも木材の買い付けに来るとのこと。

普段はプロ相手の市場のため一般開放はしていないのだが、
一般向けのイベントが行われていたので、見ることが出来た。

建築家長沼幸充ブログ-東京木材市場01

倉庫に木材が大量に保管されている。
屋久杉や吉野杉、その他銘木と呼ばれるものまで、多種多様。

建築家長沼幸充ブログ-東京木材市場02

これは秋田杉。
これだけ大きな一枚で木目の綺麗なものは、そうとう高価。

建築家長沼幸充ブログ-東京木材市場03

愛媛産の檜。
写真だと分かりにくいが、40センチ角くらいの太さ。
お寺とかの大規模な木造に使われるのだろう。

建築家長沼幸充ブログ-東京木材市場04

一番驚いたのが、全長4メートル強の板。
飲食店のカウンターなどに使ったら、インパクトありそう。

その他にも個性的な木材が多く見られた。
中には、ここで木材をいろいろ見て、初めて「ここにこの木材を使おう」と
決めていく設計者もいるようだ。
材料から設計内容を決めていく。
今ではあまり辿らない流れだが、本来使える材料から考える流れは、
原始的なやり方かもしれないと思う。

東京大学弥生講堂へ行く

仕事の打ち合わせの帰りに、東大前を通った時に、
ふと面白い木造建築が東大にあることを思い出し寄ってみた。
弥生講堂というもので、木材メーカーなどの寄付により建設された講堂である。
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/

講堂は2つあり、「一条ホール」と「アネックス」がある。
「一条ホール」は名前でも分かる通り、一条工務店の寄付による。
大規模な木造建築で、ホールなどが入る。
整然とした木造構造による建物である。

もう一つの「アネックス」(以下の写真)は、
合板メーカーのセイホクと施工業者のエンゼルハウスの寄付による建物である。
この建物の面白さは、屋根にHPシェル構造を採用している点である。

建築家長沼幸充ブログ-東大弥生講堂アネックス01

シェル構造とは、屋根を曲面により作ったもので、
貝殻のような曲面にすることで、薄い屋根で大スパンを作ることができる技術。
これを木造で実現している最大規模の建物である。

建築家長沼幸充ブログ-東大弥生講堂アネックス02

建築家長沼幸充ブログ-東大弥生講堂アネックス03

屋根が曲面で、かつねじれていることが分かる。
内部にも天井に曲面が表れていて面白い。
木造の多様性を示す、面白い実例である。

旧日本煉瓦製造の工場見学

煉瓦について調べていると、旧日本煉瓦製造という会社に行き着いた。
といってもこの会社はすでに2006年に解散している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%85%89%E7%93%A6%E8%A3%BD%E9%80%A0

煉瓦を焼く窯がドイツのホフマンさんが考えた「ホフマン式輪窯」というもので、
当時の最新式の窯であったようだ。
古くは東京駅や日本銀行など、日本の近代化の過程で、
大規模な建築をする際に使われる煉瓦を作っていた。

工場跡地は、2006年に廃業後に、深谷市が管理しており、
不定期に臨時公開をしている。
ちょうどその公開日に当たったので、見ることができた。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造01

現存しているのは、上の写真にある「6号窯」のみ。
煙突の下に楕円形の窯があり、その周りを木造で覆っている。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造04

楕円形の長手方向は、約50メートル。
長さが100メートル以上ある窯で、それを18の部屋に分けている。
窯内部の高さが3.3メートルで、トンネル状になっている。

1部屋に18,000個の乾燥した煉瓦を積み上げ、
それを1000~1500度で焼成して煉瓦とする。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造02

窯の天井にある凹みから、粉炭を投入して火力を調整したようだ。
この窯は24時間体制で火を絶やすことなく操業していた。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造05

18の部屋それぞれに、床下近くに穴があいている。
これはそれぞれ煙突に繋がっており、煙を出すためのもの。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造03

また各部屋に、外部への入り口もある。
ここから乾燥した煉瓦を運び入れる。
写真で見ると分かるが、窯の厚さは1メートル以上ある。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造06

なぜ窯の平面が楕円形になっているかと言えば、
1つの部屋に火をつけて、煉瓦を焼いている間に、
反対側の部屋にある煉瓦は、火が通り過ぎて煉瓦が冷却されている。
よって焼成された煉瓦を取り出し、新たな焼成前の乾燥煉瓦を運び入れることが出来る。
楕円形の窯を火が一周するのに22~23日かかったので、そのタイムラグのおかげで、
火を落とすことなく、焼き続けることが出来るのである。

効率的に大量に煉瓦を焼くために、「ホフマン式輪窯」は考案された。
この窯では月産65万個の煉瓦を作り、焼く60年間煉瓦を焼き続けた。


隣接する敷地に、当時の煉瓦作りの建物「旧変電所」が現存する。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造09

この建物で約100年経っているとのこと。
とても良い風合いで、歴史を感じさせる。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造08

室内の天井を見る。
屋根は木造で造られている。

建築家長沼幸充ブログ-日本煉瓦製造07

窯と旧変電所は、国の重要文化財に指定されている。
日本の近代化に欠かせない、貴重な建物であると思う。

煉瓦の製造過程を見ていくと、土を練って、形を整え、
火で焼くことで作られていることが分かる。
本当に原始的な素材である。
旧日本煉瓦製造は、煉瓦の需要が減り、安価な輸入煉瓦に押される形で廃業したが、
煉瓦という素材そのものは、もっと見直されるべき素材ではないかと思う。