(対策)
前回のおさらいです。
〇不登校になったきっかけは別にして、
現在は精神的に疲れているわけではない。
中学校時代は安定しているが、家にひきこりの中で、
好きな時間に起きて、好きに食べ、動画、ゲームをしている。
そんな生活に慣れ居心地がよいため、登校するきっかけがない
といった状態であれば、、、
↓
・高等部に入学すると気分が切り替わる
・高等部は進路が控えている
不登校から抜け出す大きなチャンスです。
↓
学校に行きたい要因としては
1 やりたい仕事がある 理想的です
2 働いてお金を稼ぎ、自分で使いたい
3 友達ができる
4 好きな授業や活動
5 好きな子がいる
6 担任
7 高等部に入って、気分一新
そして、この中の要因で
大きな要因があったり、行きたい要因の数が
多いほど不登校を抜け出す可能性が高まります。
↓
・ご家庭で取り組む対策は、
学校にいく要因を増やし、
家にいる要因を減らすことです。
・学校に行く要因で、取り組めるのは
「働いてお金を稼ぐ」ことです。
・精神的に安定して元気である
・暴力がなく、穏やかである
という場合に使うかどうか、お子さんの様子を
見て検討してください。
↓
(具体的な家庭での対策)
不登校の子の典型的な家での様子
学校 家
いかなきゃという漠然とした気持ち +1 動画、ゲームやりたい放題 +5
マイナス要因 決まった時間に起きる -3 好きな時に起きる +3
高等部にはいって気分一新 +3 おこずかいでゲームなどが買える +4
好きなものが好きな時間に食べられる +3
計+2 計+15
家での快適な生活、そして、自分の部屋(城)でやりたいことが
好きな時にできる
家にいる要因 計+15が圧倒的に上回ります
↓
では、早速対策をはじめましょう。
お子さんが学校の雰囲気に慣れ、
精神的に安定している。
登校をはじめた場合の
ステップアップとしてはじめましょう
↓
対策1 働いて稼いだお金は自分で使えることを教える。
学校に行く要因を増やす
進路の時間も最低賃金の学習をしますが、家庭でも行いましょう。
私自身は企業に就労をさせる経験を多くしてからは、2年の数学の時間に
生徒に計算させています。
・勤務時間は、1日6~8時間です。
・この中で多いのが、1日6時間です。
慣れてくると1時間増やして<
1日7時間になるところもあります。
・1日7.5~8時間のフルタイムは少ないです。
日給、月給、年収を計算しましょう。
1日6時間で、お子さんと一緒に計算してみましょう。
例
東京 最低賃金約1100円(地域によってちがいますので、調べましょう)
日給 1100×6時間=6600
4月の月給 6600×21日=138600
6時間勤務の場合は健康保険、厚生年金保険、雇用保険2.1万
所得税1600円を引く
4月の月収 138600-21000-1600=116000手取り
食費3万円を家に入れる
116000-30000= 86000 1ケ月間の自分のお金
この金額を現在もらっているおこづかいと
くらべましょう。
年収
・カレンダーを見ながら、それぞれの月の日数を数え、
月ごとの月給から年収を出す
そこから、1年間の保険料、食費をひいてもかなり残るはずです。
大雑把に、1ケ月20日とすると
月給 6600×20=132000
手取り 132000-21000=111000
食費ひく 111000-30000=81000 1ケ月間の自分のお金
年収 81000×12ケ月=972000
1年間の自分のお金
さらに10年間の自分のお金 1083000×10=9720000
20年間 19440000
30年間 29160000
ついでに 途中から、1日7時間に増えたとしても計算しましょう。
日給 1100×7=7700
月給 7700×20=154000
保険、所得税ひく 154000-24500=129500
食費ひく 129500-30000=99500 1ケ月間の自分のお金
年収 99500×12=1194000 1年間の自分のお金
※前回は、ボーナスを入れて計算しましたが、ボーナスを出すところが
それほど多くないので、入れないで計算しています。
この自分の使える金額を見せて
働いて稼ぎたい意欲をアップさせる
のです。
対策2 ・「卒業後は自分の力で働いて稼ぎ、生活しなさい」
と伝える
※さらにおこづかいはないことを伝えられると
良い。
伝えることで、働いてお金得ることを段々と考える
ようになっていきます。
※前回の⑦の例を思い出してください。
深夜までゲームをして、週に2、3回の午後登校だった生徒が、
「卒業後はおこづかいはない」と言われ、買いたいものや友達と
遊びたいから、働き始めたことを。
・お金を得るために働くことはごく自然です。
卒業生も、
稼いだお金を貯めたり、家に食費を入れたり、
買いたい物を買っています。
※教え子で、「PC買ったよ」とか「100万円貯金したよ」と
うれしそうに報告にきた子たちの顔が印象に残っています。
・「卒業したら、働いて自分で稼ぎ、生活するんだよ」
いう親御さんはよくいます。
繰り返し伝えることで
最初は文句を言っていても、本人も考えるよう
になっていきます。
・私が高等部で、はじめて1年の担任をした時に、
休み時間にじゃれあっている姿を見て、
精神的に幼い生徒たちが3年後に働けるのかな、
だいじょうかなと思っていました。
1年生の生徒たちも、初めの頃はたいして考えて
いなかったと思います。
しかし、繰り返し進路の話を聞き、現場実習を経験し、
2年の後半から3年の頃は生徒たちは、真剣に就職
したいと取り組み、そして、、、
会社に内定合格をもらい、就職していきました。
生徒は自ら変わっていくものなのです。
繰り返し伝え、意識付けしましょう。
眠っているやる気をひきだしていくのです。
学校と家庭で伝えていきましょう。
対策3 対策1、2で働く意欲がアップとしたら、
働くためには、高等部の登校実績が
↓ 必要であることを伝える
※実際にあった話ですが、企業就労希望のお子さんが高3の時に
遅刻が多い
欠席が多い
の理由で、進路指導教諭から「働くのは早い」と見送られた例があります。
学校でできなければ、企業でもできないからです
働くには、毎日登校する力、遅刻せずにくる力
が必要なのです。
担任と打ち合わせて、学校からも伝えてもらいましょう。
「遅刻せず登校が安定してできて、将来働くことができる」
※「今の姿が未来の姿である」 経験から、これは本当です。
学校で遅刻多い
→就職して最初は緊張して通勤しますが、しはらくすると遅刻が始まります。
学校で欠席が多い
→就職して始めは緊張して通っていても、じきに慣れて休みが増えていきます。
対策4 快適な家庭生活(自分の城)から、
好きな食べ物がいつでも手に入って、
↓ たべられるような環境をできるだけ工夫して
改善し、家にいる要因を減らす
・お子さんの好きなカップ麺やおやつは目につくところに置かない。
おやつは決まった時間食べるようにコントロール
・食事はなるべく、みなと一緒の時間で
※登校できたら、週末に好きなおやつや好きな食事をして、
親子でがんばった喜びを共有しましょう。
対策5 動画、ゲームの規制
↓ ゲームや動画を見ることは、寝る時間、起きる時間と
密接に関係しています。
※家庭内暴力があるとかゲームでとても興奮する
という
お子さんですと、
規制は暴力が増やすことにつながりやすいです。
その場合は、規制は危険です。
規制してもだいじょうぶなのは、穏やかなお子さんの場合です。
動画やゲームは1日2時間とか、規制することができると、家にいる要因は減りますが
慎重に進めましょう。
登校したら、30分加算という方法もあります。
対策1~5 により、学校と家の要因がどうなったか
学校 家
働いて稼ぐ +4 動画、ゲーム 時間減る +2
登校して親にほめられる +2 好きな時に起きる +1
マイナス要因 朝起きる -2 家にいてお小遣いでゲームなど買える +4
高等部にはいって気分一新 +3 好きなものが好きな時間に食べられる 0
計+7 計+7
学校にいく要因が増え、家にいる要因が減りました。
さらに学校に登校することで
担任 +4
友達 +5
好きな教科 +3
好きな子 +6
などが学校にいく要因として、加わる可能性があります。
同時に以下のマイナス要因も考えられます。
友達とのトラブル -4 すみやかに担任と連携して処置しましょう。
長時間いる -3 これは働くという意味では、耐性をつける
のによいともいえます。
苦手な教科 -1
↓
ここまでで、遅刻もなく登校が安定してできれば、上出来です。
進路に向けて、がんばりましょう。
ここまでで、
登校が安定していない
登校としているが、滞在時間が十分でない
登校しているが遅刻が多い
などの場合は、さらに対策6に移ります。
次回は「高等部 不登校の生徒対応③ 対策6」
お読みいただき、ありがとうございました。