フォーエバー・フレンズ -302ページ目

2、姉との思い出(1)

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恵と陽一と清志朗の3人は、箱根学園の隣の公園にいた。

清志朗は陽一の質問に、ずっと黙っていた。

ふと恵は「清志朗君て何処に住んでるの?」と優しく聞いてみた。

すると清志朗は「実家は平塚だよ・・・今はすぐ傍の寮に住んでる」と口を開いた。

今度は「野球は好き?」と聞いた。

「そりゃあ好きだよ・・・・」と清志朗は言った。

「何でやんないの?」

「殴られてばかりじゃ、嫌になるよ。この学校の先生すぐ暴力だからよ・・・」

清志朗は恵に、少しだけ心を開きだした。

そんな清志朗の態度を見て、陽一はこの場面を恵に任せてみようと思い、黙っていた。

「港南にはそんな先生いないよ。だから陽一にピッチング見せてあげて」

「無理。まず俺ここの寮出たら、家がないんだよ。だから港南にはいけない」

「平塚に家があるんでしょ?十分通えるじゃん」

「親父が家にいれてくれねえ。俺親父に嫌われてるからさ」

「どうしてなの?」

「兄貴達と比べて、出来が悪いからだろ。嫌になっちまうよ」

「じゃあ野球やって見返してあげればいいじゃん」

「勉強できねえ奴はダメなんだよ。野球が出来たって親父は絶対に認めねえ。もうあんな家には帰りたくもねえよ。中学出たら働いて、一人暮らしするよ」

すると陽一が立ち上がった。

そして突然「大谷、お前、親父に認められたいんだろ?」と言い出した。

「何だよいきなり」

「親父に認められたいのに、相手にもしてくれない。だからお前モメ事起こすんだろ?親父にもっと俺を見てくれって」

「なんだよお前!やんのかよ?」清志朗も立ち上がった。

だが陽一は清志朗に容赦なく言い続けた「それに殴られてばかりで嫌になる?お前だっていろんな人殴ってきたんだろ?殴られる人の痛みが少しはわかるだろ」

「くっ・・・・」

「平塚西中で、お前に傷つけられた奴が、いっぱいいるんじゃないのか?」

「なんだよ!ここまで来てお説教かよ。お前なんかと話ししたくねえよ。じゃあな!」清志朗はそう言うと、二人の前から去って行った。

「清志朗君!」

恵は止めようとしたが、清志朗は走って去って行った。



恵と陽一は、あてもなく箱根の町を歩いていた。

「陽一、何であんな頭ごなしに言うの?」

だが陽一は黙っていた。

「せっかく心開いてくれたのに、陽一の一言でまた元に戻っちゃったじゃん。大体陽一いつもいきなり言うし・・・」

「あいつ、俺と同じなんだよ・・・」陽一はポツリとつぶやいた。

「同じ?どう言う事?」

「俺も親父に認められたくて野球やってた。ただ、親父が俺に求めていたのが野球だったから良かったんだ。もし野球以外を求められていたら、俺もあいつと同じだった」

恵も清志朗と話していて、陽一とフィーリングがなんとなく似ていると思っていた。「・・・なんか分かる気がする・・・」恵は思わず言ってしまった。

だから清志朗は恵に心を開いたのだろうか?



そしていつの間にか箱根の街は夕方になっていた。


「恵、帰ろうか」

「うん」

そう言うと二人は、強羅駅へと歩き出した。

すると改札口で、一人でたたずむ清志朗がいた。

「清志朗君・・・」恵は少し驚いた。

すると清志朗は「悪かったよ・・・徳永さんの言う通りだよ・・・」

「大谷・・・」

「俺、本当は親父に認められたい・・・。でも勉強なんて俺苦手なんだよ・・・親父は俺の事なんて相手にしてくれねえ・・・だから親父に見てもらいたくて、モメ事ばっか起こしてた。あんたの言う通りだよ・・・悪かった」

清志朗の意外な素直さに、陽一は少し驚いた。

そして陽一は「俺も言い過ぎたよ。悪かった」と言って、清志朗に謝った。

「気に入るかどうかわかんねえけど、俺のピッチング見てみるか?」

「ああ、でも今日はもう遅いから、明日また来るよ」

「いや、俺が港南に行くよ。二度も来てもらうのは悪いしさ・・・」

「そうか、じゃあ10時にウチの学校に来てくれ」

「わかったよ。必ず行く」そういうと清志朗は箱根の街へと去っていった。

恵は「結構いい子じゃん」と言って微笑んだ。

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