貴族達のロンドン | HiyOkO dAys

貴族達のロンドン

ロンドン建築シリーズ

0.  建築うんちく始めます
1. Roman London
2. Great Fire of London -クリストファー・レンの夢の跡-
3. Protected Vista -セントポール大聖堂を臨む-

4. Re-doing London -窓のデザインの転機-

 

2年近く経って、やっと5回目凝視

ほぼ完成していたんですが、下書きに入れたままずっと放置してましたあせる

 

今回は、ロンドンの建築、というよりは土地と家主事情。

建築事務所に舞い込むプロジェクトは様々ですが、一般の方々がわかりやすい案件はやっぱりロンドン都心部に建つオフィスや商業施設かと思います。

というわけで、ロンドン都心部の建物のオーナー、土地開発を行っているのは一体何者なのか?というお話です。

 

 

 

 

イギリスには、王室と共に貴族もまだ存在します。

彼らの財源は一体何か?
 
 
不動産!!
 
 
彼らが不動産で何をしているかというと、そのまま「大地主」をやっています。
土地や建物を数百年単位でリースしてたり(Ground rentなど)、ランドロード(家主)業をしてたりと、不動産会社を設立して、先祖代々の土地と建物を賢く運用しています。
 
ロンドンで建築をやっていると、王室・貴族所有の不動産会社と関わることも多いかと思います。
私が関わったことがあるのは、Crown Estate(王室所有)、Grosvenor Estate(ウェストミンスター卿)、Bedford Estate(ベッドフォード卿)、Great Portland Estate (ポートランド公爵は現存せず)です。
 
もちろん、公爵(Duke) に直接会うわけではありません!
ただの会社同士の関わりですので、悪しからず。
 
 
現存貴族の中で一番裕福といわれるのは、ウェストミンスター卿。
それもそのはず、ロンドン市内でも一番高い地域約300エーカーもの土地を所有しているそうです。
 
英国王室の収入源のひとつであるCrown Estateは、リージェントストリート沿いの土地、建物を主に所有しているようです。
リージェントストリートは、最近増えた大型ショッピングモール(Westfieldsとかですね)との差別化を図るために、リージェントストリートに店を構える際には、そこが旗艦店であることが条件なのだとか。
(記憶にはしっかりあるのですが、どこからの情報だったのか覚えていない... リージェントストリートの店舗をやった時かな???)
あと、リージェントストリートのブランド化のために、プチプラ系のお店はどんどん追い出しているらしいです。
昔はマクドナルドもあったんですよ、覚えてる方います?
 
(写真はこちらから)
 
なので、上記のふたつを可能にするために、店舗のスペースを広げたりしているんですねー。
その際にアーキテクトが必要になるというわけです。
壁をぶち抜いたりとか、ショップフロントを変えたりとかで、プランニングアプリケーションが必要なので。
 
リージェントストリートに出店しているようなブランドは、お抱えのインテリアデザイナーがいますので、店舗のインテリアデザインは自分たちで行うことが多いと思います。
ちなみに某アメリカブランドが、プランニングアプリケーションを無視して、外観に何か手を加えたって、ちょっとした騒動になったとか。。。
 
当然、建物は、歴史的重要物ということで、Grade 2や1の登録済み。Listed といいます。
そしてですね、建物はもちろん石造りで、たぶん同じ種類の石のクラディングが施されているはずなんですが、ショップフロントやドアにもルールがありまして、なんとブロンズで緑青付けされたものなんですね。英語だと、Patinated
細部の装飾的な部分は、各建物で違うと思いますけど、マテリアルはブロンズで揃っていますし、一度少しクオリティー(クラフトマンシップともいう)が落ちたそうなんですが、
Crown Estateは現在、原点回帰なのか(?)、再び拘るようになっているそう。
まあ、要するにリージェントストリートブランドの強化の一環ですよね。
専門の職人さんもいるそうで、予算にも寄ると思うのですが、そこにお願いしたりしなかったりみたいです。
 
というわけで、私が関わったリージェントストリートの改装プロジェクトの図面を公開。
プランニングアプリケーションに出ているものなので、パブリックソースです。
ショップフロントの改修、アップグレード。立面図の一部とと断面図になります。
こんな感じで、伝統的なマテリアル(ブロンズ)の装飾をかなりシンプルに捉え直して、伝統とかけ離れすぎない程度に現代化させておりますキメてる 
まあ、私リージェントストリートのプロジェクトは初めてで、右も左もわからずでしたので、
偉そうに言ってますが、上司にかなり助けてもらって出来ました泣き笑い
 
それでは、今回はこの辺で。
次回は何にしようかな〜。