8、明かされた秘密(2)
9月も終わりを迎えたある日の事、直哉は優作と一緒に品川の居酒屋で飲んでいた。
武にベッタリだった優作が、直哉を誘うのは珍しかった。
どうせ直哉と一緒に飲んだところで女の子を用意してくれる訳でもない。何故一緒に飲みに行こうと言ったのかがあまり理解できなかった。
「なあ、優作。いつも武とつるんでいるだろ?どうして今日は俺なんだ?」
「たまには男同士で、本音で語り合って酒を飲むのも悪くないスよ。すいません!生もういっちょください!」
「あいよ」
優作の飲み方は尋常じゃなかった。
「優作、今日は本当よく飲むな」
直哉がそう言って驚いていると、優作は「女にフラれたんです」と言ってグイッとビールを飲む。
「フラれた?」
「はい。この間女にコクったら、そいつ小野寺先輩が好きだったらしくて・・・」
「はは・・・」
「小野寺さんいつも美味しいトコ取りだ」
そう言うと、優作はまたしてもビールをグイッと飲み干した。
哀れだったので、飲み代は直哉が出してあげる事とした。そしてフラフラの優作を抱えながら、彼の家へと行ってしまった。
そして無事、優作を家まで送り届けると「あんがとなあ。これ持って行けえ」とロレツの回らない口調でそう言いながら、直哉に小さなビニール袋を手渡した。
「なんだよこれ?」
「ははは!エロDVDさ!俺のおかずさ!」
「いらねえって!」
「いいから持ってけ!このエロエロマン!」
「いらないって」
「うるへー!」
これ以上やるとさすがに近所迷惑だと思い、直哉は優作が手渡したエロDVDの入ったバックを手に持つと、走ってその場から去って行った。
あまりにもの優作の酒癖の悪さに驚いてしまった。
家に帰ると、酔い覚ましに冷たいお茶をグイッと飲む。そして詩織にメールをして見た。
『今帰って来たよ』
『ナオ、おかえり』
するとその時、ちゃぶ台の上に置いていたビニール袋から、ドサドサとDVDが落ちてしまった。そしてそれを一つ一つ拾っていると、一枚のDVDに目が行った。
『美月ゆりな』
初めて聞く名前だった。そしてそのパッケージを見ると、表紙の女性がなんとなく詩織に似ているように見えた。
「ん?」
そしてなんとなく興味が沸いたのか、直哉は早速そのDVDをレコーダーに入れてみた。
画面の向こうに見えた女優の姿を見て、直哉は呆然としてしまった。パッケージではわからなかったが、映像はそのままの姿を映していた。
まぎれもなく詩織だった。ホクロの位置。ネイルアートのデザイン。すべてが一致していたのだった。
「そんなバカな・・・」
しかし直哉は、それでもまだ信じてはいなかった。これはきっと人違いなのだと。何かの間違いなのだと。
そしてインターネットで『美月ゆりな』を検索すると、美月ゆりなのブログが現れた。
そこにはこのような内容が書かれてあった。
『明日、秋葉原のMEETSで12:00からイベントを開催します。皆様ゆりなに会いに来てくださいね。待ってまあす』
ノートパソコンの画面に映るその美月ゆりなのブログを、直哉はずっと見続けていた。