「2017年 世界の真実」
長谷川慶太郎 (はせがわ けいたろう 1927~)
ワック株式会社 2016年8月発行・より
ちなみに、日本で光ファイバーのPOSを導入した最初の店が
イトーヨーカ堂である。
創業者の伊藤雅俊に
「POSを導入されてメリットはありましたか」 と聞いたことがある。
「機械に二百億、訓練に二百億、合せて四百億を投資し、初年度で二千億の在庫が減った」 と伊藤は答え、「POSを入れなければ在庫をカットできません。どういう意味か、わかりますか」 と逆に質問された。
「 わかりません。どういう意味ですか」 と教えを請うと、「POSで一番から六万番目まで売れ行きのリストをつくれる。納入業者を呼んで、『このリストによると、あなたのところのこれは五万九千九百九十九番目だ。六万番目に等しい。そういうところは納入をお断りせざるを得ない』。
そう言ったら、みんな納得して引き下がる。
流通業者にとって大事なことは、売れない在庫をいかにして減らすか、
です。それができれば心配いらない。それにはPOSが一番有力です 」
このとき、「無借金経営を目指す」 と伊藤は語ったが、その言葉通り、
イトーヨーカ堂は無借金になった。
当時、売り上げでほとんど並んでいた同業者にダイエーがある。
ダイエーは三兆円の借金があった。
「なぜ、ダイエーはPOSを導入しないか」 と創業者の
中内功(なかうちいさお)に聞いたところ、 「うちはできない」 と言う。
「納入業者から金額に応じて、賛助金をとっている。
賛助金を返済しなかったら、POSを入れても切れない」。
ここで勝敗は見えていた。
今年、ダイエーの旗艦店と言われた碑文谷(ひもんや)店が閉店し、
イトーヨーカドーになる。
改装と改修の費用は百億円と言っていた。
https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12311746731.html
昨年11月27日 平林寺(埼玉県新座)にて撮影