フォーエバー・フレンズ -119ページ目

11、天使からのプレゼントー3

ジュリの母が帰宅すると、勿論部屋は真っ暗。

その真っ暗な部屋の明かりを付けると、そのまま疲れたようにソファーの上にドッと座った。

そして、部屋の戸棚の上に置いてあった、ジュリと自分とのツーショット写真を見つめた。




『だってお母さん、昔から私の事全然相手にしてくれなかったじゃん』




ジュリの14歳の頃、母は見事天使総裁へのし上がった。

しかしそれとは反対に、家庭内は一気に冷え込んでいた。

「ジュリ!あんた何この成績!」母は、ジュリの成績表を見て、どやしつけた。

「・・・」

「ちゃんと立派な天使になってもらわないと困るの。死んだお父さんだってそう思ってるはず。天使総裁の子供らしく、ちゃんと勉強して」

「・・・」

「黙ってたら何もわからないでしょ!」

「天使になんかなりたくない・・・」

「なに?もう一回言いなさい」

「私、天使になんかなりたくない!」ジュリはそう言うと、涙をポロポロと流した。

「ジュリ!」

「結局お母さんだって自分の立場ばかり言ってる。私はそんなのを仕事にするのは嫌だ。だいいち、今さらグダグダ言わないでよ!」

「・・・」

「だってお母さん、昔から私の事全然相手にしてくれなかったじゃん」

「ジュリ・・・」

ジュリはそう言うと居間を飛び出して、自分の部屋の中へ閉じこもってしまった。




次の日の朝、ジュリの母は天使界の出口にいた。

すると秘書が慌てふためいていた。

「一人で行かれるのですか?」

「そうよ。百聞は一見にしかず。人間界に行って自分の目で実態を見てくる」

「やめてください。危険です。SPを連れて行って下さい」

「人間が私の命なんて狙うわけないでしょ」

「でも・・・」

「うるさい!」

そう言うとジュリの母は、翼をひろげて大空を飛び立った。

ジュリの母にとってそれは15年ぶりの人間界行きである。

ずっと天使界にいて、出張と言えばほとんどが天界。

上の世界にはよく行くが、下の世界へ行くのは本当に久し振りの事であった。


ジュリの母が15年ぶりにみた東京。

それは恐ろしい程の変わりようだった。

「ええ!六本木にあんな大きいビル!なにあれ???」

六本木ヒルズの事である。

「ええ!あそこ汐留????あの国鉄跡地にビルがたってる!」

汐留シオサイトの事である。

「うそ!お台場が・・・あのゴーストタウンが?」

15年前のお台場は、世界都市博の中止の爪あとのように、ゴーストタウンと化していた。

「ええ!品川も全然変わってる!どういう事???そうだ!ジュリアナ東京っまだあるのかなあ・・・」


あるわけがない・・・。




ジュリの母は東京の街に降り立つと、早速、浮遊霊の実態を調査しだした。

所々にいる浮遊霊。その数の多さを見て愕然してしまった。

「これで8体目だ。浮遊霊ってこんなに多くなってるの・・・」

百聞は一見にしかずとはまさしくこの事であった。自分の知らない間に、人間界はこんな事になってしまっていたのだ