「新自由主義化」の政策措置は、どんなもの? |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。

前回は、
新自由主義」の世界観について、
見ました。
前回記事「新自由主義」って何?

市場原理主義」や「放任資本主義
とも表現されることのある
新自由主義」の世界観は、
経済や社会は
市場経済に任せてさえいれば
市場・経済活動に政府が介入しなくても
おのずと上手くいくのだ
というものであることを、
押さえました。


今回は、
新自由主義」経済の世界を
政策で近づけたり実現するに当たり
具体的に、
どういう政策措置が取られてきたのか
について見ていきたいと思います。


構造改革」や「改革」という言葉を使うと、
誤解を生みやすいので、
新自由主義化政策という言葉を、
使っていく事にします。

この「新自由主義化政策は、
たとえば、
イギリスでは、サッチャー政権の1979年から、
アメリカでは、レーガン政権の1981年から、
ニュージーランドでは1984年の労働党政権(中道左派)から、
日本では、「規制緩和」としては1990年代前半から、
また「規制緩和」の評判が悪くなったら、
装いを変えて構造改革」として、
橋本龍太郎政権の1997年から、
行なわれました。

レーガン政権での一連の経済政策は
レーガノミックス」、
労働党政権が政権奪取と同時に、
財務大臣のロージャー・ダグラス主導の下に行なわれた経済改革は、
ロジャーノミックス
と言われました。

構造改革」という装いだろうが、
○△□ノミックス」という装いだろうが、
その経済政策の中身は、
経済を市場経済化”するのための”規制緩和”や”自由化”などでした。

装いが何であれ
そうした各国で、”共通して”見受けられた措置は、次の通りです。

○ 規制緩和
○ 政府支出の削減/政府部門の縮小
(政府部門・行政サービスが縮小された分の「民営化」など)
○ 失業保険給付など社会保障福祉の縮小・制限化
○ 社会保障の制限化とセットでの職業訓練対策の実施
○ 労働諸規制の緩和
○ 労働市場の柔軟化
○ 税制改革(累進課税の緩和≒フラット税制化/税率の簡単化・平準化)
○ 金融・資本市場の自由化


規制緩和>というのは、
企業が経済活動を展開するのに、
規制があるとジャマなので、
その規制を取っ払って
より自由に経済活動を展開できるようにするもの
でした。
がしかし、「規制」は、
規制をあつかう官僚への「政治家による口利き」の、
メシの種になってきた側面があるために、
規制を取っぱらって、
大企業やハゲタカに門戸を解放したい、
「規制緩和」論者や「規制撤廃」論者にとって、
格好の突っつき材料になってきたようです。


政府部門の縮小>や<政府支出の削減>というのは、
政府が介入せず、市場経済に任せる考え方から来ます。
もちろん、政府部門は、「民営化」という形で”縮小”され、
政府支出が”削減された分”は、
新たに今度は、
市場経済に晒(さら)される事を意味します。


<(失業保険給付など)社会保障福祉の縮小・制限化>は、
トリクルダウン理論によれば、
市場経済に任せて
富が富める者から貧しき者へと
上から下にこぼれ落ちる”前提になっているので、
政府は、
貧しき者に福祉や社会保障をほどこす必要はない
という料簡(りょうけん)から来ます。

さらにセットの<職業訓練対策の実施>というのは、
社会保障で、貧しき者をカヴァーするよりは、
労働市場で市場の法則の篩(ふるい)にかけて適所に配置されるのに任せればいい
という事なのではないでしょうか。

「労働力(人間)」が、”競争に晒(さら)されてしまう”と、
競争が激化していきだんだん商品化されてしまうので、
(たとえば日本の場合だと、
「労働基準法」や「最低賃金法」、「労働安全法」など)
最低賃金>や<労働条件>や<雇用条件>を確保して、
人間として自立して生活できるように
保護する規制が設けられているのですが、
労働市場の柔軟化」>や
労働諸規制緩和>というのは、
労働力を<使用する側>や<株主>からすると、
労働者の「商品化を阻止するための保護規制」のせいで、
労働力を自由に使えないために、
経済活動を自由に行なう障害になります。
都合の好いときに雇うことができて
厄介な手続きに煩(わずら)わされることなく
都合が好いときにポイ捨てできる”ように、
労働市場を「柔軟化」してもらえれば、
より自由に経済活動を展開する”ことができる、
という事ではないでしょうか。
手軽に解雇できる”ようになれば、
求職者があぶれ
雇う側にとって都合が好い労働力の買い手市場」になるので、
労使交渉」での労働組合側の立場も危うくでき
しかも「賃上げ抑制の武器になります。
アメリカで強かった<自動車業界の労働組合>を、
なし崩しに弱体化できたとして、
NAFTA>を挙げることができます。
(動画4分~5分)


税制のフラット化」というのは、
富める者から、税金を徴収し
その集めた税収を
貧しき者に再分配して
貧富の格差を均(な)らそうとする累進課税」ではなく、
トリクルダウン理論など
「”見えざる手の絶妙にしたがい、
富める者への課税を抑えても
富は、富める者から貧しき者に
上から下へと
おのずとこぼれ落ちていく」ので、
問題はない、とな。
さらに、富める者や大企業への減税で、
減税された分は、
より大きな投資につかわれるので、
経済的繁栄を呼び込む、といいますが、
しかし、「トリクルダウン」理論の前提とは異なり、富裕層への減税で、掠められなかったカネが、投資に使われ、大きな利益を得たとしても、それが下に”こぼれ落ちる”ことが無いことは、周知のとおりで、これまでの経験です。

金融・資本市場の自由化
資本も、その規制の頸木(くびき)を解かれて、
自由におカネが流れるように”、
というわけです。


1997年に”消費税増税を実施”し、
構造改革”をはじめた橋本龍太郎元首相ですら、
つぎのような懺悔の言葉を残しました。。

私は97年から98年にかけて緊縮財政[≒構造改革]をやり国民に迷惑をかけた
私の友人も自殺した
本当に国民に申し訳なかった
これを深くお詫びしたい

ところが、
2001年には小泉政権が、
その「構造改革」を、さらに徹底させ、
さらに「国民の生活が第一」に票を入れたにもかかわらず、
菅政権野田政権
そして橋下「大阪維新の会」は、
まだ緊縮財政をはじめ「構造改革」、
つまり「新自由主義」そしてグローバル化を推進したいようです。
つまり、(故)橋本龍太郎氏の懺悔も
00年代からの悲惨な経験も
経済的失策?からくる何十万もの自殺も
彼らには、
反省・顧慮するつもりがない
事が、
わかります。

脱原発も求心パフォーマンスで、
消費税を推進しても、
新自由主義化しても、
TPPなどグローバル化協定も、
自分には被害が及ばないので、
平気でガレキ受け入れを、
強要・推進する事ができるのではないでしょうか。

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