フォーエバー・フレンズ -90ページ目

5、完全復活(4)

直哉は第一京浜に出ると、大通りの歩道を軽快に飛ばして行った。

そして蒲田を過ぎ、多摩川大橋を過ぎ、川崎を過ぎ。まるで箱根駅伝の第一区間を走行しているかのようだった。

さらに海沿いの道を走ると、遠くにランドマークタワーが姿を現した。

みなとみらいのすぐ近くに、山下公園が存在する。

「もう少しだ!」

そう言うと直哉は、更に速度を上げて、山下公園に向かって突き進んでいった。

何も苦しい事はなかった。きっと五反田で詩織が自分の帰りを待っていてくれる。そう信じていた。その事を思えば、何一つ苦しい事も無かった。




そして山下公園に到着すると、直哉は思わず海に向かって「うおー!」と吠え、そして右手こぶしを高らかに上げた。

なんと30kmもの道のりを走破したのだ。やっとここまで走れるようになれたのだ。

そしてその場でバタンと大の字になった。嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。遂に負け犬を打破したのだ。自分という弱さに打ち勝ったのだ。

「はあ、はあ・・・やった・・・俺やったよ・・・」

そんな事を言っていると、鼻先になにやら冷たい感触を覚えた。なんと、ポツ、ポツと雨が降り出してきたのだ。

「あ、やっべえ!」

そう言うと直哉はすぐさま起き上がり、バラの花を一輪取ると、今度は詩織の待つ五反田に向けて走りだした。






すでに日が落ちて、あたりは真っ暗と化してしまった。詩織は、自宅から持ってきた傘を差しながら、ひたすら直哉の帰りを待っていた。

携帯に電話をしても出ない。一体直哉は今何処を走っているのだろうか?

雨の五反田の街は、道行く人の色鮮やかな傘の花が咲いていた。そんな中詩織は、ただただ直哉の事を心配しながら、彼の帰りを待ち続けた。


しばらくすると、交差点の向こうから走ってくる、ずぶ濡れの男の姿を見つけた。

直哉だった。

「ナオ!」

そう言うと詩織は、思わず直哉を目指して駆け出していった。そして交差点の中央で、二人向かい合うと、ずぶ濡れの直哉はニコリと笑って見せた。

「いやあ、雨が降る事まで想定にいれてなかった。馬鹿だなあ」直哉はずぶ濡れの姿で、思わず笑ってしまった。そして「はい詩織、約束通りとってきたよ」と言って、一輪の白いバラを詩織に手渡した。

すると詩織は怒り出してしまった。

「馬鹿!ナオの馬鹿!何でこんな事するの!怪我でもしたらどうするの!風邪でもひいたらどうするの!」

「詩織の為だから・・・」

「え?」

「詩織が好きだから。俺は詩織の事が好きだから」