フォーエバー・フレンズ -125ページ目

10、熱い想いー2

夕方、なんとか特別警察から逃げ切ったジュリは、一人寮へと帰ってきた。

しかしなんとそこにも特別警察の姿があった。寮母さんは、庭先で警棒を片手に男たちと格闘していたのだ。

「あんた達は命令の為なら正義も無いのかい!」

「うるさい!」警察官はそう言うと、帰ってきたジュリの姿を見つけた。そして「いたぞ!ジュリだ!」と言って指差した。

「やば!」

「ジュリ!逃げな!」

寮母さんはそう言うと、ジュリを追いかけようとしていた男の襟足を掴んで、投げ飛ばした。そして「相手なら私がなってやる!ジュリ!早く逃げろ!」と言って、ホウキを振り回し、男達をなぎ倒した。

「う、うん!」ジュリはそう言うと再び空へと舞い上がって行った。


結局寮母さんは、複数の男たちに羽交い絞めにされ、遂に取り押さえられてしまった。






そして東京の街に夜がやってきた。

ジュリは東京タワーのてっぺんに座って、光り輝く大東京の夜景をぼんやりと見つめていた。


正しい事をしようとしても、誰かの立場というものが、それを邪魔する。

でも立場というものを守るために、犠牲があってもよいのだろうか?間違いを直さなくてもよいのだろうか?

天使界にも人間界同様に、しがらみというものがあった。

18歳のジュリには、まだ何もわからない。


逮捕されてしまったであろう、寮母さんとレナ・・・。

今一人とり残された自分に、一体何が出来るのだろうか?


そんな事を考えていたら、涙がこぼれてきた。すると背後から「ジュリさん・・・」と小さな声が聞えてきた。振り返ると、そこには菜月が立っていた。

「菜月さん・・・」

「大丈夫よ。ジュリさんは頑張れる」

菜月はそう言うと、ジュリの横にちょこんと座った。

「でも、もう私、何も無いよ。資料も押収されたと思うし、天使界に行けば逮捕されるし。おばさんもレナも逮捕されてしまっただろうし・・・」

ジュリはそう言うと、こぼれた涙を手で拭った。

「ううん。ジュリさんには、まだ『熱い想い』というものがある」

「熱い想い?」

「そう、『熱い想い』というものがあれば、何かを変える事が出来るんだよ。ワッフルを焼くのもそう。商社マンもそう。天使もそう。熱い想いを持ち続ければ、きっとそのしがらみを抜け出す事ができる。一番大切な事。それは熱い想い・・・」

「菜月さん・・・」

「私の事はどうでもいいの。でもジュリさんには立派な天使になってほしい。その熱い想いをいつも心に秘めた立派な天使に」

ジュリはその菜月の言葉を聞くと、頬に一筋の涙を流した。


そして二人は東京タワーのてっぺんに腰掛けて、夜の夜景をぼんやりと眺めていた。


すると上空から「ジュリ!!!」と声が聞えた。

驚き空を見上げると、エミが夜の空から急降下してやってきた。

「エミちゃん!」


エミは東京タワーのてっぺんに着地すると、微笑みながら二人に歩み寄って行った。

「ジュリ、天使界に行こうよ」

「でも、行けば逮捕されるよ。議院の中にも入れない」

「ううん。議院の中に入れる地下道があるの。そこから入ろうよ」

「え!でもそんな事したらエミちゃんは・・・」

するとエミは100枚程の紙束をジュリに見せた。

「なにこれ?」

「署名」エミはそう言うと、ニッコリと笑った。

100枚程の紙束、そこには沢山の天使の署名が書かれてあった。

そして表記に書かれてあった題名。


『浮遊霊の菜月さんを救おう』


エミはニッコリと笑うと「ジュリの味方はいっぱいいる。ジュリは決して一人じゃない」と言って、ジュリの肩をポンと叩いた。

「エミちゃん・・・」

「議院へと通じる、地下道の鍵も上司が貸してくれたんだ。味方してくれたの。みんな疑問に思ってたんだよ。でも恐くて何も出来なかっただけなんだよ。本当はみんなおかしいと思ってたの。だから私たちの手で総裁の辞任を要求して、天使法の改正をしようよ」

「エミちゃん・・・ありがとう・・・ありがとう・・・」

ジュリはそう言うと、鼻水をズルズルとすすりながら、ひたすら泣き続けた。