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「スナッチ」のリッチー復活⁉︎

(C)2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.

ジェントルメン


麻薬事業で財を成したミッキー(マシュー・マコノヒー)が業界引退を決意。米国の富豪マシュー(ジェレミー・ストロング)への事業の売却を進めていたある夜、ミッキーの右腕であるレイモンド(チャーリー・ハナム)の自宅に探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)が現れる。フレッチャーはマスコミに売る予定のミッキーに関する情報を高値で買わないかと持ちかける。


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映像の鬼才ガイ・リッチーが描くマフィアの抗争劇を初見。引退するボスとその妻、ボスの右腕、大富豪、チャイニーズマフィア、探偵、編集長、子爵、ストリートギャング、ボクシングジムのコーチ…さまざまな人々の欲にまみれた群像劇。


軽快な音楽とマンガのようなカット割を駆使してバイオレンスをポップに描くリッチー。テンポよく、笑いも挟むので「バイオレンスなコメディ作品」が多い。本作も「リッチーらしさ」が随所に見られるが、過去作よりだいぶ控えめで大人な印象。


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そう感じさせるのはストーリー。語り部によって物語を紐解く構図は代表作「スナッチ」と似た感じ。ただ、本作はストーリーが厚めで、語る時間も長かった。明確な「道化」役もいないので、リッチーらしさがマイルドになったかな。


とはいえマフィアである。麻薬でのしあがった主人公もワルなら、群がる男たちはもっとワル。ワルたちの頭脳戦が爽やかに着地するはずがない。主人公が妻への愛だけ叫んで、何も生むことなく終わる。そこが悲喜劇(笑)


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語り部はグラントとハナムの二人。グラントは「コードネームU.N.C.L.E.」で、ハナムは「キング・アーサー」でそれぞれリッチー作品出演。エディ・マーサンも「シャーロック・ホームズ」でリッチー絡み。勝手知ったる面々が要所を抑える。


「語り」のなかの主人公がマコノヒー。ワルながら妻への愛を語るあたりはかなり役得(笑)。チャイニーズマフィアのヘンリー・ゴールディングは近頃いろんなところで見かける。波に乗ったみたい。コリン・ファレルのこういう役は新鮮で良い。


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血で血を洗うマフィアたち。リッチーは「カッコよさ」は求めない(マコノヒーはカッコいいんだけどね)。あるのは社会の底辺で足掻く男たちの悲喜交々。教訓めいたものなんて「欲をかきすぎるな」ってことくらいかな。


ソフト路線への方向転換が気になっていたリッチーだが、本作を観て安心。「スナッチ」に似た設定なので比べちゃうけど、同じもん撮る意味もなし。まだまだ「全部見せてない」感があって楽しみ。



 DATA

監督・脚本・原案・製作:ガイ・リッチー/原案・製作:アイヴァン・アトキンソン

出演:マシュー・マコノヒー/チャーリー・ハナム/ヘンリー・ゴールディング/ミシェル・ドッカリー/ジェレミー・ストロング/コリン・ファレル/エディ・マーサン/ヒュー・グラント



hiroでした。



ガイ・リッチー記念館

スナッチ←ブラピ主演の群像劇、2000年


シャーロック・ホームズ←肉体派ホームズ、2009年


シャーロック・ホームズSG←その続編、2011年


コードネームU.N.C.L.E.←スパイもの、2015年


キングアーサー←伝記ロマン、2017年


アラジン←ディズニー作品、2019年