Netflix 熱帶雨(Wet Season)/ 2019年 | 做自己 Be Myself

做自己 Be Myself

【重要 商売利用のフォロー申請は受け付けません。わたしのブログをアレンジせず引用元を表記してください(時をかける愛)】
大好きな台湾ドラマや映画、洋画などについて書いています
中文・英語学習中
記事を読んでコメントをくださる方は大歓迎
よろしくお願いします

こんばんは~キラキラキラキラ

 

初めてのシンガポール映画です!!!!

2019年に主役の 楊雁雁さん が 金馬奨 の 主演女優賞 を獲得されていて、ストーリーなど知らずに見たのですが、あまりにもいろいろ衝撃的で、驚きました…

 

つい最近 マレーシア映画 の 富都青年(アバンとアディ)  を見ましたが、今度は シンガポール から見た マレーシア も描かれています。

でも、とにかく問題はそれだけじゃないんです。

登場人物の数はグッと控えめですが、なのに、あまりにも濃すぎる内容で、すごかったです。

 

 

丸ブルー熱帶雨(Wet Season)ウィキ

丸ブルーGiraffe Pictures FB(画像はここより)

丸ブルー《熱帶雨》台灣版正式預告|1.31 我要hug你

 

 

注意感想ですが、ネタバレもありますので、イヤな人は読まないでくださいお願いまた、シンガポールやマレーシアについて詳しいわけでありません。映画を見たうえでの感想ですので、いろいろな意見や考えがあるかと思います。よろしくお願いしますお願いお願い注意

 

この映画での主な登場人物はたったの4人…

そのうちの一人 主人公 の 楊雁雁さん 演じる 中学校の中文教師 阿玲 の夫役 を演じた 李銘順さん だけは、台湾ドラマにもよくご出演なので、知っていました。

 

  シンガポールの 言語環境

 阿玲 はシンガポールの私立?男子中学校に勤める 中華系学校? の 中文教師 …

ですが…

生徒は 中文 を 主要教科 とはみなしておらず、それは 保護者 の価値観を反映したもので…

政府も 中文 を書くのに(シンガポールは簡体字) ピンイン もOKということで…

 

まず、 シンガポール の学校制度についてわかっていません。すみません。

でも、男子校、中文を教えている、保護者が教育熱心…ということで、 中華系の私立中学校 かな?と思いました。

ですが、 中華系 で、みんな 中文 を話せるにも関わらず、 中文 以外の教科は全部 英語 なんですね。

中文はあくまでも話し言葉であり、生徒はみんな漢字を書くのはかなり あやふや で…

そして、 保護者 も中文をそこまで重要と思っておらず、 生徒 も 中文 や 教師である 阿玲 をもバカにしていて、補習も適当、ついには 偉倫 以外誰も来なくなり…

 

そうなんだ~ と初めてわかったことばかりで、ビックリしました。

 

シンガポールの英語は シングリッシュ と呼ばれていることは知っていましたが、 校長先生 や 同僚の先生(この人も自分の息子には英語で話していました) の英語は流暢なものの シンガポール独自 のものでした。

でも、みなさん 生徒 に接しているときは、すべて英語で、生徒の方も 英語 と 中文 の切り替えも至ってスムーズ。

 

このような言語環境は いい とか 悪い とかの問題ではないのですが、あまりにも日本とは違いすぎていて、にも関わらず、日本政府が進めようとしている政策はいかに 非現実的 か、と改めて思いました。

 

それにしても、多分 保護者 も 中華系 ではあっても イコール 親の母語が 今の中国で話されている中文 というわけではないんですよね、それも 中文 が第一でないという理由の一つかもしれません。

 

実際 阿玲 も 中文 は 第二言語 で、実家では 福建話(ウィキによると) というのを話していました。

ちょっと響きが 台語 に似ている言語です。

この映画のすごいのは、主人公 阿玲 の生きざまに加えて、 シンガポール という都市国家がどのようなものなのかが見えてくることで、とても興味深かったです。

 

  シンガポールとマレーシアの関係

興味深かったのは、言語環境にとどまりません。

 阿玲 の 実家 は、実は 橋 を越えた マレーシア 。彼女は マレーシア人 なんです…

 マレーシア人 の 阿玲 が、 シンガポール で働き、 夫 は シンガポール人 …

ということで、 実家 の期待値がすごくて、 阿玲 はそれにも押しつぶされそうになっています。

 

 阿玲 の弟は マレーシア の実家から毎日 橋 を渡って シンガポール に ドリアン を売りに来ています。

ですが、当然のことながら、生活は苦しくて、時に 姉 の 阿玲 に援助を頼みますし、 実家の母親 もそれを 当たり前 だと思っている節が見られます。

 

しかも、 実家の母親 の要求はもっと高く、 夫 がシンガポール人なのだから、 阿玲 もシンガポールの国籍を取れるだろう…と 阿玲 を急かします…

 

 実家 からの 期待 が、まだ 自分の能力 ならわかりますが(それもしんどいですが)、自分の 夫 への期待…というのが、とても辛いです…

しかも 夫 との関係がいいのならまだしも、 子作りのタイムリミットが来ているにも関わらず、子どもができない ことで、 子ども どころか、夫婦の関係にまで 亀裂 が入っているのです…

 

この映画で、踏み込んでここまで描かれているのは、やはりこれが シンガポール では よくある話 だからかもしれません。

夫婦の関係を抱えながら、嫁ぎ先 と 実家 の板挟みになりつつ、さらにまだまだ問題を抱える 阿玲 の 緊張の糸 が プッツリ と切れてしまったのは、 ダメ だけど、わかるところもありました。

 

  シンガポールでの 華人家庭 

シンガポールでは保護者世代の価値観が 中文 より 英語 だと書きましたが、どうやら 家庭・家族 に関する価値観は やはり 華人家庭 のままなんですよね…

 

共働き夫婦なのに、なぜか 阿玲 だけが、半身不随の 義父(夫の父) の世話を請け負っています。

お手伝いさんも 阿玲 が学校にいる間は来ていますが、排泄も含め、普段の家事にプラスして介護も全面的に 阿玲 が請け負っているのです…

このあたりの描き方が非常に生々しく(というか、この映画は全面的に生々しいです)、 義父役 の方は、 お風呂 トイレ 排泄 など、ものすごい熱演でした…

 金馬奨 でも、助演男優賞にノミネートされていたのは 確かにそうだろうな~ と思いました。

 半身不随 で、話せないのですが、知的レベルとしてはダメージを受けておらず、そのことで返って 義父 が見えてくるものはいっぱいあったのではないでしょうか?

 

息子と上手く言っていない嫁に看てもらうしかないふがいなさ…

全てを看られているふがいなさ…

それを悟られないように、物事がわかっていないように振る舞うしかないふがいなさ…

 

そういうことがすべて 言葉なし に、伝わってきてすごかったです。

 

そして、この 義父 が生きているうちは、まだ 阿玲 夫 との関係にバランスが取れていたのですが…

 阿玲 偉倫 との関係にもバランスが取れていたのですが…

 

 阿玲 はなぜ 義父 の面倒を、夫に文句ひとつ言わずにやり通していたのだろう…

それはやはり彼女に 後ろめたさ があったからではないかな~?と思いました。

自分がマレーシア人であること、子どもができずに不妊治療を続け、それでもできずに夫に負担を強いていること…

自分のせいでないのに、なぜか 後ろめたさ を感じ、せめて いい嫁 であろうとしたのかな…と…

 

なのに…

 義父 のお葬式で 夫の姉二人に あの家をお父さんのいなくなった今後、二人で使うのはズルい、売れ と言われてしまい…

 

これも 阿玲 の 緊張の糸 が切れてしまった大きな原因のひとつではないかな~と思います…

 

  師生戀!?!?の行方…

ですが、 阿玲 は あまりにも脇が甘すぎました…

 偉倫 との関係は どんどん 教師 と 教え子 じゃなくなっていた…

 偉倫 はすでに補習中に見せる 阿玲 の 鬱屈した表情 に魅せられていたし、そして、決定的だったのは 阿玲の弟 が持ってきた ドリアン ですよね。あの ドリアン を食べる 阿玲 があまりにも 生々しく 、あれは中学生男子なら好きになってしまうと思いました。(そういう意味で 阿玲役 の方の演技がすごかった。)

そして、二人の場面は いつも 雨 雨 雨 で、本当に常にねっとりとした空気感が漂っているんですよね…

 雨 だから、濡れてしまうから 家 まで送る…

 雨 だから、濡れてしまうから …

どんどん、二人の 生徒 と 教師 という線引きがなくなっていき…

 

それでも、まだ 義父 が生きていた頃は 義父 が歯止めになっていたんだけど…

 

最後の 緊張の糸 は、 夫の浮気 でついにプッツリと切れてしまったんですよね…

 

 偉倫 を演じる 許家樂 は子役出身なんですね、この人も捨て身の演技で、すごかったです…

 中学生男子 のみずみずしさと純粋さ、後先を考えない無防備さ、すべてが中学生にあるあるでした…

 偉倫 は自分の思いを抑えられるはずもなく、あっという間に すべて を失くす 阿玲 …

 

最後、二人が雨の中、抱き合う場面はお互いの思いは同じようで全く違っていましたね…

 

だけど、 阿玲 は、すべてを失くしたわけでなかった…

でも、そのことで彼女の人生が彼女自身でないものの圧力から解放されたのなら、よかった…と思いました。

それでも、わたしはあまりにも無防備すぎた 阿玲 に対して、抵抗感しかないです。

映画は、彼女の人生の途中で終わっているけれど、現実生活はそうではなくて…彼女の人生は、むしろこれからで…

 阿玲 が夫との生活が破綻したのなら、真正面からそれに向き合う中で、むなしい心の隙間を埋めるようなことでなく、本当に愛する人を見つけてほしかった…

その気持ちは、やはり変わらないです。

 雨・雨・雨 の中で、最後 ピーカン の洗濯日和 で話がおわります。今後の 阿玲 の人生は明るいものになるのでしょうか?わたしにはそうとも思えなかったです。

 

これで、見たかった映画を見終わったので、台湾ドラマに戻ります!!!!