フォーエバー・フレンズ -145ページ目

6、新しい道に向かってー2

土曜日、ジュリは真澄君のお母さんに会う為に、電車で川崎へと向かった。

「ええと・・・ここらへんだなあ」ナビウォークの指示を頼りに歩いて行くと、そこには新築の綺麗な家が建っていた。

そしてジュリは、真澄君のお母さんにすんなりと会うことが出来た。

綺麗な応接室の中へと通されたジュリは、少し緊張しながらも、真澄君のお母さんとの話しに臨んだ。

しかし真澄君のお母さんは、既に大きなお腹をしていた。

「あの・・・妊娠を・・・」

ジュリは恐る恐る口を開いた。

「ええ、6ヶ月目」

なんと今のご主人との間に、既に子供が出来ていたのだ。

そんな中、恐る恐る真澄君の話を聞いてみた。すると真澄君の母親は「ええ、忘れた事はないですよ。でも・・・」と言って、言葉を詰まらせた。

「でも、何ですか?」

「私は私で新しい人生を生きていかないと・・・今の主人と産まれてくる子供と一緒に・・・」

「そうですか・・・」

「私、真澄が死んでしばらくの間、自分が獣になってしまっていたと思うの」

「獣???」

「そう、何一つ許すことが出来ずに、ただただ飲酒運転して真澄を殺した人を恨んでいたの。それでお金の賠償から、何から何までトゲのようになって・・・。自分に相手を許す気持ちすらもないのに、相手に誠意や謝罪ばかり求めていた。そして巨額の賠償金を手に入れた・・・でも、そんな事やったって真澄は帰ってこない。逆にそうやって自分の心を狭めていたから、家庭も崩壊して行った・・・」

ジュリは複雑な大人の事情に、何も言えずに黙っていた。

「だからもうそうやってトゲトゲしく生きていないで、全てを忘れてこれからは新しい人生を生きるの」真澄君のお母さんは、そう言って涙をこらえるようにして天井を見上げた。

「あの・・・もしもですよ?・・・もし今、真澄君が会いたいと言ったら、お母さんはどうしますか?」

するとお母さんはゆっくりと首を横に振った。

「会わない・・・」

「どうして?」

「怖い・・・会ってまた、自分があの時のように獣になってしまいそうで・・・」

「お母さん・・・」

「お願い。もう真澄の話はこれ以上できない。ごめんなさい」

結局、真澄君のお母さんも、お父さんと同じように新しい人生を歩もうとしていた。

大人の目から見れば、彼らの意見は妥当かもしれない。しかし、まだ子供の真澄君からしてみれば、それはとてもとても残酷な話である。

真澄君のお母さんの家を出たジュリは「真澄君になんて言おうかな・・・」と言って、昼下がりの青空を見上げた。

すると後ろから「もういいよ・・・」と声が聞こえた。

「えっ?」

ジュリがそう言って後ろを振り返ると、なんとそこには、真澄君が立っていたのだった。

「もういいよ・・・もういいよ・・・」真澄君は何度もそう言って、涙をポロポロと流した。

「真澄君・・・」

「もういいよ・・・もう誰にも会いたくないよ」そう言うと真澄君は、その場からスッと消え去ってしまった。

「真澄君!」

ジュリは、誰もいない住宅地の中で、一人たたずんだ。