フォーエバー・フレンズ -234ページ目

16、ゴールドメダル(3)

港南学院応援席は、もう生徒達が「やったあ!やったぜ!」と泣き叫んでいた。


堀場は大歓声の甲子園の中、真がホームランを放ったライトスタンドをじっと見ていた。

「やられた・・・」


真がベンチに戻ってくると「陽一!」と叫んで、陽一に飛びついてきた。

「真!」

真の筋肉隆々な体に抱きつかれると、あまりにもの重みで、二人はそのまま倒れこんでしまった。

「やったぜ!陽一やったぜ!」

「ああ!やったな」

陽一と真はまるで少年のように、寝転がって抱き合った。


スコアボードの8回表のところに「4」と言う数字が点灯した。

7―4、港南学院は終盤で一気に4点をもぎ取り、仙台学園に3点差を付けた。


8回裏、港南学院の各選手は守備位置へと散っていった。

すると陽一が清志朗に「清志朗!頼むぞ!」と言って、肩をポンと叩いた。

「まかしとけ!」

清志朗はそう叫ぶと、ゆっくりとマウンドへと歩いていった。

そしてマウンドに上がると、左手に付けたグラブをじっと見つめた。

「お姉ちゃん、見ててくれ。絶対に勝つから」

そう言うと清志朗は、甲子園の夏空を見上げ、姉の恵理の笑顔を思い出した。

「お姉ちゃん。絶対に負けない!」

消えかかっていた清志朗の闘志に、再び火がついた。


「どらあ!!!!」

清志朗の大きな声は、甲子園に響き渡った。

「ストライク!バッタアウト!」

「よっしゃあ!」

清志朗は大きなガッツポーズで、思いっきり吠えまくった。

仙台学園は、心に火がついた清志朗に、完全に圧倒されだした。

そして清志朗の気合のこもったビーンボールは、左打者でも通用しだした。

やがてその清志朗の「おりゃあ!」と言う掛け声に、観客は興奮し大声援を送りだした。

「いいぞ!大谷!」

「清志朗!がんばれ!」

完全に試合の流れは港南学院ペースとなり、仙台学園は、総崩れとなっていった。


1年前、たった3人の野球同好会に、ある日陽一が入部してきた。


そして真や修二や文麿が入部し、夜空に9発のロケット花火で復活の狼煙を上げた港南学院高校野球部。


そして2011年8月。

彼らは今、甲子園の栄冠をつかもうとしている。


9回裏、仙台学園の攻撃。

2アウトランナー無し。

バッターは4番の前原。

そして前原の放った打球は、センター上空へとあがった。

陽一はその前原の放った打球をしっかりと見つめると、落下してくるボールを両手でしっかりとキャッチした。


この瞬間、優勝が決まった。港南学院高校の優勝が決まったのだ。


選手たちは、一斉にピッチャーマウンドの清志朗のところへと駆けていった。

そして選手達は涙を流し、もみくしゃになりながら、抱き合った。

外野にいた陽一や真も駆けつけ、みんなと同様に抱き合った。

しかし陽一は、すぐに淳紀がいない事に気がついて、ホームベースの方を見た。

すると淳紀がうずくまっていた。

それを見た陽一は「淳紀!」と言って駆け寄って行った。

淳紀は泣きながら笑っていた。

「徳永さん・・・もう限界です・・・痛くて歩けません・・・肩貸してください・・・みんなのところに連れて行って・・・」

「ああ!わかった!」陽一は笑顔でそう言うと、淳紀に肩を貸した。

淳紀が、陽一に連れられてマウンドへやってくると、清志朗が「淳紀・・・お前って奴は・・・」と言って泣き出した。

「清志朗君・・・」淳紀も少年のように泣き出した。

一年生バッテリー。

それはかつての陽一と真のように、素晴らしいバッテリーで、お互いの心を一つにしてここまでやってきた。そして、大きな栄冠をつかんだ。