フォーエバー・フレンズ -194ページ目

二、時空を超えて(第七話)

ある日真治が、基地内のトイレ掃除をしていると、飛行場から男達の歌声が聞こえてきた。

海ゆかば水漬く屍

山ゆかば草むす屍

大君の邊にこそ死なめ

かえりみはせじ

そして万歳三唱の声。

「天皇陛下万歳!」

「万歳!」

「万歳!」

「万歳!」

一体何が始まるのかと思い飛行場の方へやってくると、まだ年の頃20か、それに満たないぐらいであろうか。飛行服に身を包んだその若者達は、笑顔で戦闘機へと乗り込んでいった。

そしてその若者達が乗り込んで行った零式艦上戦闘機は、爆音を轟かせながら、鹿屋飛行場をゆっくりと離陸して行った。

そう、彼らこそが『神風特別攻撃隊』である。

彼らは500kgもの爆弾を搭載した飛行機を操縦し、そのまま敵艦に体当たりを敢行するのである。

「若い・・・まだこれから未来の在る者達ばかり・・・何故・・・」

真治はその飛び行く戦闘機を見て、思わず呆然としてしまった。

おじいさんは命令の為に行っているから仕方が無いと思っていた。しかしまだ20にも満たない若者が特攻機に乗り込んで行く姿を見ると、いてもたってもいれなくなってしまった。

百聞は一見にしかず。厳しい現実を目の当たりにすると考えも変わってしまう。

その後真治は、司令室の清掃を行っていた。すると久保川大尉が部屋の中へ入ってきた。

「久保川、どうだ基地の生活には慣れたか?」

「はい・・・」

「どうした浮かない顔をして。俺の顔に何か付いているのか?」

「いえ・・・」

「何だ?言ってみろ」

「久保川大尉はこの戦争が負けるとわかっていながら、何故毎日特攻機を飛ばしているのですか?」

「・・・」

「今日7機も特攻機を飛ばしました。でも搭乗員の中にはまだ成人になってない者だっていました。まだまだこれからの未来がある者達ばかりです?何故こんな事をするのですか?」

「黙れ」

「黙りません。無意味に若者を殺していいのですか」

「お前に一体何がわかる!」

「わかりません!上からの命令だからですか?」

「違う!」

「じゃあ何故ですか?」

すると久保川大尉は、ゆっくりと天井を見上げた。

「これは、国を守りたいと願う若者達の心だ」

「そんな・・・」

「戦争に負けるのはみんなわかっている。しかし、特攻作戦は講和を有利に進める為に必要だ」

「日本は無条件降伏をします。でも日本は植民地にはなりません」

「お前の住んでいた世界ではそれが常識なのかもしれない。しかし、敗北しながらも日本が自主権を勝ち得たのは何故だ?」

「それは、アメリカはあなたが思うような国じゃないからです。平和的な民主国家だからです」

「じゃあ何故欧米諸国はアジアを植民地化したのだ?何故アメリカは黒人を奴隷として扱ったのだ?」

「・・・」

「何故奴隷化されたのか?それは抵抗をしなかったからだ。勝てないと思って抵抗する事をあきらめたからだ。違うか?だからここにいる隊員は負けるとわかっていながらも、国家の威信を掛けてこの作戦に参加している」

「私にはよくわかりません」

「平和ボケした社会に住んでいればわからないのは当然だ。だから俺は堕落したお前の時代の人間に、特攻の事を理解してもらおうとは思ってはいない。だが・・・1000年後の日本人は、きっと俺達の事をわかってくれる筈だ」

「・・・」