フォーエバー・フレンズ -66ページ目

10、雪の箱根 仲間の襷(3)

第一京浜を出て、先頭を走るのは早稲田大学。そして東海大学、東洋大学と続く。東部工業大学は・・・。


16位だった。


かなり後ろを走る一区のランナーは、テレビ中継すらされず、ワンセグ画面に映るテロップとタイムだけが頼りだった。

尾崎は小さなワンセグ画面を見ながら、部員達と共に東海道線の電車に乗る。

中継所間の移動は、もっぱら電車で行う。これは別に東部工業大学だけではなく、他の大学の選手もこうやって電車で移動するのである。なにせこの箱根駅伝のルートは、東海道線と並行しているので、渋滞の多い車より電車での移動の方が便利だ。




戸塚駅で一名降り、そして平塚駅で一名降り、小田原駅で一名といったように、選手が次々と電車を降りていく。

そして明日の復路出走の選手は、小田原から箱根登山鉄道へ乗り換えて、芦ノ湖へと向かう。




登山鉄道に乗ると、あたり一面にうっすらと雪が積もっていた。

その光景を目の当たりにした尾崎は「やった!」と言ってガッツポーズをした。なんと期待通りに雪が積もっていたのだった。

「武でなんとか行けそうですね」直哉がそう言うと、尾崎は「ああ、本当はお前を5区にしようと思ったんだけど、天が味方してくれたよ」と言って笑った。




襷は2区へと渡った。先頭は変わらず早稲田大学。そして東部工業大学は15位で鶴見中継所で襷をつないだ。

2区に入ると、4位を走っていた中央大学が前へと出てきた。そして先頭の早稲田を抜き去り、この時点でトップへと躍り出た。そしてそれを追うかのように、順天堂大も早稲田をかわしていった。

順位は、中大、順天堂大、早大、東洋大と続く。東部工業大学は14位と順位を一つだけ上げた。




相模湾から吹く風はとても強い。しかしそんな風をもろともせず、各ランナーは軽快に134号線バイパスを走っていく。

5区が坂との戦いであれば、この3区は風との戦いとなる。

先頭の中央大学は相模川の橋を越えて、平塚中継所へと突入していった。それに続いて、順天堂、東洋が並んで平塚中継所へ入って行った。

そしてこの平塚中継所で、東部工業大学は13位とさらに順位を一つ上げて襷をつないだ。




4区は平塚小田原間を走る。この区間は18.5kmと、一番距離の短い区間である。そしてなんとここで本命の東洋大学が、前へ出てきた。

なんと二宮駅前で先頭の中央大学をかわすと、どんどんと速度を上げて行った。ここで一気に突き放し、5区のエースの増田につなごうという考えであった。

そして酒匂橋に着くと、もう2位の中大のランナーは、はるか後方で見えなくなってしまっていた。




そして5区へと襷が渡る。


先頭は東洋大学。そしてエースの増田は襷を手に取ると、箱根めがけて駆け出して行った。

近年、華の2区ではなく、この5区にエースをあてがう傾向がある。

東部工業大学も、当初は直哉を5区にしようと考えたぐらいだ。なにしろ距離が23kmもあり、過酷な山登りも待っている。山を制する者こそが箱根を制する。まさにその名の通り、各チームはこの5区にエースを並べてきた。


小田原中継所には箱根からの雪が舞う。元ラグビー部の小野寺武は、今ここに出陣しようとしていた。そして13位で襷をもらうと「おらあ!」と言って、箱根の山を目指して走って行った。