建築家長沼幸充ブログ -22ページ目

住宅現場

友人が設計監理をしている住宅の現場にお邪魔した。
軸組が組み上がり、サッシを付け始めている状態。

建築家長沼幸充ブログ-住宅01

敷地が角地であるために、周辺から良く見える。

建築家長沼幸充ブログ-住宅02

屋根のガルバリウム鋼板の施工が非常に綺麗であった。
特に感動したのが、棟の納まり。
次回の自作の参考としよう。

ジャパンホームショーへ行く

東京ビックサイトで毎年行われている「ジャパンホームショー」へ行った。
これは建築素材メーカーや、ビルダーなどが一同に集まり、
建築主や施工者、設計者に新しい提案を行うイベント。

本当にたくさんの出展があるので、全てを理解出来たわけではないが、
気になった素材が何点かあった。

建築家長沼幸充ブログ-ウィルルーフ

チャネルオリジナル株式会社「ウィルルーフ」。
木の屋根葺き材で、飛び火認定を受けている。
防火地域・準防火地域にも使用可能。
http://www.channel-o.co.jp/

建築家長沼幸充ブログ-耐火集成材

日本集成材工業協同組合「耐火集成材」。
木質ハイブリッド集成材とも言い、鉄骨を木材で被覆している。
http://www.syuseizai.com/

建築家長沼幸充ブログ-イントロ

ドイツのMOLL bauokologische Produkte GmbH「インテロ」。
日本の代理店はエコ・トランスファー・ジャパン。
調湿気密シートで、壁内の湿気を呼吸することにより、
躯体や断熱材のかび防止に役立つ。
ドイツで10年以上昔に高気密住宅になった際に、躯体内の断熱材が
かびによる傷みが激しく、いかに湿気を躯体内から取り除くかを解決するために
開発されたようだ。
インテロは、日本でもパッシブハウスなどを作っている人々には採用されている。
http://www.ecotransfer-japan.com/

建築家長沼幸充ブログ-もみがらエコボード

有限会社寿建築工房「もみがらエコボード」。
お米収穫後に残るもみがらを使い、ボード状にした建材。
触るともみがらの温かみがあり、現在畳が敷かれる場所などに利用出来そうである。
お米の産地では、もみがらの処分方法に頭を悩ましていて、
夏場はお米を作り、冬場はもみがらボードを作るという二毛作を考えているとのこと。
http://www.momigara-eco.co.jp/index.html

建築家長沼幸充ブログ-木のベンチ

これは素材というよりも、うまい素材の使い方として。
カナダツガをPRするブースにて、細い木の枝を集めてベンチを作っていた。

新しい素材はいくつもあるが、自分が惹かれるのは、
その素材を作る過程で面白い物語があるものである。
いくら機能的と言われても、物語として魅力的でなければ興味を持ちにくい。
多数のブースがあったが、実際に足を止めて話を聞いたのは数点であった。

漆喰見学

昔の日本建築に良く使われている壁仕上げ材に、漆喰がある。
現在でも漆喰は使われているが、城などの伝統建築に多い。
そこで漆喰について詳しく知りたいと思い、
栃木県佐野市にある「村樫石灰工業」にお願いし、工場見学をさせて頂いた。

村樫石灰工業は、安政元年創業であるから150年以上の歴史がある会社。
http://www.murakashi.co.jp/

建築家長沼幸充ブログ-漆喰01

漆喰の原料は、「石灰石もしくはドロマイト鉱石」(写真左)である。
石灰石もしくはドロマイト鉱石が高温で焼かれ、「生石灰」(写真中央)になる。
そこに水を加えると「消石灰」(写真右)になり、これが漆喰の原料となる。

住宅など工事現場では白い粉の「消石灰」に左官職人が水やスサを加えて、
ドロドロにした状態でコテで壁に塗っていき、時間が経ち固まると漆喰仕上げの完成である。

1.石灰石の採掘

建築家長沼幸充ブログ-漆喰02

村樫石灰工業は、自社で石灰岩の山を所有していて、
そこから石灰石+ドロマイト鉱石を採掘している。

石灰石は、もともとは2億5000年前(!)のサンゴなど海の生物の堆積物である。
ということは、石灰岩があるこの地域一帯が、2億5000年前は海中であったということ。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰03

石灰岩から石灰石を取るために、最初に上の写真にあるような穴に
ダイナマイトを仕掛けて岩を割る。
ダイナマイトで割られた岩は、2~3メートルの塊になるので、
先端にドリルがついたシャベルカーで50センチ程度にまで細かくしていく。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰04

50センチにされた石灰石は、一般のダンプの1.5倍くらいの大きさの特殊ダンプにより、
さらに細かくする工場に運ばれる。
このダンプのタイヤは、人よりも大きく、間近で見ると大迫力であったが、
これでも中型の部類になるそうである。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰05

ちなみに石灰石(写真奥)とドロマイト鉱石(写真手前)は、ほとんど見分けがつかない。
実際に成分を調べてみると、マグネシウムの含有量がまったく異なり、
マグネシウムを含む方が、ドロマイト鉱石である。
マグネシウムの有無によって、消石灰にしたときの性能が異なり、
ドロマイト鉱石による消石灰のほうが、漆喰で塗ったときにより固くなるそうである。

2.石灰石から生石灰へ(漆喰用土中炉)

建築家長沼幸充ブログ-漆喰06

写真にあるストックヤードにダンプから石灰石が下ろされると、
その下に岩を砕く機械があり、さらに細かくされる。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰07

写真では分かりにくいが、映っている機械が岩を砕いている。
間近で見たが、本当に大きい音がする、大迫力。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰08

細かく砕かれた石灰石は、ベルトコンベアーに乗って集められる。

石灰石を約1200度の高温で焼成すると、生石灰になる。
焼成には2種類あり、漆喰などに使う石灰には「コークス焼成」(土中炉)。
肥料などに使う石灰には「重油焼成」(機械炉)と使い分けられている。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰09

上の写真は、漆喰用の土中炉。
窯の深さが約10メートルあり、下に行くにつれつぼまっていく逆三角形の炉。
1200度で焼かれた石灰石は、炉の最下部から取り出されるころには、
生石灰になっている。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰11

奥が石灰石で、手間が焼成された生石灰。
グレー色が真っ白に変色し、生石灰を割ってみると中心も真っ白である。

3.石灰石から生石灰へ(肥料用機械炉)

建築家長沼幸充ブログ-漆喰10

焼成方法のもう一つが、機械による焼成である。
土中炉はコークスに塩を混ぜて焼成していて、塩を混ぜることで、
漆喰に相応しい高白度化ができるそうである。

一方、機械による焼成は、肥料や土木資材などに使われる消石灰用。
機械で焼成すると、石灰の粒子がより細かく均一になり、肥料等に合うようだ。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰15

炉の上部は、1200度近くあるらしい。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰16

炉の中腹に、炉内を覗く小窓があり、火の加減を目視出来る。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰12

機械炉では、コンピューターにより温度等を制御している。

4.生石灰から消石灰へ

生石灰に水を加えることで、消石灰になる。
今回は、少量のサンプルで消石灰になる過程を実演して頂いた。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰17

上の写真は、生石灰の細かくしたもの。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰13

ここに水を加えると、すぐに反応が起こる。
一部の石はトレイから飛び散るほどであった。
水がぐつぐつとし出して、そうとう高温になっていることが分かる。

建築家長沼幸充ブログ-漆喰14

反応が収まると、白いドロドロ状の消石灰になる。
これを乾燥して粉にして袋詰めして、漆喰の原料として出荷される。
加える水の量を変えることで、「マリンライム」という出荷時にすでに
水が混ざった漆喰になる。

5.まとめ

今回の工場見学で、石灰石→生石灰→消石灰の一連の流れを見ることが出来た。
こういった自然素材と呼ばれるものは、本当に自然から取れる原料の特性を活かして、
とれた状態に少し手を加えることで、建材にしている。
漆喰も、もともとは荒々しい岩山から取れた石灰岩であり、まさに大地の素材である。

漆喰は約5000年前のピラミッドにも使われていたと言われているが、
昔の人々は自然にあるものの特性をよく読み取り、うまく活かしてきたと感心する。
昔から使われてきた自然素材「漆喰」を、現在にも活かしたいと思う。