●魂の琴線
このお話は、昨日のブログ(●大声で叫びたくなる交差点)の続きです。
従って、昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12360320733.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
ある日、主婦の方から電話相談を頂いていた時です。
「先生、実はうちの近所に、とても不思議な交差点があるんですけど・・・」
と話し始めたのです。彼女は、当時池袋に住んで居て、
その不思議な交差点は自宅からそんなに離れていない場所にあり、
よく使う場所なので、とても困っていると言うのです。
その交差点を渡ろうとすると、急に大声で叫びたくなると言うのです。
そして、胸が痛くなり、吐きそうになって倒れそうになるという。
さっそくその交差点の場所を教えてもらい、地図で調べて見ると、
その交差点は上を高速道路が通っている比較的大きな交差点である事が分かった。
毎回この交差点を使うと、急に大声で叫びたくなると言うのだけでも不思議なのだが、
不可解な点が、もう1つあったのだ。それは、彼女のこの交差点のX地点に立つと、
大声で叫びそうになり吐いて倒れそうになると言うのだが、
交差点のA地点を含めた他の場所では、一切そういう不快な気持ちにはならないという。
つまり、この交差点で、彼女が大声で叫びそうになり吐いて倒れそうになると言うのは、
X地点に彼女が立った時だけなのだという。A地点に居る時は、何も感じないと言うのだ。
しかも、A地点からX地点に歩いて行った時、
当然X地点の上を通る事になるのだが、その時は、何も感じないと言う。
だから、彼女はこの交差点をまったく使わないという訳では無かったのだ。
彼女はXからAに行く時は、遠回りして、この交差点を通らない様にするのだが、
帰りはこの交差点を使って、AからXに行くと言う。
つまり、行きはダメだが、帰りは大丈夫という交差点なのだ。
いったい、この交差点にどんな秘密があるのだろうか? さっぱり分からなかった。
なぜ、彼女はX地点に居る時に限って、大声で叫びそうになり吐いて倒れそうになるのか。
なぜ、A地点からX地点に行く時は、X地点の上を通るのに、何も感じないのか。
そして、なぜ、行きはダメだが、帰りは大丈夫なのか!!
私はさっそく翌々日、その摩訶不思議な交差点に行ってみる事にした。
池袋は当時私の庭とまでは言わないが、よく来た街である。
池袋は大きく南口と西口に別れており、
私がよく行ったのは、サンシャイン水族館がある南口だ。
サンシャイン水族館があるサンシャイン60のすぐ隣に、
東池袋中央公園がある。
この公園は、私も仕事で2度ほど行った事があるが、
昼間は日差しも刺し、子供や若者が沢山居る賑やかな公園なのだが、
日が暮れると、とても不気味な雰囲気が漂い始める心霊スポットに変化する。
実は、この公園、
以前は巣鴨拘置所の処刑場だった場所で、
この場所で、東条英機をはじめ多くの軍人が絞首刑にされた場所である。
その為、この公園付近では軍服を着た男性の幽霊の目撃がよくあるのである。
また、線路沿いにあるビックカメラのすぐ裏手には、四面塔と言う心霊スポットもある。
しかし、今回の摩訶不思議な交差点は、その逆の西口方面だった。
当時西口には、古本屋の穴場があったので、よく訪れていたのだが、
さすがに今回は池袋の駅からだいぶ離れた場所だったので、家から車で出かけた。
問題の交差点の近くに到着したのは、午前10時少し前だった。
相談者に電話して、話を聞く為に交差点に来てもらう事に。
彼女の家から交差点までは、歩いて10分位あるらしい。
彼女が到着するまで、問題の交差点を観察する事にした。
問題の交差点は、とても交通量の激しい道路にある交差点だった。
中央分離帯があり、それぞれの車が一方通行なので、飛ばしている。
そして、一方の車線の真上に高速道路が走り、昼間でも車の騒音が絶えない場所だった。
こういう交差点や道路の上に高速道路がある所は、事故が起きやすい。
この交差点も事故がらみだろうか?
そんな事を考えながら、問題のX地点にあと2mという所まで近づいた。
こういう問題地点に立つ時は、最初の1分がとても大事である。
行く前に心を落ち着かせて、深呼吸し、ゆっくりと何も考えずに、
静かにX地点に近寄る事である。
そうしないと、ちょっとした変化にも気がつかないのだ。
人間は環境に慣れやすい。
だから、ファーストコンタクトで変化を感じないと、分からなくなってしまいやすいのだ。
やがて、X地点の上に立った。
そして目をつぶって、心の変化、体の変化、体の体温の変化を感じ取った。
しかし、特に変化が読み取れない。
さっき居た場所と、このX地点の場所の違いが感じ取れなかった。
例えばX地点で事故が起き、頭を打って亡くなった人がいると、
ここに立つと頭が痛くなったり、
もし、このX地点で焼身自殺した人がいたりすると、
ここに立つと体が熱くなったりするものだが、
そういう体の変化は一切無かった。
やはり、彼女に詳しく話を聞いてみないと分からない。
特定の人物だけが感じるという場所はあるものだ。
やがて、そうこうするうちに後ろから、「かやさんですか?」という声がして、
振り向くと、電話の奥さんが目印の黒い帽子をかぶって来てくれた。
彼女はまだX地点に近づけないという事で、
X地点から2m離れた場所で話を聞く事になった。
なるほど、2m離れていれば、彼女でも何も感じないのか。
どうやらこの心霊スポットは、余り大きなものでは無いらしい。
彼女いわく、X地点に立って、Aの方向を見ると、
大声で叫びそうになり、吐いて倒れそうになるのだという。
そこで、彼女をその場に残して、私だけがX地点に立ち、Aの方向を見て見た。
交差点の信号が青になり、赤になり、また青になった。
しかし、10分以上経っても、何も感じないし、何も起こらなかった。
大声で叫び出したくもならなかった。
本当なら、彼女にX地点に立ってもらい、その変化を見て見たい所だが、
彼女はもう嫌だと言う。
ここまでわざわざ来て頂いただけでも感謝なので、それ以上は頼めなかった。
ただ、現場を観察してみて、分かった事もあった。
X地点付近にあるガードレールを調べたのだが、古いし、
X地点の地面もタイヤの跡や、地面が削れた様子も無い。
ここに来る前までは、X地点で交通事故で誰か亡くなったのかもと思ったが、
X地点に車が突っ込んだという感じでも無い。
X地点へのビルからの飛び降り自殺という事も考えていたのだが、
X地点へ飛び降りるビルもこの交差点には無いのである。
そして、X地点からAの方向を見た時に起きるという事は、
XとAを結ぶ線上で何か起きたのだろうか?
つまり、XとAの間の横断歩道で何か起きたのだろうか?
そんな推測が出来たのだが、あくまで推測にすぎない。
結局これ以上の事は分からなかった。
ただ、彼女には、この交差点で起きた交通事故や殺人事件があったら、
教えて下さい。と言って別れた。
その3ヶ月後、彼女も気になっていたのだろう。
近くに住んでいる友人やお年寄り、知り合いの住職さんに話を聞いたという。
すると、あの交差点では何件もの交通事故が起きていたらしい。
そんな彼女が調べてくれた事故の内、
私が気になる交通事故が1つだけあった。
それは、幼い男の子が車に轢かれたという交通事故だった。
それも母親の目の前で、
自分の子供が車に轢かれるのを目撃するという悲惨なものだったという。
そのお母さんは、大きな悲鳴をあげて、なんども息子さんの名前を叫んでいたという。
そして、お母さんが、息子が轢かれるのを目撃した場所こそがX地点だったのだ。
今回は霊現象では無かった。
この様に前に居た人の念が残っているケースはよくある事である。
例えば、質屋で離婚した人が手放した指輪をはめたら、
自分も離婚したくなる気分になった。とか、
電車で長い間居眠りしていた人が、席をたって、そのすぐ後にその席に座ったら、
自分も眠くなったとか、
喧嘩で離婚した直後の部屋を、賃貸で借りたら、自分たちも喧嘩して離婚した。とか。
ただ、今回の様に何年も念が残っているというのは希で、
当時の母親のショックが並大抵ものでは無かったのだろう。
では、なぜA地点からX地点に行く帰り道では、X地点の上を通るのに、
なぜ彼女はX地点の真上を通るのに何も感じ無いのだろうか。
それは帰り道で、A地点を背を向けていたからだと推測される。
また信号待ちしていないので、A地点上に居る時間も一瞬である。
では、なぜ彼女に感じて、私には感じなかったのだろうか。
それは人によって、気持ちや念をキャッチする受け皿が違うからである。
同じ美しい花を見ても、ある人は心が癒されて、幸せな気分になれば、
ある人は金になると思って、摘んでいく人もいる。
同じ失恋ソングを聞いても、今幸せという人には、いちソングにしか聞こえないが、
失恋したばかりの人が聞くと、自分とかぶって涙が溢れてくるかもしれない。
つまり、私には感じられなかったのだが、彼女の魂の琴線には触れたのである。
「琴線(きんせん)とは、人の心の奥底に秘められている真情である」
それは、多分、
彼女にも、小さな男の子いて、一児の母だっただからかもしれない。
END

