●霊能者を超える天使の声
東日本大震災を振り返ってみて、
もう1つだけ書いておこうと思う事があります。
それは、
こういう大災害が起きると、
よくこんな質問を受ける時があります。
「未来を予知出来るはずの霊能者の方達は、
なんで、この大震災を予知出来なかったのですか?」とか、
「こんな大災害を予知出来ないのなら、インチキじゃないの?」など。
確かに、霊能者って、よく相談者の方に、
「来年には結婚しますよ。」とか、
「男の子と、女の子が生れますよ。」など、将来を予知したりしますよね。
霊能者の中には、具体的に「あの家が火事になるよ。」と予言する方もいるほどです。
そういう話を聞くと、みんな
「なんで、こんな大きな大災害を予知出来なかったの?」と思ってしまいますよね。
当然の疑問かもしれません。
私なんかでも、もし霊能力があって、災害が予め予測出来たら、
沢山の人を助けたいと思いますもの。
だから私も、霊能者の方がなんでその予知能力で被災者を助けられなかったのかな。
と疑問に思っていた一人なんです。
そこで、ある時、日本にいる霊能者の方と会う機会があったので、
直接聞いてみたんです。
すると、彼はこんな事を言ったのです。
「予知出来たけど、
予知出来なかったんだよね。」
ちょっと分かりづらい答えなので、もっと詳しく言うと、
東日本大震災が起きた7年前、
彼は外に居たといいます。
そして、地震が起きます。
ただし、彼が居た場所の震度は3だったそうです。
だから、普通に地震があったな。程度にしか思わなかったそうです。
ところが、地震があってから30分位たった頃だったといいます。
突然体が硬直して、もの凄い恐怖が襲って来たのだそうです。
それはまるで、空から巨大な隕石が沢山落ちて来る様な恐怖感だったといいます。
でも周りを見回しても、特に何も起きていません。
それでも彼は、何かとてつもない事が起きるんだと怖くなったそうです。
もしかしたら、妻や子供に何かあったんじゃないかと思って、
直ぐに自宅に電話したそうです。
すると奥さんは、「うちは大丈夫よ。」と言ったそうです。
それでも彼は、奥さんのその言葉を信じないで、
「何か起きるかもしれないから、オレが戻るまで外に出ないで。」と言ったそうです。
何か絶対恐ろしい事が起きるという恐怖感は、ずっと続いていたそうです。
すると、その何分後に、
東北地方に巨大な津波が押し寄せた事が分かったといいます。
つまり、なにか途轍もない恐ろしい事が起きると10分前に予知したけど、
それが巨大津波だったとも、それが東北地方だったとも分からなかったといいます。
彼はこうも言っていました。
「仮に、それが巨大津波だと分かったとしても、
たった10分で私に何かが出来たでしょうか。
こんな無力なのに、恐怖感で息が苦しくなるだけなのなら、
むしろ何も予知出来ない方がいいですよ。」
彼いわく、個々のお客の未来は分かったりする事があるのだけど、
多くの人が影響する様な事や、歴史を変える様な出来事は予知出来ないのだという。
これは、アメリカの霊能者の方も同じようなニュアンスの事を言っていました。
ただ、でも中には、「あの家、火事になるよ。」とか、
予言して的中させる人がいますよね。と指摘すると、
「確かにそういう人もいます。
でも、そういう予言が出来る人に限って、
その当たる予言を信じてもらえない状況だったりするはずです。
例えば、その予言をした人を周りの人はキチガイだと思って信じなかったり、
その予言をしたのが、幼い子供だったので、気にとめなかったり・・・
つまり、何故か分からないのですが、
歴史を変えられる様な大人には、キャッチ出来ないのです。」
私はそれを聞いて、なにかタイムマシンでよく耳にする、
歴史を変えられない。と同じような感じを受けました。
だから、こういう大災害の時は、
霊能者よりも、その場にいる人達の愛こそが偉大な力を発揮する事が多いのです。
例えば、東日本大震災では、宮城県南三陸町に巨大津波が押し寄せました。
当時、防災対策庁舎2階にある危機管理課で、
遠藤未希さん(24)が職員として働いていました。
そしてこの惨事に直面したのです。
彼女は津波が来ると、必死に防災無線で町民に呼びかけました。
「異常な潮の引き方です」
「逃げてください」
当時彼女の放送を耳にした山内猛行さん(73)は急いで高台に逃げたそうです。
「ただ事ではないと思った。
一人でも多くの命を助けたいという一心で、呼び掛けてくれたんだろう。」
「早く、早く、早く、高台に逃げてください」
と必死で叫び続ける 「あの時の女性の声で無我夢中で高台に逃げました。」
遠藤未希さんの呼びかけは30分も続いたという。
ちなみに彼女の放送もあって、南三陸町民約1万7700人のうち、
半数近くが避難して命拾いをしました。
(その後、彼女は「天使の声」と言われました。)
下の映像には、彼女が必死に一人でも多くの人を助けようと、
頑張って放送している声が入っているのだが、
同時に上司から、「もうダメだ、避難しよう。」という声が入っている。
しかし、彼女だけは残って放送し続けたという。
その後、屋上に避難した10名は助かったが、
そこに遠藤未希さんの姿は無かった。
半年後の結婚式を控えていたという。
ご冥福をお祈りいたします。
「早く、早く、早く、 高台に逃げてください」
END
