11、天使からのプレゼントー2
翌日、恭介とジュリは、平和島から東京湾を見つめていた。
「ジュリ、本当に有難う。助かったよ」
「ううん。まあ下手くそなりに頑張ってみたよ」ジュリは笑いながらそう言って、東京湾の海を見つめた。
そして「店長、この間葬式場で荒れてたじゃん?」と言った。
「ああ、すまない。ちょっと酔っ払っててさ・・・」
「菜月さん、店長の事、そんな風には思ってないと思う」
「えっ?」
「菜月さんは店長の事が、本当に好きだったんだよ。それは今でも変わらないと思う。きっと感謝してるよ。死ぬまで介護してくれて有難うって言ってるよ」
「だといいんだがな・・・」恭介はそう言うと、寂しげな顔で笑った。
「ねえ店長」
「なんだよ」
「もしもだよ、もしも神様がいるとするじゃん。そしたら店長は何をお願いする?」
ジュリのその質問に、恭介は腕を組んでしばらく考えた。
「そうだな・・・オレと菜月は、大学時代、ダンスサークルをやってたんだ。よく社交ダンスコンテストに出場したんだよ。賞も取った事があるんだぞ」
「へえ、すごいじゃん」
「もう一度あの時のように、菜月と社交ダンスをやってみたいなあ。その夢を叶えて欲しい」
「社交ダンスかあ・・・」
「どうかしたか?かなえてくれるのか?」
「ん?あはは・・・なんでもないよ」
無事天使総裁の続投が決まったジュリの母。
そして今日も総裁室で、関係省庁からの書類に目を通していた。
天界から天使法の改正要求を突きつけられて、連日その対処に追われていた。
『警察庁 凶悪犯罪者の魂の連行は大変危険な作業であり、人員増員が必要とされる。また武術研修を開催する為に予算を要求したい』
『法務省 法改正を行うためには、それに付随する法律まで改正しなければいけない。よって、その作業を行う専門知識を持った人員が必要である。予算を要求したい』
『迎天省 複雑な事情を持つ魂は、理解不能な言動を発する場合がある。よってメンタル面での専門的な研修を開催したく、追加予算を要求したい』
そんな書類を読んでいたら、頭が痛くなってきた。
「あー!もう!何かあれば増員、追加予算って、いいかげんにしろ!自分の力でなんとかしようとは思わないのか!ああ、頭が痛い・・・」
母は母で大変だった。
天界からは法改正を要求され、娘からは「仕事をしてない」と非難され、挙句の果てに関係省庁は使えない奴らの集まり。
上は上で大変なのだ。
結局書類をすべてゴミ箱へと投げ捨ててしまった。