フォーエバー・フレンズ -321ページ目

13、まけるもんか(2)

速見の即席シュートは、8回から使えなくなってきた。

大河内がシュートボールを投げる時の、速見の投球フォームのクセを読みきったのだ。

そして9回表に速見は連打を浴び

なんとか粘り強く2アウトまでに漕ぎ着けたが、ランナー2塁3塁のピンチだ。

ここで、淀商はなんとセフティースクイズをやってきたのである。

完全に不意をつかれてしまった。

文麿はジャンピングスローで、懸命にファーストへ投げたが、間に合わなかった。

「やられた。まさかここで・・・」古屋監督が天を見上げた。

見事なまでの奇襲攻撃により、港南学院は土壇場でリードを許してしまったのである。

しかもランナー3塁で、バッターは4番の大河内だ。

大河内は、もう完全に速見のシュートボールを読みきっていた。

そしてホームラン性の当たりのファールを、2本立て続けに打ちはなった

「もう、力で勝負するしかない。なんとでもなれ!」

速見は渾身の力で、大河内に対してストレート勝負をした

しかし大河内のバットはジャストミート。

ボールは右中間へ大きく飛んでいった。

「だめだ!やられた!」と誰もがそう思った

恵も「助けて」と思って両手を握り締めて目を閉じた。

さすがの茜も目を閉じた。

しかしそのボールを懸命に追いかける陽一がいた。

そして陽一は「負けてたまるか!」と叫び、帽子を飛ばしながら大河内の打った打球に果敢に飛び込んでいった。

甲子園の観客打球の行方を見ながら、固唾を呑んだ

港南学院にとってまさに絶体絶命のピンチである。

しかし大河内の打ったボールは、そのまま陽一のグラブへ入っていった。

そして陽一はボールを空中でキャッチすると、そのまま芝生の上をザザザっと滑っていった。



奇跡のスーパーキャッチだった。



写真素材 PIXTA
(c) keiz写真素材 PIXTA

その瞬間甲子園球場は大歓声が上がった。

実況の「取った!徳永!スーパーキャッチ!スーパーキャッチだ!」という声で恵は、閉じていた目を見開いた。

そして「はあ・・・助かった・・・」と言い、硬直していた体一気に緩るめた

「くそ!あの野郎!」と大河内は悔しがって、ヘルメットをぶん投げた。

陽一は観客の声援にこたえるように右手を上げながら、ベンチへと走っていった。

そして左手のリストバンドを見つめながら「恵、サンキュ」と言って笑った

本当に神様がいるのだろうかと思い、陽一は甲子園の夏空を見上げた。

甲子園のスコアボードの9回表のところに『1』という数字が表示された。

3。淀商は一点をリードして、9回裏を迎える事となった


面白いと思った方、投票お願い致します。

 ↓↓↓

にほんブログ村 小説ブログ 学園・青春小説へ
にほんブログ村