フォーエバー・フレンズ -332ページ目

11、愛する心(1)

仁科先生と恵は大体の作業を終えた。

「終わった終わった。当日の段取りは校長先生がやってくれるそうだからこれで終わり。明日はいよいよ出発!」仁科先生は両手で拳を作って、ガッツポーズをした。

「結構大変でしたね」

「ほんと山野さんはがいてくれて助かった。この後もバイトなんでしょ。本当よく働くね」

「そんな、大した事ないです」

「徳永君がうらやましい。こんないい彼女がいて」

「先生!」仁科先生の、その『彼女』という言葉に恵は過剰に反応した。

「もう分かってるんだよ。山野さんと徳永君の仲」

「誰か言ったんですか?よう・・・徳永君が言ったんですか?」

「今陽一って言おうとしたでしょ誰も何も言ってないよ。でもてればわかるの。そうなんでしょ?」

「・・・はい」恵は遂に白状した。

「徳永君野球の事しか考えてない子だから、相手するの大変でしょ」仁科先生はそう言って笑った。

「私・・・つい最近まで野球の試合見るのが怖かったんです」

「どうして?」

「彼、野球となると思い詰めるんです。何かあると自分が悪いと思って。だから試合で負けたりして、悲しむ姿を見るのが耐えられなかったんです」

「今は?」

「もう平気です。負けたら私が慰めます。打てなくなってみんなからブーイング浴びても、私だけは彼の味方になります

「そうかあ・・・私徳永君が山野さんを選んだ理由なんとなくわかった」

「どんな理由なんですか?私わからないんです。何も言ってくれないんです・・・

「それは・・・いずれわかると思うわ。心が一つだったら」

仁科先生の言葉はとても優しかった。

そして「あ~あ、私も彼氏欲しいなあ」と言って仁科先生が大きくノビをして立ち上がると「さあ帰ろうか。山野さんこれからアルバイトでしょ」と言った。

すると突然電話が鳴り出した。

「はい港南学院高校でございます。えっ?はい一ノ瀬文麿、手嶋由香子?はいここの生徒です。私担任の仁科です。えっ!警察?・・・そうなんですか!・・・はいわかりました。すぐ参ります」

仁科先生はそう言って電話を切った。

「大変。一ノ瀬君と手嶋さんがオートバイで事故に・・・」

「えっ!」



恵と仁科先生は、急いでタクシーを呼んで、鎌倉救急病院へ向かった。

そしてタクシーの中で恵はバイト先へ連絡を入れた。

「すみません店長。ほんと緊急なんです。はい。すみません」と言って電話を切った。

「一体どうなってるんだろう大丈夫なのかしら・・・警察の人、無事かどうか何も言わないのよ・・・」仁科先生は心配そうな顔をした。

「由香子・・・」恵はそうつぶやくと、タクシーの窓の外の景色を上の空で見ていた。



鎌倉緊急病院、恵と仁科先生は病院の玄関を走りぬけ、受付のカウンターにたどり着いた。

そして仁科先生は「手嶋由香子という高校二年生の女の子がこの病院に運ばれたと・・・」と受付の女性に尋ねた。

すると受付の女性は「はい手嶋由香子さまは、只今外科2Fの集中治療室で治療を受けていらっしゃいます」と至って事務的に案内をした。

「集中治療室・・・」恵と仁科先生の脳裏に不安がよぎった。


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(c) cashew写真素材 PIXTA

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