フォーエバー・フレンズ -176ページ目

七、靖国の桜(第二十五話)

2012年4月。

東京の町には桜が咲きだしていた。

そして真治は、雅史、佐智子、綾を連れ、静粛なる靖国神社を訪れた。

目的は、家族全員で久保川大尉・・・いや、おじいちゃんに会いに行こうと思っていたからだ。

九段下の駅をおり、しばらく歩くと靖国神社が姿を現す。

ここはかつて、この国の為に命を捧げてきた者達が祀られている神聖なる場所である。


建物の中に入ると、沢山の兵士の写真が飾られていた。

その中に、まず大空のサムライと呼ばれた大野中尉の写真を見つけた。


『敵艦まで絶対に連れて行ってやる。もし途中で攻撃されたら、俺が体当たりをしてでも守ってやるからな。だから立派に死んでこい』


そして彼は、特攻機を敵艦隊まで送り届ける為、敵戦闘機に体当たりをして戦死した。


次に、大島勇太郎君。

彼は、真治と同じ3歳になる娘がいた。そんな家族を守りたいと特攻に志願し、大空へと散っていった。


『たとえ私が死んだとしても、妻や娘には私が生きていたという記憶は残ります。そしてこの国にはまた花が咲き、そして川の水は流れ続けます。この大島勇太郎という男が生きていたという軌跡があればそれだけで十分です』


真治は写真を見つめながらそんな大島の言葉を思い出していた。

「大島君・・・」


そして大前正一君。

20歳の彼は、家族に泣き顔を見せたく無いと言って、最後の帰郷を拒んでいた。だが、彼は最後焼津へと帰郷し、家族と再会しこの世を去っていった。


『思い残す事はもう何もありません。これから大前は敵艦に体当たりしてまいります。素晴しい未来。そして生まれてくる祖先の為。大前は思う存分に戦ってきます。有難うございました』


そして久保川大尉。


真治はその遺影を見ると、思わず目頭が熱くなってきた。そして久保川大尉の残した言葉を一つ一つ思い出した。


『平和ボケした社会に住んでいればわからないのは当然だ。だから俺はお前の時代の人間に、特攻の事を理解してもらおうとは思ってはいない。だが・・・1000年後の日本人は、きっと俺達の事をわかってくれる筈だ』


『真治!未来の日本を頼むぞ!素晴しい世界にしてくれ!』


「おじいちゃん。本当にありがとう・・・」

そう言うと真治は、久保川大尉の遺影に深く礼をした。